アマゾンズチャレンジ!~千翼は仮面ライダーになれるのか!?~   作:エボルアマゾン

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千翼「撃つなよ!いいか、絶対撃つなよ!絶対だぞ!」
黒崎「分かった分かった」


お待たせしました、第9話です。
どうぞ。


第9話

「アマゾン」

 

掛け声と共に、黄色の爆炎が上がる。

あの子・・・イユは再びカラスアマゾンへと姿を変え、三体のアマゾンへと駆け出す。

俺も駆け出そうとした瞬間、後ろから黒崎に笑いながら肩を掴まれた。

 

「大丈夫だってんだろ?」

 

笑顔が怖い。

 

「連中ならイユだけでやれる。

お前は―――」

 

マフラー越しに何か首に突き刺さる。

驚き視線を下げると、黒崎が左手に持った注射器を突き刺していた。

 

「お家に帰って来いってさ、局長が」

 

―――クスリ!?

 

黒崎を振り払おうと腕を上げようとして、俺は膝から崩れ落ちた。

あ、れ、ちから、はいん、ない・・・?

 

「千翼ォ!

オイ、オッサン!てめえ、なにしてんだよ!」

「うるせえよ、クソガキ。

てめえらどんだけヤベえことに首突っ込んでんのか、わかってんのか?」

 

ヒロキが、なんか、いってる・・・?

あたまが、ぐるぐるして、いしきが―――

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「お帰り、千翼」

 

真っ白な服、真っ白な部屋・・・1年と少し前、俺がいた場所。

 

「何故逃げ出したんだ?

ここはお前の家なのに」

「・・・お前の実家は檻なの?」

「快適な住居じゃないか。

少なくとも衣食住で困ることはなかっただろう?」

「・・・そうだね、モルモットの気持ちがよく分かったよ」

「ふむ。『男子、三日会わざれば刮目して見よ』というが・・・アマゾンにも適用されるようだ。

前の君は、ジョークなど口にしなかったからね」

 

逃げ道は一つ・・・あの出入り口だけ。

でも、外には間違いなく武装した隊員がいる。

じゃないとあの橘が、わざわざ俺のドライバーをもって会いに来るはずない。

 

「脱出の糸口を探っているようだが・・・君はここにいるべきだ。

アマゾン狩りをしているのだろう?

・・・それならここにいた方が都合がいいだろう」

 

橘は手にドライバーを持ったまま歩きながら、俺に語りかける。

よく言うよ・・・。

 

「都合がいいのは、あんたたちにとってだろ」

「・・・もちろんそれは否定しない。

トラロック事件以降、アマゾンを造ることは禁じられていてね・・・。

せっかく改良を重ねたこのドライバーも使える者はいない。

君以外は、だがね」

「・・・あのイユって子は?」

 

さっき見た彼女はドライバーを使えないのか・・・?

すると橘は心底残念そうに首を振った。

 

「ダメだったよ。イユは特別だ。

かなり強力なアマゾンになることは出来るが、ドライバーの使用は出来なかった」

 

そっか、あのとき「君ならば、あるいは」って言ってたのは、そういうことだったのか。

 

「話を戻そう。

当然、このドライバーのメンテナンスはここでしか出来ない。

・・・目的はアマゾンを狩ることだ。お互い都合がいいだろう?

それに、君自身のこともある」

 

俺のこと・・・?

 

「君は人間に育てられたが、君自身も特異な遺伝子を持つアマゾンだ。

もっと調べて、自分の正体を知りたくないか?」

 

ないです。

 

「はあ・・・興味ない、そんなこと。

俺も目的は、母さんの仇を討つことだ。

俺自身のことなんて、後でいい」

 

アマゾン狩りはあくまで手段だ、目標じゃない。

母さんの仇を討つこと・・・それが俺の目的だ。

 

「やれやれ、参った。

ギブアンドテイクで行こうと思っていたのだがね。

君を戦力として運用すれば、また直ぐに逃げ出してしまうだろう。」

「よく分かってるじゃないか。

じゃあ、さっさと俺を―――」

「そんなことになれば!

