楓さんの弟はクールで辛辣な紅葉くん   作:アルセス

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すいませんかなり遅れてしまいました。
理由(言い訳)は後書きで。

加蓮のシンデレラガールSRの特訓後が、以前話したアニメーション作れたら~の時の想像通りになって少し感動しました。


It's about time to become Cinderella girls!(前編)

憂いを断つ紅葉くん

 

 

346プロのサマーアイドルフェスもいよいよ間近に迫ってきた。

 

合宿の日に思ったよりあっさりと自分の願いが通った俺は、あれから何度か346プロダクションへ足を運び、ミーティング等にも参加している。

 

突然見知らぬ高校生が加わることに多少戸惑いを見せる同年代のバイトスタッフだったが、俺の名前を聞いた途端皆納得したような表情を見せた。

ここでもやはり、姉さんの名前が大きいということだろう。

 

だが他のスタッフと違い鈴科プロデューサーの下につき、主に雑用をやることになったので、シンデレラプロジェクトの方を気にする余裕はあまりなさそうな印象を受けた。

だがやはり気になっていた部分があったので、休憩時間に武内プロデューサーを見つけ話をしてみた。

 

「気になる部分って?」

 

現在は早朝。

まだ人がいない公園で、奈緒と一緒に入念なストレッチをしている加蓮が疑問を投げかける。

約束通り東京に戻ってきてから一緒にランニングをしている加蓮は、最初こそ息が切れるのが早かったが、このところは大分余裕が感じられる。

 

たまに今日のように奈緒や話を聞いた美嘉、それといいと言っているのに一緒に来る姉さんも同じように走ることがあった。

が、朝とはいえさすがに人気アイドル2人を含めた数人で街中を走るのは目立ちすぎだ。

 

美嘉の方には申し訳ない気持ちはあったが、3度目で合同の早朝ランニングをするのを断った。

 

「新田さんのことだ。責任感が強すぎるのではと思ってな。

プロジェクトで一番年齢が上だという理由もあるだろうが、合宿でまとめ役を任されてからそれが顕著に現れているように感じたんだ」

 

「……確かに。今思えば、合宿中必要以上に皆の様子を気にしてたかな。凛から聞いたんだけど、合宿が終わってからもよく皆と話すようになったって」

 

「奈緒も聞いていたか。俺も凛から同じことを聞いた。プロジェクト全体のことを考えれば良いことなのかもしれないが、そうなると新田さんのフォローには誰が回る?」

 

「えっとそれは……あ、だからプロデューサーに?」

 

「ああ」

 

俺の2人への問いに加蓮が真っ先に答える。

その言葉に奈緒も遅れて、俺が何を言いたいのか理解したようだった。

 

「新田さんだって皆と同じ新人なんだ。そして今回のライブはデビューの時とは人数も規模もかなり違う。いくら年齢が上とは言え、緊張も不安もないわけがない」

 

この件に関しては同じプロジェクトの凛の言葉もあるため、俺の勘違いというわけではないだろう。

そして本人に無理をするなといっても、恐らく『大丈夫』という答えしか返ってこないはずだ。

その点を踏まえて、プロデューサーさんに特に新田さんのことを気にして見て欲しいということと、出来れば負担を減らして欲しいということを伝えた。

 

俺の話を聞いたプロデューサーさんは、どうやらそこまで考えが回っていなかったようだった。

ライブを間近に控えほとんどメンバーと会う機会もなかったらしく、状況を把握できていなかったことに対し謝られてしまった。

 

新田さんに関しては、プロデューサーさんはもちろんのこと、以前莉嘉を探していた時に挨拶した事務員の千川さんも協力してくれるということで話が決まった。

同性の大人の女性がフォローしたほうが、新田さんも無理をし過ぎず自分のことにも時間を使えるようになることだろう。

 

 

 

『ねえ、あれって』

 

『やっぱり……』

 

『声かけて……』

 

 

「ん?」

 

俺たちと近い年齢だろうか。公園から家へ戻る途中、たまにこちらを見て話をしている人たちがいくつか見受けられた。

それはどこか姉さんや美嘉が一緒にいた時に近い雰囲気で、俺に何か問題があるようには感じられない。

となると、この視線は2人に向けられたものか?

