やはり彼女が帰ってくるのは間違いなくまちがっている   作:マッキーガイア

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来週から中国に行ってきます。なので来週から2週間ほど休みます。すみません。


10話:盗み聞き。

次の日学校に朝早く着くとエルフェが俺の隣に座っていたがそっぽを向いて話そうともしてこなかった。まぁ、俺が悪いんだけどなそう思いながら時間は一刻一刻と過ぎて行く。授業が進むにつれ居心地の悪さも薄れてきた。謝罪は今日は無理そうだ。と俺は判断し俺の方からも積極的には話しかけなかった。

 

 

 

 

昼休み。

 

いつも通りベストプライスへ行こうと弁当を持って教室を出ようとした時。生徒全員が教室のドアを覗いていることに気が付いた。覗くつもりもないから無視していると反対隣りに座っていた男子が俺に話しかけてきた

 

「おい、お前大丈夫なのかよ?」

 

「は?何が?」

 

珍しく話しかけてきたそいつに戸惑いながら俺がそう聞くとその男子生徒が廊下側を指さす。

 

「あれだよ。」

 

指の先にはエルフェが葉山に勧誘されている光景が目に入った。

ほぅ、葉山あいつナンパ癖なんてないと思ったが...まさかなぁ。

それを見ていたトップカートスの人たちも戸惑っているように見える。由比ヶ浜がこっちをチラチラ見ている...根拠はないが《多分、大丈夫だろう》とアイコンタクトで伝える。いまいち良く分かっていないようだが...

 

 

「おい、屋上に行くってよ!隠れて付いて行くか?」

 

 

そう俺に向かって言う男子生徒(名前は知らん)の言葉に耳を傾ける。それと同時に外で話をしていたエルフェと葉山が歩き出した。

 

「......じゃ、行ってみるか?」

 

俺はぶっきらぼうにそう答えたが内心好奇心であふれかえっていた。そして俺は手に持っていたマッカンを一気に飲み干す。

うん、めっちゃ甘いっ!!

 

「......お前、絶対糖尿病で死ぬからな」

 

そう、それを見ていた男子生徒に真面目に言われた。分からなくもないのが辛いな。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆★

 

 

 

屋上

 

俺達男子一行は葉山の道順よりも近い道のりで屋上に先回りしていた。まぁその近い道のりっていうのが2階から3階までベランダからよじ登ったりとかなり無茶な内容だったが先回りできたのだから文句は言えない。

 

「ふぅ~、だから言っただろう?こっちの方が早いって?」

 

「いや、危険すぎるだろ!?俺以外の奴がけがしたらどうする?」

 

因みに5人で見に来ている。俺のボッチ感が最近薄くなってきていると思ってるのは俺だけだろうか?周りを見ると皿に先回りしたチームがいくつか見渡せたが。まぁ良いか...見ないふり見ないふりっと

 

「じゃ、俺はあそこの裏に居るんで」

 

そう言って俺たちは各自移動を開始する。俺は意外と高い位置にいて周りの人の場所を特定できるのだが。逆隣の名前も知らない男子生徒よ・・・・・手すりの下の部分にぶら下がるのはいくら何でも危険すぎるんじゃありませんかね?一歩間違えれば死ですよありゃ。

そんな事に肝を冷やしながら待っているとしばらくしてドアを開ける音が聞こえてきた。

 

来たか.........遊び気分で来てしまった分、緊張が凄いことになっている。俺は手汗を拭きとりながら観察を続ける。

 

 

 

「......で?話って何ですか?」

 

 

 

エルフェが葉山にそう聞く。そう言ったエルフェの瞳は闇を持ったような......そんな暗い瞳をしていた。

 

「比企谷の話だ...彼の話は聞いているだろう?」

 

「...あなたまでハチ君をバカにするんですか?」

 

殺気。こんな場所遠い場所にまで感じた濃い殺気。これはヤバいと多分ここに居る誰もがそう思っているに違いない。あ、やばい逆隣りの子がぶるぶる震え始めてる。このままじゃ落ちるぞ?

 

「違う。バカにしに来たわけじゃない。むしろ彼には感謝している...」

 

「.........感謝?」

 

 

まさか...アイツ言うつもりか?

