アマゾンズチャレンジ!~千翼は仮面ライダーになれるのか!?~   作:エボルアマゾン

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昨日までの作者―――
エボルアマゾン「最近アマチャレ書いてないな・・・まあいいか。面白いライダー物書く人たくさんいるし・・・」

今朝―――
或人社長「もっと情熱を持って漫画を書いてください!」

エボルアマゾン「(めっちゃ刺さる音)」

というわけで第16話です。
待ってた人には申し訳ないです・・・・・・
ではどうぞ。


第16話

―――影が、赤いシミと向き合っていた。

 

異様な光景である。

月明かりに照らされる影は肩から胸部、そして頭部に何枚ものプレートを差し込んだ様な出で立ちであり、目の前に浮かぶ赤いシミを油断なく睨みつつ手にした大型の拳銃の様な武器で肩を叩いている。

 

―――どこからか、悲鳴が聞こえる。女性のもののようだ。

 

対する赤いシミはなんの動きもないように見えるが、よく見るとシミから同色の滴が流れ落ちており、その流れが人の形を映し出す。

赤いシミの(おそらくは)足下には、胸を裂かれ肋をこじ開けられた女性の遺体が転がっている。

 

想像を絶する激痛(もしくは恐怖)を味わったのだろう女性の顔は歪み、涙や鼻水、涎でべたついている。

 

胸に納まるべき心臓はそこになく、宙に浮いている―――正しくは赤いシミが握りしめているのだろう。シミ―――返り血が五指と腕の一部を浮かび上がらせている。

不意にその腕が数十センチ上に向かい、次の瞬間心臓はきれいに消失した。

 

グチャグチャと咀嚼音が鳴り響く中、影は品がないな、とでも言うように鼻を鳴らし―――手にした大型の拳銃をシミに突きつけ、引き金を引いた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「被害者は相森瑠璃子、26歳。OLですね。二日前の夜10時過ぎに会社の同僚と帰宅途中に攫われて、そのまま食べられちゃったみたいですね」

「二日前?うちに連絡があるまで随分掛かったね。同僚さんは無事だったんでしょ?」

 

まだ日も高い午後。黒い服で統一した(不審者の様な)集団と赤いストールを巻いた少年が公園の脇にある道路から数階建てのビルを眺めていた。

 

「どーも被害者、以前からストーカー被害を訴えてたみたいでね。警察はろくな対応してなかったのに、『ストーカー被害の可能性がある』なーんていって、自分たちで捜査しようとしてたみたい」

「ハッ・・・・・・、こっから向こうのビルの屋上まで人間引っ掴んで飛んでくストーカー?んなヤツいたらどっちにしろ警察の手に負えねぇだろ。連中、アマゾン絡みじゃ役立たずって言われてんの相当気にしてんだな」

「・・・・・・なにそれ。市民を守る警察が、自分たちの面子優先?その間に被害者が増えたら誰が責任取るの?」

「国家権力なんてそんなもんだろ。こっちがテメエら以上に優秀なのが気に入らねえから足引っ張る。末端はともかく、上はそんな感じだ」

「マジかよ国家権力ってサイテーだな!」

「お二人さーん?僕が国からの出向って忘れてませーん?」

 

まあ否定はしませんけど、と札森は呟き手に持ったタブレットを見ながら当時の状況説明を開始する。

 

「被害者の相森さんはストーカー被害を受けており、事件当日は会社の同僚・・・・・・あぁ女性の方ですねー。同僚とファミレスに向かいストーカー被害の相談をしてたそうです」

「OLが夜10時に何してんのかと思ったら・・・・・・女二人でそのストーカーに襲われたらどうするつもりだったんだぁ?」

「同僚は合気道習ってたそうです。二段だそうで。んで、相談が終わって帰りにこの道を通ってたら・・・・・・」

 

ちょうどそこです、と公園の入り口前を指さし

 

「そこを通り過ぎた時、同僚は被害者の少し前を歩いてたんですけど『ぐぇ』って声が聞こえて振り返ると」

 

つぃっと指を滑らせビルの屋上付近を指し

 

「あの辺に浮いてたそうです」

「浮いてたぁ?」

「ええ。当時公園でたむろしてた奴らが動画撮ってるんですけど・・・・・・見ます?」

 

気乗りしなさそうにタブレットの画面を黒崎と千翼に向け、動画を再生する札森。

 