 

「もしかすると2人のファンじゃないのか?今までの活動が成功しているみたいだな」

 

「いやいや、あれは違うだろ」

 

「アタシもちょっとだけ悔しいけど、先輩なら仕方ないか」

 

「どういうことだ?」

 

「お前、本当に何も知らないの?みくたちの特集してた雑誌に載ってたじゃん」

 

「……誰が?」

 

「紅葉がだよ!」

 

「は?」

 

「え、先輩本当に何も知らないの?インタビューも受けてたじゃない」

 

「インタビュー……ああ、あれがそうだったのか」

 

確かに*(Asterisk)のデビューライブの後、関係者と思われる人からいくつか質問をされた記憶がある。

特に変わったことを聞かれたわけではなかったはずなので、完全に忘れていたんだが。

 

「じゃんけん大会の優勝者が話を聞かれる。そういうことじゃなかったのか」

 

「どこの世界に、地域のじゃんけん大会の話を大きく取り上げるアイドル雑誌があるんだよ……」

 

「たぶん、事務所内の休憩所とかにまだあの雑誌あるんじゃない?先輩、今日は事務所に用はないの?」

 

「いや、ミーティング等の用はないんだが、姉さんに昼食を一緒にと言われてな。あとから行くことになった」

 

とりあえずライブが終わるまでは関係者ということになっているらしい。

社内の一部を自由に行き来出来る許可証も貰っており、それを聞いた姉さんに、自分に外での仕事がない場合昼食を一緒に食べるようにお願いされた。

 

特に断る理由もなかったので承諾し、食べる場所はいつも前川さんたちが立て篭ったカフェでと決まっている。

 

「雑誌の件はどうでもいいとして、そういえばもう1つ気になることがあったんだ。お前たちは知っているか?」

 

「どうでもよくはないだろ……まあいいや。で、もう1つって?」

 

「フェスのセットリストの件だ」

 

「何か気になるところあった?アタシたちもリハーサルはしてるけど、特に何も気付かなかったよ」

 

曲自体には何の問題もない。というか、俺が口を挟める問題ではない。

姉さんや美嘉たちが歌う『お願い!シンデレラ』から始まり、何人か入れ替わりで次の『ゴキゲンParty Night』という曲を。

そこから日野さんがソロ曲を歌って、続くようにそれぞれのアイドルがソロ曲を歌う。

 

奈緒と加蓮が登場するのは中盤で、その何曲かあとにシンデレラプロジェクトの曲が蘭子からスタートする。

姉さんの『こいかぜ』は終盤で、続けてしゅがはさんとのユニット曲である『Pluto』が披露される。

 

曲の合間にいくつかMC部分があり、奈緒たちの後や姉さんたちの後にも入っているんだが……

 

「美嘉とお前たちのMCの内容は、以前の凛たちが美嘉のバックダンサーをした時みたいなものか?」

 

「うん、多分そうだと思う。アタシたちが新人アイドルだってことの紹介だね」

 

「うぅ……考えたらまた緊張してきた」

 

「もう奈緒ったら。またそんなこと言って」

 

急に腹を押さえ弱気な声を出す奈緒に、加蓮が苦笑いで応じる。

話を聞く限りでは、何度も同じことがあったのだろう。

 

「話の内容は決まっているんだろう?」

 

「そ、そうだけどさ。それだけじゃないっていうか」

 

「どういうことだ?」

 

「実はね。アタシたちのデビュー曲のことにも触れることになったの。スクリーンに大きく名前と曲名が出るみたい」

 

「すごいじゃないか」

 

「そうだよ!すごいことなんだよ!だから余計に緊張してるんだよ!」

 

「そ、そうか」

 

当事者ではない俺には緊張の理由がよくわからないが、本人には一大事なんだろう。

2人なら何があっても大丈夫だとは思うんだが。

 

「何度かリハーサルやダンスを見てきたが、以前のような問題は見られなかった。

奈緒は周りをよく見て活き活きと動けるようになっていたし、加蓮は体力がついたお陰か、かなり余裕が感じられたからな」

 

「でしょ?先輩的にももう合格点なんじゃない?」

 

「ああ。体力に関してなら加蓮はもう姉さんを超えているな」

 

「それって素直に喜んでいいの?アタシ、楓さんの体力に関しては全くわからないんだけど」

 

「で、紅葉が気になってるのはあたしたちのMCのことだったのか?」

 

「いや、MCのことには違いないんだが」

 