止めろ、それじゃあ意味がなくなる。こんな人が多い場所(向こうには気付いてない)でそれを言うのはお前の信用にかかわる。駄目だ。絶対に。

 

 

 

 

「教えよう。彼が今までやって来たことの真実を。」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――それだけは止めろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンッ!!

 

 

 

 

数分後、葉山の顔は真っ赤に膨れ上がっていた

周りの男子たちも驚いた様子で俺の方を見ている。視線がきつい

するとエルフェは涙を流しながら

 

 

 

 

「...............最低」

 

 

 

 

そう呟いてエルフェは屋上から姿を消した。しばらく俺はそこから動けなかったが、しばらくして俺は葉山に近づいた。

真っ赤になった顔はどこか晴れ晴れとしていた。俺はそんな葉山の手を無言で手に取り立たせる。

 

「見てたのか比企谷...」

 

「ああ......だがなんでこんな事を......?これじゃお前の信頼は完璧に崩れるぞ?」

 

「分かってる。それも承知の上だ...........こんな事になったのも俺の責任だ。俺が不甲斐ないから...」

 

それは否定もしないしする気もない。だがこいつの場合自分の事が精一杯になっていて他人をどうする気にはなれないはずだ。どうしてここまでの事をやったのかそれが一番の問題だ。

 

「実は彼女の耳にお前の噂が入ってきたのは俺のせいなんだ。」

 

「なんだと?」

 

俺が聞くと少し間を開けて話し始めた

 

「君は相模さんを覚えているかい?」

 

「ああ、あの文化祭実行委員長だった奴だろ?それがどうした?」

 

「実はあの娘あれからもお前の悪口を言ってるみたいでな...お前に罵倒されて泣かされたってお前に関わった人、全員に言い回ってるらしい。」

 

「......まぁ、知ってはいたがそこまで酷いとは思わなかった」

 

そこで葉山は話を切るが。やはり何かまだあるらしく言いづらそうにまた話し始める

 

「実は、エルフェさんも相模さんの話を聞いて後、その場に関わった俺に真偽を訪ねて来たんだが......俺がそれを正定してしまったんだ。」

 

そこら辺の話は俺も聞いていた(盗み聞きで)。まぁ、あの立場からすると。仕方がないと思ったが。しかしそれで彼女が傷ついているとは思ってもみなかったそれが俺の罪だろう。

 

「すまない比企谷......全部俺のせいだ。」

 

葉山は頭を下げる。そこには今までのか輝かしい何かは見えなくなっていた。

 

「いや、全部が全部お前のせいじゃない。それに俺の件はどうにでもなるさ......今はとにかく自分の心配だけしてろ。」

 

俺は葉山にそう言う。お前の世話まで今はできないからな。自分で蒔いた種は自分で何とかしてくれなくては困る。

 

「比企谷...すまない。ありがとう。」

 

葉山はそう言い屋上を出て行った。

 

ふと周りでこちらの事を観察していた奴らが現れる。あ、すっかり忘れてた。すると全員が興奮したようにこっちにやって来た

 

 

 

 

「お前スゲーな!!漫画の主人公みたいだったぜ!!」

 

 

 

 

男子生徒の一人がそう言い始めた。......は?(真心)

 

「比企谷俺はお前の事を間違えて解釈していたらしい...すまんな...」

 

「葉山の話を聞く限り凄い事してきたんだな。お前ホントに学生か?」

 

「お前の事ただのむかつくリア充野郎だと思ってたけど見直したぜっ!!」

 

「噂とかあまり信じない派だけどやっぱりお前の場合はその噂のせいで苦労してたんだな。頑張ったな」

 

「ダークヒーローって奴だな?分かる!」

 

最初の男子生徒を中心に口々にそう言ってくる。ただいま、混乱中。

すると一人足りないことに気が付いた。

 

 

 

「あ、“逆隣りの名も知らない男子生徒”どこに隠れてたんだっけ?」

 

 

 

「「「「「「「「「「あ!?」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

その後、“逆隣りの名も知らない男子生徒”と思われる遺体が丁度屋上の真下の花壇から発見された。

 

因みにその後彼は、賢明な治療によって無傷で帰ってきたと言う。

 

 

 

 

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