インフィニット・ストラトス 転生者は双子の姉   作:夜光・陽炎

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はい冬休み突入しました。用事も終わり、ゆっくりとためておいた結果がこれだよ!というわけで遅くなりました。すいませんw

では、どうぞ


第三十七話・ラウラはやっぱり問題児

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では―――」

 

転校生の一人、シャルルはにこやかな顔で自己紹介をしているが、そんなもの耳に入るわけなかった。

 

―――なぜ、一体何が、どうして、しかし、そんな。

 

頭の中で接続詞がサンバを踊っているにモ関わらず、目の前の光景は一切変わらない。いや、変わったらおかしいが。

 

うんと頭を抱えていると、誰かが短く呟いた

 

「お、男……?」

 

その質問の答えは

 

「はい。こちらにぼくと同じ境遇の方がいらっしゃると聞いて、本国より転入を―――」

 

人なつっこそうな顔立ちと礼儀正しいその振る舞い。中性的な顔立ちで、濃い金色の髪を首の後ろで束ねている。体はとても華奢で、へたすれば女性――――あれ?ちょっとまて、この子確か………

 

(………――――――あ!)

 

―――思い出した。思い出してしまった。シャルル・デュノア……シャルロット・デュノアという存在を。

 

つーか、私転生者だったんだ。いや、たびたび思い出してたけど、そんなに意識した事無いからかなり忘れがちなんだよ。前回までそんなこと意識できるかって状態だったし、円夏のIS作りで忙しかったし!

マジで今更だが、ようやく感覚が取り戻せた。そうだ、私は転生者だったんだっだ

 

そう精神集中していると、その思考を断ち切るように横槍が入った

 

「きゃ……」

 

「はい?」

 

「きゃあああああああああああああ――――――――――っ!!」

 

歓声―――狂気さえ感じさせるその奇声は、ソニックウェーブを発生させながら皆の鼓膜を貫いた。

勿論、悲鳴じみた声が嫌いな私は、血管破裂寸前でしたよ

 

「…………(プチッ、プチチッ)」

 

我慢しろ、と念じていてもすぐに追撃が開始された

 

「男子!二人目の男子!」

 

「しかもうちのクラス!」

 

「美形!守ってあげたくなる系の!」

 

「地球に生まれてよかったぁ~~~~~~!」

 

あんたら男見たこと無いのかよとツッコミたくなる衝動を押さえ、ぐしゃぐしゃになった思考を修復しようと耳を塞ぐ。

 

「あー、騒ぐな、静かにしろ」

 

しかしなんというか、ナノマシンの影響による聴力強化のせいで耳をふさいでも声が入ってくる。

入ってきた声は面倒くさそうな千冬さんの声だった。これが千冬さんと唯一共感出来ることだよ。十代女子のこの反応!

 

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終わってませんから~!」

 

で、ここからが本題だ。女子の歓声も収まったところで、その異端の人物……ラウラを見る

 

慎重は少し伸び、相変わらずというかなんというか、目に色が無い。いや、心理的な意味で。目の色は薄く赤ががっているが、その目線はまるで無機物をみるような冷たい目だった。

そして、トレードマーク(?)の黒色眼帯は一応わけがあるのだが、今までずっと愛用してきたのだろう、少しボロボロになりかけていた。

 

「……………」

 

追加で当の本人は絶対零度の目線で女子を見下ろしている。しかし、私だけは何かと「久しぶりにあったのに言葉が思いつかない」というような目線を投げかけていた。どんな目線だよ

 

「……挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

ここでも教官って呼ぶ必要なくないか?こちらも相変わらず礼儀正しい(一部だけ)

 

「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、今私は教師、お前は一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」

 

「了解しました」

 

余計な話だが、前々から教師モードとお姉ちゃんモードが混ざってうまく使い分けれないと言っていたが、最近ようやく使いこなせるようになってきたらしい。あ、お姉ちゃんモードは一応今は自重しているのこと

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

「……………」

 

………はい、名前だけですか、そうですか。わかってはいたよこのオチ。

ラウラに昔「素性を表さない奴に自分の情報を与えるな」といっていたが、まさか今の今までずっと守ってきたのか?しかしよく思い出せたな私。

 

「あ、あの、以上………ですか?」

 

