早見さんデレステニコ生出演!やったね!
松井さんとの絡みも待ち望んでいたんです!
紅葉くんとデビューアイドル3
夜、家に着いた俺は凛に電話をかけてみた。
今回は終わったあと挨拶へ向かう・・・などということは当然できないため、電話で凛へデビューの感想や本田さんの調子などを聞こうと思ったからだ。
「・・・やっぱり出ないな」
だが何度かけても繋がらない。
打ち上げをするにしても高校生があまり遅くまで外出するということはないだろう。
一番可能性が高いのは、疲労で帰ってすぐに眠ったというところか。
ちなみにライブが終わったあと奈緒へ加蓮の状況確認の連絡を取ったがこちらも繋がらなかった。
が、しばらくして奈緒と加蓮両方からメールでこのまま帰宅するという報告と、
加蓮からは謝罪の文章も送られてきた。
あの場を立ち去った理由は今度直接会って話すということだったので、
加蓮のことはその時にわかるだろう。
「デビューライブ・・・色々あったな」
今まで体験したライブの中では約10分という一番短い時間ではあったが、
変わったことばかり起こったので心の中がいまいちすっきりしない。
いや、驚きはしたが新田さんたちのライブに関してはとても素晴らしいものだった。
「そうか、一応聞いてみよう」
やはり凛たちのことが気になったのでもう1人心当たりに連絡を入れる。
さすがに何度も多忙なプロデューサーさんに私用で連絡するわけにもいかないし、
姉さんは今回全く関わっていないはず。
ならば他に事情を知ってる可能性がある人物は・・・
『も、もしもし!た、高垣くん?』
「ああ、美嘉。夜遅くすまない」
美嘉ならば以前の関係でまだ3人と繋がりがあるだろう。
当事者と同じとはいかないだろうが、もしかすると何かしら相談を受けていたかもしれないからな。
『ううん、ぜんぜんだいじょーぶ★って、こら莉嘉!』
「ん?莉嘉もいるのか。いや、家だったら当たり前か」
『う、うん。ごめんちょっとまってね今部屋に戻るから』
「ああ」
電話越しに2人の声が聞こえてくる。
何やら言い争っているようにも聞こえるんだが、間が悪い時に電話をしてしまったか?
『ほんとにもう莉嘉は・・・高垣くんお待たせ★』
「忙しいようならやめておくが」
『ち、違うの!莉嘉が電話の相手が高垣くんだって知ってからかってきただけなの!』
「そうか」
なぜ相手が俺だとからかわれるのか。
莉嘉はまだ勘違いしてるのか?
だがどちらにせよ夜遅くに電話をしたことには変わりない。
用件を早く伝えるべきだ。
「new generationsの件なんだが、今日がデビューライブということは知っていたか?」
『・・・・・・・・・』
「美嘉?」
『・・・はっ!?そ、そっかそっか★そっちの話ね!』
「大丈夫か?」
『ゼンゼンダイジョウブ★色んな考えを頭で整理してただけだから』
一瞬話し方が先月までと同じように感じたんだが。
美嘉とは徐々に普通に話せるようになっては来たが、
それでもまだ美嘉は他の男子を含めたクラスメートに対してよりも、
俺と話すときにどこかぎこちなさを感じる。
『えっと、ニュージェネのことならだいたいわかるよ。アタシあの場にいたし』
「そうだったのか」
『うん。でね、えっと・・・』
「関係者以外に話せないことなら無理しなくていいぞ」
『そうじゃないんだ。あー、あまり口外する話じゃないのは確かだけど誰かに聞いて欲しかった部分もあるんだ。
愚痴も含むかもしれないけど・・・聞いてくれる?』
「ああ、教えてくれ」
美嘉の話によると、舞台裏にはプロジェクトメンバーの何人かも応援に来ていたという。
そのメンバーを激励し、ライブの終わった凛たちを通路で見つけて労いの言葉をかけようと思ったらしいのだが。
『未央と凛がこっちも見ないでまるで逃げるように楽屋へ向かっちゃって。卯月も何が起こったかわからない様子だったの。
それでプロデューサーが2人を追いかけたんだけど・・・』
