アマゾンズチャレンジ!~千翼は仮面ライダーになれるのか!?~   作:エボルアマゾン

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こっそり投稿してもバレへんか・・・。


第15話

「『仮面ライダーディケイド』、ねぇ・・・・・・」

「千翼にそう名乗ったとのことです。明らかに、我々が保有するアマゾン技術を超えた存在だったと」

「千翼一人の証言なら白昼夢と切り捨てるが、黒崎君達も目撃しているとなると否定できない案件だよこれは・・・・・・」

「旧野座間や政府が造りだしたとも考えづらいかと」

「ここに来て第三勢力の介入か。国内の勢力ではないとすると・・・・・・米国か?」

「確か、アマゾン細胞の兵器転用に興味を示していましたね。それもアマゾン細胞の持ち出し禁止法案が成立したことで手を引いたはずですが・・・」

「『表向きは』ね。彼の国は大国であるが故に抱える問題も我が国以上だ。強力な兵器を簡単に諦めることは無いだろう」

「・・・旧野座間研究者達の動向を確認致します」

「そうしてくれ。全員が、ここにいるワケではないからね」

 

 

 

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「へー、それでその『ディケイド』とか言うのに負けちゃったんだー」

「・・・別に負けてないし。あっちが逃げたんだから、俺の勝ちだよ」

「でも腕持っていかれたんでしょ?」

「手首から先だけだよ。直ぐに生えたからセーフセーフ」

 

〈4C〉の食堂で千翼はハンバーグ定食を食べながら目の前に座る研究員に言葉を返す。

「いや~その理屈はおかしいよ~」とヘラヘラ笑う研究員・・・『浅木』。

彼は元野座間製薬の研究者であり、現在は〈4C〉でアマゾン細胞の兵器運用を専門としているチームのトップである。

 

「ねえ浅木さん。あのディケイドって、アマゾン関係の」

「違うと思うよ、僕は?」

 

千翼の問いかけに喰い気味で返す浅木。

グイッとお冷やをあおり、いいかい、と語り始める。

 

「アマゾン細胞はアーマーには出来ないんだよ」

「ネオはアーマー付いてるけど」

「あれは千翼君のアマゾン細胞が変質したモノだよ。ドライバーから発される特殊パルスでアマゾン細胞を金属レベルまで強化・変質させたもので、元となるアマゾン細胞の性質を引き継いでいるんだ」

「ディケイドは違うの?」

「おそらくね。千翼君の話を聞く限りではディケイドは自身の体を変質させているというよりは、アーマーを瞬時に装着しているものと考えられる。事実、千翼君の超感覚は変身後も全く反応がなかったんだろう?

仮にディケイドのアーマーがアマゾン細胞から作られているとしても、そんなモノを人間が纏えばどうなると思う?」

「・・・アーマーに喰われる?」

「その通り!アマゾン細胞とは、すなわち人喰い細胞だ。少量なら問題なくとも、全身を覆うほどの量があれば瞬く間に喰い尽くされるだろう」

 

そこまで語った浅木は再びお冷やを煽り、僕のまだかなーと厨房に視線を送る。

千翼は自分の定食をほぼ食べきり、でもさーと浅木に問いかける。

 

「ならディケイドって何者なんだろ。『仮面ライダー』って言ってたけど」

「ふむ。『仮面ライダー』は確か都市伝説だね。知ってるかい?」

「初耳だよ。どんな都市伝説なの?」

「文字通り、『仮面』の『ライダー』さ。異形の怪物と戦う、仮面を付けたバイクライダーの噂だよ」

「少し前のアマゾンみたいだね」

「あー、アマゾンも噂になってたからねー。

で、ディケイドが何者かだっけ?突飛な話になるけど、別世界から来たとか?物質の瞬間生成なんてこの世界では発明されてないからね」

「確かに突飛だけど・・・それなら未来から来た可能性もあるんじゃないの?」

「・・・ああ、確かにそうだね!いやー千翼君は目の付け所が違うなあ!」

「それほどでもー。ふう、ご馳走様でした!」

「あれ、僕のカレーうどんは?・・・ああ、来た来た」

「待たせたな、カレーうどんだ」

「白衣のままカレーうどんを食べるのか・・・」

「ふっふっ・・・何を隠そう僕はカレーうどんを食べる達人!この白衣を汚さずに食べきって魅せよう!」

 

 

 

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「千翼君、最後まで見ないで行っちゃったよ・・・」

「残念だったな。・・・本当に汚さずに食べ終えたのか」

 

「ちょっと気になることがあるから」と千翼が去った後の食堂。

厨房の主である天道は浅木に食後のお茶を出していた。

 