「以上だ」

 

山田先生が今出来るMAXスマイルで問いかけても、帰ってくるのは氷より冷たい無慈悲な言葉、いや、単語。おかげで山田先生は一気にダウンして涙目になっている

 

以上の行動で完全に愛想が無いことを覚った生徒たちは、ラウラと目を合わせないように目線を逸らしているが、元々本人に合わせる気が無いようで、今のラウラは他人に関心さえ抱かなかった。

 

一人以外

 

「………貴様か」

 

急に一夏のところに歩み寄ると、その前にじっと立ったままになる。

 

「?えーと―――――!」

 

一瞬の出来事だった。

ラウラがいきなり、腰に刺してあったナイフを右手で抜刀し、一夏に向かって一振りしたのだ。

 

それを一夏は背中を仰け反らせることで回避し、すかさず足を上げて手に持ったナイフを弾こうとする。

 

「甘い」

 

「なっ!?」

 

すばやく手を引き、足の攻撃をかわして逆の手で一夏の足を掴む。

そのまま捻り、地面に頭から叩きつけたやろうと考えたのか手に力がこもった、瞬間。

 

「―――っ、なめんなよ!」

 

一夏はその馬鹿みたいな力でサマーソルトし、足を掴んでいるラウラごと一回転しながら相手を地面に叩きつけようとする。

技は見事に決まり、地面に激突する。―――刹那、ラウラの手のほうが先につき、握っていた手を離して横転。体勢を立て直した。

 

一夏も地面に足が付いたときと同時に体の向きを変え、ラウラの方に向き直る。

同時に懐から私が渡した護身用のデリンジャーを片手で構え、ラウラの額にごつんと当てる。

 

が、ラウラもその手に持ったナイフを、一夏の首筋に立てていた。

 

そして、二人の目先にはナイフ―――第三者、私が持ったナイフが突きつけられていた。

 

「な、ぎさ………!?」

 

「教官……!?いつの間に………」

 

「……元のところに戻れ。―――――目ぇ、抉るぞ」

 

「「――――――!!」」

 

殺気で教室全体が静寂に包まれる。

女子たちはもう二回目だからか、背筋が固まっただけで済んだようだ。

 

二人とも元の場所に戻ったようで、私も元の場所に戻る。

これは、この先苦労しそうだ

 

「あー………ゴホンゴホン!では、HRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

ぱんぱんと手を叩いて千冬さんが指示を出す。その声で女子たちも我に返ったようで、すぐに行動を開始する。

 

「おい織斑。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子同士だろう」

 

「うん?あ、ああ」

 

「君が織斑君?始めまして、僕は――――」

 

「ああ、いいから。とにかく移動が先だ。女子が着替え始めるから」

 

説明すると同時に、デュノアの手を引っ張り教室から退室しようとする一夏を一回呼び止める。

 

「おい、一夏」

 

「え?なんだ凪紗」

 

「………あまり激しいスキンシップはやめておいたほうがいいぞ」

 

「は?」

 

「いいから、行け」

 

「あ、そうだった。じゃあな!」

 

そのまま一夏はデュノアと共に教室を去ってゆき、いなくなった教室からは二人の話で持ちきりだった。

 

「ねえねえ、あのシャルルって子、どう思う?」

 

「う~ん、なかなか美男子だったね」

 

「そうそう。なんかあの女の子っぽい感じが、なんかこう……いいわよねぇ~」

 

「激しく同感!」

 

と、色々騒ぎながらも着替えを始めた女子たち。

私も早く着替えようと衣服を脱ごうとするが、急に目の前に誰かがいたのに気付いた

 

「……お久しぶりです、教官」

 

「うん、久しぶり。元気そうだね、あんなトラブルも起こせる気力もあるってことは」

 

「それについてはお詫びします。あの教官の教え子とやらの実力を見たかったもので」

 

「………変わってないねー、ラウラ」

 

「いえ、これでも日々訓練を怠らず、毎日精進したつもりですが、教官から見ればまだまだのようですね」

 

「いや、そういう意味じゃないんだが……」

 

「では?」

 

「――――いや、なんでもない。お前も急いで着替えろ。遅れたら拷問の方がマシな罰を受けることになるぞ」

 

