楓さんの弟はクールで辛辣な紅葉くん   作:アルセス

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思った以上に早く完成した本編の続きです。
お陰でイベントが全く進まない!

これってクロスオーバータグ必要なんですかね?
完全に同キャラじゃないですが、必要だったらつけます。


第4章
紅葉くんと光の御子とアイドル


加蓮の真実

 

 

「先輩ごめんなさい!」

 

翌日1時限目の授業が終わってすぐ、加蓮が俺のところにやってきて頭を下げた。

 

ここ数日は謝ったり謝られたりの繰り返しだな。

特に加蓮に対して怒っていた訳でもないので、気にするなということと何があったのか説明を求めた。

 

すると周りに人がいる状況、特に加蓮の第一声でいつも以上に注目が集まっている状態では話しにくいのか、『ここではちょっと』ということで廊下に出ることにした。

 

「なんであたしもなんだ!?」

 

と言いつつ、素直に加蓮に手を引かれ連れて行かれる奈緒も一緒に。

 

 

 

「アタシね、渋谷さんに憧れてたの。彼女を目標に4月からやってたから、今の彼女は一体アタシよりどんなに前へ進んでいるんだろう……

それを確かめるためにもこの前のライブを観に行ったんだ」

 

そう話始めた加蓮の顔色は特に悪いという風には見えず、1日に休んで元に戻ったことを確認できて安心した。

だが話の流れからすると、やはり俺が最初に思っていた体調不良のために帰ったということではなさそうだ。

 

「だからあのライブを観て正直がっかりだった。もう見ていられなかった。アタシの目指す渋谷凛はあんなんじゃないって、だから……」

 

「それであの場から去っていったのか」

 

「……うん。本当にごめんなさい。せっかく誘ってくれたのに、勝手な理由で帰っちゃって」

 

「いや、さっきも言った通り気にするな。体調が悪くなったんじゃなくて安心した。それに凛に関しては俺にも原因がある」

 

「どうして先輩が関係あるの?」

 

「はぁ?紅葉、お前一体何やったんだ!?」

 

「……」

 

暗い雰囲気から一転、奈緒までも急に怒るような表情で詰め寄ってきた。

この圧迫感は以前の新田さんや緒方さんとは違うが、どうやら全て話さないと納得してもらえる状況ではなさそうだ。

 

凛のことに関しては、前川さんや莉嘉たちの件も話さないといけないため少し躊躇ったが、今までと違い恥ずかしいという感情はほとんどなく、いつも通りの感情で話すことができた。

 

それは、奈緒や加蓮……特に奈緒が俺が名前を覚えるのが苦手だったことに真摯に向き合ってくれたことが関係するのだろうか。

 

「なるほどな。じゃあとりあえずニュージェネはもう大丈夫ってことなのか?」

 

「ああ、次のライブは期待してもいいはずだ」

 

「ふぅん。ま、そうじゃないと倒しがいがないもんね」

 

「倒す?」

 

加蓮は凛と何か勝負でもしているのか?

ああなるほど、だから凛は加蓮の名前を出すと雰囲気が悪くなっていたのか。

 

「ちょ、加蓮!それはまだ言うなって!ていうか勝手に敵対すんな!」

 

「ん?奈緒は知っていたのか?」

 

「え?あ、いや、その……」

 

「ねえ奈緒先輩。まだ言うなって何のこと?アタシも詳しく知りたいなぁ♪」

 

「お・ま・え・なぁ!」

 

また加蓮が逃げ、奈緒が追いかけるといういつもの日常が目の前で繰り広げられる。

ちなみに加蓮は学校では奈緒を今まで通り先輩と呼ぶことにしたようだ。

確かに上級生に頻繁に出入りして相手を呼び捨てにするのはお互いにとっていいことではないか。

 

これで2人の方も解決したな……と思っていたが、先日の奈緒の調子が悪かった理由を聞きそびれていた。

 

そのことに気がついたのは放課後で、バイトのために急いで商店街に向かわなければならず、奈緒もホームルームが終わると一目散に教室から出たあとだった。

 

 

紅葉くんバイト開始!

