インフィニット・ストラトス 転生者は双子の姉   作:夜光・陽炎

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一週間ギリギリの投稿。宣言初っ端からおきてを破るところでした。ふぅーあぶない。(一分ぐらい見逃してw)
遅れたわけは……まあ、勉強が忙しかった、と思ってください。お願いします(笑)


第四十二話・第一回戦?……ああ、あったのそんなもの。

あー、なんていうか………一回戦は私たちの勝利で幕を閉じた。

 

えーっと、なんか秒殺だった。

どこかの単純馬鹿みたいに突っ込んできて、たぶん本音さんだったかな?が、少し右に避けたら勝手にアリーナの壁に突っ込んで勝手に気絶して終わり、もう片方の……誰だっけ、まあ誰でも良いが、ラウラのガトリングレールガンの餌食になって消し飛んだ。

 

具体的には

 

「うりゃ~!」

 

「よっと」

 

「わー」

 

「ほい」

 

「やーらーれーたー」

 

…………である

 

なんかずっとまともな奴としか相手していないから、あっさりと終わってしまった。

今まで相手したやつ等はテロリスト、無人機、などなどまともな奴がいない。むしろまともな相手を探す方が至難だ。こんなのでいいのか。と思うほどの虚無感であった。

 

「やはり、あっけなさ過ぎましたね」

 

「ああ、なんか……凄い喪失感」

 

「私も同感です。まさか、こんなに弱い相手だったとは」

 

アリーナのピットでそんなことをブツブツ呟いていると、急にドアが開いて誰かが入ってきた。

その人物は

 

「やっほー、凪っち。みんな大好き本音ちゃんでーす」

 

自分の腕より長めの袖をぶらぶらさせながら、何処を見ているのかわからない目で入ってくる本音さん。隣にはもう一人女子がいたが、そんなに気にならなかった。

 

「ああ、本音さんか。なんか用?」

 

「えーっとね。お互い試合がんばったから軽ーい祝いでもやろうかなーって」

 

「それじゃあ、毎日パーティーになるよ」

 

「あー、それはいいアイディアだね。毎日パーティーだったらー、皆楽しいかもー」

 

「ま、まあとにかく。遠慮しておくよ」

 

今ここでパーティーをするのはどうかと思うし、そもそもする気は無いので遠慮させていただく。

というか、この人のテンションについていけないんだが、マジで何考えているのかわからない。一体彼女の行動原理は何なのか知りたいよ

 

「本音、それより」

 

「ああ、うん。わかってるよー」

 

「?このあと何かあるの?」

 

「うん。あのねー、本音ちゃんは来月生徒会に入るのだー。どんどん、パフパフ」

 

「……は?生徒会?」

 

表面からしてこの人が生徒会?なんと思う。いやしかし、生徒会に選ばれるって事はかなりの潜在能力が……いや、ありえないな。

 

「っていうか、普通生徒会って立候補して投票数とかで決めて入るんじゃ……」

 

「ああ、それはねー」

 

「私から説明しましょう」

 

本音さんの隣に居た女性が口を開ける。

しかし、この人誰だ?対戦相手ではないことは確かなのだが……

 

「本音は一応生徒会に入ることにはなりましたが、それは生徒会長が知り合いで、さらにその会長特権で入ることになりました。なので正規の手続きガ出来ないのでかなり時間がかかるらしく……」

 

「あーなるほど。今は書類の処理とかに時間をとられているってわけか。しかし、会長特権って……」

 

「元々ここの生徒会長決定の決まり自体がかなりアバウトなので、問題はないかと」

 

「あ、うん。そうなのか」

 

確かにここの決まりはアバウトなのはアバウトなのだが。こんなので生徒会は入れて良いのか?こんなので良いのか生徒会。

 

「というわけでじゃあねー。今度はちゃんとパーティーやろうよー」

 

「ああ、考えとくよ……じゃあ」

 