「確かに2人、特に本田さんの様子がおかしかったのはライブを観てた俺も感じていた。体調が悪いのではと思ってたんだが」
『ううん、それはないよ。本番直前までは物凄いやる気だったし。その理由はプロデューサーとの会話でわかったんだ・・・けど』
「美嘉?」
美嘉の声が急に小さくなる。
どう言えばいいのかを俺に聞こえるか聞こえないかの声で整理しているようだった。
『・・・未央が辞めるのアタシも関係するかも』
「辞める?アイドルをか?」
なぜそんなことになったのか、そして美嘉がその原因になるのか。
その理由を美嘉は途切れ途切れにゆっくりと話す。
どうやら本田さんは以前にバックダンサーをしたライブと同規模の観客を予想していたようだ。
そして期待に胸をふくらませライブへ望んだ結果、その期待が大きく外れアイドルを辞めるという発言をするに至る・・・ようだが。
「美嘉は悪くないだろう。お前は3人のことを思って、何かしらの可能性を見出してバックダンサーに選んだんだろう?」
『そうだけど・・・』
「誰かがお前に何か言ったのか?」
『・・・言ってない』
「だろうな。むしろ感謝している可能性がある。あの舞台があったこらこそ3人の、プロジェクトのデビューがここまで早くなったんじゃないだろうか」
『それはわかんないよ』
いつもの元気な美嘉と違い、弱々しく、ネガティブな考えが頭から離れないようだ。
周りが本田さんたち3人に意識が向いている中、自分のことは誰にも言えなかった可能性がある。
いや、プロとして、先輩としてもいつも通りふるまっていたんだろう。
仮に俺が今日のライブ以外の用件で電話をした場合もいつも通りだったはずだ。
俺にできることは尊敬する友人城ヶ崎美嘉の味方で有り続けることくらいだな。
「俺に発言力があるわけじゃないが言わせてもらう。本田さんの件は美嘉のせいじゃない。
他の誰かが何か言っても気にするな。どんなことがあっても俺はお前の味方だ」
『・・・高垣くん!うん、ありがと★』
「そのあとのプロデューサーさんの対応はどうだったんだ?」
『あ、うん。今日の結果は当然だって。それで未央が・・・』
「辞めると言いだしたのか?』
『うん・・・』
「俺も聞いただけだから詳しくはないが、デビューアイドルのライブの観客数はあれが普通なんだろう?
認知度も高いわけじゃないだろうし、プロデューサーさんの言ってることは間違いないと思うんだが」
『そうなんだけど、未央は言葉の意味を勘違いしてるっぽいんだ。自分がリーダーだったからお客さんが集まらなくてライブが失敗したって』
「そんなことあるはずないだろう。それでプロデューサーさんと本田さんは?」
『・・・それだけ。未央はすぐ帰っちゃって連絡もつかないみたい』
「・・・・・・・・・」
これは想像以上に深刻な事態になっているようだ。
凛だけじゃなく本田さんまで連絡がつかないとは。
ん?凛はそのあとどうなったんだ。
「本田さんの状況はわかったが、凛の方はどうなんだ?本田さんと一緒にいてプロデューサーさんとのやり取りも聞いていたんだろう?」
『たぶん、ね』
「たぶん?その場に凛はいたんだよな?」
『うん。未央と一緒にプロデューサーに呼び止められて立ち止まったけど、うつむいたままで何も喋ってなかったんだ。
走って行っちゃったあとはそのままゆっくり楽屋に向かってた。で、卯月と一緒に帰ったみたいだけど全く話をしなかったみたい』
何も話さないのであればそうなった理由を誰もわからないか。
だが凛も本田さん同様ライブ前はかなりやる気だったはずだ。
それはライブの日を教えてくれた時の声が証明している。
『でね、凛のことなんだけど・・・高垣くん何かあった?』
「俺と?」
『前に346のカフェで立てこもりがあったじゃん?高垣くんそこにいたんだよね」
「ああ、凛に呼ばれて行ったぞ。姉さんも野次馬の中にいたな」
『卯月が言うには、そのあとからちょっと様子がおかしかったみたい。怖いくらい真剣にレッスンしてたって』
「・・・・・・・・・」
あの時凛と何かあったか?