「ふうー、美味しかったよ。君が厨房を取り仕切るようになってから、ご飯が楽しみになったよー」

「お粗末様・・・料理人冥利に尽きる言葉だ」

「・・・」

「・・・」

 

しばらく無言の時間が続き

 

「浅木、とか言ったな」

「うーん?」

 

天道が口火を切った。

 

「何が目的で千翼に近付いた」

「フフッ」

「お前が野座間でアマゾン細胞の研究をしていたことは知っている。さらに言えばアマゾン細胞を発見したチームにいたことも、な」

「よく調べたね。大体は鷹山さんの情報しか出てこないはずなのに」

「・・・何が目的だ」

「何がって言われてもなあ・・・。まあ強いて言うなら、千翼君の観察?かな?」

「それだけか」

「そうだよ?」

「お前は≪組織≫と繋がっているんだろう」

「まあそうだけど」

「千翼の観察は≪組織≫からの命令か」

「いや、完全に僕の趣味だ。≪組織≫の命令はアマゾン細胞の研究・兵器転用ぐらいだよ」

「それを信じろと?」

「信じてもらうしかないよ。僕は千翼君のことは興味深い観察対象兼友達と思っているんだから」

 

天道はニコニコ笑う浅木をしばらく睨み付けた後、ため息を吐いた。

 

「・・・嘘は言っていないようだな」

「おや、信じてくれるのかい」

「これでも人を見る目はある。お前は善人ではないが、嘘はついていない」

「さすがは≪太陽の神≫、お目が高いね!」

「最後に一つだけ聞かせろ・・・お前は、敵か味方か」

 

天道の問いかけに首を捻りながら浅木は答える。

 

「なんとも言いがたいね・・・。君達にとってはどうか分からないけど、僕は千翼君の味方のつもりだよ」

「そうか・・・」

「そうとも!千翼君は敵だらけだからね、彼を気に入ってる僕くらいは味方でいないと!

ああ、そうだ。君のことは≪組織≫には報告しないでおくよ。そっちのほうが面白そうだからね!」

「変わったヤツだ。・・・そういえば千翼はどこに行った?」

「さあ?気になることがあるーって言ってたけど?今回の事件のことかな?」

 

 

 

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野々森耳鼻科医院の近く。

すでに現場は片付けられ、つい数時間前まで悍ましい食事や激しい戦闘があったとは思えない。

周辺住民にはアマゾンが住み着いていたことが説明された為、近付く者もない。

そんな病院を近くの生け垣から監視する人物がいた。

 

「張り込みは捜査の基本・・・!そして張り込みにはあんパンが基本・・・!」

 

頭悪そうなことを呟きながら、千翼はあんパンを食べながら病院を監視していた。

 

「俺の考えが正しければ、犯人はここに来るはずだ・・・!」

「お前はコナン君かよ」

「そうそう、見た目は高校生ぐらいだけど、実年齢は5歳なんだ。・・・あれ?」

「あんパンしかないのかよ。クリームパンも買ってこい」

 

ジャングレイダーのハンドルに引っ掛けてあるコンビニの袋を勝手にあさる男がいつの間にかいた。

 

「お前は・・・ディケイドの人!俺からまた奪うつもりか!」

「あんパン一個に大げさだろ・・・」

「何しに来たんだ、ディケイドの人!」

「そのディケイドの人っての止めろ!俺には≪門矢士≫って名前があるんだよ!」

「もやし・・・?」

「なんでそうなる!?」

 

 

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「で?何しに来たの?人の食べ物とったら泥棒なんだよお巡りさんこいつです」

「まだ取ってねぇよ!誤解だお巡りさん!」

 

何とか巡回中のお巡りさんを追い払った士。

恨めしげに千翼を睨む彼に千翼は再度何をしに来たのか問いかける。

 

「別に。偶々お前を見かけたから来ただけだ。お前こそ何しに来たんだ?おこぼれでも漁りにきたのか?」

「違う。俺はおこぼれを漁るヤツを探しに来たんだ」

「ハァ?どういうことだ」

「それは・・・来たみたいだ、隠れて!」

 

何かを感じ取った千翼は士を生け垣の陰に引きずり込む。

そっと病院を覗き込むと、病院の前には一台のトラックが止まっていた。

どこにでもある平凡なトラック。食品や荷物を運ぶようなよくあるトラックだ。

 

「なんだあのトラック」

「荷物を運んで来たんでしょ」

「誰もいない病院にか?一体何運んで来たんだ」

「多分、ウォーターサーバーのタンクだ。運転手が病院に入った!行くよ!」

「おい、千翼!」

 