「・・・・・・ほーう、マジで浮いてんじゃねえか」

「首を掻きむしってるね・・・・・・見えないロープで吊られてるみたいだね」

 

タブレットの画面にはビルの屋上付近に浮かぶ被害者の姿が映し出され、女性の悲鳴や若者の喧噪が聞こえてくる。

街灯にライトアップされた被害者は足をバタつかせ首の辺りを掻きむしっている。その顔は赤く染まり、口の端に泡が浮かんでいる。

そしてゆっくりと被害者の体が上昇し、腰の位置が屋上の手すりを少し超えた辺りで髪を振り乱しながら頭を振るい―――

 

胸元にパッと赤い華が咲いた。

 

「うわ」

「えげつねえな」

 

タブレットからは悲鳴と絶叫。映像がブレ、暗転。

 

「えー以上が当時の状況になります。この後の流れは通報を受けた警察が屋上で死亡している被害者を発見。死体には心臓がなかったそうです」

「え?死体って屋上で見つかったの?」

「妙な話だな、そりゃ・・・・・・」

「え・・・・・・なんかおかしなとこでもありましたか?」

「いやほら、ここおかしいでしょここ」

「あーやめてやめて、スプラッターとかゴアとかいきなりはダメでしょ!」

「〈4C〉にいるヤツが何言ってんだ」

 

タブレットの画面を操作し千翼が映し出したのは、ちょうど被害者の胸が裂かれるシーン。

 

「うえぇ、やっぱキツいでしょ・・・・・・でコレが何なんですか」

「ここで殺す必要ないよね、これ」

 

アマゾンの『殺人』とはイコール『食事』である。獲物を捕らえ喰らう、その結果として殺人になるのだと千翼は言う。

被害者が宙づりにされて殺され、心臓つまり偏食部位を取り出したのなら残りの死体はそのまま放り出され、ビルの下に墜ちるはずだと。

 

「それにこの殺し方だ。餌にありつきたいアマゾンが態々こんな風に見せつけるように殺すか?」

「攫った人を安全な場所で食べたいんなら、屋上に引きずり込んでそこでバラすでしょ。それを態々見せ付けるような殺し方をしてる・・・・・・コイツは殺し方が人間的な意味で猟奇的なんだよ」

「はー、気持ち悪いくらい冴えてますね」

「なんで馬鹿にされてんだ」

「・・・・・・つまりコイツはこういう風に殺すってことだ。こんな見せつけるような殺り方してたらもっと前にうちの情報部が拾ってくるだろ」

「それがなかったって事は、コイツはつい最近アマゾン化したって事ですかね?」

「もしくは、前のハイエナ野郎がコイツの食い残しを回収してた可能性もあるな・・・・・・千翼ぉ、この辺にアマゾンの気配とかねえのか」

 

黒崎から問いかけられた千翼は周囲をしばらく見渡していたがややあって首を振った。

 

「少なくともこの辺にアマゾンはいないよ」

「まぁそうだろうなぁ。二日も同じ所に居座る間抜けはいねえよな」

「それに透明になるアマゾンですよ。どーやって見つけるんですかね」

「取りあえず藤尾隊に追わせる。バロンなら見えなくても匂いで追えるだろ、っと・・・・・・」

 

黒崎はおもむろに時間を確認し、「今日はここまでだな」と呟く。

 

「時間だ、あがるぞ。札森、藤尾隊に引き継ぎだけしとけ」

「はーい、お疲れ様でーす」

「じゃあ俺先に帰るね。今日検査の日だから」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「いやあ、検査は大変でしたね・・・・・・」

 

数時間後、〈4C〉の一室で検査を終えた千翼が肩のコリをほぐすように腕を回していた。

千翼は〈4C〉にとって貴重な生きたアマゾンである。そのため定期的に薬物の投与における生体反応を観る検査が行われている。アマゾンにはどんな薬物が効果的なのか、食人衝動を抑えるまたは取り除くことが可能なのかといった研究が日夜行われている。

もっとも食人衝動に関する実験は、千翼自身に現状ではそこまで強い食人衝動が発生している様子が見られないため、あまり進んではいないようだ。

 

「千翼君、君の検査が長引いたのは私の責任だ。だが私は謝らない。何時の日かこの検査がきっと君の食人衝動を止めてくれると信じているからだ」

「別に怒ってないですよ、柳生さん。俺にもメリットのある検査ですし」

「そう言ってもらえると気が楽だ。局長からは早く結果を出せとせっつかれていてな。・・・・・・次は浅木君のところに向かってくれたまえ。ドライバーの強化プランについて意見を聞きたいそうだ」

