今回オリキャラが出るのでタグにも入れておきますね。
コメント下さった方には感謝です。
ここもまたアニメと違う部分がいくつかあるので注意を。
それと以前投稿した人物紹介ですが、一部内容が変わってきたのでその部分消そうと思います。
紅葉くんとデビューアイドル2
新田さんとアーニャの素晴らしいライブが終わり、2人が舞台から去っていく。
すると青と白のライトに照らされた広場が一瞬のうちにピンク、オレンジ、青の3色のカラフルな色に変わった。
これは3人のイメージでもあるのだろうか?となると、凛は青色なのではと思う。
今彼女はどんな気持ちで自分たちの番を待っているのか、そんなことを考えながらカーテンに隠された舞台袖に視線が行く。
「先輩、いよいよだね。アタシちょっと緊張してきたかも」
「そうだな」
舞台袖から視線を外さないまま一言答える。
加蓮の方を見なくても言葉から表情が硬くなっていることがわかる。
あの美嘉のバックダンサーで初めてにも関わらず素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた凛と島村さん、本田さんの3人だ。
自分たちのデビュー曲となれば、あの時以上に練習し魅力的な舞台にしてくれることは間違いない。
俺も加蓮と同様に、期待ともしどこかで失敗したらという若干の不安で緊張してきたようだ。
『では続いて、new generationsの登場です。どうぞー!』
先ほどの2人同様、司会の紹介の後舞台袖のカーテンが開き凛たちが現れる。
本田さんを先頭に駆け足でやって来た3人。その表情は新田さんたち以上に緊張しているように感じられた。
そしてしばし静寂が訪れる。
曲も始まる気配はないし一体どうしたのか。特に中央に位置する本田さんの様子がおかしい。セリフでも飛んだか?
確か凛の話では本田さんがユニットのリーダーということだ。ならば先ほどのLOVE LAIKA同様本田さんからまずユニットの紹介があるのかと思ったのだが。
「み、未央?」
「未央ちゃん?」
小さな声ではあったが凛と島村さんの声が聞こえた。
その声に反応した本田さんが我に帰ったように正面を向き言葉を発する。
「は、初めまして・・・new generationsです」
「私たち3人のデビュー曲をぜひ聴いてください」
「曲名は、せーの『できたてEvo! Revo! Generation!』」
本田さんの後に島村さん、凛と続き、曲名を一斉に紹介するがその声のトーンがバラバラだったために息が合った紹介には聞こえてこなかった。
思った以上に緊張しているようだが、3人の調子とは関係なしに曲は始まっていく。
LOVE LAIKAのクールなイメージの曲とは違い、出だしから元気が出るような明るい曲調だ。
3色の光が飛び交い、舞台後ろの柱もそれに合わせて光っていく。
前奏から楽しませてくれるいい曲なのだと思い、3人もそれぞれ笑顔で歌い始めると思ったんだが・・・
「・・・・・・・・・」
依然として3人の様子がおかしい。表情がバラバラ、歌声も動きもバラバラだ。
本田さんは俺たち観客の方をあまり見ずにやや下を向いたまま一番小さい声で歌っている様に聞こえてくる。
こちらを見ないことが悪いことだとは思わないし、そういう演出があってもおかしくはないが敢て見ないようにしているように感じる。
逆に凛は真剣な表情で一番よく声が通っている。
が、素人の俺が言うことじゃないかもしれないが良い意味ではないな。
その目の鋭さは必死にも捉えられ、楽しんでいるようには感じられずこちらも力が入ってしまいそうな気になる。
声が大きく歌声は素晴らしいものではあるが、無理をしすぎているのかたまにうわずり余計に目立つ部分があった。
動きも一番大きく見せているが少し硬い。
電話していたとき同じような必死さが伝わってきたが、その時に理由を聞くべきだったのだろうか・・・
その対照的な2人に頑張って合わせようとしているのだろう。
島村さんはちらちらと本田さん、凛を見ながら困ったような表情で歌と踊りを続けている。
一番安定しているようには見えるが、2人を気にしすぎていてたまにステップでバランスを崩しそうになる場面があった。
「・・・帰る」
「ん?」
「お、おい加蓮?」
隣にいた加蓮が急に舞台から背を向けた。
突然のことに奈緒と顔を見合わせ声をかけたが、加蓮は振り返らず歩き続ける。
「アタシが見たかったのは、憧れていたのはこんな世界じゃない。あんな渋谷さんじゃない!」
「ちょ、加蓮!悪い紅葉、あたしは加蓮を追いかけるよ!」
「あ、ああ。頼んだぞ」
加蓮が突然走り出し慌てた奈緒が追いかける。
俺もその行動が気になるところではあるが、凛のことも心配だ。
今は奈緒に任せて最後までこのライブを見守ろう。
そして数分後、ひらひらと紙吹雪が舞う中曲が終わり、凛たちのデビューライブは幕を閉じた。
島村さん、凛の順に感謝の気持ちを述べ、片膝をついて最後のポーズを取っていた本田さんが立ち上がる。
そしてその様子は始まる時以上におかしく呆然としている、とても以前のライブの時のような笑顔ができる雰囲気ではなさそうだ。
もしかすると体調がよくなかったのかもしれない。
そして本田さんを心配して2人は集中できなかった・・・ということなのか?