裏口から病院に入っていく運転手に気付かれないようについて行く二人。

頑丈そうな大きな黒い袋を持った運転手は治療室に入り、辺りを見回していた。

 

「おかしいなあおかしいなあ。誰もいない。においはあるのに」

「何があるんですか?」

「ここは今日付で閉院だぜ」

 

バッと振り返る運転手。目深に被った帽子で目元はよく見えない。

 

「どちらさまですか。閉院って」

「ここの医者と看護師、アマゾンだったんだよ。今日死んだけど」

「そうなんですか。じゃあ私は失礼しま」

「捜し物って食べ残しでしょ?」

「・・・」

「どういうことだ千翼」

 

千翼は士の問いかけに自信ありげに答える。

 

「新型のアマゾンは偏食なんだよ。人間の特定部位に異常なまでの執着を持ってるんだ。その部位だけを好んで食べる。逆に言えば、それ以外の部位にはあまり手を付けないんだ」

「だから偏食か。確かここのアマゾンは人間の内臓だったか」

「そ。人間一人で二人分。なら余った外側は?当然処理するしかない。遺体は腐る、傷があれば腐敗速度も速くなって異臭騒ぎでアマゾンの存在がバレる」

「つまりコイツは」

 

話し始めてから二人に背を向け、診療台に手を付く運転手を見ながら千翼の話は続く。

 

「コイツは≪腐肉食アマゾン≫(スカベンジャー)だ。食べ終わった後のおこぼれをターゲットにして、自分の食料調達とアマゾン達の存在を隠すことが目的だ」

「なるほど。食い荒らされた遺体が見つかれば当然アマゾンの仕業だってバレる。コイツはそれを掃除してんのか」

「そういうこと。自然界のスカベンジャーも死骸を分解して自然に還る手助けをしてる。コイツは遺体を食べることでアマゾンの存在を隠す手助けをしてるんだ。どのタイミングでアマゾンになったのかは分からないけど、感染源のタンクを運搬するコイツは人目に付かないように遺体を処理するにはうってつけだったんだろうね」

「・・・・・・ゥゥ」

 

背を向けた運転手は小さく唸り声を上げる。

二人は油断なく構え、男の動向を監視する。

 

「さあ、年貢の納め時だ。大人しくぶっころ・・・」

 

「ウウウゥオオオオオオオ!」

 

「「危な!」」

 

運転手は咆哮と共に振り返りつつ、診療台を引き抜き二人目がけて投げつけた。

間一髪、診療台を躱した二人だが、その隙に運転手は走り出す。

 

「無事か、千翼!」

「大丈夫!アイツは」

 

走り出した運転手はガラス張りのドアを突き破り、トラックに乗り込み逃走を開始した。

 

「アイツ・・・!逃がすか!」

 

 

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「自分のバイクは!?」

「悪い!置いてきた!」

「乗って!」

「助かる!」

 

明らかに法定速度を無視した速度で走るトラック。

千翼と士はジャングレイダーに二人乗りし、それを追っていた。

 

「飛び移って、引きずり出そう!」

「んな危ないこと出来るか!タイヤを撃ち抜く!そのまま近づけろ!」

「了解!」

 

爆走するトラックから引き離されないようにスピードを上げる千翼。

士は懐から取り出した≪ライドブッカー≫をガンモードに変形させ構えーーー破裂音。

 

「一発で当たった!」

「この距離で外すわけ無いだろ!倒れるぞ!」

 

後輪を撃ち抜かれたトラックはバランスを崩し転倒ーーーその直前にフロンドガラスが割れ、黒い影が飛び出す。

 

「逃げたぞ!」

「逃がさないよ!」

 

走行している車の上を飛び移りながら逃走を続ける黒い影。

千翼達は天井への衝撃でブレーキやハンドルを切った車をすり抜けながら追跡を続ける。

やがて黒い影は道路脇の立体駐車場に飛び込むが---

 

「ハイどーん!」

「ギャイン!」

 

スピードを緩めず突っ込んできたジャングレイダーに跳ね飛ばされ、地面を転がる。

体勢を立て直す頃には、千翼と士はジャングレイダーから降りそれぞれのドライバーをセットしていた。

 

「へぇ、コイツは・・・」

 

士が体勢を立て直したアマゾンを見て納得したような声を上げる。

褐色の毛皮にイヌ科の動物のような顔。全身の骨格に沿うように白い骨のようなものが突き出し、鎧のようになっている。そして明らかに短い脚・・・

 

「ハイエナだね。なるほど死体を片付けるには適任だ。彼らは屍肉を漁るだけじゃなく、骨まで食べるからね」

「お前の予想通りか、さすがアマゾン王子だな」

「それ俺のこと?っと」

 

自分の目の前で話し続ける獲物に業を煮やしたのか飛び掛かったハイエナアマゾンは、咄嗟に繰り出した千翼の上段蹴りに吹き飛ばされる。

 

「あっちも待ちきれないみたいだな」

「うん、行こうか!」

 

士がドライバーにカードを、千翼がインジェクターを装填する。

 

〈NE・O〉

 

アマゾン!

