アンケートの結果も踏まえ、タグにクロスオーバーを入れました。
そして今までは基本アニメの地域に準じていましたが、合宿地はクロスオーバーとオリジナルを入れようと思います。
この場所変じゃない?と思う部分も出るかもしれませんので注意を。
大阪公演行きたかった!
紅葉くん合宿へ!
福井県夏木市
そこが俺たちの目的地であり、シンデレラプロジェクトのメンバーが既に合宿を始めている場所でもある。
海と山に囲まれた自然豊かな都市で、市の中央を分断する大きな川に架かった夏木大橋から東側が駅や港がある新都。
西側が俺たちの宿泊先がある昔ながらの住宅街だ。
一見どこにでもある普通の街のようだが、観光地としてもそれなりに有名らしい。
1つは海水浴や登山に訪れる人。そして2つ目は夏木大橋を見に来る人。3つ目は郊外にある古城見学だ。
夏木大橋はかなりの大きさで頑丈にできており、今までどんな災害が起こってもヒビ1つ入っていない。
なんでも20年ほど前に大火事があったらしいが、その被害も橋の前で止まったという。
そして3つ目の古城は歴史的建造物ではないがそれなりに有名で、写真を見たとき俺も確かに見覚えがあった。
"ブランツベルン城"という名の通り、いつ建てられたのかもわからない西洋の城というのも人気の秘密だろうか。
そしてここは5年ほど前から心霊スポットとしても密かに人気があり、最終入館時間を過ぎた夜にひっそりと明かりが……
「ひっ!?ちょ、や、やめろよ紅葉!急に怪談みたいにするなよな!」
「そんなつもりはなかったんだが」
「わ、わわわ私はこここ怖くないわよ?」
「……姉さん、それなら腕に思い切り抱きついてくるのをやめてくれないか?地味に痛いんだが」
「楓さんに抱きつかれて嫌そうな顔するのは先輩だけだよねー。送信っと」
「待て加蓮。今撮った写真を誰に送ったんだ」
「え?凛と奏だけど?」
「凛はともかく奏はやめてくれ。俺の命が危ない。そもそもいつの間に奏と仲良くなったんだ」
「うーん、ジャーマネは青春を満喫してるねぇ。んじゃはぁとも、いやーんこわーい☆」
「どうしてしゅがはさんまで抱きつく必要があるんですか」
あれから3日後の朝。
俺たち5人は一緒に合宿地へと向かうため新幹線に乗っていた。
奈緒たちの知名度はほとんどないためそのままだが、姉さんだけは多少変装をしている。
だが女性5人がこう騒いでしまうと、知る知らない関係なしに目立ってしまう気がするな。
夏木市の説明の発端は奈緒。
プロジェクトが泊まる民宿が高台にあり、かつて寺があった場所だという。
そこには風水でいう龍脈が走る場所と言われているらしく、精神集中や訓練にもってこいの場所なんだとか。
その後に加蓮から他に何か面白い場所はないか?という質問が出たため、念の為に行き先を調べていた俺が説明を始め今に至る。
紅葉くんとスウィーティー2
「とうちゃーく!はぁ……腰にくるわ~」
「ふふっ♪心さんは少し休んでいて下さい。紅くん、バスの時間見てくるわね」
「ああ」
「ねえねえ奈緒。売店見に行こうよ」
「着いたばかりでおみやげは早……って、行っちゃったよもう。悪い紅葉、加蓮の面倒見てくる」
「わかった」
何度か乗り継ぎを繰り返し、ようやく夏木市へ着いた頃にはすでに昼になっていた。
東京とさほど変わらない気温なため、この時間日差しのあるところではかなり暑い。
ハンカチで汗を拭くしゅがはさんとともに、近くの木陰のベンチに腰を下ろすことにした。
「お茶です、どうぞ」
「お?ジャーマネは気が利くねぇ。……ぷはぁ!生き返るわ」
美味しそうにお茶を飲んでいるしゅがはさんを見て、聞いてみたいことがあったのを思い出す。
姉さんはいないしちょうどいいかもしれないな。
「しゅがはさん、少し聞きたいことがあったんですが」
「なになに?まさかはぁとのスリーサイズとか?いやん、こんなところでだ・い・た・ん☆」
「いえ、そんなのはどうでもいいんですが」
「ひどっ!」
「姉さんとのユニットのことです。曲がどんなものかはわかりませんが、しゅがはさんの納得のいくものなのかと」
「うーん、真面目な話っぽいね。はぁとが納得いくかどうか、かぁ」
初めてしゅがはさんに会った時、しゅがはさんはエキストラであっても自分を輝かせることに一生懸命だった。
エキストラというものが自分が思っていた役と違うのではと錯覚するほどに。
そのしゅがはさんが急に他の、"アイドルとして"は正反対の姉さんとユニットをいきなり組むことになり、自分を出すことが出来るのかどうか。
「まあいきなりジャーマネにスカウトされて、ほとんどレッスンしないままユニットデビュー!相手は今話題の高垣楓で、しかもあの有名なサマーフェスに出場!