「分かりました、失礼します」

 

検査室を出て浅木の研究室に向かう千翼。廊下の窓からは夕日が差し込み、外を見ると木々や建物が長い影を引いている。昔、母と野山で暮らしていたときに見た夕日を思い出しながら廊下を進んでいき、しばらくして浅木の研究室まで辿り着いた。

 

「浅木さーん、入るよー」

 

ノックをすることなく扉を開くと、そこには一人の男がいた。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・えっ、と。誰?」

 

見たことのない男だった。180㎝はあるであろうすらりとした金色に近い茶髪の青年で、不敵な笑みえを浮かべながら横目で千翼を見ている。

右手に持った青い大型拳銃の様なもので肩を叩き、左手には―――

 

「俺の、ドライバー・・・・・・!〈4C〉の人じゃないな、あんた一体・・・・・・!?」

「・・・・・・」

 

男は答えず、代わりに千翼の左手側に視線をやった。つられて千翼がそこに視線を向けると―――

 

「ぅぅ・・・・・・」

「!浅木さん、大丈夫!?しっかり!」

 

この研究室の主であるはずの浅木が床に倒れていた。慌てて駆け寄ると意識はあった様で、血の匂いもしなかった。

 

「彼が・・・・・・急に、入ってきて、殴られて、調整、中の、ドライバーを」

「ッ!お前・・・・・・!」

 

浅木も言葉を受けた千翼は男を敵と認識し、ドライバーを取り返そうとするが、男はすでに銃をこちらに向けていた。

ただの銃なら迷い無く飛び込んでいただろうが、照準は千翼ではなく倒れた浅木に合わせられていた。

動けば撃つーーー男の無言の警告の前に歯がみする千翼。銃を構えたまま視線と照準を外すことなく、男は研究室を横切り、最後まで一言も発することなく扉をくぐり、姿を消した。

すぐさま追いかけ様とする千翼だったが、浅木に引き留められる。

浅木は机の上を指さし、「持って、行きなさい」という。机の上を千翼が見ると、そこには―――

 

「旧型のドライバー・・・・・・!?」

「予備として、君が使える様に、調整してあるから、気を、付けるんだ・・・・・・!彼は何か、普通じゃ、ない・・・・・・!」

「わかった、気をつける!すぐ、戻るから!」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

いいお宝を手に入れたと男は思う。

この世界に来た時はいきなり殺人現場に出くわしたが、些細なことだった。襲いかかって来た姿の見えない怪物も簡単に撃退できた。

この世界に一つしかないこのドライバーも手に入れることが出来た。後は自分の街に帰るだけだ―――。

 

―――無論、そんなことを許す千翼ではないのだが。

 

正面ゲートから悠々と逃げ出した男を追うため、千翼は三階のガラスを突き破り男の数メートル後ろに着地した。

ドライバーを返せと気炎を上げる千翼に対し男は呆れたように首を振ると、一枚のカードを取り出した。

見覚えのあるカードに千翼が門矢司の関与を疑うまもなく、男はカードを銃―――<ディエンドライバー>に装填、銃身をスライドさせトリガーを引いた。

 

≪KAMEN RIDE≫

―――変身

≪DIEND!≫

 

銃口から青いプレートが射出され、男の周りに赤・青・緑の影が現れる。三色の影は交差しつつ男と重なり、黒いアーマーとなった。

射出され滞空していた青いプレートが頭に突き刺さると同時に黒一色だったアーマーに青い色が生まれ、変身が完了する。

仮面ライダーディエンド、別世界から現れたディケイドと同システムのライダーだ。

対する千翼も浅木より託された旧式のアマゾンズドライバーを装着、アクセラーグリップを回すと垂れ目の様に見えるコンドラーコアが赤く発光し、特殊パルスが千翼のアマゾン細胞を刺激する。

 

〈ZETA〉

「アマゾン!」

 

いつものように叫ぶと千翼の体が紅い爆炎を一度だけ放ち、その姿を変える。青い体に血管のような赤いラインが走り、手足には黒いグローブとブーツを装着、胸部は銀色の鱗が集まり鎧のような質感を持っている。頭部はネオの時に装着されていた銀色と黒のプロテクターは全て取り払われ、バイザーによって隠されていた紅い垂れ目が露わになり、さらに顎の拘束も解かれクラッシャーが自由に開閉できる様になっている。