隣に居た女性に引っ張られるようにピットを出て行く本音さんを見送り、次に更なる疲労感が襲った。

 

「あ、あの、教官?」

 

「え、なんだラウラ」

 

「あの女は一体何者ですか?教官の殺気を緩ませる精神誘導……かなりの強敵と見える。あれは士気の低下のに向いているな。いや、しかしこちらの士気も下がるわけなのだが……」

 

なにかとわけがわからないことをブツブツ言っているラウラの相手をしながら、私たちは明日の第二回戦に向けてゆっくりと休息を取るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

プルルル、プルルル

 

夜の一時、熟睡中に自分の携帯が震えているのに気付き、目を半開きにした。

こんな時間に電話とは、相手はかなりの急用らしい。

 

「ん……なんだよ……たっく」

 

幸い同室のラウラは起きていないし、この誰かもわからない連絡相手の話を聞いて即座に寝ようと思う、タッチパネル型の携帯電話に表示された名前を読む。

 

「非通知……?一体誰だよ……」

 

深夜で非通知とは、明らかに不信な出来事だった。

しかし、出ないと誰かもわからないので、一応出てみることにした。

 

「もしもし」

 

『へっろ~!みんなのアイドル束ちゅぁんでぇs』

 

ブチッ

 

第一声が不謹慎の塊であったので、即座に通話を切る。

そして布団の中にもぐり、再び夢の世界へと旅立とうとした直後、またまた携帯が震えた。

 

今度は非通知ではなく、しっかり『篠ノ之束』と書いてあった。

仕方なく通話ボタンを押し、話を聞いてみる

 

『ひどいよー、凪ちゃぁん!いきなり切るなんてー』

 

「……深夜にハイテンションな声で電話が着たら誰だってそうするよ」

 

相変わらず馬鹿は直っていないようで、四六時中こんな調子のようだ。姉さんがまともな調子のところは見たことが無いが。

 

『ま、いっか!非通知で凪ちゃんを驚かせる作戦は見事に折られたけど』

 

「そんな理由で電話しないでよ……それで、何の用」

 

こっちはすぐにでも眠りたいのに、こんな時間に電話してくるアホがそんな気持ちも知らないようでちゃくちゃくと長話を始めた。

 

『えっとねー、アレのデータを渡してくれないかな?』

 

「……アレって何」

 

『アレだよアレ!円っちの新しいIS』

 

「ああ、ホワイトグリントのことか。そういえば渡して無かったね」

 

『そーそー。欲しいんだけど、ダメかな?』

 

「アレのデーターか……でも欲しいのはIS本体のデーターじゃなくて内部に組み込まれている『OS』がほしいんでしょ?」

 

『ぬふふふ。やっぱり隠せなかったかー』

 

「当たり前でしょ。あの『OS』は姉さんも実用化しなかった。いや、させられなかった、というほうが正しいかな?」

 

『まさか、凪ちゃんがアレを完成させたとはねー。恐れ入ったよ。アレも実用化は難しいと思ったけど、まさかコアのバックアップ回路のパターンを利用して『個別適応』させたなんて。さすがに私でも思いつかなかったよ』

 

「かなり苦労したけどね。後、私への見返りは何?」

 

『見返りかぁー。IS一個と武装の実践データ、ってのはどうかな?』

 

「それにNCT五十キロと大型、小型ブースター何個か追加で。あと電子部品の材料を少々」

 

『えー、ちょっと多すぎじゃないかなー』

 

「なら私の『黒桜』の戦闘データーのコピーを渡すよ。新型を開発するのには十分でしょ」

 

『オッケー。交渉成立だね。後で凪ちゃんのラボに送っておくからさ。そっちも送っておいてね』

 

「わかった。なら一時間後、私のラボを開いておくから。私はメモリーにコピーしてメールで転送しておくよ」

 

『ラジャー☆んじゃ』

 

「あ、ちょ………切れた」

 

