インフィニット・ストラトス 転生者は双子の姉   作:夜光・陽炎

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いつも通りの投稿です。
ああ、最近頭痛がします。誰か、頭痛によく効く薬教えてー。


第三十九話・凪紗、意外な弱点現る

「というわけで、お引越しです」

 

「は?」

 

夜、山田先生がいきなり現れたかと思いきや、第一声がこれだった。

 

「先生、主語が抜けていてわけわかりません」

 

「あ、す、すみません。ついつい……えーと、つい先ほど部屋割りが決まったので、藍更さんにはこの部屋から移ってもらうことにしました」

 

「あー。そういうことね」

 

確かに、もう一人男子が来れば部屋が変わるのは必然だった。いや、男装という名文で来ているのだが。これだとまず一夏の野郎が変なボディタッチをしかねない。私にとってはどうでもいいが

 

「おお、ようやく分かれるのか。二ヶ月間も一緒にいた奴と離れるのはいい気分じゃないな」

 

「私は何も思わん」

 

「えっと、それですぐに荷物を移動させなければいけないんですよ。私も手伝いますから、すぐにやっちゃいま、しょ、う………ほぇ?」

 

山田先生が私たちの部屋を見ると、急に目を丸くした。

当然といえば当然だ。だって、部屋全体が機材で満杯になっているのだから。

 

「……え、ええと……この機材類は一体何処から……?」

 

「これらですか?一応、簡易用のメンテナンス装置と遠隔装置などなどだけですけど?」

 

「いえ、そうではなくて……」

 

「こいつが急に何処からか持ち込んだんですよ。なんか円夏のIS作成に必要らしくて」

 

「あ、ああ、そうなんですか。で、でも困りました……これではすぐに部屋を代えられませんね……」

 

ん?そんなことか。てっきり悪い知らせでも着たのかと思ったよ。

 

私が右腕を上げて、指をパチンと鳴らす。

瞬時に機材たちは光の粒となり、虚空に消えた。

 

「――――えっ!?」

 

「さあ、荷物はまとめましたよ。行きましょう」

 

「へ?ほへっ?」

 

「ほらほら。早く行かないと、後のシャルル君が対処できませんよ」

 

「え、あ、はい!」

 

山田先生は我を取り戻し、せかせかと次の部屋に案内しようとする。

 

そして、山田先生が出て行き、後ろに居たシャルルとすれ違う瞬間、私は「気をつけろよ、可愛い令嬢さん」と呟いた。

本人にははっきり聞こえていたらしく、すぐにこちらを振り返った。その顔は「なんで」という顔をしていた

 

 

 

場所は変わり、別の部屋。

 

「はい、ここが藍更さんの部屋です。えーと、同居人は……」

 

「あ、いいです。大体想像付きますから」

 

「そ、そうですか……それでは、私はこの後仕事がありますので。それでは」

 

以外に驚いた様子も無く、そのまま山田先生は立ち去った。これ私もう完全に超人扱いされているよね。いや、十分超人なんだが

 

ガチャっとドアを開くと、特に目立った家具も無い部屋が目の前に移った。

しかし、意外というかなんと言うか、大体予想はできていたルームメイトもそこにいた。

 

ラウラが

 

「……まぁ、こうなるよねー……」

 

「え?」

 

んまぁ、わかってはいたよ。旧知、元から面倒見ていた、仲いい、この三条件揃ったら私しかないじゃないですか。ああ、ちくしょう。面倒ばかり押し付けやがって

 

「とゆーわけで、今日からルームメイトになる。自己紹介とか必要ないよな?」

 

「あ、うん……」

 

……なんかリアクション低くない?

 

「えーと、もしかして………拗ねてる?」

 

「……別に、教官に、昼に色々言われたからって……全然………」

 

あ、これ完全に拗ねてるわ。こりゃ機嫌損ねたな。

うぅむ……どうするか。変に機嫌とろうとしてもラウラの感覚は一般人とずれているから、言葉間違えたら一気にクールダウンだよ。どうしよう

 

「……あのー」

 

「………」

 

「えと、あのさ。昼はちょっと言い過ぎたかなーとは反省しているよ?」

 

「………ぅ」

 

「だから、お詫びといっては何だけど、よかったら時間が空いたらISの整備と稽古をs―――」

 

「ほんとですか!?」

 

「ぅい!?」

 

急に目を輝かせて飛びついてきた。少し驚きはしたが、まあそこは人並みの反応ってことで流して

 

「……あ、うん、ほんとほんと」

 

「そ、そうですか……!久しぶりの訓練、楽しみです!」

 

