今回は卯月視点と凛視点になっています。
見づらいかもしれませんがご了承ください。
それと仮ではありますが、
後書きに楓さんとはぁとのユニットの曲の歌詞を1番だけ作って書いてみました。
オリジナルなら歌詞載せても大丈夫なはず!
side 卯月
みなさん、こんにちは!
new generationsの島村卯月です!
えへへ♪そうなんです。
ついに夢に見たアイドルデビューです!
私と凛ちゃん、未央ちゃんの3人のユニットnew generations。
初舞台としてサンセットシティの噴水広場でデビュー曲、
できたてEvo! Revo! Generation!を歌わせてもらえることになりました。
精一杯頑張りますので楽しみにしていてくださいね。
・・・そうラジオで告げて私たちは本番に臨みました。
凛ちゃんはレッスンの途中からものすごいやる気が伝わってきて、
未央ちゃんも持ち前の運動神経でダンスの上達がとても早かったんです。
私も2人に負けないよう、毎日たくさん練習しました。
結果は・・・はい。デビューできたことはとても嬉しかったんです。
でも、初めてのライブが終わったあとの気持ちは少しモヤモヤしてしまいました。
次の日、つまり今日です。
プロジェクトルームへ行くと、そこにいたのは俯いた凛ちゃんだけでした。
声をかけても反応が少なく、落ち込んでいるようにも感じました。
そして未央ちゃんは時間になっても現れません。
まさか本当に昨日言ったようにアイドルを辞めてしまうんでしょうか。
しばらくするとプロデューサーさんが部屋へとやって来ました。
思い切って未央ちゃんの家へ行ってみようと提案しましたが、プロデューサーさんは自分に任せて欲しいと言うばかりでした。
その間も凛ちゃんはずっと黙ったままで、そのままレッスンの時間になってしまいました。
昨日のお昼までは3人でお喋りしたり笑ったりだったのに、どうしてこうなってしまったのでしょう。
私の頑張りが足りなかったのかな・・・
そんなことを考えていたからでしょうか。
レッスン中急に頭がぼーっとしてきて、凛ちゃんも足がもつれて転んじゃって・・・
そして周りの雰囲気が暗くなった時、レッスンルームの扉が開いたんです。
side 凛
「凛ちゃん!?」
「渋谷さん大丈夫?」
卯月とトレーナーさんの声が聞こえ自分を見ると、レッスンルームで倒れているのに気づく。
卯月?トレーナーさん?
・・・あれ、私いつここに来たんだっけ?
我に返ると昨日のことを鮮明に思い出す。
それは同時に紅葉のあの顔を思い出したということだ。
デビューライブの私の結果は散々だった。
プロデューサーが未央に言った当然だという言葉。
あれは私にも当てはまる。
ううん、一番の原因は私だ。
ダンスは力任せ、歌は2人を無視したただ大きいだけの声。
あんなはずじゃなかったのに・・・
もっと上手くやれたはずなのに・・・
紅葉にみくたちのあの一件の時みたいな顔をさせないよう、
笑顔でいられるよう頑張ろうと思ったのに、ライブの後の紅葉は逆に私を心配するような顔をしてた。
あの時紅葉に何て言われるか待つのが怖くてその場を逃げ出してしまった。
何度も鳴った携帯も怖くて取ることができなかった。
私ってこんなに臆病だった?
