やはり彼女が帰ってくるのは間違いなくまちがっている 作:マッキーガイア
ホームステイ―――人はそれを勉強と揶揄する(実際そうなのだが)。
たしかにしてみれば英語などの上達スピードも上がるだろう、その国の文化や風習なども知ることも出来るだろう…
しかし、そこで問題となるのは“人間関係”人間とは醜いものでそれは何処へ行こうとどこを見ようと垣間見れてしまう。
中学の英語の教科書をを覚えているだろうか。そこに確かホームステイについての話が軽く乗っていたと思う。そこになんて書いてあったか…いまだに覚えてるだろうか。(直訳)「ホストマザーがウザイ」「ホストファミリーに気を遣うの疲れる」「なんでホストなんですか?」
はい、学校の教科書なのに愚痴にしか聞こえないのはなぜだろうか。そもそもそこまでのデメリットを背負っていく意味などあるのだろうか。
と、前置きはここまでにして
そんなデメリットを背負って家にホームステイをしたい(しなければならない)という少女が現れたら君はどうするだろうか。
俺?…そりゃあもちろん
「―――――――――反対だ」
「なんでよぉ?良いじゃない別に」
母さんは面白くなさそうにそう返す。
「なんでもクソもあるか、若い男女が同じ屋根の下で生活するなんざ容認できるか。」
「彼女だって好きで此処に来てるんじゃないのよ?家がまだないから、仕方なく仕方なくここに居るのよ?それを反対なんてするもんじゃないと思うけど?」
「知るか!…とは言えんが、金なら俺の金使ってもいいって言ってるだろ?それにエルフェだってこんな小汚い家に泊まりたくないと思うし。それに母さん、育ち盛りな子供を二人も抱えてるのにまた一人ってそれを抱えるだけの財力が家にあると?」
会心の一撃、これだけはどうにもこうにも母さんだけでは言い返せないだろう
「ぐっ、さすがは父さんの子……口だけは達者のようね…」
ふっ、諦めたようだ。少し体を和ませる。
「けど、甘いわね!!この子の母親に生活費くらいは頂いたわ!!」
「な、なにぃ!!」
母が出してきた通帳を凝視すると0が3つ増えていることに気が付く。
「ば、バカなっ!!??あの赤字寸前だった通帳には見えん!?」
がっつり黒字どころか軽い金持ちになってしまったようだ。
「ホォ~ホホホ!!お小遣いが欲しければ跪きなさい?」
「おい、生活費を無駄にすんな」
調子に乗ている母さんに一喝すると話を戻す。
「くっそ、貰っちまったもんは仕方ないし……仕方ない家が見つかるまでだからな、、、」
俺がそう言うとエルフェは嬉しそうに「はい!!」と返した。その雰囲気がまたも可愛らしい
「なぁ~に?八幡ニヤケちゃって~」
「んなっ!?にやけてない!!」
やばい、顔に出ていたか…はぁ、これからの生活が思いやられるな…
ふと、俺は窓から月を見上げた。
☆☆☆
「ふむ……」
朝5時ごろ、俗にいう朝早く俺は何気なく目が覚めた。いつも時間ギリギリだったところなのに今日ばかしは早起きになっていた。何故かって理由はまぁ、なんとなく察しがついているだろうが昨日から家にホームステイすることになったエルフェがその理由とやらだろう。
言っても同い年のしかも女子が同じ家に居るのだ、そりゃあそうなる。しかもとどめに元女優ってのは最悪も最悪。死ぬわ、主に俺のメンタルが。
そろそろ起きよう。久しぶりに朝飯でも作ってみようかな。
「……I love…」
「…………タイム。」
少し待ってくれ…隣から声が漏れてきた気がするのだが。
そんでもって何か威圧を感じる。多分これは席が隣になった女子が無意識に放ってくる特有のあれのようだが…
「いや、まさか…あり得ないだろう?」
隣の少し膨れた布団を凝視する…これは…ラノベとかによくあるあれか?なに?俺いつの間に大人の階段上ってたの?
すこし布団から白い髪がはみ出ている…うん、家に居る白い髪の女って……ふぅ、落ち着けよ、落ち着け……?おーけー?
さて、起こそうか。
「おい、起きろよ。エルフェなんで此処で寝てるんだ?」
俺は勢い良く膨れた布団をめくる。やはり、昨日からうちに来たリーラ・エルフェだった。
「う……ん?……は、ちくん?なんでここに………いっ!?」
やっと目が覚めたようだ、彼女は驚きのあまりベットからずり落ちた。なんとも締まらない。
「大丈夫か?」
「え、は、はい。でもなんで私ここに………って、ここ八くんの部屋じゃないですか!!」
彼女も驚いたような姿勢をとる、やはり彼女もワザとって訳じゃないらしい。少し安心した、エルフェがもし、いきなり人の布団に入り込んでくるようなビッチだと思わなくて済む。
「ああ///昨日一晩八くんと同じベットで寝ていたって事ですか///そういう事ならもうちょっと早く起きたかったな八くんの寝顔……」
ブツブツと独り言をしゃべっているエルフェ
「あ、あのぉ、いい加減退いて頂けないですかねぇ?そのね?色々とマズイというか…」
そう俺が言うとエルフェは顔を真っ赤にして退いてくれた。
ふぅ……これからが思いやられるな…
☆☆☆
「ごめんね!昨日いっしょに行けなくて」
ホームルーム前の暇な時間、由比ヶ浜がエルフェに謝っている光景が横目に見えた。まぁ、昨日いきなり友達と遊びに行くからと言って約束していた物を断ってしまったんだ仕方が有るまい。
「今度から気を付けてくれれば大丈夫ですよ」
エルフェはニコリと笑いながら言う。もう少し怒っても良いと思うんだけどな。
「いや、それじゃ申し訳がたたないよ。後でジュース奢るよ。何がいい?」
そうエルフェに聞く由比ヶ浜、基本由比ヶ浜は優しい。だからこの事をずっと気にしてたのだろうと勘ぐりを入れる。するとエルフェがその問いに返す
「う〜ん、じゃあ。マックスコーヒー?」
「「……………っ!!??」」
その答えに隣にいた、俺でさえ息を飲んだ。
つまりだ、このご令嬢は自分からイバラの道(最強の甘党)を目指すと言ったのだ。しかもかなり極端に好き嫌いが分かれるマックスコーヒーを初戦に選んだ。やはりこの娘正気じゃないのかも知れない。
「お、おい、いきなりマックスコーヒーを選ぶのか?」
「え?…ええ、」
「や、やめておいた方がいいんじゃ無いのかな?あまりいきなりそういうのは」
由比ヶ浜が言うと声を荒げてエルフェは言った。
「いえ!八くんが好きな物を私も好きになりたいんです!」
天使が見えた。
なんか羽が生えてるように見える!くっそ、なんかお小遣いあげたい気分になっちゃったぞ!!
現にとなりで由比ヶ浜も財布に手をだして………っておい!3万!?幾ら何でも…マジで?
「は⁉︎…じゃ、じゃあマックスコーヒーだね?うん分かったよ」
途中で気がついたらしい、金を財布に入れなおし席に着く。これがスターのオーラって奴か…少々ハリウッドが怖くなった。金が無くなる。
☆エルフェの初めてのマックスコーヒー。ダイジェスト
「甘っ!?……で、でもなんかす、す、す、好きかも」
「嘘付くな、嘘を。」
「あはは…やっぱりそうなるよね。」