「……そ、そう、ですか。ああ……(言わなきゃよかった……うーん、まぁ、ラウラの満面の笑顔を見れたから、一応は報われたかな?)」

 

とか思いつつ、色々問題はありながらもその日はぐっすり(五時間程度だが)眠れたのであった。

 

 

 

 

                      ◆

 

 

 

 

「しっかし、使い方荒いなー。あ、線が切れてる。直さないと」

 

「そんなにひどい状態なんですか?」

 

転校生がやってきて五日目。今日は土曜日、特にやる事も無かったのでラウラの稽古に付き合ってやる事にした。

といっても、いきなりアリーナに行くのではなく、現在はラウラのIS『シュヴァルツェア・レーゲン』の整備を行っている。

 

「ISって言うのはね、自分を『完璧』には治せないんだよ。特に内部機関」

 

「え?ISの自己修復は万全ではないのですか?」

 

「あのねぇ……そんなことが出来るならIS整備士なんて必要ないよ。できないからこうして人の手で管理していくものなんだよ」

 

「そ、そうですか。勉強になりました教か」

 

「教官じゃない」

 

「あ、えーと……凪紗」

 

「オッケー。今後もそう呼ぶように」

 

「りょ、了解!」

 

力強い返事を頂いたところで、改めてシュヴァルツェア・レーゲンを見てみる。

 

長い間細かい整備が咥えられていないのか、内部部品はほぼ損傷状態。それでも深刻なダメージではないのでまだまだ動いてくれそうだ。が、油断は禁物。あまり使えなさそうな部品は交換しておく。幸い、ドイツ本国から代えのパーツが届いている。

 

「ふむ……これは改良の必要性アリだなー」

 

「え?なにか問題でも?」

 

「いや、単に武装の問題だよ」

 

今のこのレーゲンの武装。腕に小型レールガン二丁、右肩に大型ガトリングレールガン。腕内部に折りたたみ式軽量高周波サーベルがあり、リアアーマーには追尾型ワイヤーブレード12個。アーマー内部に小型演算装置あり……よくこんな化物武装を扱えるものだ。

 

「ラウラ、お前、ワイヤーブレードは全部補助無しで扱えるか?」

 

「えと、一応、扱えます。いや、問題ありません」

 

「そうか、じゃあ補助装置は取り外して良いんだよな?」

 

「はい?」

 

「具体的には補助装置の役割を別のものに変えてもらう。今までよりはずっと快適に動かせるぞ?」

 

「は、はい!お願いします」

 

許可を貰ってから即座に行動。背中に埋め込まれた球体の演算装置を取り外し、今までそれにつながれていたケーブルを背部奥深くにある『ISコア』に繋げる。

 

「ええと、一体何を?」

 

「一部演算をコアに肩代わりしてもらうんだよ。結構最近見つけた方法だ」

 

「コアを利用!?……なるほど、専門家だから出来る方法なのか」

 

「そう。コアの内部に詳しい私にしか出来ない方法。ま、この方法は私の奴にもやっているけど」

 

無駄話しながら更に改良を続ける。

 

「あ、後武装とかも改良していい?」

 

「も、もう任せます……」

 

「むふふ、OKOK」

 

よし、えーと……腕の武装たちは立場逆転。つまりブレードが外部に、レールガンが内部にあるように改造……もとい、改良する。レールガンの威力低下は否めないが、それでも不意打ち可能にできるからノーリスクノーリターンだ。ブレードはより長く出来るし、強度も上がるから一石二鳥ですわ。

 

さて、ここまで改良したときにはもう午後を過ぎていた。整備始めてから大体二時間か、ちょっと遅いほうか。

 

「んーっ、終わった。ラウラ……って、何やっているの?」

 

「いえ、ヒマだったのでナイフを少し磨いでいました」

 

「あ、うん。用心深いというか、なんと言うか……用心に越した事は無いが。今すぐ出られるか?」

 

「勿論です」

 

「よし、なら第二アリーナに出発だ。急げ」

 

「イエス・マム!」

 

 

……というか、そろそろ敬語はやめていただきたいものだ。仕方ないが

 

 

 

 

場所は変わって第二アリーナ。もう廃墟のようにボロボロにはなっておらず、元の新品らしさを完全に取り戻した姿が一目瞭然だった。

今日は土曜日、アリーナは全開放状態なので稽古のために生徒がギュウギュウ詰めになっている。

 

「あー、人が多いなぁー。どうする、射撃だけでもやっておく?」

 

「……いえ、他の人に場所を開けてもらいましょう」

 

「えー……」

 

そんな会話をしていたら、周りが急に騒ぎ出した。

 

「ねえ、ちょっと、アレ……」

 

