やはり彼女が帰ってくるのは間違いなくまちがっている 作:マッキーガイア
嫉妬、怒気、興味、衝動
そんな視線にはもう慣れた。負の感情から俺の思想は生まれたようなものだし、そういう感情の思想は一生俺についてくるのは分かっている。
自分で蒔いた種だからそれを拾うのも自分自身だ......だが...ひとつ、今回のはなんか...違うんだよなぁ
「は~ち~く~ん!!」
俺は白髪の女の子に抱かれながら必死に現実逃避を図る。
教室は沈黙と化し。まるで時間が止まったように動きを止める。
ある者は目の前の衝動に身を任せ怒りを感じ、ある者は考えるのをやめ、ある者は今後の展開へと期待を膨らませる。
「はちくん?どうしたんですか?」
この場を作った張本人は何も気づいていない様子(もしくは気にしてない)。その後も何事もなかったように俺の腰を締め付け続ける。
しばらく止まっていた時間は最初に気が付いた平塚先生によって動かされる。
「え、エルフェ。ホームルーム中だぞ仲が良いのは結構だが今はTPOを考えてくれ。」
すると腰に引っ付いている白髪の少女は顔を真っ赤にする。
やっと気が付いたみたいだ。
「あ、ああ、す、すいません!」
やっと離れてくれた。少し締め付けられすぎた腹を抑え彼女に目をやる。
見事なまで真っ白な白髪を伸ばし。雪のように白い肌を晒している。
「あ、あれ?」
教室の誰かがボソッとそう呟いた。何かおかしい。いや、彼女におかしい所がある訳ではなくここに居る誰もがその子を知っていることがおかしいのだ。彼女とここに居る全員は今初めて会った筈。なのに知っている。彼女を知っている。
察したように平塚先生は口を開く
「あ~、では。エルフェ自己紹介を頼む」
「は、はい。り、リーラ・エルフェと言います。前までアメリカのフロリダ州のほうの学校に通っていました。よろしくお願いします。」
彼女は悠長な日本語でそう語る。
「ふ、フロリダって......は、は、は、ハリウッド!?」
誰かがそう叫ぶ。なかなかに滑稽な合間に叫ぶのだがそれは笑い事ではない。
ハリウッドと言えば映画の都。しかも今朝のニュースでハリウッドで事件が起きていた。急にとある有名女優が引退を発表し表舞台から姿を消したのだ。
「ま、まさか.........」
あり得るはずがないあり得てはならない。
この広い世界のしかもこの日本の千葉の高校に...
「あ、はい、す、少し前まで女優をやってました......」
元とは言えどハリウッドの女優が居るなどとは
「「「「「「「「「「はあああああああ????????!!!!!!」」」」」」」」」
☆☆☆
「ど~いう事なんです!?平塚先生!!うちの学校にこんな有名人が来るなんて!!」
「知らん!!私だって驚いてる!!第一にだそんな情報をだ。私が知っていると思っているのか!?」
さっきから生徒と先生の問答が激しい。
ホームルームはとっくに終わり一時限目が始まろうとしている。因みに次の教科は国語、平塚先生の担当科目だ。
「ああ、もう!!わかったわかった!!次の時間は自習だ!!エルフェに聞いて来い!!」
それでいいのか国語教師!?俺は心の中でそう叫ぶ。それが自分の得意科目の時間が消えた瞬間だった。
するとエルフェが困ってることに気が付いた先生は口を開く
「エルフェ。席は自由に座って構わない。開いている席に座ってくれ。」
先生がそう言った。その瞬間の出来事だった。
隣の席が空いている男子たちがエルフェの周りに囲いだす
「リーラちゃん!!僕の隣なんてどうかな?席が空いてるんだけど...」
「それなら俺の隣もどう?窓の近くで日当たりもいいよ」
「それなら俺の...」「オレの...」「僕の...」
とまぁ、テンプレとも思うような現状を目の当たりにしながら寝ようと手を机に敷く。
「ヒッキー!!!さっきのはどういう事!!??なんでリーラちゃんはヒッキーに抱き着いたの!!どうして!?」
だが寝かせてくれないのが理不尽なところだと思う。由比ヶ浜が俺の前で騒ぐ。
「うるさい。あと、俺も知らん。抱き着く抱き着かないはもう関係ないだろ?」
「関係あるよ!!ありまくるよ!!!.........」
オギャオギャ―と騒ぎまくる由比ヶ浜。
まぁいいや無視しようかと少し考えていると隣に誰かが座った。
たしかに俺の隣の席も開いてはいたが...と目を向かせると
「さっきぶりです♪ハチ君」
俺の隣にエルフェが座っていた。
前でさわいでいた由比ヶ浜がもエルフェを見て目を大きくする。
「あ、あのぉ~?リーラちゃん?開いてる席はたくさんあるでしょ?なんでヒッキーの隣なのかな?」
そう由比ヶ浜はエルフェに聞いた。するとエルフェの頭にハテナマークが浮かぶ。
「ヒッキー?ハチ君の事ですか?すいません。こういうあだ名っていう文化に疎くて。」
というエルフェ。一応君のその“ハチ君”って奴もあだ名なのだが...それは?