「……?拷問なら特に問題無いのでは?」

 

「……あー、いいから急げ。放課後地獄コースにチャレンジしたいならともかく」

 

「???」

 

首をかしげて「なんですかそれは」と聞きたそうな顔だが、それに一々付き合っていたら遅刻確定なのでいそいそと着替える。反面、ラウラは

 

「…………終わりました」

 

制服を脱いだら、ISスーツがあらわになった。

まさか、今までずっと来ていたのではあるまいな

 

「いつ何が起こるかわからないので、常時着用しています。睡眠時には一度洗濯しているのでご心配なく」

 

「………はぁーっ………」

 

どうやらラウラの感覚は少しずれているようだ。慣れていくにはしばらく時間を要するだろう。先が思いやられる。

 

 

 

 

第二グラウンドに集合していると、後から遅れて男子二人組(一人女子)が現れた。

しかしなぜか遅れていて、千冬さんに「遅い」とダメ押しされているところだ。

 

「二人とも、今日はデュノアに免じて許してやるが、次は無いと思え。いいな?」

 

「はい」

 

「は、はい……」

 

「全く、姉に恥を掻かせよって………ほら、列に並べ」

 

一夏とデュノアは一組整列の一番端に加わる

 

「ずいぶんゆっくりでしたわね」

 

これは何のつもりか、私の後のセシリアが隣に来ていた一夏に話しかける。

最近、一夏になにかと理由をつけて隣に来たがるが、もうそこまで口説かれているのか。攻略王、恐るべし。

 

「スーツを着るだけで、どうしてこんなに時間がかかるのかしら?」

 

「しょ、しょうがないだろ、男子用なんだし……」

 

ちなみに男子用のISスーツは首や手足以外全部覆っているスキューバーダイビングの水着みたいなものだ。データ取りたいのはわかっているが、これじゃあ着にくくもなる。しかしというかなんと言うか

 

「ウソおっしゃい。いつもは間に合っていたくせに」

 

……これも嫉妬の内か。ここ最近、一夏の周りに女性が増えてきた(もともと女性しかいないが)影響で、セシリアの口調も妙に刺々しくなっている。まぁ、一夏の自業自得だろうが

 

「ええ、ええ。一夏さんはさそかし女性に縁があるようで?今日もまた、女性に絡まれたようですし」

 

いや、あれは絡んだといえるのか?いきなりナイフ突きつけられて、バトル漫画のような展開になったのが?それともあれか、昔の女が復習に来たとかそう思っているのか。

 

「なに?アンタまた誰かに誘惑されたの?」

 

またまた後から声が、この声は二組の鈴の声だった。

 

「こちらの一夏さん。今日来た転校生とじゃれあってましたの」

 

「はぁ!?一夏、アンタ朝っぱらからなにやってるのよ!バカなの!?」

 

「二人ともー」

 

そろそろヤバそうなので、言葉を投げかける。

 

「何よ!」

「何ですの!」

 

「……いや、もう遅いか」

 

「……お前ら、今は授業中だぞ」

 

そんな声がした途端、二人の動きがピギッと止まる。

ギギギッ……と錆びた機械が動くような音を出しながら首を動かす。

その視線の先には鬼教師。別の名は地獄も門番も恐れる世界最強のシスコン(&ブラコン)。

 

パアァァァァン!

 

雲ひとつ無い快晴の下、久しぶりの出席薄アタックがきれいな音を出しながら響き渡るのであった。

 

 

 

                       ◆

 

 

「では、本日から格闘及び射撃を含む実践訓練を開始する」

 

「はい!」

 

一組と二組の合同実習なので、人数はいつもの二倍。返事も二倍になっていた。

 

「うううっ……・何かと思うと久しぶりの頭痛ですわ……なんでわたくしが……」

 

「……全部一夏のせい。そう、全部奴のせいよ……」

 

先ほど叩かれた二人はまだ痛むのか、頭を押さえながら涙目になっている。

つーか、叩かれたのは自業自得でしょうが。話しの発端は一夏だが

 

どかっ!