一方的に切られた。その後、ツーツーなる携帯の電源を切り、投影型ディスプレイからデータをフォルダごとコピー開始。所用時間は大体四十分、さすがに大容量なので最新型のパソコンに匹敵する性能を持つ機械でも、これだけ時間がかかるようだ。約束を一時間後にして置いてよかったと思う。

 

 

だが、なぜ姉さんがあのosを保持がるのかがわからない。

個別適応性だから、実用にはあまり向いていないし、そもそもコアにダイレクトに負担をかけるのであまり推奨できない。実験に円夏とラウラのISに組み込んだが、未だに起動はせず。ワンオフ・アビリティとほぼ同じ扱いなので、使用者のコンディションが一定以上にならないと発動も出来ない欠陥品だ。

 

 

そんなものを、一体どう使おうとしているのか、気になってあまり眠れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

さてさて、トーナメント二回戦目。

私たちの相手は……当然といったら当然だが、円夏、箒ペアだった。たぶん今まで戦ったやつ等よりは圧倒的に歯ごたえがある相手だろう。

 

つっても、また長時間待たされたのだが、そっちはもう慣れたのでよしとする。

 

で、ようやく私たちの二回戦が始まろうとしていた

 

 

「やっぱり対戦するのかー。お前たちの相手は骨が折れそうだよ」

 

「まあね。私たち、勝つ気でいるから。全力だよ」

 

「身内だといって、手は抜かないでほしい、姉さん」

 

二人からやる気満々のコメントを頂いた。

私に勝つ気でいるのはまぁ良いけど……本気出そうとしてもできないんですよねー箒ちゃん。やったら頭のネジがぶっ飛ぶんだよなーこりゃ。

 

「貴様等に教官の本気を出せられるのか、見ものだな。くくく」

 

そしていつもと変わらぬラウラ。こっちももう慣れた

 

「……さて、貴様」

 

「え?私……」

 

急に円夏に向けて指を刺すラウラ。少しだけジトーッと体の隅々かで観察すると、思いもよらぬ発言をした。

 

「ふむ……中々いい体をしているな。私の理想ボディラインだ」

 

「……はへ?」

 

何処で覚えたのか、変態じみた発言で円夏が軽く「?」という顔をする。

 

「しかし、まだ足りない。もう少し……そうだな、隣の奴みたいにむn」

 

「はいはい!もう黙ろうねー。余計な事言わないほうがいいよぉぉぉぉ?」

 

「むぐっ!?ふぉふか………いぇふぁー……」

 

これ以上放っておいたら更にエスカレートするだろうと察した私は瞬時にラウラの口を塞ぎ、軽い殺気を放って黙らせる。……本当に何処でこんなこと覚えたんだ

 

クラリッサ「はっくしょん!!」

 

どこかで知り合いがくしゃみしたような気がしたが、気にしてはいけない。

とりあえず、作戦会議だ

 

「ラウラ、私が円夏の相手をするから、箒ちゃんの相手に」

 

「いえ、私が織斑の相手をします」

 

「………は?」

 

正直、普段のラウラとは思えない発言だった。理由は

 

「お前のAIC(慣性停止結界)は光学兵器が弱点だ。光に慣性は無いからな。だから、私は円夏の相手は任せろといったんだが……本当にいいの?」

 

そう、AICの弱点の一つ、光学兵器相手には意味がないことだ。

ほとんどがエネルギー兵装の『ホワイト・グリント』は天敵といっても間違いないだろう。

 

「いいんです。天敵に挑んでこそ、強さを得られる。逃げてばかりじゃ、勝てないんですよ。……勝たなきゃ、私の……」

 

俯きながら何かを言っていた。しかし、最後の部分が聞き取れなかった。いや、言ってないのか?