「うそ、ドイツの第三世代型だ」

 

「あれ?でもちょっと形が違うような……カスタム品かな?」

 

周りの視線が一斉にこちらを向くので、あまりいい気はしない。しかし、ラウラは相変わらず無言で生徒たちを見下ろしている。なんたるポーカーフェイス。いや、アイアンメイテンといったほうが良いかな?下的な意味でも

 

「おい」

 

ラウラが急にそんな言葉を呟く。私にも聞こえたのでおそらくオープン・チャンネルでの通信だろう。更新相手はおそらく―――

 

「なんだよ」

 

予想通り、帰ってきたのは一夏の声だった。正直言うと、それぐらいしか人物はいない。

そして、その返事を聞くや否や、飛翔して一夏の所に向かった。同じく私もISを展開して同様のことをする。

 

「貴様、教官手作りの専用機だそうだな。なら、話は早い。私と戦え」

 

「は?ラウラ、一体何を」

 

「……イヤだ。理由がねぇ」

 

「貴様には無くても私にはある」

 

「お前が何を言っているのかわからない、と言ったら」

 

「貴様が忘れていようが関係ない。どっち道私は貴様と戦うのだからな」

 

「……忘れるものかよ。あの無力感を……っ!」

 

ああ。なるほどな。……第二IS世界大会『モンド・グロッソ』決勝戦の時のことか。いや、しかしあれに一夏たちに責任は無いはずだ。

 

「貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業を成し遂げることができただろう。いや、した。確実に。だから―――私は貴様を認めない」

 

「っ……やめろ、ラウラ」

 

ラウラが前に出ようとしたのを確認した途端、私は手で肩を掴み進むのを妨げた。

 

「あの事件は一夏たちが間接的に関わっただけだ。直接的な原因は私だ」

 

「しかし……」

 

唇を噛んで、悔しそうに拳を握る。どうやら止まってくれたらしい。こんな密集空間の中でガトリングをぶっ放すなど、さすがの私でも対処しきれない。

 

「……止めないでください」

 

「……ラウラ?」

 

「……っぁぁあああああ!!」

 

「なっ!?」

 

肩にかけていた手を振り払い、腕のブレードを構えながら一夏の方へとラウラは猛突進して行った。

 

「ラウラッ!」

 

「!」

 

一夏は咄嗟に回避したが、そこが一番の隙だった。

ラウラの右に回りこんでしまったために右肩にあるガトリングレールガンの砲門の目の前に立ってしまったのだ。しかも予測されたようでその砲身は回っている。

 

そして、レールガン特有の発射音が響く。―――しかし、それが二度だけだった。

代わりに「ドンッ」と火薬銃の発砲音が小さく響いたのが聞こえた。

 

「……な」

 

「……は?」

 

先ほどまで回っていたガトリングはその動きを止めていた。原因は、銃身を回すリングに何かが引っかかっていた。その何かはまるで弾丸のような形―――いや、弾丸そのものだった。

 

「嘘でしょ……?この人ごみの中から一体どうやって……」

 

一瞬、シャルルの仕業かと思ったが、シャルルは今一夏を突き飛ばして物理シールドでラウラの腕部レールガンを防いでいる。かといって、一夏は絶対に出来ないし、そもそもリング駆動部にある一ミリ以下の隙間に一撃で、しかもこんな人ごみの間を縫っての超精密射撃を可能にする者など、心当たりもない。生徒はまず出来ないし、一体誰が……

 

「―――危なかったね。一歩間違えたら、退学に追い込まれていたよ?」

 

「……円夏」

 

底に現れたのは予想外の人物だった。ISがない状況でも訓練機を貸し出して稽古付けているとは聞いたが、まさかこんなところでやっているとは。

というか、あの精密射撃、円夏なら納得が行く。プロのスナイパーさえ凌ぐその腕前なら、先ほどの射撃は可能と言える。しかし、いくらなんでも凄すぎでしょう……

 

「貴様ら……!」

 

「ラウラ、私はこんなことをやらせるためにあなたにISを与えたわけじゃない」

 

「……ぐっ」

 

『そこの生徒!何をやっている!学年とクラス、出席番号を言え!』

 

突然スピーカーから声が響く。たぶん、この音沙汰のせいで教師が駆けつけたのだろう。この騒ぎなら仕方ないが

 

「……ふん、今日は引こう」

 

さすがにもう懲りたのか、それとも必殺の攻撃を止められた事で興が削がれたのか、以外にあっさりと警戒を解いてアリーナゲートへと去って行った。

 

「……ったく、どいつもこいつも……」

 

「お、おい。大丈夫か?」

 