「ああ、大丈夫大丈夫。ヒッキーってわかりづらいよね?ごめんね。」
由比ヶ浜は手を合わせ謝るポーズをとる。
忘れているんじゃないだろうか?と少し不安になったがエルフェの方から話してくれた。
「実はハチ君とは幼馴染でして...」
「そ、そうなんだ~」
チラッとこっちを見る由比ヶ浜。『やっぱり嘘だったんだね?』と目で訴えかけてくる。
『いや、知らん。今初めて知った』と俺は反論するが少し焦っている。
「にして由比ヶ浜さんとハチ君って仲が良いんですね。」
「え?...あ、うん。同じ部活に入ってるからね」
由比ヶ浜が少し焦っている。
「へぇ~、あのハチ君が部活に入るとは...どんな部活なんですか?」
「奉仕部って言ってね。釣り人?に魚を取ってあげるんじゃなくて取り方を教える部活だって」
待てぃ!!由比ヶ浜それではただの釣り同好会になっっちゃうよ!?と俺は目で訴えるが気が付いていない模様
「釣り...?ですか...」
ほらぁ、言ったじゃん釣り同好会になるって。そう思うと俺は口を挟む。
「一応言っておくが。違うからな。コイツの表現が残念過ぎるだけだから。まぁ、言わば何でも屋ってところだ」
「へぇ~何でも屋ですか...面白そうですね!!」
エルフェが目をキラキラさせている。自分で言うのもなんだがそんな楽し気な部活ではないのだが
「じゃあ、リーラちゃん。放課後一緒に行こうよ!!」
と由比ヶ浜は提案をする。別に損はないと思うし大丈夫だろうが...
「えっと...はい分かりました。放課後ですね」
と、当のエルフェは少し迷っていたが行く事に決めた模様。
すると、由比ヶ浜はうっしと手で拳を造る。まぁ人数が少なかったからな。
「そういえば。リーラちゃん。ヒッキーに抱き着いていたけどどうしてなの?」
思い出したように由比ヶ浜は口にする。
別に俺としてはどうでもいいのだが少しは気になっていたことだった。
すると、エルフェは顔を赤くする。やはり恥ずかしかったようだ
「え、えっと、あ、あのぉ...そのぉ~...は、」
何かはっきりしない。由比ヶ浜はそんなにぼそぼそと呟いているエルフェ肩ゆらしながら
「ねぇ~おしえてよ~ねぇ~」
と言う。うんあれやられたらウザイ。
するとやっとエルフェが口を開いてくれた。
「は、は、は、ハチ君との約束...」
約束...?俺が約束?
と少し思い出そうとするが。第一彼女の事を思い出せない以上彼女の約束を思い出すもくそもあったもんじゃない。
するとまた口を開いた
「け、結婚の約束...............」
―――そして、また教室が静かになった。
嫉妬の炎を残して