 

『それでは両者、定位置についてください』

 

アナウンスが鳴り、両方とも定位置につく。

 

『それでは、開始!』

 

「ふっ!」

 

小さな掛け声と共に、私は瞬時加速で箒ちゃんに突撃した。

こちらの挑発に乗ったのか、箒ちゃんも加速してこちらを迎え撃ってくる。ホルスタービットは加速途中で全てばら撒き、全機私の補助的なサポートを指示した。決してダイレクトサポートをすることは無いだろう。

 

ホルスターの中から刀を一個抜き、箒ちゃんの構えているブレードを迎撃。刃物がぶつかり合う音が響き、花火が舞い散る。

 

「くっ……やはり、重い!」

 

「へぇ、今のを正面から防ぐとは……成長したね、箒ちゃん!」

 

少しだけ気合を入れながら、エナジーウィングでの超急加速。

正式名称大型改良展開装甲式推進翼発生装置。略称、『マルチエナジーウィングスラスター』。十分長いが、それでも言葉で表すにはこのぐらいしかない。

この装置は、言葉どおり展開装甲の多様性をほぼ『一点』に絞り込む事で性能を劇的に向上させた代物だ。

しかし、その高出力のあまり人では扱うどころか、真っ直ぐ飛ぶことさえ難しい。そのせいで『第六世代』という概念の代物にしか付けられなかったということは言うまでも無いだろう。

 

だからこそ、その加速は殺人的なものだった。

 

「な、にっ……!?」

 

必死に踏ん張る箒のIS『打鉄』のパワーを無視するがのごとく、ありえない勢いで地面ごと押していた。

踏ん張っても無理矢理押されてしまって、迫り上がっている地表。

追加でシールドエナジーが削岩機で氷を削るかごとく減り続けていた。

 

「くおおおおっ………!!」

 

「………こめんね。さすがに手は抜けないや」

 

謝罪の言葉と共に、そのまま押そうと思った境。いきなり真横から閃光が飛来した。

 

「なっ!?」

 

「おっと」

 

少しだけ驚いた表情を見せながら、スラスターを後ろに向けることで急速後退。

次の瞬間、予想通り光の雨が降り注いだ。

 

「これは、『拡散水晶』を利用した面制圧射撃。さすが、使いこなしているみたいだな」

 

余裕を見せながら、次に飛んでくるビームを回避し、更にまた振り注ぐ光弾を回避し続ける。

足元にビームが向かって飛来し、それを回避しようと空中に躍り出るが、そのポイントに小さな光弾が迫り着ていた。

 

「うおっ!?」

 

予測攻撃。なるほど、練習不足での腕の訛りは見られない。さすが『最強』の妹といったところか。そんな事を思っていたら、更にビームが迫り来る。

 

(これじゃあ、しばらく手出しは出来ないな。……まあ、ここは二人の戦いを観戦ということで休んでいようか)

 

無数のビームをかわし続けながら、二人の戦闘の様子を見てみる。

 

 

 

「やっぱり、足止めぐらいしか出来ないか」

 

「よそ見する暇があるのか!」

 

「くっ……!」

 

正面に飛び込んできたラウラの高周波ブレードを二丁銃剣『ブラッディ・クロス』を交差させて受け止める。

そして片方の銃剣を即座に連射モードにして、ラウラへと向ける。

しかし向けたときにはすでに回避の予備動作が行われており、トリガーを引いた頃にはとっくに交わされて追撃の準備をさせてしまう。

 

だが、腰と肩部位にある『自由形態切替型多目的自律飛行武装』。通称FMⅡビットを本体から切り離し、ラウラへと向かわせる。命令どおりに射撃をし始め、相手に回避を余儀なくし確実に追い込んでいる。

さらにビットを一点射撃モードから拡散射撃モードへと切り替え、散弾が相手のエネルギーを確実に削ってゆく。

 

その間に、円夏は武装変更。銃剣を収納し、大型のレーザーライフル『シューティング・スター』を展開。更に対応オプションとしてバヨネット・アダプターに長刀『ダブル・ファング』をつける。