それぞれの曲の合間のMC欄には、誰がその場で話をするのか名前が書いてあった。

基本的にはその曲を歌ったアイドルや、次に歌うアイドルがMCになっていて、例外があるとすればシンデレラプロジェクトだろうか。

ユニット曲を最後に歌う*(Asterisk)が蘭子の曲の次にMCを行い、*(Asterisk)の曲の次を莉嘉が務めることになっている。

 

そして問題はPlutoの曲の後のMCだ。

名前の欄には、高垣楓 佐藤心  そして???となっている。

 

「姉さんたちのところの???っていうのは何なんだ?ライブ用語か何かか?」

 

『……』

 

「ん?」

 

並んで歩いていた2人が急に立ち止まったために振り返る。

お互いにしか聞き取れない小さな声で、何か話しているようにも見えるが、俺の視線に気づくと慌てて目をそらした。

 

「さ、さあ?あ、あたしたちも新人だし?業界のことは詳しくないっていうか?」

 

「本番になったらわかると思うよ。先輩は気にせずに、今まで通りでいれば大丈夫だよ」

 

「そうか」

 

その後沈黙が続き、それぞれ別れて家へと帰る。

昼間になって姉さんにも聞いてみたが、2人以上に目が泳ぎ声が上ずっていて全く話にならなかった。

 

「だ、だだだだ大丈夫よ。お姉ちゃんに任せなしゃい!」

 

「不安しかないんだが……」

 

 

 

 

 

 

紅葉くんと*(Asterisk)の後日談

 

 

場所は変わり、シンデレラプロジェクトルーム。

それぞれのアイドルが自由にくつろいでる中、ソファーに座っているみくの手はわなわなと震えていた。

 

「うにゃぁぁぁ!やっぱり納得いかないにゃ!」

 

「また?一体今日で何度目なの?」

 

対面に座っている李衣菜は、みくの叫びを聞いて呆れ顔でため息を吐く。

他のアイドルたちも一瞬みくの方を見たが、事情を聞く者が1人もいないことから、慣れていることが分かる。

 

「やっぱりみくたちより紅葉チャン目立ってるにゃ!」

 

何度読み返したかわからないほど、皺だらけの雑誌を勢いよくテーブルへと叩きつける。

*(Asterisk)のデビューライブのあとに初めて載った雑誌ではあるが、みくが問題にしているのはそこではなく、そのページでもなく、その次のページだ。

 

「それは確かに否定はしないけど。別にいいんじゃない?」

 

「全然よくないにゃ!」

 

みくが叩きつけたそのままの状態の雑誌を、李衣菜が手に取った。

当然彼女も自分たちのページとこのページを何度も見ているが、みくと同じような感情は全く出てこない。

 

「噂の弟現る。人気アイドル高垣楓の弟は実在した!か」

 

改めて確認するように李衣菜が声に出して記事を読み上げると、目の前から悔しそうな声が聞こえた。

 

そのページに写っていたのは紅葉であり、じゃんけん大会で司会から賞品を受け取った場面と、夏祭りの取材をしていた記者からインタビューを受けている場面が大きく掲載されていた。

 

以前の楓と瑞樹のラジオの内容にも触れており、オッドアイや容姿のこと、突然のインタビューにも冷静に対応する部分の評価や、楓の料理を毎日食べられて幸せだという、記者の個人的な感想など1ページに渡って紹介されている。

 

「あれ?そういえば、紅葉くんって料理出来たんじゃ。合宿の時だって……」

 

「みく、今度こそ絶対負けないからね!」

 

「一体何の勝負してるのさ」

 

こんなことが日常的に行われていることなど紅葉は知らず、たまにみくに会った時の敵対するかのような視線にも全く気に止めないまま、いよいよサマーフェス本番が始まろうとしていた。

 

 

続く!

 

 

 




先月の月末から休みの日の日課は、観てなかった異世界転生アニメを観ることでした。

このすば、オーバーロード、幼女戦記は視聴済みだったのですが、慎重勇者や盾の勇者はまだだったので……

で、今更初めて観たリゼロにはまりました!
Web小説も読み始め、7月中ずっと読んでました。
でもまだまだ終わらない……


ちなみにリゼロで一番好きなキャラはエミリアでもレムでもなく、ユリウスです!
そして2番目がヴィルヘルムとなっております。
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