 

「いたっ!」

 

「なんとなく何考えているかわかるわよ……」

 

急に一夏が蹴られ、私内心「ザマァ」と思っていたのは内緒です。誰にも喋らないで。ジャナイト〇〇〇とかしますからNE☆

 

「今日は戦闘を実践してもらう。本当は私の愛しい妹にしてもらいたかったが、残念ながら専用機が紛失してだな、そこらへんの天災が開発途中なのでさっさとしろコラァと思っているが、変わりに丁度活力溢れんばかりの十代女子がいることだしな。―――凰!オルコット!」

 

ちょっと待てぃ、そこら辺って言った?ねえ、言ったよね?

 

「な、なぜわたくしまで!?」

 

「専用機持ちはすぐにはじめられるからだ。いいからさっさと前に出ろ」

 

「だからってどうしてわたくしが………」

 

「一夏のせいなのにどうしてあたしが……」

 

「お前ら――――やる気出さなかったら放課後私の部屋に来てもらうぞ?そしてO☆TO☆NAのOHANASIを……」

 

「やります!やらせてください!」

 

「いよっしゃあああああ!どっからでもかかってこいやあああああああ!!」

 

いやな脅迫を聞いて活気は最大まで跳ね上げられた女子はヒートアップ寸前。これが教師の特権です。

 

「曲者!曲者は何処じゃあアアアアアア!」

 

「私のスナイプテクニックで一撃必殺でしてよ。何処にいますの?」

 

「慌てるなアホ。対戦相手は―――」

 

キィィィィン………。

 

あれ、急に空気を裂く音が聞こえてくるぞ?えーと、とっから聞こえてんだこれ……

 

「ああああーっ!どいてください~っ!」

 

振り返ると、山田先生がなんとISに乗って突っ込んできた。

その正面には一夏がいて、今まさにぶつかる寸前。

 

だがもうこれ以上の面倒は御免だ。

ホルスタービットを全展開し、一個一個で山田先生の体を受け止める事で減速&軌道変更に成功。

ふぅ……これで機器は免れたかと思い、ビットを全部収納すると

 

「へぶっ!」

 

そのまま支えを失った山田先生は顔から地面に突っ込んだ。ISを装着しているおかげで汚れはしないが、衝撃は消せない。ので、顔はかなり痛いだろう

 

 

「いたたたたた……ご、ごめんなさい皆さん。お、驚かせてしまって」

 

だがそこは折れても修復する不死身のメンタルにより、よろよろと立ち上がりながらも教師としての責任を全うしようとする光景は……感動していいやら

 

「さて、お前ら。とっとと始めるぞ」

 

「え?まさか、山田先生がお相手で?」

 

「そうだ、舐めるなよ。山田先生はこう見えて元日本代表候補生だ。実力だけなら上位に入る」

 

「いや、でも二対一はちょっと……」

 

「安心しろ。お前らは確実に負けるからな」

 

今の言葉でかちーんと来たのか、二人はその目に闘志を燃え上がらせた。

セシリアは一度勝っている相手だったので気を抜いているみたいだが、残念ながらあれは手加減している。本気出したら誰だって負けるからな。私みたいな奴以外は

 

「では、はじめ!」

 

号令とともに鈴とセシリアは飛翔する。それを確認した山田先生も、同じく飛翔。空中へと躍り出た

 

「手加減はしませんわ」

 

「さぁ、かかってきなさい!教師といえども、気は抜かないわよ!」

 

「い、行きます!」

 

言葉こそいつもと変わらなかったが、その目はどこか強く鋭いものへと変貌していた。

先制攻撃でセシリアがビームを放つが、それは簡単にかわされる。

 

「さて、今の間に……そうだな、ちょうどいいか。デュノア、山田先生が使っているISの解説をしてみせろ」

 

「あっ、はい」

 

空中での戦闘を見ながら、デュノアはしかりいとした声で説明を始めた。

 

「山田先生の使用されているISはデュノア社製『ラファール・リヴァイブ』です。第二世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期の第三世代にも劣らないもので。安定した性能と高い汎用性、豊富な後付武装が付けられる拡張領域(パススロット)が特徴です。現在配備されている量産型ISの中では最後発でありながら世界第三位のシェアを持ち、七ヶ国でライセンス生産、十二ヶ国で正式採用されてます。特筆すべきはその操縦の簡易性で、それによって操縦者を選ばない事と多様性役割切り替え(マルチロール・チェンジ)を両立しています。装備によって格闘、射撃、防御といった全タイプに切替可能で、参加サードパーティーが多い事でも知られています」

