アマゾンズチャレンジ!~千翼は仮面ライダーになれるのか!?~ 作:エボルアマゾン
「すいません、サバ味噌定食一つ」
「ああ、座って待ってろ」
・・・すごく偉そうなコックさんだな・・・。
――――――――
「待たせたな、サバ味噌定食だ」
「おお、おいしそう。―――いただきます」
箸でサバの身を切り取り口に運ぶ。一日ぶりのご飯だ―――
「―――」
「フッ―」
なに、これ・・・?口に入れた瞬間から違う・・・今までのどんな料理より―――
「美味しい・・・!」
「当然だ。俺が作ったからな」
箸が、止まらない・・・!サバも、ご飯も、味噌汁も!美味すぎる!
美味しすぎて涙が・・・!
「泣くほど美味いか。料理人冥利に尽きるな・・・涙はこれで拭いておけ」
「あ、ありがとうございます・・・!」
美食の歓喜にこぼれ落ちる涙を差し出されたハンカチで拭う。
食事に涙はいらない・・・!万謝をもって味わい尽くすのみ―――!
「しっかり食べるといい。・・・おばあちゃんが言っていた、『食べる』という字は人が良くなると書くってな」
いい台詞だな。感動的だ。ご飯美味しい・・・!
――――――――――――
「ご馳走様でした・・・!凄く、凄く美味しかったです・・・!」
「お粗末様・・・いい食べっぷりだった。作った甲斐があるというものだ」
米粒一つ無い食器を流しに付けながらコックさんは微笑む。
これから毎日こんな美味しいご飯が食べられるなんて・・・〈4C〉は天国だった・・・?
「そうか、お前は今日から実戦部隊に配属されたんだな」
「はい。やむにやまれぬ事情があって・・・」
「橘か・・・有能な臆病者ほど厄介な者はいないからな・・・」
局長の人望がヤバい。
「・・・俺に出来るのはここで美味い飯を作ってやるだけだ。いつでも来い」
「ありがとうございます!・・・えーと」
そういえば食べるのに夢中で名前も聞いて無かった・・・。
「あの、俺、千翼っていいます。コックさんの名前は・・・?」
「・・・」
コックさんは、スッ・・・と天を指すように手を伸ばし、こう言った。
「おばあちゃんが言っていた・・・『天の道を行き、全てを司る男』・・・」
「俺の名は・・・『天道総司』」
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「明日は和風ステーキ定食だ・・・また来い」と言ってくれた天道さんに別れを告げ、待機所に戻る。
天道さんかー、変わった人だな。ちょっと話したけど不思議な人だったな。
料理の腕はもちろんだけど・・・あの人かなり強い。
鍛えに鍛え上げ、修羅場をくぐり抜けた・・・悠さん、もしくはそれ以上の強者だ。
その天道さんが何でこんなところでコックさんを・・・?ううむ、謎だ。
そんなことを考えてたら待機所に着いた。
「・・・ただいまー」
「ここはテメエの家じゃねえぞ」
黒崎ケンカ売ってんの?
「まあまあ、黒崎さん。・・・ちょうど今からミーティング始めるところだったから。千翼も聞いて」
「え、もう次の任務?早くない?」
「うちの技術部は優秀だからな。そっからの情報だ・・・札森」
「はーい聞いてくださーい。
検証の結果、制圧したウォーターサーバーの販売元および製造設備から溶原性細胞が検出されました。
ただ、製造工程で溶原性細胞が混入した形跡が無いことから、水を採取した時点で溶原性細胞が混入していた可能性が高まりました。」
「湧き水自体が汚染されてたってこと?」
「うん。おそらくはそこに『オリジナル』がいるはず」
「『オリジナル』?」
「そ。溶原性細胞は二次感染しないからね。ばらまいてる個体がいるはずなんだよ。それが『オリジナル』」
「変異したアマゾン細胞を持った特異個体って噂だ。
5年前のトラロックを生き延び、ガスにより細胞が変異したってのが上の予想だ。
・・・まあなんだろうとアマゾンはぶっ殺すだけだけどなあ?」
「そうだね、アマゾン死すべし慈悲は無い」
「ハッ・・・」
「(ひょっとして仲いいのか)で、今回の任務は水源の調査ともう一つ」
札森は手に持ったタブレットを操作し、一枚の画像を呼び出す。
病院・・・耳鼻科だね。えっと『野々森耳鼻科医院』?