「new generations、これからもよろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
舞台前方では十数人が集まっており、その人たちの拍手が続く中で凛と島村さんが最後に挨拶をする。
声をかけることはさすがに出来ないが、ちゃんと見に来たことを知らせる必要があるな。
そう思いやや後方にいた俺は拍手をしながら前へと移動する。
「あ・・・」
凛が俺に気づいたようだ。だがその表情は険しくなりなぜか目をそらす。
同時に上の階から本田さんへの声援が聞こえてきた。
なるほど、ライブ終了後なら声をかけても良さそうか?
「り・・・」
意を決して凛になにか一言送ろうともう1歩踏み出す。
が、声援を聞いた本田さんと一緒に凛も俺を見ることなく・・・いや、目をそらして舞台から早歩きで去っていった。
「未央ちゃん!凛ちゃん!」
残された島村さんは最後にもう1度観客にお辞儀をし、俺の方に少し困ったような笑顔を見せ2人を追って舞台を去った。
「これがアイドルのデビューライブか・・・」
観客が次々その場からいなくなるのを余所に、俺自身も何とも言えぬ感情のまましばらく舞台を見つめ立ち尽くしていた。
奈緒と加蓮の運命の日
加蓮のやつ、急にどうしたんだ?
4月からの短い付き合いではあるけど、それなりにあいつのことはわかってきたつもりだ。
いつもはふざけあったりからかわれたりして笑ったり困ったり・・・でもあんな表情は初めてだよな。
館内は人が多かったせいもあって走り去った加蓮に中々追いつけずにいた。
でも外は広く人通りも思ったより多くない。
息を整えながら辺りを見渡し、加蓮の居場所を探した。
「・・・いた!」
あいつ、あんなに足速かったか?
体力もそこまで続くとは思えなかったんだけど、紅葉のお弁当効果なのかな。
やっぱうらやま・・・って、今はそんな場合じゃない!
どうやら加蓮はまっすぐ駅に向かっているみたいだ。ってことは本気でこのまま帰るつもりなんだろうな。
けど残念だったな。いくら体力がついてきたといってもあたしに勝てるもんか!運動にはそこそこ自信あるんだ。
「どうぞ~」
「あ、はい。どうも」
「おねがいしまーす」
「は、はぁ・・・」
・・・なんだよこれ。
こっちは急いでるってのにティッシュ配りにやたらと遭遇する。
走ってるんだから察しろよティッシュマン。素直に受け取るあたしもあたしだけど!
くっそう、走って止まってを繰り返してるから余計疲れてきた。
気が付けば加蓮を見失い、携帯に連絡しても全然繋がらない。
とりあえず駅を目指し改めて走る。もう声をかけられても無視だ無視。
ごめんなティッシュマン、アンタたちに罪はないけど許してくれ。あたしのバッグはもうティッシュでいっぱいなんだ。
などと考えてるうちに駅前の交差点へとたどり着いた。
これ以上先にいたらもう駅の中か?っていた!加蓮だ。
「おーい、加蓮!」
「あ、奈緒。どうしたの?」
どうしたの?じゃないだろ!誰のせいでこんなに・・・よく見たら加蓮の顔色はあまりよくなくかなり汗をかいてる。
ほらみろ、やっぱり無理してたんじゃないか。でも何故か表情は落ち着いてるな。
「お、そっちの子もそこはかとなく良い感じだね!2人は友達?」
「は?な、なんだよアンタ」
加蓮に意識がいっていたせいでその前にいる男性に気付かなかった。
身長は紅葉と同じかやや低く、灰色の髪に少しかかっている赤い瞳が値踏みするかのようにこちらを見ている。
っていうか、今の絶対褒めてないだろ!
はっきり言って物凄くあやしい。
こいつもしかして加蓮をナンパしてるのか?
だったらちょっと怖いけど先輩としてちゃんと守ってやらないとな!