アイドルになって自分が輝く何かを掴めそうな気がしたけど、それがまた遠くなった気がする。
「失礼します」
卯月たちが心配そうに私を見る中、部屋の扉が開き声が聞こえた。
それは私が知ってる声、そして今2番目に会いたくない人だった。
「・・・楓さん」
そう、入ってきたのは346のトップアイドルであり、紅葉の実の姉の高垣楓。
いきなりの登場にトレーナーさんを含めたこの場にいるプロジェクトメンバー全員が沈黙した。
「レッスン中に邪魔をしてごめんなさい。皆さんとは以前1度会ったとは思うけど自己紹介がまだだったわね。
改めて初めまして、高垣楓です。同じ事務所のアイドル同士よろしくお願いします」
自己紹介をした楓さんは丁寧にお辞儀をし、数秒そのままの姿勢を保ったあとゆっくりと顔を上げ笑顔で私たちを見た。
その姿はとても様になっていて、同性の私ですら見惚れてしまうほど。
それは他の皆も同じだったみたいでさらに沈黙が続き、挨拶をした楓さんがちょっと困ってる。
「ま、前川みくにゃ!弟さんは学校の先輩で、とても良くしてもらってるにゃ!」
「みくちゃん急にどうしたの?」
みくが突然楓さんに飛びかかりそうな勢いで自己紹介を始めてる。
慌てた李衣菜が止めに入ったけど、なんか最近この2人仲いいよね。
それにしても紅葉の学校ってどれだけアイドルがいるんだろう。
「李衣菜ちゃんこの前のライブのこと忘れたの?楓さんにみくのこと覚えてもらえたらデビューできるかもしれないにゃ!」
「ええ・・・それはどうかな」
「み、みくちゃんね。弟にもう1人知り合いの後輩がいたのには驚いたけど、ごめんなさい。
今は心さんとのユニットのことでいっぱいで・・・」
「うぅ・・・でもみくは負けないもん!」
ストライキの一件以来、みくのやる気はますます磨きがかかったみたい。
うなだれながら窓際に戻るみくと李衣菜。
そして話をしていた楓さんの視線はみくたちから私の方へ向けられた。
「凛ちゃん、少しいいかしら?」
「私、ですか?」
何となくそんな予感はしてたけど、どうやら当たりだったみたいだね。
みく、絶対私のこと睨んでるでしょ。後ろから物凄い視線を感じるんだけど・・・
「ええ、お話したいことがあるの。もちろん、レッスンが終わるまで待つわよ」
「・・・わかりました」
数十分後メンバーとはその場で解散となり、私は楓さんの待つ休憩所へと向かった。
卯月は終わるまで待つって言ってくれたけど、今日は先に帰ってもらうことにした。
side 卯月
「楓さん、凛ちゃんに一体何の用事なのかな?」
調子が悪そうだった凛ちゃんでしたが、楓さんが来たら少しいつもと同じに戻っていました。
それは嬉しいことなんですが、やっぱり2人のことが気になります。
未央ちゃんもいないし、久しぶりに1人で歩く346のエントランスはとても大きく感じて、
行き交う知らない社員さんたちの多さもあり、少し淋しくなってきました。
「うわあ!見ろよ加蓮、やっぱり大きいな!」
「ふふっ、奈緒ったら少しはしゃぎすぎ。子供みたい」
そんな中、入口から聞いたことのない声が聞こえてきました。
近づいてみるとこれもまた知らない制服を着た2人の女の子。この子たちもアイドル?
声をかけようかどうしようか迷っていたら、大きな声を出した子と目が合いました。
「島村卯月さんだよね?new generationsの!」
「は、はい。そうです」
「あたしたち昨日のライブ観に行ってたんだよ。理由あって途中で帰っちゃったけど」
「そ、そうだったんですか」
目を輝かせながら話してくれる女の子は、私たちのことを知っているようでした。
デビューしたばかりなのにこんなことがあるなんてすごく嬉しいです!
「あ、ごめんごめん。あたしは神谷奈緒。んでこっちは・・・」
「初めまして島村さん。新人アイドルになる予定の、北条加蓮だよ♪」
「新人さん、ですか?」
「そ、あたしたち昨日スカウトされたばかりなんだ。これからよろしくな、先輩!」
「あ、あわわわ!先輩だなんてそんな!」
笑顔で手を差し出されて握手をしましたけど、私だってまだまだ新人なのにどう返したらいいんでしょうか!?
「そうだ、渋谷さんに伝えてくれる?」
「え?」
突然、北条さんが真面目な表情になり、凛ちゃんの名前を出しました。
神谷さんの方はため息をついて私同様北条さんの次の言葉を待っています。
「今はまだ後ろにいるけど、あなたがそのまま止まってるならすぐに追いついて追い越すから、覚悟してねって」
「おい、加蓮」
「とりあえず宣戦布告、かな。もちろん、あなたにも負ける気はないから」
「は、はい・・・えっと、私も頑張ります!」
宣戦布告という言葉は怖かったですけど、そう言った北条さんは笑顔で手を差し出しました。
なので私も精一杯の笑顔で握手をします。
なぜかはわかりませんが、この2人とは今後も色々な形で付き合っていく、そんな予感がしました・・・
続く!
Pluto
歌:プルート(高垣楓 佐藤心)
あなたに遠く暗い 小さなこの星で
目覚めた時 周りには誰もいなかった
探しても見つからない 叫んでもこだまするのは私の声だけ
恐怖に怯え 寒い夜を一人で過ごす
何度朝を迎えても 目を開けても誰もいない
ある日私は空を見上げた いつもと変わらない空のはずだった
でもその日は違ったの 見つけた・・・あなたを
私のことが見えない? ならあなたが気がつくまで力の限り踊り続けるだけよ
私の声が聴こえない? なら声が続く限り叫び歌い続けるだけよ
ようやく見つけたあなたのために私は輝いてみせるわ
あなたに遠く暗い 小さなこの星で