 

「くそっ……このちょこまかと。しかし、本体を潰せば同じ事!」

 

自分の周りを度美回るビットに痺れを切らしたのか、円夏にガトリングを向けてきた。

そして銃身が回転。気付いたときには射撃を開始していた。

 

それでも、このホワイトグリントは高軌道型。なんとか急加速することで足先に掠っただけで被害は最小限に止めた。

 

「無茶苦茶するね……!なら、今度は私のターンだよ!」

 

『シューティング・スター』の砲身を相手に向け、トリガーを引くと光速の砲弾が発射された。

相手はそれをまともに喰らったらしく「くふっ」と小さな悲鳴が聞こえた。

しかし、こちらも只ではすまなかった。

 

あまり効かなかったのか、素早く体勢を立て直されたせいで掃射中のガトリングレールガンの弾丸雨が半身に当たってしまい、回転しながら吹き飛ぶ。

 

「うっ……なんとか、体勢を立て直さないと――――」

 

しかし、回転を止めた頃にはもう遅かった。

その巨体では想像できない素早さで、すでに目と鼻の先まで近づかれていた。

 

「しまった……っ!」

 

「遅い!」

 

ラウラが構えた高周波ブレードが振り下ろされ、右肩から左脇まで切り裂いた。

勿論シールドによって傷は無いが、そのシールドはかなりの数を減らされた。

 

「っ………お返しよ!」

 

ライフルの銃口を銃剣と共に刺すようにラウラの顔へと向け、トリガーを連続して引く。

独特の音が響きながら、光弾が点滅するように光を放つ。三発ほど打ち込んだ直後、ライフルにラウラの拳が突き刺さり、装甲が開いて一瞬だけ光を放つと円夏の持っているライフルが真横に吹き飛ばされた。

そのライフルは真ん中からV字に凹んでいる。

 

そして弾丸を顔面に直接打ち込まれて後退したラウラは左目を押さえており、小さな声で不気味な笑い声を呟いている。

 

「……ふっ、これほど追い込まれた事は教官たちとの模擬戦以来だ………良いだろう、見せてやろう。私の『本気』を」

 

左目を押さえている腕を離すと、そこには『金色』の目が光っていた。

ナノマシン移植による脳への視覚信号の伝達速度の飛躍的な高速化、更に超高速戦闘下での動体反射を向上さえ可能にした現代科学のハイテクノロジー。

 

これを見せたということは、ラウラが自分の相手だと『認めた』という事である。

 

「行くぞ!」

 

ラウラが再度円夏に切りかかる。しかし、接近戦は円夏のISには向いていないので、ビットを操り自分を守るようにビームを撃つ。

 

「なら!」

 

リアパーツから、突然何かが飛び出した。

そう、ワイヤーブレードだ。今までは練習のため使わなかったが、ようやく実践にまで使えるようにこぎつけ、こうして不規則軌道を取る相手にも対等に渡り合えるようになった。

 

空中でビットとワイヤーブレードがぶつかり合う。互いが互いを撃墜し合い、合計二十四機もの自律兵器が一瞬にして空中で叩き落された。これでお互い小細工は出来ない。

 

「……白兵戦は得意じゃないけど」

 

「……やるしかないだろう!」

 

そして、円夏は収納していた銃剣を再度展開、両腕のブレードを構えたラウラ。

両者とも、ほぼ同時に瞬時加速をして、互いの武器をぶつけ合った。

 

 

 

 

「ふむ……余興はこれぐらいにしてっと」

 

先ほどから周りを飛び回っているビットに目をつけ、R(ライフル)ビットの射撃で打ち落とす。

予想通り、あちらは戦闘中なのでこちらにはあまり気を使えなかったらしく、動きが鈍いビットはすぐさま射撃が当たり、その残骸が地面へと堕ちた。

 

空中で一回転して姿勢を立て直し、改めて箒の居る方角を見る。

 

