アマゾンズチャレンジ!~千翼は仮面ライダーになれるのか!?~   作:エボルアマゾン

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間に合った!


第13話

〈FINAL ATTACK RIDE:DE・DE・DE・DECADE!〉

〈Amazon・Break〉

 

「「ハアァァァ!」」

 

ゾウアマゾンの胴体をブレードで斬り付けながら走り抜ける。

反対側からはアイツが、カード状のホログラムを突き抜けながらピンクの光を纏った剣で斬り抜ける。

前後から挟み斬られたゾウアマゾンは断末魔を上げながら爆発した。

燃え上がる炎を挟んで俺たちは再び対峙する。

白と黒、そしてピンクの装甲に、グリーンの複眼とバーコードのような模様のマスク。

腹部には赤いレンズが埋め込まれたバックルのようなものを付けている。

突然現れ、共闘した謎の人物に俺は問いかける。

 

「お前は、誰だ」

 

アイツは手のひらで剣を根元から撫で上げ、ハンッと鼻で笑って答える。

 

「さっきも言っただろ。

俺は通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ」

 

仮面、ライダー・・・・・・?

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ターイムマッジーン◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

院内の間取りを確認した俺たちは、治療(?)の終わったイユと合流し目的地に向かった。

 

そして現地、黒いバンの中から病院・・・『野々森耳鼻科医院』の様子を窺う。

昼過ぎにも関わらず入り口にはカーテンが引かれ、『休診』の札がかけられている。

 

「休みか・・・・・・?」

「今日は休診日じゃなかったはずですけど」

 

運転席と助手席から建物の様子を確認した黒崎と札森が訝しむ。

確かに『休診』の札は掛かっているけど・・・・・・。

 

「いるよ。中に、二体」

 

後部座席から身を乗り出し、俺も建物を視認する。

感じる気配は二体・・・もっと意識を建物に集中させて・・・・・・。

 

「遅かったみたい・・・『食事中』だ・・・」

「チッ・・・」

 

感じる気配は攻撃的なものじゃない。捕食中のアマゾンが出す気配を感じる。

 

「はぁー、千翼君そんなことまで分かるんだ」

「イユとは大違いだな。視認してアマゾンか判断するのがやっとだ」

「まあ俺は感知能力高い方だし?個体差ってあるんじゃないかな。

そんなことより見取り図出して。

・・・・・・ここだ、診察室。二体ともここから動いてない」

 

多分ここで・・・。

 

「・・・出入り口は二つあるな。

よし、千翼。お前は正面玄関から突入しろ。お前が戦闘に入ったのを確認したら裏口からイユを突入させる。

中は狭い、分断して対処するぞ。

俺たちは裏口周囲で待機する。イユ、分断した一体を連れてこい」

「了解」

「千翼、お前は残りの方をやれ」

「分かった」

 

黒崎ってやっぱり隊長ってだけはあるんだな。普段がアレだから心配だったけど、問題なさそう。

 

「よし、配置につけ。千翼、連絡したら突入しろ」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

物陰に隠れ、病院のドアが見える位置で俺は待機していた。

病院内では特に動きはない・・・まだ気付かれてはいないみたいだ。

 

≪千翼、聞こえるか≫

「聞こえてるよ」

≪配置が完了した。突入しろ≫

「分かった」

 

物陰から出てドアに近付き、手をかける。

どうやら鍵は掛かっていなかったようでドアはすんなり開いた。

物音を立てないように注意しながら病院内に踏み込む。

入ってすぐ所に受付があり、右手側には待合室がある。

どちらにも人はいない。

無人の院内にゴポゴポとウォーターサーバー『アロマオゾン』の駆動音のみが響く・・・・・・いや。

 

「 ッ ァ   ァ」

 

駆動音に紛れるように音が聞こえる。

何かを啜るような音と、これは、女の人の声・・・?

頭の中に間取りを浮かべながらアマゾンが陣取る診察室へ向かう。

 

「ァ  ァ ッ ア」

 

扉は無く、カーテンで仕切りがされ玄関や待合室からは診察室の様子は見えないようにされている。

近づくたびに鉄臭い臭いが強まる。

 

「ア ァアッ ア」

 

ドライバーのスロットにインジェクターをセットしながらカーテンに手をかけ、一気に左に引く。

 

「アッ、ァッ、アッ、アッ、アッ」

 

診察台には女性が一人。幅広のベルトで拘束され、口からは意味の無い言葉が漏れている。

腕がびくびくと痙攣し、見開かれた目は助けを求めることも無く天井を見つめ続ける。

耳には細い管のようなものが突き刺さり、ずるずると『中身』を啜っている。

管は両脇に立つ二体の異形から伸びている。

 

「んー?・・・先生ェ?」

 

カーテンを引いた音で気付いたのか、ナースキャップをかぶった昆虫タイプのアマゾン・・・ゾウムシアマゾンが耳から管を引き抜きながら振り返る。

管が引き抜かれた耳からは、赤い血の混じった薄橙色の『中身』がこぼれ落ちる。

熱心に『中身』を啜っていたもう一体のアマゾン、長い鼻と牙を持つゾウアマゾンも顔をあげ、こちらを見る。

 

「んん?・・・二人分しかない。欲しいなら自分で獲れ」

 

・・・・・・ああ、俺が『獲物』を横取りしに来たと思ってるのか。

 

「俺が、『ハイエナ』に、見えるのか?」

「・・・違うのか?」

 

違うとも。俺は・・・・・・!

