楓さんの弟はクールで辛辣な紅葉くん   作:アルセス

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次の話の最後に入れようと思ったのを先に書いてコミュ扱いにしました。
この話はこの方がいいかなと。

コミュなので文章形態は前のコミュと同じになります。

真面目に書き始めれば投稿間隔早いのにサボってできない作者です。


アイドルコミュ『"あたし"と"アタシ"の6月14日』

───会議室

 

広い空間の中いるのはたったの3人である。

前に立ち、他の2人を真面目な顔で見ている鈴科プロデューサー。

 

そして、そんな普段とは違うプロデューサーにただならぬ雰囲気を感じた奈緒と加蓮は、黙ってプロデューサーの言葉を待っていた。

 

鈴科P「今日ここに来てもらったのは、まだ他には知らせることの出来ない内容だからだ。

2人も話すとしても親兄弟までに留めてくれ」

 

奈緒「な、なんだよ急に真面目な顔して。何かやばい話なのか?」

 

加蓮「アタシたちそんな失敗してないよね。怒られるとかじゃないと思うんだけど」

 

鈴科P「ちなみに最初に聞くけど、2人とも漫画やアニメってよく見る方?」

 

奈緒「いきなり何の話だよ。ま、まあ……ひ、人並みには?そこそこ?」

 

加蓮「アタシも全国的に有名なやつとか、漫画はたまに買ったりするよ。アニメは今はあまり見ないかな」

 

鈴科P「そっかぁ残念。じゃあライトノベルは読まないかな」

 

加蓮「ライトノベル?小説なの?」

 

鈴科P「そうだね。若者向けに作られてる挿絵なんかが多い小説ってところかな」

 

奈緒「ふ、ふーん。ラノベね。あたしも詳しくないかなぁ、あ、あはは……」

 

鈴科P「(知らない人はいきなりラノベって略さないけどね)」

 

加蓮「ねえプロデューサー。それで、その小説とこの話し合いと何の関係があるの?」

 

鈴科P「ふっふっふー!喜んでくれ2人とも!それぞれソロデビューが決まったぞ!」

 

奈緒・加蓮『え?』

 

鈴科P「と言ってもまだ何時になるかは未定なんだけどね。何しろ映画化が決まったばかりだしさ」

 

奈緒「ちょ、ちょっと待って!一体何の話?映画ってなんなの!?」

 

加蓮「アタシもさっそく話についていけないんだけど。きちんと説明してくれる?」

 

鈴科P「うん。今月初めのキミたちの初仕事は覚えてるかな?」

 

加蓮「もちろん。奈緒がナンパされたティッシュ配りだよね」

 

奈緒「おい加蓮!」

 

加蓮「あ、ごめん間違えた。本当のこと言われただけだった」

 

奈緒「お・ま・え・なぁ!」

 

鈴科P「その奈緒ちゃんがナン……はいいとして、あの時の2人の仕事を見てから、知り合いの監督に連絡したんだ。

確か今後製作予定の映画がほとんどまだ何も決まってないって聞いてたからね」

 

奈緒「も、もしかして。その映画の主題歌・・・・・・とか?」

 

鈴科P「奈緒ちゃん正解!」

 

加蓮「すごいすごい!どんな映画なの?」

 

鈴科P「そこでさっきのライトノベルだよ。あるライトノベルがアニメ映画化するんだ。タイトルは『絆物語』」

 

奈緒「!!!!!!

 

加蓮「ふーん。結構わかりやすい名前だね。奈緒は知ってる?」

 

奈緒「…………ぁぁ

 

加蓮「だ、大丈夫?何か震えてるけど、もしかして嫌いな小説だったり?」

 

奈緒「……おい、加蓮。今何て言った?

 

加蓮「き、嫌いな小説なのって聞いたんだけど。本当に大丈夫?目が虚ろというか何というか」

 

 

 

 

 

 

奈緒「嫌い?絆物語を?誰が?あたしが?冗談っじゃない!あの小説を読んでラノベの世界を知ったんだ!楽しかった!世界が変わった気がした!そのお陰で他のラノベを読みまくって紅葉と話すきっかけにもなったんだ!いいか加蓮、一度しか言わないからよく聞けよ?あたしは絆物語が超・大・好き・だぁ――――っ! 愛していると言ってもいいね!もしそれでもあたしが絆物語を嫌いだって思うようなら、まずはそのふざけた幻想をぶち壊す!!」

 

加蓮「あ、はい。すみませんでした奈緒先輩」

 

鈴科P「と、とんでもないものを目覚めさせてしまった気がする」

 

奈緒「はぁ……はぁ……はっ!?あたしは一体何を?」

 

加蓮「安心してください。何もなかったですよ奈緒先輩」

 

奈緒「おい、どうして目をそらすんだ」

 

鈴科P「と、とにかく。絆物語の映画は2本同時上映でね。要するに2人にはそれぞれの主題歌を歌ってもらうことになる」

 

奈緒「ふ、ふーん。まあいいんじゃないの?」

 