もしもこの場に水澤悠がいたならば千翼の姿を見てこう言うだろう。「前の仁さんみたいだ・・・・・・」と。

ゼータへの変身を完了した千翼はネオの時より軽い体に少し驚くが、すぐさま腰を落とし戦闘態勢を取る。

そしてディエンドがゼータに銃口を向け引き金を引くより早く、その体をバネの様に縮めると一気に相手の懐まで飛び込んだ。

 

「体が・・・・・・!」

「―――!」

「軽い!」

 

ゼータのスピードに対応出来ないディエンドを腕の≪シェルカットグローブ≫に備えた≪アームカッター≫を振り上げ、斬り付ける。その場でゼータは軽く飛び上がり、ドロップキックでディエンドを蹴り飛ばす。

吹き飛ばされたディエンドは素早く体勢を立て直し、ゼータに銃口を向け引き金を引く。青いエネルギー弾がゼータに迫るが、プロテクターと拘束具を排除したゼータを捉えることはできず、横っ飛びに躱される。

ゼータが離れた隙にディエンドは銃身を引き戻し、新たに取り出したカードを装填し再度銃身をスライドさせ、銃口をゼータへと向け引き金を引く。

 

≪KAMEN RIDE:RIOTOROOPER's!≫

 

銃口からエネルギー弾は赤・青・緑三色の影となり、交錯することで実体化し三体のライオトルーパーとなる。

 

「増えた!?」

 

ディケイドとの違いに驚くゼータに対してライオトルーパー達は≪アクセレイガン≫を構え、突撃してくる。

しかしそれより早くゼータは跳んでいた。一番前にいたライオトルーパーを殴り飛ばし、勢いを殺さず後ろ回し蹴りで次のライオトルーパーを吹き飛ばす。

最後のライオトルーパーが突き出した≪アクセレイガン≫を持つ腕を左腕で押さえ込み、右手で相手の頭部を鷲掴みにし、咆哮と共にクラッシャーを開くと装甲のない首筋に噛み付き、そのまま噛み千切った。

首筋を食いちぎられ許容量を超えるダメージを受け消えゆくライオトルーパーを尻目に、ゼータは両手を天に掲げ咆哮を上げる。

 

〈Violent・Slash〉

 

アクセラーグリップを回すことでコアユニットから特殊パルスが再度発生し、両手足のカッターが強化され鋭利に伸びる。

再度突撃してきた二体のライオトルーパーをすれ違いざまに両断し、発生した爆炎をくぐり抜けディエンドに飛び掛かろうとし、

 

「・・・ッア!?」

 

ガクン、とゼータが不自然に停止した。

 

「な、なにが・・・・・・!?」

「・・・・・・残念だったな」

「ッ!ジャングレイダー・・・!」

≪ATTACK RIDE:BLAST!≫

 

その場に縫い付けられたかのように身動きが取れず困惑するゼータに銃口を向けるディエンド。咄嗟にジャングレイダーを呼び出そうとするゼータだったが、ライオトルーパーとの戦闘中に装填していたカードが発動された。

至近距離から無数の青いエネルギー弾に撃ち抜かれ吹き飛ばされるゼータ。致命傷ではないが直ぐには起き上がれない事を確認したディエンドはゼータに背を向け、無いもない空間に手をかざす。しばらくすると銀色に揺らめくオーロラが現れる。

ディエンドはオーロラに向け足を進め、潜る直前で立ち上がったゼータを肩越しに振り返る。

 

「待て・・・!」

「さようなら、怪物クン(モンスター)

 

その言葉を最後にオーロラを潜るディエンド。それを追おうとするゼータだがダメージが大きくスピードが出せない。

このままではオーロラが消えてしまうと焦るゼータの耳に獣の唸り声の如きエンジン音が届く。振り返るとジャングレイダーがゼータに向けて走ってきていた。ディエンドに撃ち抜かれる前に呼んでいたのが今まさに到着したのだ。

 

「ラッキー・・・・・・!これで!」

 

ジャングレイダーにスピードを緩めずに突っ込んで来るように指令を出し、すれ違いざまに飛び乗る。

そのままアクセルを開き全速で消えゆくオーロラに突っ込んでいくゼータ。

 