 

「俺はお前らを狩りに来たんだ・・・!アマゾンッ!」

 

〈NE・O〉

 

俺は蒼い爆炎を放ち、『ネオ』へと変身する。

そこでようやく俺が『同胞』じゃないことに気付いた連中は襲いかかってくる。けど・・・。

 

「ハアァ!」

「グガァ・・・!」

 

飛び掛かって来たゾウムシアマゾンを左のフックで壁に叩き付け、突進してきたゾウアマゾンを回し蹴りで吹き飛ばす。

ゾウアマゾンが体勢を立て直す前に接近し、拳を繰り出す。

・・・・・・ダメだ!言っても分からないと思うけど、言わせてもらうぞ!

 

「俺は今!無性に腹が立っている!」

「ガッ・・・!?」

「この手でお前らを、ブチのめしたい!」

 

体勢を立て直し、後ろから襲いかかって来たゾウムシアマゾンを後ろ蹴りで吹き飛ばす。

その隙にハンマーのような拳を振るうゾウアマゾンからいったん距離を取る。

ん、いいタイミングだ。

 

「ターゲット確認。アマゾン」

「イユ!」

 

裏口から突入してきたイユが変身しながら、ゾウムシアマゾンに襲いかかる。

不意打ちを受けた相方を助けようとしたのか、俺から目を離し駆け出そうとするゾウアマゾンにヤクザキックを叩き込む。

ゾウムシアマゾンはイユの攻撃に対応仕切れず、裏口に通じる廊下にまで追いやられた。

不利を悟ったのかゾウムシアマゾンはそのまま裏口に向かい逃走した・・・・・・よし!計画通り!

 

「イユ、追って!」

「うるさい・・・」

 

この子俺に冷たくない?

 

「待て・・・!」

「待つのはお前だぁ!」

 

裏口に向かおうとするヤツに飛び掛かり、足止めする。

ゾウムシアマゾンの気配はどんどん離れていく・・・あとは黒崎達に任せよう。こっちはこっちの狩りを・・・!

 

「パァァォオン!」

「あぶな!」

 

咆哮とともに頭を大きく回し、長い鼻でなぎ払ってくる。

しゃがみ込んで回避したところに牙を突き出して突進してくる。

咄嗟に飛び上がりバク宙しながら突進を躱す。

着地しヤツの背中を狙おうと振り返ると、ヤツはすでにこちらに向き直り鼻先を向けていた。

長い鼻の根元がボコリと膨らみ・・・・・・

 

「フンッ!」

 

鼻の先端から黒い粘液が噴き出された・・・・・・鼻水!?

 

「うわ、きったなあ!」

 

床を転がり鼻水噴射を回避する・・・・・・くっさあ!

 

「オエ・・・!お前!」

 

体勢を立て直し、立ち上がるとヤツはこちらに背中を向け玄関口に向けて走り出した。

逃げる気か・・・させない!

 

「待て!」

 

ヤツを追って玄関から飛び出す。意外に足が速い・・・でもまだ追いつける!

病院の周りには民家はないけど人通りはゼロじゃない・・・逃がすわけには!

そう思い追いかけようとすると、ヤツの前方からヘッド部分がピンクで塗装されたバイクがこちらに向かってーーー!?

 

「ウグワァ!?」

 

減速せずにゾウアマゾンに突っ込んだー!?

そのままゾウアマゾンを吹き飛ばしたバイクは俺の少し手前で停まる。

乗っているのは黒いコートの二十歳ぐらいの男の人・・・首からピンク色の二眼レフのトイカメラをぶら下げているのが印象的だ。

その人はバイクに乗ったままトイカメラをのぞき込み、こちらに向けてシャッターを切った。

 

「フッ!」

「・・・案外ノリがいいな。自分でポーズを取ってくれるとは」

 

・・・しまった!ついチーム(キス)の頃の癖が!

 

「あの、ここは危険です!早くーーー」

「ああ、大体分かった」

 

よかった、話の分かる人みたいだ・・・。

でもなんでバイクから降りてるんですか?そのまま乗って逃げてくださいよ。

 

「あれが『この世界』のアマゾンか。俺が知ってるのとは大分違うな」

 

そう言ってあの人はゾウアマゾンをレンズに収め、シャッターを切る。

『この世界』・・・?アマゾンは個体ごとに姿が異なるけど・・・?

てゆーか、速く逃げて!?

のんびり写真撮ってる間にアイツ体勢立て直しちゃったじゃないですかー!やだー!