加蓮「(今更すぎるよ奈緒……)」

 

鈴科P「前に録ったサンプルの歌声が監督と原作作家さんのイメージぴったりだったみたいでね。まずは奈緒ちゃんが第一部『始まりの遺跡船篇』を』

 

奈緒「う、うん。いきなりで実際ソロデビューって言われていまいちピンときてないけどな(やった!映画化は知ってたけどまさかあたしが!くぅぅぅぅ!)」

 

鈴科P「曲名だけは決まってるんだ。曲の名前は『君の知らない物語』」

 

加蓮「じゃあアタシが第二部?」

 

鈴科P「うん。加蓮ちゃんは第二部の『吸血鬼誕生篇』を」

 

奈緒「へぇ、第二部でもうそこ持ってくるのか。……いや、最初にインパクトを与えるのはありか?」

 

鈴科P「ご、ごめん。俺も内容は詳しく知らないんだ。加蓮ちゃんの曲の名前は『蛍火』」

 

奈緒「確かに加蓮の歌声って惹きつけられるからなぁ。誕生篇……過去の話で主人公の恋人が死んでしまう悲しい話のあとに加蓮の歌声はインパクトあるぞ」

 

加蓮「あ、ありがとう?奈緒の歌声だって惹きつけられるじゃない。物語の始まりにぴったりだと思う。皆注目するよ」

 

奈緒「そ、そう?えへへ」

 

鈴科P「ちなみにキャストのオファーも来てるんだよね。誰をやるか決ま「プロデューサー」って……ん?」

 

奈緒「それはダメだ」

 

鈴科P「え?」

 

奈緒「声優はやらない」

 

加蓮「どうして?せっかく好きな映画に出られるのに」

 

奈緒「好きだからこそ、だ!あたしたちは演技の訓練はしてないし、付け焼刃でどうにかなるもんじゃない。アニメの声優は素人が簡単に手を出していい領域じゃないんだ。棒演技で映画をぶち壊してしまったらファンに申し訳ないし、あたしはあたしを一生許せない」

 

加蓮「そ、そうですか。重ね重ねすみません、生意気な事を言って」

 

奈緒「だからどうして敬語になるんだよ!」

 

鈴科P「ま、まあこれは無理強いしないよ。ちゃんとした理由があるならこの話はなかったということで。加蓮ちゃんは?」

 

加蓮「アタシもいいかな。今はダンスとそして歌に集中したいし。中途半端になるのは嫌だもんね」

 

鈴科P「よし、じゃあこの話はこれでお仕舞い。くれぐれも内密にね。それじゃ、お疲れ様」

 

奈緒・加蓮『お疲れ様でした』

 

 

───帰宅途中

聞いてもいないのに加蓮へ絆物語の好きなシーンを語る奈緒。

最初は話半分で聞いていたが、楽しそうに話す奈緒見て考えが変わる加蓮。

 

奈緒「でさ、主人公の仲間の話も良いんだよ」

 

加蓮「……ねえ奈緒」

 

奈緒「特に……ん?どうした?」

 

加蓮「そのライトノベル持ってるんだよね」

 

奈緒「へ?あ、ああ。たまたまだけどな!」

 

加蓮「アタシに貸してくれない?」

 

奈緒「え?」

 

加蓮「どんな曲になるにしても、話の内容を知ってたほうが感情が入りやすいと思うの。アタシのデビュー曲、後悔のないように精一杯がんばって歌いたい」

 

奈緒「そっか。うん、いいよ。全部貸してやるよ」

 

加蓮「ありがとう。それじゃあ早速奈緒の家に行きますか♪」

 

奈緒「おいおい、まさか泊まるとか言い出すんじゃないだろうな」

 

加蓮「それもいいかもね。別に初めてってわけじゃなし」

 

奈緒「ま、まあいいけどさ。人の部屋漁るのはやめろよな!」

 

加蓮「えー、いいじゃん別に。アタシ、今度こそ奈緒の部屋でしか着ないってTシャツを見つけるんだ!」

 

奈緒「んなことに全力を尽くすんじゃない!まったくもう」

 

加蓮「で、このこと紅葉先輩に話す?」

 

奈緒「うーん、今日はやめとこう。邪魔しちゃ悪いだろ。楓さんの誕生日なんだしさ」

 

加蓮「……そうだね。(紅葉は身内じゃないだろ!とか言うと思ったんだけどな。それに今すぐなんて一言も言ってないんだけど)」

 

 

アイドルコミュ『"あたし"と"アタシ"の6月14日』終了!

 

 

 




ということで2人のソロ曲はこの2つに。
通常の方を想像していた方には申し訳ありませんが。

絆物語は化物語とテイルズオブレジェンディアが一緒になったようなものだと思ってくれれば。

どちらも『物語』なので2人一緒にデビューさせるにはぴったりだと思ったのです。

それとアンケート協力ありがとうございます。
皆さんわかっているようで、つまりこの作品のヒロインは紅葉くんに……

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