これで文句言ったらバチが当たるけど、確かにはぁとが目指すアイドルとはちょっと違うかなって思ったり思わなかったり?」
「そうですか……」
「でもね、それだけ。たったそれだけなのよ」
「え?」
しゅがはさんが俺を真正面からじっと見る。
その顔はいつもの何を考えているかよくわからない表情とは違い、真面目な、大人の女性といった表情だ。
「楓ちゃんがね、Plutoは私の気持ちにそっくりな曲だって言ってたんだけど、実ははぁとにも当てはまるんだ。だから、この曲を精一杯歌ってきっと次に繋げてみせる。
はぁとを知らない人がいるなら気づかせるだけ、声が聴こえないなら歌い続けるだけ。だから安心してジャーマネ。あなたがくれたこのチャンス、きっとはぁとのものにしてみせるから!」
「わかりました。俺に出来ることは何もないとは思いますが、何かあれば遠慮なく言ってください」
きっとしゅがはさんには思うところが色々とあったのだろう。
だが全て自分で克服して今度のフェスを目指し全力でレッスンを続けている。
子供の俺が心配するようなことは何もなかったようだ。
「おっと、らしくない真面目な話してお茶も飲みすぎたからちょっとまずい状況に。お花摘みに行ってきまーす☆」
「は、はぁ」
そう言って駆け出すしゅがはさんは、いつもの様子に戻っていた。
紅葉くんに幸運を
しゅがはさんもいなくなり、姉さん含め中々戻ってくる様子がない。
そもそも待ち合わせ場所も決めていないのでどこにいればいいかわからないが。
「ねえあなた、この辺の人?」
「ん?」
不思議な気配と同時に、誰でもなく自分が呼ばれた気がして振り返ると女性が立っていた。
日差しから守るためか真っ白な服の袖は腕まで隠しており、健康とはあまり思えない同じく白い顔はその金色の髪で余計目立つ。
どことなく気品に溢れ、その深紅の瞳はとても興味深そうに俺を見ていた。
「いえ、東京から来ました。宿泊のチケットが当たったので」
「ふぅん、そうなんだ。昼間はあまり得意じゃないんだけど、たまには下界へと足を運んでみるものね」
女性はゆっくりと近づき、下から上へと俺を観察する。
「綺麗な瞳をしてるね。それにあなた、とっても美味しそう」
「……あなたの瞳も綺麗だと思いますが」
「ふふっ、正直ね。ちょっと自慢なの。一昔前なら"魅了の魔眼"なんて呼ばれてたかも」
「……」
その瞳をじっと見ると、なぜだか吸い込まれそうになる。
身動きが出来ず瞳からも離せず、ゆっくりと彼女の手が俺の顔に近づいてくる。
だが一瞬我に返り瞬きをした後、一歩後ろに下がって視線を外した。
「あら、あなたには効かないみたい。本当に面白いね」
「お嬢さま。車の用意が出来ました」
「……残念、また会いましょう♪」
離れたところからまた1人女性が現れ、金髪の女性に声をかけた。
笑顔で手を振る女性とは違い、後から現れた黒髪の女性は俺を睨みつけているかのようだった。
続く!
一体どこのお嬢さまが現れたのか……
次はCPと合流するところまでは書きたいですが、合宿編は思いつきによっては長くなるかもしれません。