 

 

 

「おじさん、今日からよろしくお願いします」

 

「来たかボウズ。よし、じゃあ裏に回って準備してくれ」

 

「はい」

 

いよいよバイトの始まりだ。

おじさんに挨拶をしたあと、迷うことなく裏手に回り扉を開ける。

 

東京に来てから何度かおじさんに魚の捌き方などを教わっていたお陰で、この辺は勝手がわかるからな。

 

ちなみに一度急いで家に戻り、制服からシャツとジーパンに着替えてきている。

最初の頃気にせず制服のままで教わっていたら、魚の匂いが取れずに大変な目にあったからだ。

 

置きっぱなしにしてある長靴を履き、エプロンをかける。

準備が出来たところで、店先にいるおじさんの元へ店の中から近づいていった。

そういえば商品が置いてあるここまで入るのは初めてだな。

 

「準備出来ました」

 

「んじゃボウズ……って言い方もよくねぇな。そういや互いに名前知らないんじゃなかったか?」

 

「そういえばそうでしたね」

 

すっかりおじさん、ボウズの呼び方が定着していたから忘れていたが、この人とは本当に自己紹介していなかったんだった。

だがある意味それでよかったかもしれない。

以前の俺だったら完全に名前を覚えていなかっただろうからな。

 

「高垣紅葉です。改めてよろしくお願いします」

 

「おう、よろしくな紅葉。俺はセタンタ。まあ、この商店街じゃセタで通ってる」

 

「セタンタさん。そういえばアイルランドの神話に同じ名前がありましたね」

 

「お?お前さんそっち方面も詳しいのか。俺は孤児でな。育ての親でもある師匠が名づけてくれたんだ。『神話に出る英雄のように強くあれ』ってな」

 

ある意味その師匠の望む通りになったのではないだろうか。セタンタさんは身長が高く、Tシャツの上からでもわかる引き締まった筋肉。

場所がここでなければ格闘家か何かと勘違いするだろう。

 

「では俺もセタ師匠と呼んだ方がいいでしょうか?」

 

「……ん、何だって?すまんがもう一度言ってくれ」

 

「せ、セタ師匠と……」

 

セタンタさんが俺をジッと見下ろし何やら考え始めた。

蛇に睨まれた蛙のように全く身動きが取れない。

何かまずいことを言ったのだろうか?

 

セタンタさんは商店街の人たちと同じように俺の生活の師だ。

バイトを始めるにあたっては上司になることだし、おじさん呼びにしない方がいいかと思ったんだが。

 

「悪くねぇ!今まで師匠と呼ぶことはあったが呼ばれることはなかったからな!」

 

「そ、そうですか」

 

どうやら気に入ってくれたようだ。

問題ないのなら威圧はやめてほしいと思うのは俺だけなのだろうか。

 

「よし、じゃあさっそく仕事を手伝ってもらうぞ」

 

「はい」

 

「紅葉はある程度魚の知識はあるからな。その辺はまあ大丈夫だろう。ってことで、まず最初にやるのは声だしと客の対応だ」

 

「わ、わかりました」

 

いきなり難問だな。

声を出すのも人と接するのも苦手な分野だ。

客商売のバイトを始める以上避けては通れないが、まさか一番最初にやることになるとは。

 

「まずは俺の手本をよく見ろよ」

 

「そこのお兄さん。今日は何がいいの?」

 

「へいらっしゃい!今日はアジがオススメだよお嬢さん!」

 

タイミングよくお客さんがやってきたが、お嬢さん?

どう見ても老人に見えるんだが・・・・・・

 

「やだもうお嬢さんだなんて!いいわ、それとそれくださいな」

 

「まいど!」

 

だが老人は喜んでおり、アジだけでなく鮭の切身も買って笑顔で去っていった。

師匠の方も今まで見たことない笑顔で手を振って見送っている。

 

「ま、ざっとこんなところだ。せっかく店に寄ってくれたお客さんだ。そのお客さんのお陰で俺たちは飯が食える。気分良く買って帰って貰った方がこっちとしても嬉しいし、向こうもまた来てくれるだろ?」

 

「確かにそうですね」

 

「だが変に下手に出るなよ?横柄な客にはそれ相応の報いを、だ。お客さんはあくまで客。自分は神様だなんてくだらないこと言ってる客は相手にしなくていい」

 

「は、はい」

 

それで大丈夫なのか?