場所を案内されてそのあと会っていないような・・・
自分の記憶を少しずつ辿ってみる。
確かに何か引っかかる。あれからどうしたんだったか。
『凛ってさ、アタシも会って間もないからそこまでわかってるわけじゃないけど。
ニュージェネ3人の中では一番クールだけど、心の中にある情熱っていうのかな。表に出さない部分も一番熱いと思うんだ。
今日のダンス見てて思ったんだけど、そういう内側の部分が表に出た感じ?』
美嘉の言葉の意味を俺もなんとなく理解できる。
よくよく考えると凛が何かを決意して俺に告げる時、その目はいつも真剣で想いが伝わってくるようだった。
目・・・真剣・・・そういえば前川さんの一件に帰ろうとした時、凛と話をしたんだった。
そして俺は凛の目を全く見ずに返事をしていた。
『私、CDデビュー決まったんだ。卯月と未央と一緒に』
『そうか』
『うん、それで今度ライブもやることになってさ。紅葉も観に来てくれる?』
『・・・ああ、楽しみにしてる』
まさか・・・
「島村さんの考えは正しいかもしれないな。あの日から変わったというなら俺が原因の可能性が高い」
『え、ほんとに!?一体何があったの?』
「前川さんの件で何とも言えない感情になってしまってな。凛ともまともに顔を合わせられなかった。
あの時俺自身がどんな顔をしていたか、それを知ってるのは凛だけだ」
『(それは見てみたかったよ!)』
「凛は初めて会った頃にプロデューサーさんに、自分が皆を笑顔にできるのかどうか質問していた。
だから2番目のファンである俺の表情を見て、何とかしようと思ったんじゃないだろうか」
『確かに・・・あの子真面目っぽいし、考えたら一直線って感じがする』
「美嘉、明日346プロで凛に会えるか?来るかどうかわからないが、もし来たなら伝言を頼みたいんだ」
『あー・・・ごめん高垣くん!明日うちの部署に新人になる予定の2人が挨拶に来るらしくってさ。アタシも顔合わせに参加しなくちゃダメなんだ』
「そうか。いや、こっちこそすまない。色々聞いた上に無理を言った」
『そんな、アタシに出来ることならいつでも協力するって★
まったく、うちのプロデューサーは!相変わらず思いつきでスカウトするんだから』
ただいま~!
紅くん、お姉ちゃんが帰ってきたわよ~!
「(姉さん、少し酔ってるな・・・)美嘉のお陰で状況はわかった。凛と本田さんのことは外側から出来ることはやってみる」
『うん、ありがとう』
「時間も時間だし、これから姉さんの介護があるからこの件はここで終わりにしよう」
『介護って楓さん・・・わかった、じゃあね高垣くん、おやすみなさい★』
「ああ、おやすみ」
とは言え、どこから手をつければいいのか。
凛と連絡がつかなければどうしようもないし、当然住所がわからないから直接行くことも不可能だ。
そんな考えはお構いなしに、姉さんが俺を探す声が聞こえてくる。
リビングにいないなら自室にいることくらいわかってるはずなんだが。
そうか、この件なら姉さんにも頼めるな。
迷惑をかけるのは重々承知だが、あまり時間をかけるのも良くない。
出来るなら早めに解決するべきだ。
「おかえり姉さん」
「ただいま紅くん、部屋にいたのね♪」
笑顔で両手を前に出し、恐らく抱きついてくるために少しずつ近寄ってくる姉さん。
その姉さん同様俺も両手を出し、抱きつきを防ぐために顔を抑えながら話しかける。
「紅くん、前が見えないんだけど・・・」
「姉さん、相談があるんだ」
続く!
美嘉のところに新人アイドル!?
一体誰が・・・
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探りながらやっております。