「この耳鼻科を受診した患者の中から何人か行方不明者が出てます。ウォーターサーバーの販売元から吸い出したデータで『アロマオゾン』を納品されていることからおそらくは・・・」
「医者が、アマゾンに?」
「だろうな・・・待ってりゃ餌が来るんだ。楽して喰ってたんだろうよ」
知能の高いタイプか・・・厄介だな。人間社会に溶け込んでるアマゾンってのは総じて狡猾で戦闘能力も高い傾向がある(チーム
注意しないと・・・。
「よし・・・チームを分けるぞ。水源の調査は福田、お前と水澤でいけ。」
「ああ・・・」
「なんだぁ福田ぁ、昔のお仲間に会えるかもしれねーんだぞ。もっと喜べよ」
「・・・!」
「黒崎の福田さんイジりが今日も冴えるなぁ」
「・・・水澤、調査中に『オリジナル』でも実験体の生き残りでもいい。条件さえクリア出来てりゃ、圧裂弾ぶち込め」
「了解しました」
虎の子の圧裂弾か。実際に見てみたかったな。
「残りは病院の方のヤツを狩るぞ。千翼、お前とイユが主体でやるぞ。病院の間取り、頭に叩き込んどけよ」
「分かった」
「それとお前、なんで福田は『さん』付けで俺は呼び捨てなんだ」
「え、自分が『さん』付けで呼ばれるような人間だと・・・?」
「・・・後ろと流れ弾のは気をつけろよ?」
「なにケンカ売ってんの?」
「はいはーい、仲がいいのは分かりましたから作戦―」
「良くねーよ、脳みそ腐ってんのか」
「良くないよ、メガネ曇ってんのか」
「ええ・・・息ぴったりじゃないですか・・・」
「やめろ札森、気持ち悪い」
こっちの台詞だよ。だれが黒崎なんかと・・・。
いきなり人の首に注射器ぶち込むようなヤツだよ?そんなヤツと仲がいいだろうか。いやよくない。
「はいはい・・・」
「全員、武器と携行品の確認しとけ。直ぐに出るぞ」
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「戻ったぞ」
「ああ天道、お帰り。それで目的のものは・・・?」
「これだ」
そう言って俺を出迎えた男に真空パックしたハンカチを手渡す。
「これ、かい・・・?何もないように見えるけど・・・?」
だが目の前の男は察しが悪いようで気付かない。
そのハンカチがアイツ・・・千翼の
「涙・・・!?いや確かに体液だが、どうやって?
『わざわざ力を振るう必要は無い、俺に任せておけ』って君は言ったはずだけど・・・?」
「俺がアイツを傷つけたと思っているのか・・・。フッ、甘いな『本郷』。
涙とは痛みや悲しみだけで流れるものでは無い。心を震わせるような経験をしたときに流れるものだ」
「えっと、つまり?」
「美味い飯を振る舞った。アイツは泣いて喜んだぞ」
俺の言葉を聞いた本郷はきょとんとした後、笑い出した。
フッ・・・俺の偉大な言葉に心打たれたようだな。
「フフフ、すまない。君は大したヤツだな、天道」
「なんだ、今更気付いたのか」
「いや、再認識したのさ」
困ったものだな。太陽とは遍く照らすもの・・・俺の輝きにまた一人魅せられてしまったか・・・。
「じゃあこのサンプルの半分は『風見』にもまわさせてもらおう。
『奴等』の息がかかっていない研究者にも秘密裏に調査を依頼しよう」
「ああ、だが取り扱いには細心の注意を払わせろ。たったそれだけでも人をアマゾンに変貌させる代物だ」
「もちろん、分かっているとも―――」
「足りないだろ、それ」
窓際のソファーから声が上がる。視線を向けると足を組み、不敵な笑みを浮かべる男がいた。
「何が足りない」
「大本だよ。そいつは変異した細胞を含んだ体液だろ。必要なのはもう一つ、変異する前の細胞だろ」
男は首からぶら下げた二眼のトイカメラをのぞき込みながら、シャッターを切る。
・・・なるほど、確かにな。
「だがどうするんだ、彼はもう〈4C〉に確保されているんだろ。接触は難しい」
「ああ、大体分かった」
「え」
ほう・・・、幾つもの世界を巡った経験は伊達では無いようだな。
「いいだろう、変異する前の細胞はお前に任せる」
「ああ・・・。天道お前はこれからどうするんだ」
「俺は戻るぞ。明日の仕込みがあるからな」
すると男は呆気にとられたような顔をした。なんだおかしなことでも言ったか。
「仕込みって・・・お前の仕事は終わっただろ!?まだあそこでコックやるのかよ!」
「何を当然のことを・・・。アイツと約束した、『明日も美味い飯を食わせてやる』ってな」
「ああそうかよ、好きにしろよ・・・」
「当然だ、『門矢』お前もしくじるなよ」
俺がそう言うとアイツはいつものような不敵な笑みを浮かべ、ソファーから立ち上がり言った。
「誰に言ってるんだ?
俺は―――」
―――通りすがりの仮面ライダーだぞ?
なんでこうなった。
おかしい、初期案では通りすがったりしない予定だったのに・・・?
これではアマゾンズの世界も破壊されてしまう・・・!
おのれ○○○○○!(ネタバレの為、伏せ字)