変身!

 

≪KAMEN RIDE:DECADE!≫

 

千翼の体を紅い爆炎が覆い、士に九つの影が重なりその姿を戦うための身体へと変える。

世界を渡る破壊者『仮面ライダーディケイド』、そして新世代のアマゾンでありアマゾンを狩る者『アマゾンネオ』。

ネオは静かな息吹と共に腰を低く落とし、ディケイドはライドブッカーをブレードモードに切り替え左手で撫で上げる。

 

「さあ」

「征くぞぉ!」

 

「ガアァアァァア!」

 

咆哮と共にディケイドに向かい飛び掛かるハイエナアマゾン。それに同じく咆哮を上げながらネオが飛び掛かり、空中で組み付き背中から地面に叩き落とす。

即座に体勢を立て直したハイエナアマゾンはネオを切り裂こうと鋭い爪を閃かせるが、両腕の装甲に受け流され逆に腹にカウンターを打ち込まれる。

体勢を崩したハイエナアマゾンから一度距離を取るネオと入れ替わるようにディケイドが踏み込み、胴体目がけてブレードを振るうが・・・

 

「なにッ・・・!」

 

クロスさせた両手に甲高い音と共に弾かれる。骨格に沿う骨の鎧は予想以上の硬度を誇っており、カードにより強化されていないブレードでは切り裂くことが出来なかった。

ブレードを弾かれ体勢を崩したディケイドに向かい、牙を剥きだし噛み付こうとするハイエナアマゾン。

咄嗟にブレードを構え、噛み付きを刀身で受けるが・・・

 

「グギギギギィ!」

「嘘だろッ、!」

 

牙を突き立てられた刀身からミシミシと軋むような音が響き出す。引き抜こうとするがビクともせず、あわやそのまま刀身が砕け散るかと思われた瞬間、

 

「ハアァ!」

「ギァイン!」

 

ネオの拳が骨の鎧がない腹部の再び突き刺さる。その衝撃に顎の力が一瞬緩まり、その隙にブレードを引き抜きハイエナアマゾンを蹴り飛ばすディケイド。

 

「どんだけ顎の力強いんだよ・・・」

「フゥゥゥ・・・ハイエナの顎の力は、かなり強いんだよ。彼らはその咬合力で骨まで噛み砕くんだ」

 

呆れたように呟くディケイドにネオが返し、再び唸り声を上げながらハイエナアマゾンに躍りかかる。

アマゾンは実在する動植物の特性を強く受け継ぐ。その特性を知るために千翼は多くの動植物の特性を調べ、対象がどのような戦いをするか予想を立てて戦闘を行っている。

最も、このハイエナアマゾンのように捕食した骨を鎧して纏うといった自然界にはない能力を持つアマゾンも存在するのだが。

そのハイエナアマゾンに噛み付かれたブレードの刀身には亀裂が走り、骨の鎧を斬り付ければ折れてしまいそうだ。

 

「コイツは使えないな。なら・・・コイツだ」

 

ブレードを折り畳み、ライドブッカーから一枚のカードを取り出し、ドライバーに装填する。

 

≪KAMEN RIDE:AMAZON!≫

 

「今なんて?」

 

ドライバーから流れる音声に思わず聞き返すネオを無視し、ディケイドの額にある『シグナルポインター』から赤い光が走りその姿を変える。

機械的だったアーマーは緑に赤いラインが走る有機的な姿に。両手足には鋭利なヒレが生えた手袋とブーツを。首元には白いスカーフを巻き、左腕には銀色の腕輪が。そしてその顔は、装甲を取っ払ったネオとよく似たものになっていた。

その姿こそ・・・

 

「アァマァゾォオン!・・・ってな」

「は?」

「グル?」

「・・・は?」

 