凪紗が下を見てみると、箒がブレードを正面に構えた状態で直立している。そしてそのまま動かない。域の乱れも無く、脈拍も一定のリズムで鳴っている。どうやら精神集中に成功し、完全に『自分の世界』を孤立させるているようだ。

 

凪紗がその様子を見続けていると、箒が上を向き目が合う。

瞬時に反応し、先に動いたのは箒だった

 

「はああっ!」

 

短い掛け声で気合を入れ、みようみまねで習得した瞬時加速を利用し凪紗との距離を一気に縮める。

 

「ほう、見ただけで覚えたか。だけど―――」

 

ブレードを上段に構え、斬り下ろす。

が、その攻撃は空気を切り裂いただけだった。

 

「!?ど、どこに……」

 

いきなり目前から消えた。箒は上下左右に首を振り、何処にもいないことを確認する。正面にいないとなると

 

「後!」

 

「遅い」

 

振り返ろうとした直度、遠心力の勢いを乗せた上段回し蹴りを背中に喰らい脊椎は曲がる。

更に追加で八方向からの同時残撃。それで箒のシールドエネルギーは残りわずかとなる。

 

「がはっ……はっ、はぁっ……!」

 

「―――動きが単調すぎる。これじゃあ一夏の二の舞だ。そこで、今私の個人レッスンを始める」

 

「こ、個人レッスン?」

 

試合中に何を暢気な事を。と思うかもしれないが、その余裕は凪紗には許された。今手出ししても、ほぼ間違いなくやられることを革新していた箒は、動く事すらままならなかった。

 

そもそも、凪紗が本気になったら全方向にあるRビットから絶対に逃げられないオールレンジ攻撃+脳波コントロールによる絶対命中ホーミングが待っているのだ。そもそも最初から勝負はついているも同然なので、ここは大人しくするべきだと箒は判断した。

 

「まず、刀を正面に構えます」

 

「………」

 

静かに見ながら、凪紗の真似をする。

その構えは、ごく普通の剣道にある中段の構えである。

 

「……で、一回攻撃してみて」

 

「……はぁっ!」

 

直線軌道での突撃。シンプルで率直、それゆえに反撃されやすいやり方だが、それでも今は余計な小細工はいらない。全力でぶつかる。

 

最大出力での解く撃と全力での振り下ろし。それだけでも、普通の相手なら押し切れただろう。そう、普通なら。

予想通り花火が散り、凪紗の持つブレードと正面からぶつかる。箒はそのまま鬩ぎ合わせるが、相手は一ミリも動かない。

 

「はい、ここで問題。なんで攻撃は受け止めさせるのでしょうか?」

 

「そ、それは、相手の力量を測るために……」

 

「不正解。正解は―――」

 

正面からの競り合いだったが、急に刀の位置を下段に変えられ、重心を崩させられる。

急いで市井を立て直そうとしたが、それが仇となった。

 

「相手の攻撃手段を潰すため、でした」

 

箒の目の前には、鋭い爪を持ったISの指が立てられている。これが戦場だったら、今頃目を抉り取られ、次にはもう急所をやられ死亡していただろう。

 

「ま、自分の攻撃手段も潰されるから、ある意味意味の無い防御とも言える。本当の防御って言うのは相手に隙を作るものなんだからね」

 

そう言いながら箒の目から指を放す凪紗。

箒もなんとか姿勢を立て直し、再度精神集中する。

 

「続いて問題、箒ちゃんの動きが私から見えてなんで遅く見えるか、わかる?」

 

「それは姉さんが強すぎるから―――」

 

「半分だけ当たり、残りの正解は」

 

凪紗が急に刀を下段に構え、箒の懐へ飛び込む。そして手に持っているブレードを逆手に取っていた

「しまった」と思いながら足下から来る一撃を手に持っていたブレードで受け止めた。

されどその一撃は閃光。鋼鉄製のブレードは上に弾き上げられ、箒自身も後方へ吹き飛ばされる。

しかし、逆手からの攻撃というものは隙が大きい。そのとおりに凪紗の刀は跳ね上がっており、追撃は不可能だろう。

そのことを理解した箒は、胸をなでおろした。

 

