やはり彼女が帰ってくるのは間違いなくまちがっている 作:マッキーガイア
「け、結婚............?」
由比ヶ浜が小さく呟く。
盗み聞きしていた。教室の皆はあり得ない物を見るようにエルフェを見ていた。
そうだろう、何せ学校一の嫌われ者。及びボッチだそうなるのは当たり前だ。
するとその内の一人の女子が口を開く
「そ、それ本気?」
たった一言。たった一言エルフェに尋ねる。それは色んな意味を持っていることが誰にでも伝わった。
その女子の俺への評価も。振り返ったエルフェは少し貯めて言う
「.........本気とは?」
質問を質問で返す。
ホントはそれは日本語としてはやってはいけない行為。だが咎める人間は居なかった。咎める必要もなかった。
その言葉にさっきまで感じられなかった怒りや恐怖を感じる。それは逆に答えとなっていた。
――――――この娘、本気だ。
「本気って...だってヒキタニだよ?なんで貴方みたいな有名人の美人がそんな奴が好きな訳?おかしいでしょ?」
全くもって同感。いや、それが当然の反応だ。
しかし当然過ぎてその娘は気づいてなかった。これ以上進んではいけないという事を、なによりそれ気付かなくてはならない存在が気付いてないのだ。当然雲行きは怪しくなるし。空気が濃くなっていく。
これ以上話が続くと危ない。
その瞬間ドアが開く音が聞こえてくる。
「おい、チャイム聞こえなかったのか?自習と言っても授業は授業だ席につけ」
この時、ほとんどの生徒が平塚先生に感謝を示した。
☆☆☆
昼休み。
俺はいつも道り、ベストプレイスに足を運ぶ。なにより今日半日すごく色濃かったのだ。昼くらいは一人で居たい。それにこんな場所にはいくら何でも誰も居ないだろう
そう思いいつも座っている場所に目を配る。
「お久しぶりです。ハチ君。」
ポツンと。そこにはリーラ・エルフェが座っていた。
「は......?」
一人絶句する。誰も居ないはずの我が領土に他者がいつの間にか入り込んでいた心境だ。
「エルフェ...なんでここを知ってんだよ?」
少し気力を取り戻しながらも質問するとエルフェは親指と人差し指で円を造る。金か!?金なのか!!??
「なんて冗談ですよ。ただ、なんとなくここに来るだろうなと思っただけです。」
「なんでだよ?俺の性格を熟知してんのか?いや、それはそれで怖いが...」
そういうと俺はエルフェから少しはなれた一に座り。パンを開ける。
マッカンはこの時期になると温かいから外で昼をとる俺としてはうれしい次第だ。
「なんでそんなに離れた位置に座ってるんですか?」
少したってからエルフェがそう聞く。何やら寂しいらしい。隣をポンポンと叩きながらこっちを睨みつける。
「うん?...いや無理だろ。俺みたいなやつがお前みたいな美少女の隣に座るとか...レベルが高すぎる...」
「そんなことないですよ。はぁ......もう、私からそっちに行きますね」
そう言いエルフェは小さな弁当と水筒を持ち。俺の隣に座る。
俺はパンとマッカンを持って移動しようと立ち上がろうとするが。エルフェの視線が痛い。睨みつけているみたいだ...
はぁ、諦めるしかないな。俺はパンとマッカンを置いた。
「うん、良い判断です。世の中諦めも大事ですよ。」
諦めさせた張本人が何を言うか。俺は彼女に目を配る。
まぁ、最も諦めた本人が一番の加害者ではあるが...ああ、もう言い訳はよそう。俺は負けたんだ。結論、全部俺が悪いと。
「で?何の用だ?こんな場所まで追いかけてきて...それに結婚ってなんだよ?俺は聞いてないぞ?」
俺は今まで疑問になっていたことを彼女に聞き出す。もっとも、今日帰っているであろう母親に聞けばいい話なのだが...それでもなるべくなら早く答えが欲しい
「ん?......あれ?覚えてないんですか?あの約束を...」
弁当を食べながらエルフェは驚いた顔をして俺を見上げる。
特に昔の特別な思い出は無かったはず。あったとしてもいじめられていたという事くらいで、そんな約束はした覚えも全くない。
「悪いが何にも覚えがない。大体いつくらいの話なんだ?」
「えぇっと、多分小学3年生ごろかと。」
小学三年か......ああ、なにも思い出せない...
俺は軽く頭を抱える。するとエルフェは急接近してきた。顔が近い
「思い出せませんか?......何にも?」
少し声が小さくなっている...不安そうだ
「ああ、すまん。思い出せん」
「そう、ですか......」
目に見えて落ち込んでいる。そりゃそうだ、大切な約束をした本人が忘れているのだ。誰だって怒りたくもなるし泣きたくもなる。
「すまないな。俺だって思い出せるのなら思い出したいのは山々なんだがな......」
第一この子の事を何も知らない自分。要すると女優だったこと以外彼女の事は何も知らない。そう、どんなものが好きなのかもどんなものが嫌いなのかも何も知らないのだ。
――――――何と言うか...悔しい。彼女は俺の事をよく知っているというのに...俺は何も知らない。いわば不平等だ。
「良いんですよ...そんな昔の事覚えてるわけないですよね...ハハハ...」
彼女の空笑いが空を切る。
そこには感情がこもっていない。いや、籠っているは籠っている。『一人で何を盛り上がっていたんだろう』という絶望。本当にそれしかないそれ以外ないのだ。
じゃあ、これから俺は何をする?何を成してこの状況を打破する?
俺は口を開く
「じゃ、じゃあ、今からだ...」
「......え?」
「今から、お前の事を教えてくれ。俺はそれを覚えよう。絶対に忘れない。結婚等は置いておいて。俺はお前について知りたいんだよ。」
俺は言ってから自分がどんな恥ずかしい事を言ってるかを確認する。ヤバいかなり恥ずかしい。
でも今はそんな場合ではなかった。とにかく話を続ける
「じ、じゃあ、とにかく好きな物から教えてくれ」
「え、えっと、す、好きな物はですね―――――――――――」
俺たちは暫くの間。自己紹介を含めた二人だけの交流会を行っていた。
別に彼女と付き合う気も何もないが兎に角自分の事彼女の事を知ってほしい知りたかった。
まぁ、ここで思う事はただ一つ読者様。分かりますよね?
『とにかくリア充爆破しろ』
と、そんな目で彼らを見ていた非リア充共が居たとかいなかったとか...