 

「ああ、そこまででいい………終わるぞ」

 

デュノアのかなり長い説明を聞き、それを脳内書斎と比べて完璧にあっていることを確認していたら、先ほど起こった戦闘を忘れていた。

さすが本社息子(?)。完全に記憶している。と思いつつも、上空を見上げる

 

再度見てみると、山田先生のライフル射撃がセシリアに当たり、それを避けようとしてまんまと誘導される。鈴とぶつかったところを、山田先生自身が持っていた最大火力―――グレネードランチャーやら手榴弾やらマイクロミサイルを全て一点に叩き込まれる。大火力によって大爆発が起こり、発生した煙の中から二つの影が地面に落下してきた。

 

「いたた………。まさか、ここまでやるとは……」

 

「あ、アンタねえ……どこみて移動しているのよ。ちゃんと周りを見なさいよ……」

 

「り、鈴さんこそ!無駄にばかすか衝撃砲を撃ってはよけられて、射撃の邪魔ですわよ!」

 

「こっちの台詞よ!なんですぐにビット出すのよ!すぐエネルギー切れるから動かなくなるし、移動の邪魔よ!」

 

「ぐぐぐぐぐ………!」

 

「んぎぎぎっ………!」

 

なんというか、喧嘩するほど仲が良いって言うし、これでいいのかなぁ………

 

というか、二人とも間違ってはいないので、余計にみっともない。互いに悪いところを抉り出す始末。ま、弱点の改善にもつながるし、別にいいか

 

「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」

 

またまた手を叩いて皆の意識を切り分ける

 

「専用機持ちはオルコット、凰、デュノア、一夏、ボーデヴィッヒ、藍更だな。では、六~七人のグループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやる事。いいな?では分かれろ―――あ、円夏は必要ないだろうから、私の隣で休んでいろ」

 

「あ、はい」

 

……私は呼び方が確定していないな。いい加減どっちで呼ぶか決めて欲しいものだよ。

 

千冬さんが言い終わるや否や、すぐに二人の男子に女子たちが群がる。

すぐにまずいと判断したのか千冬さんが即座に号令を上げる

 

「ああ、これはダメだったか……・出席番号順に一人ずつ各グループに入れ!順番はさっき言った通り。次もたついたら今度はIS背負ってグラウンド百週&私の気持ちいい罰を……」

 

そこまで言いかけたときには、すでに女子たちは散っていった。

それぞれの専用機持ちグループが出来上がる時間は、二分と掛からなかった。

 

「全く、そんなに男子と付き合いたいのなら、なぜこんな女子高などに通っているんだ………」

 

ぶつぶつと愚痴る千冬さんは放っておいて、私は私の班を見てみる。

 

「……えーっと、よろしくお願いします」

 

「……専門家だし、これが一番いいのかなぁ」

 

「……確か、織斑君と一緒に住んでたんだっけ?後でお話聞かせてもらおーっと」

 

ちなみに、全然話していないのは言うまでも無くラウラの班だった。

完全にコミュニケーションを拒み、一言も喋ろうとせず、さらに冷たい目線。喋れるかこんなの。

 

「ええと、いいですかーみなさん。これから訓練機を一班一体取りに来てください。数は『打鉄』が三機、『リヴァイブ』が二機です。好きなほうを決めてくださいね。あ、早い者勝ちですからー」

 

山田先生が、ようやく自信を取り戻したのか、いつもの倍以上は頼れる人に見えた。

 

とりあえず、『リヴァイブ』一機を持ってくる。しかしなぜか目線の先の女子たちは皆ポカーンとしていた

 

「ん?どうした?」

 

「……えーと、一人で運べるの?」

 

「ああ、これか」

 

ISは専用のカートで運ぶものだ。しかし、他の班は全員協力して運んでいる。一人で運んでいるのは私とラウラだけだった。

 

「まあ、これぐらいなら造作も無いよ。こんなの昔さんざんやってきたしね」

 

「……一体どういう人生を送っていたらそうなるのよ……」

 

「厳しくても、飽きない人生だよ。楽しいし、今度私に弟子入りしてみる?」

 

