楓さんの弟はクールで辛辣な紅葉くん   作:アルセス

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かなり短いですが、ここだけアスタリスクよりも紅葉くん関連の話になるので分けます。
次でアスタリスク回は最後。少し真面目な話になるかと。


個人的な話ですが、メモリアルガシャ天井でようやく温泉李衣菜をお迎えできました。
楓さんと奈緒。そして李衣菜が担当なので嬉しい限りです。

それと、あえて見てなかった温泉李衣菜のセリフを今回初めて見ました。

「紅葉って、ロックだ・・・・・・」
このセリフは運命!?


紅葉くんと*(Asterisk)の数日間(中編)

3日目その2

 

 

「ちょっといいか。調子に乗るというのはどういうことだ?」

 

「え?」

 

3人の男子が集まっていた席へと向かい、先ほどの言葉を発した生徒へ話しかける。

向こうは驚いたような表情をした後視線を俺から外し、こちらの質問の答えを考えているのかはわからないがしばらく黙ったままだ。

 

休み時間だというのにも関わらず、沈黙が教室全体を支配する。

それだけでなく、横目に周囲を見る限り視線も俺たちに集まっているようだ。

 

思えば高校に入って友人以外に自分から話しかけたのは初めてではないだろうか。

それ以前に周りの行動も会話も特に興味がなかったので、目の前の彼の名前すら覚えていな・・・・・・いや、クラスで覚えている名前は2人だけか。

 

相変わらず他の2人も含め黙ったままだ。

俺の声は特に大きいわけじゃないからな。もしかすると聞こえなかったのかもしれない。

それなら聞き返せばいいだけという気もするが、俺が逆の立場なら無視していた可能性もある。

改めて話しかけることで答えを促したほうがいいだろうな。

 

「もう一度聞くぞ。俺が調子に乗っているとはどういうことなんだ?詳しく説明してくれないか?」

 

「ひっ・・・・・・」

 

「うわぁ・・・・・・こっちから見えないけど絶対睨んでるよなぁ。声もいつもより低くて完全にお兄様だ」

 

後ろから奈緒の声が聞こえてきた。

別に睨んでいるつもりはないが、相手は座っているので俺が見下ろす形になっている。

そうなると目つきが悪い分普通にしていても良い印象は与えないかもしれないか。

 

しかし相変わらず奈緒からたまに出るお兄様の意味がわからない。

俺は兄ではないんだが・・・・・・

 

話す気がないなら仕方ないか。

これ以上教室内の空気を悪くしても余計クラス外の加蓮と前川さんの居心地が悪くなるだけだ。

もう一度何か言ってきた時に改めて聞くとしよう。

 

「た、高垣。いつも城ヶ崎さんに話しかけて貰えるからっていい気になるなよ。彼女は皆に優しいんだからな!」

 

「ん?」

 

「そ、そうだそうだ!」

 

謝って場を去ろうと思った矢先、残り2人が話しかけてきた。

なるほど、つまりクラスメイトでありアイドルであり人気もある美嘉と話をしたいが、俺と話すことが多いからその機会がないということか?

 

それでなぜ調子に乗るのかもいい気になるのかもわからないが、原因がわかったのならやることは簡単だ。

 

「美嘉、ちょっといいか?」

 

「え?な、何高垣くん」

 

「ちょ、おま・・・・・・」

 

話したくてもタイミングがないなら今作ればいいだけだ。

最初に調子に乗るなと言った男子が慌てているようだが、特に問題はないだろう。

 

こちらへとやって来た美嘉に状況を説明して、あとは彼女に任せればいいはずだ。

 

「この3人、どうやら美嘉に話があったらしい。俺たちが普段よく話をしていたから話しかけるタイミングが掴めなかったようだ」

 

「え、そうなの?そういえば3人と話すの久しぶりだよね★アタシに話って?」

 

「あ、いや、その・・・・・・」

 

「え、えっと・・・・・・良い天気ですね」

 

さっきより3人の表情がやわらかくなった気がするな。

全く話は出来ていないようだが、美嘉は久しぶりに話すと言っていた。

もしかするといつもこんな感じな会話なのかもしれない。

 