仮面ライダーディケイド・アマゾンである。

ネオは見事な二度見を披露し、ハイエナアマゾンでさえネオ越しにディケイド・アマゾンを覗き込む。

そんな両者を置き去りに、ハイエナアマゾンに飛び掛かるディケイド・アマゾン。

手足のヒレを振るい、ハイエナアマゾンを斬り付けていく。

我に返ったネオも同じくヒレ刃で斬り付けていく。

ブレードの斬撃には耐えた骨の鎧も、岩盤さえ切り裂く刃の前には効果を成さなかったようで、瞬く間に切り傷が増えていく。

抵抗しようと手足を振るおうとしても、ネオとディケイド・アマゾンの息の合った連携により弾かれ、カウンターを受け吹き飛ばされる。

 

「目には目を、アマゾンにはアマゾンを、ってな」

「いやいや、なにそれ!?アマゾンってアマゾン!?アマゾンにもなれるの!?」

「ああ。お前らの言うアマゾンとは別物だけどな。それよりチャンスだ、決めるぞ!」

「よくわかんないけど・・・分かった、いくよ!」

 

フラフラと立ち上がるハイエナアマゾンを向き直りながら、ディケイド・アマゾンは金色の紋章が描かれたカードをバックルに装填し、ネオもドライバーのスロットを操作する。

 

≪FINAL ATTACK RIDE:A・A・A・AMAZONN!≫

〈Amazon・Strike〉

 

「「ハアァーー!」」

 

ドライバーから音声が流れると共にネオとディケイド・アマゾンは飛び上がり、ハイエナアマゾンに腕を振り下ろす。

 

「ダアァァァア!」

「大・切・断!」

「ギイアアアアァァア!!」

 

振り下ろされたギロチンの如き腕はハイエナアマゾンの両肩を捉え、そこから一気に切り裂かれた。

絶叫を上がるハイエナアマゾンに、着地し沈み込んだ体を伸ばすように繰り出すダブルアッパーが炸裂し、吹き飛ばす。

天井にぶつかり、地面に叩き付けられたハイエナアマゾンは弱々しい断末魔を上げながら、粉々に爆発した。

 

「また爆発した・・・」

「当然だろ、怪人だからな」

「てゆーか『大切断』って・・・」

「なんだ。文句でもあるのか?」

「めっちゃ格好いいじゃん・・・!俺も使っていい!?」

「お、おう」

 

変身を解除しながら、向き合う千翼と士。

士が叫んだ必殺技が5歳児の心の琴線に触れたのか、自分も使っていいか確認を取る千翼と、引き気味にOKを出す士。

 

「やった・・・!そういえば、士はなんであそこに来たの?」

「・・・偶々だ。そしたら怪しいヤツがいたからな。それだけだ」

「ふうん・・・まあいいや。アマゾンは倒したし、帰るんでしょ?バイク置いてるとこまで送っていくよ」

「いやいい。俺には『コレ』があるからな」

 

そう言って士がスッと右手を上げると、士の背後に銀色のオーロラのようなものが現れる。

驚愕に目を見開く千翼に苦笑しつつ、オーロラへと足を進める士。

 

「じゃあまたな、千翼。そのうち会えると思うぜ?」

「待っーーー」

 

引き留めようと声を上げる千翼だが、士がくぐり抜けた瞬間オーロラは揺らめいて消える。

 

「なんだったんだ、あのオーロラ・・・ん?」

 

呆然とする千翼の耳にここ最近聞き慣れたエンジン音が届く。

〈4C〉が使う黒いトラックが目の前に停車し、黒崎が顔を出す。

 

「・・・道路をアマゾンが暴走してるっていうから来てみれば・・・千翼ォお前だったのか」

「・・・え?いやいや俺はその暴走してたアマゾンを追ってたんだけど・・・」

「言い訳は本部で聞いてやる」

「・・・・・・弁護士!弁護士を呼んでくれ!」

「アマゾンに人権はねーよ」

 

 

その後、アマゾンの爆死体が確認されたことで千翼の冤罪は晴らされたが、独断専行を咎められ〈4C〉が所有する車両の洗車を命じられる事となり、さらに≪腐肉食アマゾン≫(スカベンジャー)についての報告書の提出を求められる事になった。

 

 

 

 

なお提出した報告書は浅木がコーヒーをぶちまけた事により書き直しとなり、徹夜明けで切れた千翼が浅木にコブラツイストをかける姿が研究室で目撃されたそうだ。

 

「あぁぁぁさぁぁぁあぎいぃぃぃぃい!!」

「いだだだだだだだだだ、もげる!腕やら首やらもげるぅ!!」




>ダブル大切断
ディケイド出したのでやりたかった。

ノロノロ書いてる間に平成も終わり、ジオウも終盤。
コレでめでたく千翼君も令和ライダーですね!

・・・待ってってくれた人いるのかな?いたら遅くなって申し訳ないです。

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