「い、いえ、結構ですっ………」

 

歓迎行動を断られたが、別にどうってことない。耐えられるとは思えないし。

 

『各班長は訓練機の装着を手伝ってあげてください。全員にやってもらうので、設定でフェッティングとパーソナライズは切ってありますから。とりあえず午前中は動かすところまでやってください。その先もやるかの判断は班長に任せますね』

 

と、山田先生がオープン・チャンネルで連絡してくる。

んじゃ、がんばってみますか

 

「それじゃあ、出席番号順に出ておいで。まずはISの装着と起動。できれば全員歩行まで持って行きたい」

 

「は、はい!」

 

元気のいい返事が返ってきたところで早速ISの調子を確認する。全系統オールグリーンなのを確認し、さっそく指令を出す。

 

「えー、一応ISは乗った事あるよね?」

 

「あ、はい。授業でですけど」

 

「じゃあ装着は大丈夫かな。とりあえず起動して歩行行動をしてみるけど、いい?」

 

「はい!」

 

「よしいい返事だ。―――ほい」

 

ISの装甲の出っ張りを掴み、操縦席まで飛び上がる。

 

「はい、掴んで」

 

「え、あ、はい」

 

操縦席から手を差し出し、それを相手が掴んだ瞬間引っ張り上げる。

 

「うわっ!?」

 

「大丈夫、ほら」

 

操縦席に座らせると、私は飛び降りて見事に着地。よし、決まった

などと変なことを考えていたが、まあそこは許して

 

「移動するときは普通の歩行と変わらないよ。あまり意識すると、逆に移動しづらいから、自然に」

 

「わ、わかりました!」

 

着実に起動や歩行が進み、先ほどの行動や、アドバイスもあってどんどん進んでいった。

そして、七人目が完了したところで、千冬さんはこちらに近づいてきた。

 

「なんだ、もう終わったのか?早いな」

 

「素質がいいんじゃないですか?全員が平均適正Bですし」

 

「ふん、適正EXのバケモノが何を言う」

 

「……あー、もう。思い出したくなかったのに」

 

私のIS適正、実はSを通り越してEX判定(測定不能)の判子を押されてしまったのだ。

きっと神様のいたずらだろうか、今までSまでしかないという常識が一気にくつがえされたのでこちとらいい迷惑だよ。

 

「で、何の用ですか?」

 

「いや、単に様子を見に来ただけだ」

 

「じゃあ早く行ってください。邪魔です、ほらほら」

 

「なんだと?それが教師に対する態度か?」

 

「そうですよ。いいから行ってくださいよ。自慢の妹とどうぞじゃれ合ってください」

 

「……(ピキッ)どうやら貴様には特別授業を受けさせなければいけないようだな。教師に対する態度というものがなっていない」

 

「あぁん?これはねぇ、あなたに対する態度なんですよ。わかってますよね?」

 

「(ブチブチ)………死にたいようだなぁ、貴様………!」

 

「あぁぁ?やんのかコラ?」

 

「喧嘩を売っているなら買おう。さぁ、OHANASIの始まりだ、貴様のその腐った根性、叩きなおしてやるぞ……!」

 

「オラァァァァ!かかって来いやァァァァァァ!先手必勝ぉぉぉぉぉぉ!」

 

「甘い甘い甘い!蜂蜜より甘いぞおおおおおおおお!!!」

 

「遅い!ハエより遅い!もっと早く動いて見せろおおおいぃやぁぁぁぁあああああああ!!」

 

「アタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!!!」

 

「ドララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ!!!!!」

 

 

※三人称視点

 

人外の拳のぶつかり合いとあって、その周りの地面は迫り出していた。

この光景で、他の生徒が冷や汗をたっぷりかいたと言う。

 

 

今回の〆は相変わらず犬猿の仲の二人であった。

 

 

 

 




はい、相変わらずというか、犬猿ですね。設定ではかなり仲悪いです、この二人。
何故かは………ああ、ここで言うものではありませんね。読者の皆様の想像に任せます。たぶん想像通りだと思います

あ、質問は受付中です。いつでも何処でも気軽にどうぞ。すぐに駆けつけ即返信!(でも明日は用事あるので夜以外で来ませんけどw)……なんちって。
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