「うわ、さすが先輩・・・・・・」

 

「やっぱり紅葉チャンに口で勝つのは無理な気がするにゃ・・・・・・」

 

加蓮と前川さんが呆れた表情でこちらを見て何か言っている。

間違ったことはしていないと思うんだが、なぜあんな顔をしているのか。

 

ああ、さっきの話で唯一理解できることがあったな。

そこだけは同意しておいたほうがいいだろう。

 

「ちなみにさっきの話だが」

 

「な、なんだよ!」

 

「美嘉が優しいのは当然知ってる。1年の時からクラスに馴染んでいない俺に話しかけてきてくれたからな。

美嘉だけでなく奈緒もそうだ。俺は友人に恵まれていると実感しているよ」

 

「高垣くん・・・・・・ちょっと理由は違うんだけどありがとう」

 

「お、おい。あたしまで巻き込むなよ・・・・・・まあ、なんだその。あり、がとう?」

 

「高垣、借りだなんて思わないからな」

 

「ん?よくわからないが別に何も貸していないから安心しろ」

 

最初の男子が俺を睨みつけてそう言った。

クラスメイトと話すのに借りも貸しもないだろう。

今後は自分から話をすればいいだけなのだから。

 

だが今後もこういった状況になるとも限らないし、また彼と話す機会があるかもしれない。

その時話を円滑に進めるためにも名前は覚えたおいたほうがいいだろうか。

 

「そういえば、お前の名前は?」

 

「なっ!?お前!1年の時から同じクラスなのに本気で言ってるのか!?」

 

「・・・・・・そうなのか?」

 

「あ、あははは・・・・・・うん」

 

美嘉に確認すると、どうやら彼の言ったことは正しいらしい。

つまり去年から何かしら言い分があったのを俺は無視していたわけになる。

これはやはり俺に問題があったか?

 

「も、杜崎だ!一度しか言わないからな!」

 

「ああ、杜崎。今回は悪かった。今後もクラスメイトとしてよろしく頼む」

 

「あ、ああ」

 

あとはまだ沈黙している周囲に空気だが、原因が俺にあるのだしこのままにしておくのはまずいだろうな。

複数人へ話すのも師匠のバイトのお陰で少し慣れてきている。

あの商店街で買い物をする親がいる生徒もいるかもしれないし、あの魚屋のバイトは問題が・・・・・・等といった噂を立てられたら師匠にも迷惑がかかる。

全員に謝っておくべきだろう。

 

「皆、場の空気を悪くしてすまない。残り少ない1学期だがこんな俺をよろしく頼む。それと、何か問題があったら遠慮なく言ってくれ」

 

最近師匠から教わった営業スマイルというものを実践し、謝罪の気持ちを言葉で表して頭を下げる。

自分の席へと戻ると、そこにいた美嘉以外の3人の口が空いたままだ。

また何かまずいことでも言ったか?

そういえばまだ沈黙が続いている気がするんだが、やはり俺に笑顔は無理だったのだろうか。

 

キャー!!

 

突然周囲から高い声がいくつも上がった。

何だ?これは悲鳴か?

 

「やっぱり高垣くんってかっこいいわよね!」

 

「あ、私三井って言います!よろしくね!」

 

「ちょっとずるいわよ!私は喜多山。覚えてね♪」

 

「一条だ」

 

女子を中心とした複数人が急に集まってきた。

もしかすると杜崎のように去年から同じクラスだった生徒もいるのかもしれないが、全く覚えていない。

が、こう直接言われては覚えないわけにはいかないだろう。

また俺が原因でアイドルであり、友人であるこの4人を嫌な気持ちにさせるわけにはいかないのだから。

 

『・・・・・・』

 

だがおかしい。

笑顔で話しかけてくクラスメイトたちと逆に、4人の表情どんどん険しくなっているように見えるのだが・・・・・・気のせいだろうか。

 

 

続く!

 

 




あえてお兄様混ぜましたが、漢字は別にしてあります。
一人だけおかしいのがいましたけど・・・・・・

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