君の行方を、君のお友達に聞くことになるだろうな・・・多少、強引な手を使ってでも」

 

―――こいつ!

 

「ヒロキたちに手を出すな!」

「もちろんだとも!我々は人を守る為にアマゾンを狩っているのだからね。

君が力を貸してくれれば、そんなことをする必要もないんだよ、千翼」

 

いけしゃあしゃあと!こんなのただの脅迫じゃないか!

 

「まあ、直ぐに答えを出せというわけじゃない。

しばらく時間を上げよう。

食事でもしながら、加納君にこれまでのことを聞くといい。

君がいなくなってから発覚した事実を、ね・・・」

 

・・・事実?何のことだ?

話は済んだとばかりに橘は俺に背を向け、部屋から出ようとする。

 

「では加納君、千翼に食事を用意してくれたまえ。

私は席を外す」

「・・・は」

 

・・・ああ、むかつくな、あの顔!

余裕綽々って感じで!

・・・はあ。

 

「・・・加納さん、お久しぶりです。

迎えがずいぶん早かったですね」

「お久しぶりです、千翼君。

誤解のないように言っておきますが、君と黒崎隊の接触は偶然です」

 

・・・さっさと逃げとけば良かった・・・。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

バイクの前輪を外された俺たちは、いつものクラブまで歩いて帰ってきた。

つ、疲れた・・・。あの教会からここまで結構あるんだよなぁ・・・!

 

「ダメだ、うんともすんともいわねぇ・・・。

これは泣けるわ・・・」

「それより、千翼だよ!

何とかしないと・・・!」

 

スマホを壊された北村君は、かなり落ち込んでる。

俺と長瀬君もバイクやられたしな・・・気持ちはよーくわかるよ・・・。

 

「何とかって、タク、お前連中のとこに乗り込むつもりかよ?」

「だって千翼を助けないと!」

「落ち着けって、千翼なら大丈夫だろ」

「でも・・・!」

 

北村君の言いたいことは分かる。

銃器で武装した連中がいるところに乗り込むのが、どれだけ危険なことか。

あいつらはアマゾン相手にドンパチやるような連中だ。俺たちなんてあっという間に摘まみ出されるってことも・・・!

でも、俺は・・・!

あの時、千翼に助けられたんだ!

アマゾン狩りだってホントは怖かったけど、千翼がいたからやってこれたんだ!

もし俺が攫われたら、千翼なら絶対助けてくれる!

だから―――!

 

「分かった分かった!だから落ち着いて話を聞けって!

いいか?連中は、直ぐに千翼をどうこうするつもりはないはずだ」

「なんで?あいつらアマゾン狩りの組織なんでしょ?」

「だからだよ。始末するだけならあの場でやれるだろ。

そうしなかったてことは、連中、千翼に用があるんだ」

「千翼に・・・?」

「そう。だから大丈夫。

それに千翼は一回逃げ出してるだろ?連中が束になっても、千翼を止められないさ」

「でも!」

 

何されるかわかんないじゃないか、と言おうとする俺の両肩に手を置き、北村君は俺を無理矢理カウンター席に座らせる。

 

「大丈夫だってんだろ・・・!千翼は無事だ・・・絶対帰ってくる・・・!絶対・・・」

「北村君・・・」

 

そう、だよな・・・なんだかんだで一年間一緒にやってきたもんな・・・。

千翼を心配してるのは、俺だけじゃないよな。

 

「そうだよね!じゃあ俺たちは千翼が帰ってくるまでに、バイクとか直さないと!」

「それ。どのみち俺らだけじゃアマゾン狩りなんて出来ないし。な、ヒロキ?」

「・・・ああ」

「長瀬君、どうしたの?さっきから全然しゃべってないけど」

「いや・・・、ちょっとな」

「ヒロキ・・・千翼が攫われたからって、落ち込みすぎでしょ」

「マジで?長瀬君、千翼のこと好きすぎでしょ」

「ちげーよ!いや、千翼のことがどうでもいいわけじゃなくてな!