だが、そうだな。相手に満足してもらえるような接客か。

人を褒めるというのはほとんど経験がないんだが、嘘を吐かずに相手の良いところを見つけて何とかやってみるか。

 

「夕方で客も少ないからここは俺1人でなんとかなる。お前はこれを持って練習がてら売り込みだ。ほらよっ」

 

「っと、こ、これを持つんですか」

 

「おうよ、さあ行った行った。何事も経験だ!」

 

店先に突き刺してあるのぼり旗。

それを引き抜き俺に投げつける師匠。

 

師匠よりもさらに長さがある青い布ののぼりには、赤で『大漁祭り』とかかれており、これを持って歩いたら目立つのは間違いない。

 

本当にやるのかと聞こうと思ったが、師匠はすでに次のお客さんにかかりきりであり、こっちを見ようともしなかったために仕方なく商店街を歩くことにした。

 

 

商店街を歩く紅葉くん

 

 

さて、何を言えばいいのか。

歩きながら呼び込みしようとしていたが、同じく商店街を歩く人も旗に一瞬目を取られるがそのまま通り過ぎてしまう。

 

たまに他の店先で俺への声援が聞こえるが、それはお客さんではなく店員さんの方だ。

 

立ち止まっている人に声をかけるべきか、そう考えていたとき、ちょうど同じように立ち止まっている2人組が見えた。

 

後ろ姿から片方は何かおろおろとして周りに話しかけているように見えるが、もしかすると何か商品を探しているのかもしれない。

魚を買ってもらうチャンスだな。

 

後ろ姿ではっきり容姿は分からないが、年齢はここでは珍しい若い女性だろう。

見たまま褒めて挨拶すべきか。

 

「すみません、そこのきれいな髪の声が可愛いお嬢さん。少しお話いいですか?」

 

・・・・・・今思ったんだが、店先じゃない場合ナンパと何が違うんだ?

 

「ふえっ!?あ、あたし?」

 

「あ、紅葉先輩」

 

「ん?加蓮か?」

 

逆に名前を呼ばれてその声に反応すると、そこには私服に着替えた加蓮がなにやらカゴを持って立っていた。

となると、俺が声をかけたこの少女は・・・・・・

 

「な、奈緒?どうしてここに」

 

「お、おま、い、今な、なななんて言った!?」

 

「きれいな髪の声が可愛いお嬢さんと言ったんだが、まさか奈緒だったとはな」

 

「は、はぁぁぁ!?き、ききき・・・・・・とか、か、かわ・・・・・・とか2回も言うなぁぁぁ!」

 

「自分で聞き返したんだろう」

 

「奈緒ずるーい!」

 

「キミが紅葉くんか。噂は色々聞いてるよ」

 

「・・・・・・あなたは?」

 

突然俺の前に現れたのは灰色の髪で赤い瞳のスーツを着た不思議な男性だった。

少し警戒して尋ねると、すぐに名刺を差し出してきたので確認する。

・・・・・・何だと?

 

「346プロダクションアイドル部門プロデューサー。鈴科行道」

 

「よろしくね。担当アイドルはキミも恐らく知ってる美嘉ちゃんと美穂ちゃん茜ちゃん。

それにここにいる新しくスカウトした加蓮ちゃんと奈緒ちゃんだよ」

 

「・・・・・・は?」

 

「あはははっ♪奈緒、思ったよりも早くバレちゃったね」

 

「うわ、うわあ、うわあああああ!」

 

理解が追いつかず改めて状況を確認しようとした矢先、奈緒が頭を両手で抱え動き回る。

加蓮と同じく持っていたカゴは地面に落ち、大量のポケットティッシュが道に散乱していた。

 

 

続く!

 

 




歌詞使用の条件はまだよくわかっていませんが、これなら奈緒と加蓮やその他アイドルの曲のオリジナル増やさなくても良さそうですね。

それにしても奈緒がセンターのトラプリ曲は名前どうなるんでしょう。
thrice?tripartite?

英語はさっぱりです!
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