「間に合えぇぇ!!」

 

そしてこの日より千翼はしばらくの間、この世界より姿を消すこととなる。

来訪者を追い、彼が辿り着いた世界は―――

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「いやぁ参ったな・・・・・・」

 

三階の廊下から一部始終を見ていた浅木は困った様に笑いながら殴られた腹部に手を当てながら呟く。

 

「海東大樹・・・・・・まさかネオアマゾンズドライバーを狙って来るとはね。流石に予測できなかったよ。」

 

しかし、と浅木は思考する。ディエンド、海東大樹はターゲットにしたものを手に入れるためなら手段を選ばない男である。

 

「けれど彼にしてはスマートさに欠ける。さっきの戦い方もどこか妙なものがあるような・・・・・・?」

 

自身が所属する組織で情報を見ただけだからだろうか。こそ泥だの何だのひどい書き方だったが、百聞は一見にしかずと言うし。それよりも・・・・・・。

 

「千翼君まで行っちゃうとはねぇ。まあディケイドがいるから帰って来られるとは思うけど。さてと、今回の件を報告してさっさと千翼君とイユの強化プランを形にしないと」

 

困った困ったと笑いながら浅木はその場を後にする。階下では戦闘音を聞きつけた者たちが今更集まって来ている。そんな者たちにはまるで興味が無いように浅木は歩む。

今、彼の頭の中を占めているのは千翼とイユの強化プランの事と、廊下の先で腕組みをしながらこちらを睨み付ける天道総司にどう言い訳をするかだけだった。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

オーロラを抜けると、そこは薄暗い廃倉庫だった。

 

ジャングレイダーはスピードに乗ったまま倉庫内を走り、目の前にはドラム缶や古い木箱が積み上げられた壁が迫る。

慌ててブレーキを掛けたが、時すでに遅し。バイクは急には止まれない。

「アッーーーー!」という悲鳴と共に轟音が倉庫内に鳴り響く。ホコリが舞い上がり、一時的に視界が遮られる。

ホコリが収まるとゲホゲホと咳き込みながらホコリまみれのゼータが廃材の山から這い出してくる。そこで限界が来たのか変身が解け、ゼータから千翼へと姿が戻る。

ごろりと寝転がった千翼は周囲に人の気配がないことを確認する。どうやらディエンドには逃げられたようだ。

それでもここがどこか確認しなくてはならない。なにせ〈4C〉の正面ゲート付近からいきなりどこともしれない倉庫の移動したのだ。

倉庫の中に吹き込む風は肌寒く、天窓から星空が見えることから夜になっているようだ。

 

「さっきまで夕方だったはずなのに・・・」

 

よいしょっ、と廃材の山からジャングレイダーを引きずり出す。そのまま異常が無いことを確認し、ジャングレイダーを押しながら倉庫の出口を目指す。

 

「けっこう時間が経ってるみたいだ・・・・・・取りあえず〈4C〉に連絡しないと・・・・・・!?」

 

倉庫からでた千翼の目に外の景色が飛び込んでくる。

船着き場にある倉庫だったらしく波の音が響いている。これはいい、自分の鼻はホコリっぽい場所でも問題なく磯の匂いを嗅ぎ取っていた。

空には満月が浮かんでいる。これはどうだろう?昨日見た限りでは月は三日月だったような気がする。自分の記憶違いかもしれないが。

船着き場の向こうには街が見える。見知った自分の街とは少し違う町並みの中に一際大きな建造物が見える。あれは―――

 

「風車・・・?あんなに、大きな・・・・・・!?」

 

驚愕する千翼の横をふわりと風が通り抜け、近くに設置されていた風車をカラカラと回す。

異なる世界からの来訪者である千翼を歓迎するような優しい風が吹く。

 

―――ビルが溶け、人が死ぬ。

―――それは、この街では良くある出来事。

―――だが、この街には探偵がいる。

―――どんな時でも助けてくれる、

―――二人で一人の名探偵が―――

 

―――ここは小さな幸運も、大きな不幸も常に風が運んでくる、風の街。

―――≪風都≫




書き終えたエボルアマゾン「(書き終え内容を見ながら)どういうことなの・・・?」

どうしてこうなったのかも作者には分かりません。
分かりませんが≪風都編≫開幕です。

次回≪Aが駆け抜ける!/風の街より≫をお楽しみに(自らハードルを上げるポンコツ作者)。
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