―――それが今試合の一番の仇となった。

 

凪紗は跳ね上がった刀身の軌道を急旋回させ、そのまま下方に押し沈めるように振り下ろす。

箒は安心していたが故に、防御するのが遅くなった。

 

急いでブレードを上段に構えて防御体勢を取るも、受け止めた瞬間衝撃を押し殺せず体が空から落とされる。

そしてそのまま地表へと叩きつけられ、エネルギーも0になった。

 

「―――どんな流れにも逆らうな。流れに乗って戦え。そうすれば、無駄な動きも無くなるよ」

 

「な、流れに、逆らわない……?」

 

「今は判らなくていい。その内わかるさ――――さて、私の役目は終えた。後は、あの子達の試合を見るだけだね」

 

「ふ、ふふ……ありがとう……」

 

「何か言った?」

 

「いや……なんでもない」

 

 

 

「おおおおおおおああああああ!!!」

 

「はあああああああああっ!!」

 

防ぎ、攻撃、防ぎ、攻撃。これをもう何回も繰り返したのだろうか、無数の攻撃と防御を繰り返した二人の心身はもうボロボロだった。

円夏は両手の銃剣で斬りつけながら砲撃、ラウラも斬りつけながら砲撃、それを互いに繰り返し、互いの攻撃を相殺し合った。それでも、この均衡はいつか崩れる。その瞬間が今訪れた。

 

「ぐうっ……おおおおっ!」

 

「っ……らぁああああああ!」

 

円夏が銃剣の右片方を犠牲にし、ラウラの鳩尾に拳を食い込ませる。

 

「くふっ………あああああ!!」

 

ラウラも右ブレードを折られながらも、その拳を円夏の左肩に当て、レールガンを撃った。

 

「がぁっ!」

 

円夏は左肩を押さえながら、左の銃剣で斬りつけようとする。が

 

「させるか!」

 

ラウラのAICでその腕の動きは止められ、腕が微塵も動かなくなる。

しかし、円夏は手首を曲げる事でラウラに射撃。さすがに予想していなかったのか、咄嗟に腕でガード。円夏は再度斬りつけようとする。

 

だが、ラウラも黙って攻撃させるほど気楽ではなかった。

まだ破壊されていない左のブレードで、円夏の持っている銃剣を刺す。それにより、銃剣は子爆発を起こしながら破片を飛び散らせた。

 

「なら…!」

 

ラウラは反撃を試みようと、方のガトリングレールガンを回したが、弾は一向に出てこない。

そのわけは、弾丸を機関部に送るベルトが千切られており、そこから弾丸が漏れ出していた。地面をよくよくみると、金色の薬莢が散らかっている。

 

「……打つ手無しか」

 

「こちらも同じよ」

 

二人とも、武装を全て失った事で、膠着状態になった

そして二人の考えた行き先は一緒だった。

 

「ステゴロならあああああああああ!!」

 

「うあああああああああああ!!」

 

二人とも、拳を硬く握り、殴りあった。

ストレート、フック、ボディーブロー、アッパーカット、ストマックブローなどなどの攻撃が飛び交う。それはもう勝負ではなく、ただの喧嘩に見えた。

 

「ぐっはぁっ……!わ、たしはぁぁぁぁっ!」

 

「私、はっ……もう……」

 

「「負けるわけには行かないんだ!!」」

 

二人がそう叫んで互いの拳が顔面すれすれに近づいた瞬間、目の前に見たことも無い文字を移したウィンドウが表示された。

その驚きのせいか、二人の拳は動きを止めた。

 

表示された文字は

 

――――Extra Active Evolution System このプログラムを始動します

 