・・・あの、イユって奴のことだよ」

 

イユってあのアマゾンになった女の子?〈4C〉の仲間みたいだったけど。

 

「あいつ、俺と同じ学校にいたんだよ。

間違いねぇ、星埜イユだ」

「アマゾンが学校に通ってたの!?」

「いや、それ以前の問題だ。

アイツ、一年ぐらい前に・・・死んでんだよ」

「へ?」

「いやいや・・・ゾンビには見えなかったぜ」

「嘘じゃねえよ!・・・アマゾンに喰われたらしい」

 

その言葉に、俺と北村君は思わず顔を見合わせた。

 

「父親の誕生日パーティー中に、一家全員アマゾンに喰われたって・・・。

かなり酷い死に方だったって話だ」

「じゃああの子は、死んでアマゾンとして蘇ったってこと!?」

「そういや、あの目つきのヤベーヒゲがイユは死体だって言ってたな・・・。痛みも感じず、戦えるって・・・」

 

なんだよそれ・・・、やばすぎでしょ・・・!

 

「あの子は連中に従ってた・・・。多分だけど〈4C〉には、死体をアマゾンに作り替える技術があるんだ・・・!」

 

そんなやばいとこに居て、ホントに千翼は大丈夫なのかよ!?

待つことしか出来ないって、もどかしいな・・・!

 

『番組の途中ですが、緊急ニュースをお伝えします』

「ん?」

 

付けっぱなしにしてたテレビから緊急ニュースが流れ始めた・・・ってマジかよ・・・。

 

『・・・人体に有害なカビが検出されました。飲んだ可能性のある人は、速やかに病院で―――』

「うわー、めんどくせえ・・・」

「おう、どした?」

「いや、このウォーターサーバー、俺がバイトしてるジムにもあって・・・マジかよ・・・。めんどくせえ」

 

テレビから視線を切って振り返ると―――

 

「なっ―!」

「タ、タク!お前、そ、それ・・・!」

 

なんか長瀬君と北村君が、化け物を見るような目で俺のことを見てた。

 

「え?なんスか?」

 

ウォーターサーバーにカビが入ってたからって、驚きすぎでしょ。

あア、でも病院行かナいとイけなイのかァ・・・めんどくさイナァ。

 

 

 

トころデ、なンかハラ、ヘらナイッスか?

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

あの後、加納さんに用意してもらった食事を取りながら、色んなことを聞いた。

彼女・・・イユのこととか。

普通とは違うアマゾン細胞を死体に埋め込むことで、アマゾンになったらしい。

食事を必要とせず、記憶こそあるけど死体だから感じることもないそうだ。

・・・思うことはあるけど、人を喰わなくていいのか。なら、狩る必要もない、よな・・・?

そして一番驚いたのが・・・

 

「人間がアマゾンに!?」

「ええ、我々は新種と呼んでいます。

溶原性細胞と呼ばれる特殊なアマゾン細胞、と言うよりはウィルスですが、これに感染すると人間はアマゾンになります」

 

淡々と言ってるけど、それがどれだけヤバい事態かは俺にも分かる・・・!

でも感染ってことは・・・!?

 

「俺たちが今まで狩ってたのは、元人間・・・!?そんなこと、ヒロキたちに言えるかよ・・・!」

「我々はこのウィルスの感染ルートを特定、あるメーカーのウォーターサーバーと判明しました」

「それって、どれだけの人が飲んでるか・・・最低でも万単位のアマゾンが生まれるのか・・・!」

 

ウォーターサーバーは色んな所にある。例えば図書館などの公共施設。最近じゃ携帯ショップとかでも見かけたぞ・・・!