「……出来の悪い弟子を持った師匠の気持ちがわかったよ」

 

「それって、あのボーデヴィッヒって奴のことか?」

 

「お前の事でもある」

 

「え?」

 

精神的にきたのか、私はISを解除してしゃがみこむ。後でたっぷり絞ってやらねば。

 

「今日はもうあかろっか。四時を過ぎたし、どのみちもうすぐアリーナの閉館時間だしね」

 

「もうそんな時間か」

 

「おう。そうだな、射撃訓練に付き合ってくれてサンキューな。あ、銃も貸してくれて」

 

「あ、うん。どうも」

 

そのとき見せた笑顔は、なにかと女の子っぽさを滲み出させている。それに反応する一夏は赤面していて、妙に怪しい。……やっぱこいつホモか?

 

「えっと……じゃあ、先に着替えて戻っていて」

 

「え?なんでだよ」

 

「いや、その……」

 

「たまには一緒に着替えようぜ」

 

「い、イヤ」

 

「つれないこと言うなよ」

 

「つれないって……どうして一夏は僕と着替えたいの?」

 

「じゃあなんでシャルルは俺と一緒に着替えたがらないんだよ」

 

強引過ぎる勢いに、一瞬引いた。女子の中でホモ疑惑浮上中とかなければいいんだが

 

「なんでって……その、僕は……」

 

「いいだろ?さあ、一緒に着替えようぜー」

 

「えっと、その……えー……」

 

「はいはい!もう辞めろお前は。さっさと着替えに行けこのオタンコナス」

 

一夏の首根っこを掴み、無理矢理シャルルから引き剥がす。いつもはこうじゃないんだがなこいつは

 

「ちょ、いた、苦しい。やめて、ISごと引っ張るな」

 

「全く、どうして私の弟子は変な奴ばっかなんだよ、ったく!」

 

そうぶつぶつ言いながら、一夏をISごとアリーナゲートへ放り投げる。

PICが働いているので怪我はしないだろうが、衝撃は伝わったみたいで「ぐえぷ」と変な声が聞こえて来た。

 

「ぼ、暴力反対……」

 

「うっせぇ、さっさと行けこのウスラトンカチ」

 

「ひでぇ……」

 

よろよろとゲートに行く一夏を見送った後、シャルルの法を見てみる。そこには、なぜか安心して胸をなでおろしているシャルルの姿が見えた

ついでに、円夏もいつの間にか消えていた。たぶん、もう着替えに行ったのだろう

 

「すまない、迷惑をかけて」

 

「あ、いや。別になんとも無かったからいいよ」

 

「はぁ……あのバカを相手によく教えられたな」

 

「いや、まぁ。本人に素質はあるんだけどね……えと、それで聞きたい事があるんだけど」

 

「あーあ。聞きたい事はわかっている。たぶん、君の思う通りだと思うから」

 

「…………ぁ、うん……」

 

「安心して、誰にも喋らないし」

 

「ほ、ほんとに?」

 

「だって、私に利は無いでしょう?」

 

「……そうなの?」

 

「あなたの正体をバラしたからって、私は何か得するの?私は自分に利がなければ基本はバラさないから。安心して良いかもよ?」

 

「な、なんか信用できるような、できないような……」

 

「んじゃ、私は出来の悪い弟子を見に行くから。じゃあね」

 

「あ、えっと……ありがとう」

 

例の言葉を受け取り、私もアリーナゲートからステージを立ち去った

 

 

 

                       ◆

 

 

 

夜、食堂にて

 

「…………(むしゃむしゃ)」

 

「(むしゃむしゃ)………あの、教官?」

 

「……教官じゃない」

 

「あ、はい……」

 

どうやら感情が表に出ているのか、ラウラが異常におびえている。そりゃ当然だ、先ほど問題を起こした後、都合良く千冬さんが現れ「共同責任だ」とかマジで意味不明な言葉を言って、こっちも反省文かかされるハメになったのだ。不機嫌にもなる。

 

「あのなぁ……なんでお前は周りを気にしないで淡々と問題を起こせるんだ?入学してからまだ一週間も経っていないのにお前の行動はもう根っから問題だらけ。よく退学にならなかったなと褒めてやりたいよ」

 

「す、すみません教か――いや、凪紗……」

 

「すーはー……お前のせいで胃が痛いよ、ほんと。しばらく大人しくしていてくれ……」

 

「はい、わかりました」

 

「……ほんとにわかったのかね」

 

ムシャムシャと晩飯を食べ終わると、偶然代表候補生二人組に出合った。

 

「詩織ー?早いわね。今日は苦労したっぽいじゃない」

 