「悪いけど人待たせてるから他あたってくれ。ほら、いくぞ加蓮」
「あ、待ってよ奈緒違うってば」
「へ?」
加蓮の手を取って相手の次の言葉を待たずに戻ろうかと思ったんだけど、加蓮が踏ん張って進めなかった。
違うってどういうことなんだろう。
「ねぇ、さっきの名刺奈緒にも渡してくれない?」
「おっけー。じゃ、これどうぞ」
あやしいスーツの男が懐から白い紙を取り出しあたしによこした。
確かに名刺のようだけど、その内容に驚く。
「346プロダクションアイドル部門プロデューサー。
何で346のプロデューサーがこんなとこで加蓮と話をしてるんだ!?
しかも鈴科って確か聞いたことあるぞ。
「もしかして・・・美嘉のプロデューサーか?」
「お、ウチのアイドルだけじゃなく俺のことまで知ってるなんてな。有名になったもんだ」
「いや、美嘉から聞いたことあるだけだ。自分のプロデューサーは見た目あやしいけど腕は確かだって」
「あやしいって・・・俺って美嘉ちゃんからそんな風に思われてたのかよ。ショックだ」
「で、そのプロデューサーが加蓮に何のようだよ」
「アタシ今スカウトされたみたい」
「スカウトぉ!?」
とんでもないことをあっさりと、笑顔で言う加蓮。
広場でのあの表情は一体どこに行ったんだよ。あたしの心配を返せ!
「あれ、そういえば2人とも美嘉ちゃんの知り合い?」
「うん。アタシは学校の後輩で、奈緒は同じクラスの友達だよ」
「へぇ、そりゃまた出来すぎた偶然だ。それでどう?今すぐ返事はしなくていいけど」
「うん・・・ちょっと待ってね」
そう言って汗を拭き息を整える加蓮。
そして最後に深呼吸をして私と向かい合う。
その目は、今までにないくらい真剣だった。
「奈緒、さっきは勝手に帰っちゃってごめん」
「え、いや、うん。別にいいけどさ」
「前にちょっと話したよね?アタシが渋谷さんと同じ中学だったって」
「あー、うん。そういえば聞いた」
それ以外の詳しいことは聞いてないけどな。
あの時はそれどころじゃなかったし。
「渋谷さんがアイドルにスカウトされたって聞いて、何となく納得したの。
アタシとは違うんだ~って。でもね、同時にちょっと悔しかった。
だから体力つけて、トレーニングをしっかりして、いつか見返してやるんだって思ってた」
「そうだったのか」
「ふふっ。昔のアタシならすぐに諦めてただろうな。こんなに毎日が楽しく思えるようになったのは奈緒と先輩のおかげだよ」
「お、おう・・・そんなこと正面から言われると照れるな」
いつものあたしをからかっている加蓮と違うからどう対応していいか分からずに困る。
これって変なフラグじゃないよな。
「トレーニングするにも目標がないとダメでしょ?だから渋谷さんを目標にしてたの。今日はそんな目標がどんなデビューをするか見に来た。
なのにあれは何?あれがアタシの目標?ふざけないで!アタシの目指すアイドル渋谷凛はあんな情けない姿なんかじゃない!
何があったか知らないけど、あれじゃ先輩はもちろん誰も笑顔にできない!」
「お、落ち着けって加蓮!」
「はぁ・・・はぁ・・・けほっけほっ。そんなこと考えて走ってたら、タイミングよくこの人に声かけられたの。だから、アタシはなるよ。アイドルに」
「え?」
「渋谷さんよりももっとすごいアイドルになって、逆に目標にさせてみせる。それで彼女よりも・・・ううん、楓さんよりも有名になって紅葉先輩を笑顔にしてみせる!それが今アタシに出来る一番のお礼だと思うから」
「加蓮、お前そこまで考えて・・・」
「というわけで、なーおー♪一緒にアイドルしよう?」
「なっ!な、なななななぁぁ!?」
何を言ってるんだコイツは。あたしなんかがアイドルになれるわけないだろ!
「あ、何言ってるんだって顔してる。奈緒は可愛いんだし問題ないよ」
勝手に心を読むな!そして可愛いとか言うな~~!
「ねえプロデューサーさん。奈緒も一緒で問題ないでしょ?」
「おう、全然問題ないぞ。奈緒ちゃんも可愛いし絶対アイドルになれる!」
「や~め~ろ~よ~!」
こうしてあたしの意見を全く聞かない2人のせいで、次々と話が進んでいった。
なんで両親も止めないんだよ!
こんなこと紅葉にどう説明したらいいんだ。誰か教えてくれ!
続く!
後半ちょっと雑な感じになったような気も・・・
こういうスカウトになるとは最初は考えていませんでした。
オリキャラプロデューサーのイメージと声は明るい一方通行風だと思っていただければ。
あくまで風です。