つまり不特定多数の人間がそれを利用してる・・・。回数は関係ない。一回でも飲んだらアウトだ・・・!

 

「千翼君は理解が早く、助かります。

現在、テレビやネットで飲んだ可能性のある者にカビが混入していたと呼びかけています。また、絶対に飲まないようにとも」

「そうするしかないよな・・・。ある日突然、家族や友達がアマゾンになって襲いかかってくるんだ・・・。

そんな発表があれば、みんなパニックに陥って、手が付けられなくなる!」

 

これはバイオハザードだ・・・!いつ、どこでアマゾンが現れるか分からない!

それどころか、一度に何十体ものアマゾンを相手にしなきゃいけなくなる・・・!

 

「わかっていただけたでしょうか。

現在、ウォーターサーバーの製造元に実戦部隊とイユが向かっています。

これにより、これ以上の感染者の増加は防げますが、すでに感染したものは・・・。

この先のアマゾンとの戦いには千翼君、君の力が必要です」

「・・・わかった。協力するよ。その代わり、幾つか条件を付けてもいいかな」

「可能なものに限り、ですが。お聞きしましょう」

 

ごめん、ヒロキ、ケンタ、タク。帰るのはもう少し後になりそうだ・・・。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「この、離せ!タク、やめろよ!」

「キキィー!」

 

なんでだよ・・・なんでタクがアマゾンに!

 

「キィー!」

「がっ、う、ああぁぁああ!」

 

ケンタの太ももから血が噴き出す。タクが、タクがケンタを喰おうとしてやがる!

 

「ケンタァ!タクやめろォ!

やめろってぇ、いってんだろぉがぁ!」

「ギギャッ!?」

 

近くにあった椅子でタクだったアマゾンの頭を殴り飛ばし、ケンタから引き剥がす。

ケンタの足は・・・大丈夫だよな!?骨とか見えてねーし!

 

「キャアー!」

「ぐっ、があ・・・!」

 

咄嗟に椅子を構え、飛び掛かってきたタクの口を防ぐ。何とか噛み付かれずに済んだけど、勢いのまま、段差に叩き付けられた。

クッソ、背中痛え・・・!

 

「キギィ・・・!」

「この、離れろ・・・!」

「う、うう、ヒロキ・・・」

 

やべえ、このままじゃ二人ともタクに喰われる・・・!ど、どうすりゃあ・・・!?

迫る牙をガードしていると、いきなり銃声が聞こえてきた。な、なんでこの人が!?

 

「立てるか、ヒロキ!」

「オーナー!?なんで!?」

「立てるんなら、ケンタ連れて逃げろ!」

「は、はい!立てるか、逃げるぞケンタァ!」

 

そうしてる間にもオーナーはタクに銃を向けて、引き金を引き続ける。

なんなんだよ、もうわけわかんねーよ・・・!?

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

ヒロキたちが階段を登っていったのを確認しつつ、タクだったアマゾン―――ヒヒアマゾンを蜂の巣にするように、引き金を引き続ける。

まさか、タクも感染していたとはな・・・。

すまねえ、タク。許してくれとは、言わねえ。不甲斐ない俺たちを恨んでくれ・・・。

 

「ギ、ギギィ!・・・ギ、ギ、ロ・・・」

 

なんだ、なにか言おうと・・・?

 

「・・・チ、ヒロォ・・・タス、ケテェ・・・ギイイ・・・」

「・・・」

 

無言で引き金を引き続ける。しばらくすると、タクは動かなくなり、干からびていった。

 

「・・・」

 

お調子者で、人なつっこかったタクはもう居ない。

最後まで、自分にとってのヒーローの名前を呼びながら、死んでいった・・・俺が、殺した

 

 

「・・・クソォ!」

 




本作のタクにとって千翼は自分を助けてくれたヒーローです。
故に千翼との仲も良好で、よく食事に行ったり、オススメのゲームを紹介したりしてました。

二人は本当に仲良しでした。
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