「凪紗。お姉ちゃんからISの調整が終わっているはずだから受け取れって言われたんだけど」

 

「あー、一斉に喋るな。聞き取れないでしょうが」

 

ちょっと待て、ISの調整が終わったなどという情報は千冬さんに言っていないんだが。てか、まだ最終調整が終わっていないんだが

ま、まあいいや。ラウラに先に帰っているように伝えて、二人とも一緒のテーブルに座る。

 

「いつもの組み合わせじゃないね。セシリアはどうしたの?」

 

「ああ、なんか一夏の奴を連れに行ったわよ」

 

「一夏を?鈴は行かなかったの?」

 

「うん。アピールしすぎてもあいつにゃあ効かないしねー。露骨な行動は避けたいのよ」

 

「あ、そう。で、途中で円夏と合流したわけだ」

 

「うん。だいたい合っているよ。それより昼の件は苦労したんだね」

 

「確か生徒の一人が私的な対決申し込んだんだっけ?」

 

「そうそう。で、その子が前に転校してきた―――」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ。私の弟子だ。ついでに常識知らずの箱入り娘でもある」

 

「うわぁ……なんでアンタの弟子にはまともな奴がいないのよ」

 

「私が聞きたい」

 

それに比べ、円夏は一番良い弟子と言って良い。というか、まともな弟子が円夏しかいない。

正直円夏の成長速度には驚かされたものだ。具体的には飲み込みが早い。しかも性格も問題なしの常識人。たぶん一夏のバカより強いだろう。

 

と、そんな事を考えていたら、突然食堂がざわめきだした。

皆が注目している場所に目をやると、女子二人、箒ちゃんとセシリアに挟まれて歩いている一夏の姿があった

そして、こちらに気付いたようで急に方向転換して向かってきた。そして、こちらに許可も無く座ってくる。

 

「勝手に座るなよ……」

 

「い、いいだろ。てか、頼む」

 

「はいはい。両手に花持つのはよさそうですねーははは」

 

「何処がだよ……おい二人とも、もう放してくれよ」

 

「それでは、篠ノ之さんから放してください」

 

「断る。貴様から放せ」

 

「嫌ですわ。その脂肪が一番邪魔そうですから、貴女からですわよ」

 

「なっ!?これは望んでそうなったわけではない!」

 

「あらあら。苦し紛れの言い訳ですわね」

 

もう放してやれよ……つか鈴、変な目線で私の妹を睨むんじゃない。育たなくてもいいことある。たぶん

 

「……アンタ。今なんか失礼な事思ったでしょ」

 

「い、いやー。今日は月が綺麗だなー(棒)」

 

なぜばれた。いや、これもHT(ヒンニュータイプ)の能力だとでも―――

 

ガン

 

「あたっ」

 

「今絶対変なこと思ったでしょ!このぉ~成敗してやる!」

 

「ちょ、辞めて。痛い痛い、腹をヒジで突くな。地味に痛い」

 

「くぬぬぬ。効いていない。なら―――」

 

急に抱きついてきたと思ったら、いきなり腰に手を回して脇腹をくすぐり始めた。

 

「え、ちょ、あ、あひっ……!」

 

「おりゃー!貧乳の力を思い知れぇ!」

 

「あ、ひゃ、ひゃはははっ!ちょ、自分で認め、ひ、あひゃぁっ!く、くそ、妙に絶妙な力加減で、くぎ、ぎ、ぎゃっ、ははははははっ!や、やめてーっ!」

 

「お、なんか面白くなってきた。おらーっ!中国で習ったくすぐり攻撃の真髄を味わえーっ!」

 

「おまっ、中国で何習ってきたんだよっ!ふひっ、あはひっ!ひ、ひあっ、あははひはひひはははは!」

 

「……えーと。凪紗って」

 

「……くすぐりに」

 

「弱かった……」

 

「……意外な弱点ですわね」

 

四人とも似たようなリアクションをして、急に変な笑みを浮かべた。

 

「総攻撃だー!」

 

「「「うりゃー!」」」

 

「えちょ、お前等ぁぁぁっ!」

 

 

今夜、学園中に変な笑が響き渡ったという。

ついでに凪紗はエクトプラズムを出しながら部屋の前に寝ていた、とのこと。

 

 

 




エクトプラズム(ectoplasm)とは、シャルル・ロベール・リシェが1893年にギリシア語のecto(外の)とplasm(物質)を組み合わせてつくりだし(ry)

何を真面目に解説しているんだか……(笑)俗に言う口から半霊です。あれですあれ、口から白い何か(意味深)がフワァーッとなる。
というのも、エクトプラズムがなにかわからない人のための説明です。要らなかったかな?
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