楓さんの弟はクールで辛辣な紅葉くん   作:アルセス

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全然話が進まない・・・

でも早めに投稿するために一区切りつけました。
ここから第2章ということになります。

それと今回さらに一部原作改変があるので人によっては不快に思うかもしれません。
けどあのイベントが・・・2人の曲イベントが・・・忘れられないんだ!


第2章
誰が為に紅葉くんは進む?


紅葉くん、特訓前の変化

 

「なあ高垣、お前はどう思ってるんだ?」

 

まだ目と鼻の周りが少し赤い奈緒が、真剣な表情で俺にそう問いかける・・・

 

 

 

昔から1人でよかった。1人が楽だった。

勉強も運動も人並みには出来ていたと思うし、その事で困ったりはしなかった。

 

だから他人と一緒に何かしようとは思わなかったし、友達というものが欲しいとも一切思わなかった。

 

 

だが新学期になりクラスや学年が変わる度周りは俺に話しかけてきた。

その理由は今でもよくわかっていない。別にクラスの中の1人くらい気にしなければいいのにな。

 

特に話したいことも気になることもなかったからいつも適当に返事をしていたと思う。

 

そうすると少しずつ話しかけるものが減っていく・・・それでいい。

愛想のない奴、調子に乗りやがって等等の言葉が聞こえる・・・別に気にしない。

 

 

『あなたのそのオッドアイ。皆は楓お姉さまと同じでキレイだと言うけど、私はそうは思わないわ。あなたのその瞳に、本当に今目の前にいる私が映っているのかしら?』

 

ふと、数年前に話をした同い年の従姉の言葉が浮かんできた。

当時は意味がわからなかったが、今なら少しわかる気がする。

 

 

彼女の金色の瞳の中に映る俺は、彼女を見ているようで見ていなかった。

さすがに親戚の名前は覚えているがその程度だ。そして、姉さんを勘違いで崇拝している彼女には何となく俺の性格が分かっていたのだろう。

 

 

改めて奈緒をはっきりと見る。いつもは何故か真っ直ぐ見ると目を逸らされるが、今は真剣な表情だ。

 

コロネを見る。彼女は心配そうに奈緒と俺を交互に見ている。

 

そして姉さんを見る。が、何か様子がおかしい。唇が僅かに震え、俺の視線に気づくと目を逸らす。

それは、いつもの悪いことをした時のそれとは明らかに様子が違っていた。

 

 

・・・そうか。こんな当たり前のことを気づかないなんて俺は大馬鹿者だ。

1人でいい?1人が楽?ふざけるな。

 

俺の隣にはいつも姉さんがいた。まるで俺の代わりのように怒って、泣いて、そしていつまでも子供のように無邪気な笑顔を見せてくれる姉さんがいたんだ。

 

姉さんにはいつも助けられてばかりだ。そしてこんな性格の俺に特に何も言わない姉さんに甘えていたのは事実だ。

 

もし俺がこのまま他人と距離を置き、姉さんの仕事関係の人にも失礼な態度を撮り続けていたら、例え姉さんが何も言わなくても俺のせいで周りの姉さんに対する評価が下がってしまう。それは避けなければいけないことだ。

 

そして、東京に来てこんな無愛想で他人に興味のない俺と知りつつも未だに仲良くしてくれている友人が出来た。

 

美嘉、奈緒、加蓮、凛。

 

今もし、彼女たちが他の者と同じように俺に愛想を尽かして去っていったら・・・そう考えると何故か心の奥がズキリと痛む。

この気持ちが何なのかはうまく説明できないが、いい事じゃないのは確かだ。

 

今日この時が人生における最初のチャンスかもしれない。

自分のやりたい何かを探すために東京へ来たにも関わらず、結局何もしていない今を変える一歩目なのかもしれない。

 

他人に興味がない、1人でいいなんてくだらない自分の考えは捨て、きちんと周りと向き合ってしっかり前を見てみよう。

姉さんや彼女たちがこんな表情をしなくて済むように・・・

 

 

進化した?紅葉くんいざ出陣!