 

「グウゥゥ・・・よくも・・・お前も、アマゾンか」

「俺が?おいおい、お前らみたいなバケモノと一緒にするなよ?俺はーーー」

 

その人は懐から何かを取り出し、腹部に当てる。

するとそこからベルトが伸び、腹部に固定され、左側に四角いケースのようなものが現れる。

ケースを開き中からカードを取り出し、ゾウアマゾンに見せつけるように前にかざす。

 

「『通りすがりの仮面ライダー』だ!覚えておけ!『変身』!」

 

カードを腹部のバックルに差し込み、バックル両側のパーツを押し込む。するとバックルが90度回転しーーー

 

≪KAMEN RIDE:DECADE!≫

 

機械音声が響き渡ると同時にあの人の周りに幾つかの幻影が現れる。

幻影はあの人に重なり、アーマーのようになる。

そして頭部に何枚かのカードのようなものが突き刺さると、灰色だったアーマーに白と黒、そしてピンクの色が付いた。

 

「『ディケイド』・・・?なんなんだ、一体?」

 

ゾウアマゾンはその姿に脅威を感じたのか牙を振りかざし、突進を行う。

しかし、その突進は軽やかな動きで躱され、カウンターを受ける。

そのまま腰のケースを手に取ると取っ手部分を120度回転させると、ケースから刃が伸び、剣となった。

剣を振るい、ゾウアマゾンを斬り付ける『ディケイド(仮)』。

〈4C〉の新兵器じゃ、ないよな・・・。あの人アマゾンじゃないみたいだし。

・・・・・・分からないけど今はとにかく!

 

〈Blade・Loading〉

「アマゾンを狩る!」

 

ブレードを振るいヤツに飛び掛かる。あの人に合わせてヤツを追い詰める!

 

「フウゥゥゥ・・・ハアァ!」

「へえ、なかなかやるじゃないか。先輩として鼻が高いぜ?」

「先輩・・・?なんの?」

「それはお前ーーーうお!?」

 

油断したのかヤツの伸ばした鼻が『ディケイド(仮)先輩(自称)』の片足に巻き付く。

 

「パァァォオン!」

「うおおおぉぉぉぉ!?」

 

そのまま振り回され、空高く投げ上げられーーー

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

そのとき、千翼の脳内に電流が走った!

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

〈Claw・Loading〉

 

左腕にワイヤークローを生成し、空中遊泳を楽しむ『ディケイド(仮)先輩(自称)』の足めがけて射出する。

 

「獲った!」

「今度はなんだ!?おい、千翼!何する気だ!?」

 

ワイヤーを巻き取りながら左腕を大きく回す。すると『ディケイド(仮)先輩(自称)』は大きく円を描く。

 

「ハアァァァァァ!」

「うおおおぉぉぉ!?」

 

俺と『ディケイド(仮)先輩(自称)』で二人、つまりいつもの二倍!

さらに落下エネルギーにより二倍!

そして回転エネルギーを加えることでさらに三倍!

つまりーーー!

 

「十二倍だぁ!発射ぁ!」

「こうなりゃ自棄だぁ!」

 

十二倍パワーで打ち出された『ディケイド(仮)先輩(自称)』はすれ違いざまに剣でゾウアマゾンを切り裂く。

 

「グガアアア!」

「チャンスだ!決めるぞ、千翼!」

「ああ!」

 

『ディケイド(仮)先輩(自称)』はバックルの両側パーツを引き、バックルを90度回転させる。

剣となったケースを開き、取り出したカードをバックルに挿入し両側のパーツを押し込む。

俺はドライバーのスロットを操作し、ブレイクを繰り出す。

 

〈FINAL ATTACK RIDE:DE・DE・DE・DECADE!〉

〈Amazon・Break〉

 

「「ハアァァァ!」」

 

ゾウアマゾンの胴体をブレードで斬り上げながら走り抜ける。

ヤツの背後からは『ディケイド(仮)先輩(自称)』が、カード状のホログラムを突き抜けながらピンクの光を纏った剣で斬り抜ける。

 

「ガアガガガアアアアアーーー!」

 

前後から挟み斬られたゾウアマゾンは断末魔を上げながら爆発した。

燃え上がる炎を挟んで俺たちは再び対峙する。

白と黒、そしてピンクの装甲に、グリーンの複眼とバーコードのような模様のマスク。

腹部には赤いレンズが埋め込まれたバックルを付けている。

突然現れ、共闘した謎の人物に俺は問いかける。

 

「お前は、誰だ」

 

アイツは手のひらで剣を根元から撫で上げ、ハンッと鼻で笑って答える。

 

「さっきも言っただろ。

俺は通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ」

 

仮面、ライダー・・・・・・?

 




もやし「ところで俺のドライバーの色ってどうなってんだ?」

◆本編の性能がまだ分からないからあえて色の記述は省きました。賢い!◆

◆そんなことより髪の心配をしなさい◆

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