「エクストラ……アクティブ……」

 

「エヴォリューション、システム?」

 

なんだこれはと思ったのもつかの間。二人の意思とは関係なく、急にISが光り始めた。

 

 

 

数秒間発光し続けたISは、光始めたときと同じく急にその輝きを止め、その姿をあらわにした。

 

「これは……!?」

 

「嘘……でしょ?」

 

二人のISは、光る前の姿から完全に変形――――いや、『進化』していた。

細部の形状もまるっきり変わっており、元の形の痕跡すらない。前より同じなのは機体カラーだけだ。

 

「よく分からないけど……」

 

「これで、まだ戦える!」

 

二人とも、進化したISの手足を動かし、感覚をすぐに掴んだ。

そしてする行動は決まっていた。

 

「行くぞ!」

 

「ええ!」

 

二人とも同時に飛翔し、空中に舞い上がる。

そして、互いに近接用の武器を展開、それをぶつけ合っていく。

 

腕に再生したように戻った高周波ブレードを古い、円夏はそれを再生した銃剣で防ぐ。

それを超高速下で何度も離れては近づき、弾かれはまた接近し、そんな戦いを繰り広げた。全くの互角、そうとしか呼べなかった

 

「このままでは埒が明かない……何か、武器は……」

 

「決め手になるものは……あった!」

 

空中での高速戦闘を止め、一旦二人とも距離を取る。

そして、二人とも自分の決め手となる武器を展開し、正面に構える。

円夏は槍、それもかなりの大きさを誇る『ランス』だった。ラウラは巨大な刀『野太刀』と言うものだった。しかもただの太刀ではない。刀の『峰』という部分に複数の小型ブースターが取り付けられていた。

 

「………」

 

「……勝負!」

 

合図と共に、二人とも地を蹴った。

円夏はスラスターや推進系の部品を最大出力まで引き上げ、ランスの勢いを限界まで引き上げ、ラウラに突撃する。

ラウラも同様に、刀についている小型ブースターと自分のISのスラスターを全開。今までにない速度で、相手に突撃していた。

 

「うおおおおおおおあああああっ!」

 

「ッらあああああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

『試合終了。勝者、藍更・ボーデヴィッヒペア』

 

試合終了のブザーが鳴り、出入り口のハッチがオープンする。

それと同時に試合による疲れがどっと三人の体を襲う。

 

「はっぁー……ま、体ほぐしにはなったか」

 

と、凪紗からはとんでもないコメントが流れてきた。三人にとっては必死の戦いだというのに、一人だけこの静けさ。

 

「あっはっはっは……疲れたー」

 

「姉さんにはついていける気がしないよ……はぁ」

 

「教官……久しぶりに歯ごたえがあったとは思いもしませんか……」

 

「といってもねー……マジでいけないんじゃあ歯ごたえもクソもないわけでな……」

 

やはり超人。他の人はそれに振り回される運命である。

という冗談はさておき、凪紗以外の三人はそれぞれ疑問に思っていることがあった。

 

「えっと、あのさ凪紗……あのエクストラなんとかってシステムだけど……」

 

「私もそれが気になりました。どうか説明していただけますか」

 

「ああー………そうだな、ここで言ってもなんだ。ビットのシャワー室行こう。箒ちゃんも汗かいたでしょ?」

 

「え?あ、ああ、汗はかいたな」

 

「よし、じゃあそこで説明するから。四人とも早く着てね」

 

凪紗は一足先に飛翔し、出入り口であるハッチの中に入っていった。

しかし、それ以外の三人は疲労のせいで、しばらく一歩も動けなかった

 

 

 

 

 




今回色々気になったかと思う人もいるかもしれませんが、まあ詳しいことはまた次回。
次回もまた一週間に一回の投稿になりそうです。それでは、グットナイト。








べ、別に……一回戦書くのがめんどくさかったわけじゃないですから!絶対に違いますから!
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