 

 

「開始まではまだ余裕があるな」

 

ようやく着いたライブ会場だったが、俺は中に入らずに2人を待っていた。

 

奈緒が加蓮を連れて真っ先に物販コーナーへ走って行ったからだ。その勢いに呆然とした俺は取り残されてしまったが、入口で待っていると連絡をして姉さんから借りたパンフレットを眺める。

 

やはり何度見ても今回の主役であるアイドル達の写真は載っているが、バックダンサーの3人の写真はなかった。

 

島村卯月、本田未央。そして渋谷凛の3人だ。

 

一昨日の特訓前、アイドルよりも身近だった凛達のことを知ろうと思った俺は、奈緒に美嘉へ電話してもらい凛以外の2人の事を聞くことにした。卵さん・・・と認識していた島村さんの名前を覚えておらず、もう1人の本田さんは会ったことすらなかったからだ。

 

奈緒から携帯を借りて美嘉と話をしたんだが、相変わらずあたふたしており聞くまでに時間がかかってしまった。やはり美嘉は俺のことが苦手なのだろうか。

 

 

「も~!ポテト売ってないじゃん。奈緒の嘘つき~」

 

「だからお前は何言ってるんだ?映画観に来たんじゃないんだぞ。だいたいライブ中に食べる暇なんかある訳無いだろ!」

 

俺の特訓とは別に、俺たち3人にも多少変化が出ていた。島村さんたちのことを聞いた後に奈緒が言ったのだ。

 

『ちょうどいいから高垣、隣の後輩の事もちゃんと覚えとけよ!あたしはもういじられたくないからなっ!』

 

『え~つまんない。だったらアタシも奈緒先輩のこと呼び捨てにしちゃうよ~?』

 

『ああそれでいい。この際もう何でもいい!だから頼むぞ高垣!』

 

『わかった』

 

『あ、じゃあ奈緒も紅葉先輩のこと名前呼びね。何でもいいみたいだし♪」

 

『げっ!?』

 

そんなことがありお互いの呼び方が変わったんだが、奈緒は俺の名前が呼びにくそうだ。嫌なら無理することもないと思うんだが。

 

加蓮にも友達なのだし、学校の外では呼び捨てでも構わないといったが、俺のことは先輩でいいらしい。その方が特別感がどうとか言っていたな。

 

会場に入り見取り図とチケットを改めて確認してみる。が、これもパンフレット同様結果は同じだった。

奈緒と加蓮の席は隣同士だったが、俺の方は大きく離れ上の階の角の方にあった。

 

「やっぱり先輩とは結構離れちゃってるね。プロデューサーさんから貰ったのに変なの」

 

「人気のライブだ。さすがに関係者でも無理があったんじゃないのか?そもそも無償でくれただけでも十分感謝することだし、上から見たほうがステージをよく見れるはずだ」

 

「たか・・・も、紅葉!あたしたちと離れてるからって気を抜くなよ。特訓を忘れずに一緒に盛り上げるんだからな!」

 

「わかってる」

 

今度はしっかり記憶に残しておかないとな。

 

「奈緒が離れて淋しいけど一緒に楽しもうね。だって♪」

 

「んなこと言ってなーい!!」

 

「あ、ああ。加蓮も一緒にライブを楽しもう」

 

「うん!アタシライブって初めてだからものすごく楽しみ」

 

人ごみを気にせずいつもの追いかけ合いが始まった2人と途中別れ、上の階へと続く階段へと向かった。

 

 

内部は既に多数のファンで席が埋まっており、話し声や歌声が聞こえてくる。

俺の席はこの階の最前列右から4番目。特に迷うことなく席へ歩いていると、目的地付近も全ての席の人は座ってライブが始まるのを待っていた。

 

「すみません、前通ります」

 

先に座っている人の邪魔にならないよう腰を低くして席へ向かうと、2つの声が同時に聞こえた。

 

「あ!お姉ちゃんのカレシさんだ!」

「うげっ!またまた先輩にゃ!」

 

すぐ横を見ると美嘉の妹が。そして俺のことを先輩と言った方を見るとショートボブの少女が嫌そうな顔で俺を見ている。

 

「美嘉の妹か、久しぶりだな。あと・・・誰だ?」

 

「うにゃああああああ!またにゃ!」

 

にゃ?また?

この語尾に聞き覚えはあるが、あの少女は猫のような耳をつけていたから人違いか。

だが向こうが知ってる以上自己紹介はきちんとするべきか。

 

そういえばよく見ると俺の席の2つ後ろにロックなアイドルもいるな。

 

「とりあえず初めまして?高垣紅葉だ。それとロックな子も久しぶり」

 

「うん、久しぶり。ていうか最近ぶり?」

 

「フシャァァ!いいにゃ!こうなったらもう戦争にゃ!」

 

「???」

 

「み、みくちゃん落ち着いて!皆見てるから!」

 

続く!

 

 

 

 

 

 

 




眼鏡をかけた学級委員前川さん

キュートなねこみみアイドル前川みく

ショートボブの可愛いみくちゃん

3人と知り合える紅葉くんは幸せ者・・・
みくはキュートで一番好きなアイドルです!

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