今回は楓さんの日記と称して少し今までと違った感じにしてみました。
原作改変どころじゃないし、これ誰?って思うかもしれませんが、相変わらず生暖かい目で見てもらえればなと。
そしてそんなこの作品をみてくれるたくさんの皆様、お気に入りに追加してくれた皆様、誤字報告してくださった方ありがとうございます!
紅葉くんのイメージ絵を描いてみたのでよければ参考に。
それとすでに短編じゃないなと思って連載に変更しました。
11がつ2にち はれ
きょうは、パパといっしょにママのいるびょういんへいきました。
びょういんの人にここでまっててねといわれて、パパといっしょにまってました。
いつもしずかなパパだけど、きょうはいすにすわらないでなにかいいながらあっちへこっちへおちつきがありません。
けど、どこからか赤ちゃんのなきごえがしたら、とてもうれしそうなかおをしてました。
「かえでもきょうからおねえちゃんだね」とパパにいわれました。
わたしにおとうとができました。まだちょっとよくわからなかったけど、赤ちゃんのかおを見たらうれしくなってきました。
11がつ3にち くもり
赤ちゃんのなまえをパパが字で見せてくれました。
まだがっこうでならっていないかんじでしたが、テレビで見たことがあったのでしっていました。
「えっと、こう・・・よう?こうくん?」
「お、楓はもうこの字が読めるのか。でもね、これはちょっと違って"もみじ"ってよむんだよ」
「もみじ?もみじくん・・・ちょっといいにくーい!こうくんがいい!」
「はははっ!そうかそうか。じゃあ、今はまだこうくんでもいいんじゃないか?楓だけの特別な呼び方だ」
「とくべつ・・・うん!パパ、はやくこうくんとママにあいにいこっ!」
こうくんはずっとねていたのでお話はできませんでしたが、とてもたのしかったです。
4月8日 晴れ
今日から紅くんも小学1年生。紅くんが生まれた時の私の年齢と1歳しか違わない。
あの頃の私は元気によく走り回っていたはずだ。今は人前に出て何かするのが少し恥ずかしくて苦手になり、友達も多くはないし普段からあまり話をすることもない。
その私ですら、紅くんは大人しすぎると思う。幼稚園に通っていた時も、誰かと遊んだなんて話を一切しなかったし、家でもほとんど会話をすることなくとても静かだ。
そういえばたまに観てるテレビに興味を持ってる時があったっけ。あれは歌番組だったかしら?
ともかく、これからの紅くんの小学校生活6年間。楽しい思い出になるように姉である私が精一杯サポートしないと。
自分が話すのが苦手とか言ってられない。可愛い弟のために高垣楓、頑張ります!
まずは毎日紅くんを学校に送って行って、同じ新入生で仲良くなりそうな子をスカウトね。
4月14日 雨
・・・甘かった。私の考えが甘々だった。
紅くんは可愛いしとても目立つ。年齢に合わないクールさと容姿に男女問わず皆話しかけてたわ。
けど、肝心の紅くんがまったく興味を示さなかった。
「もみじくーん!おはよー!」
「・・・だれ?」
毎回こんな感じである。あわてて私が援護を試みるも・・・
「ほ、ほら紅くん。お姉ちゃん知ってるわよ?昨日朝声かけてくれた泰葉ちゃんよね」
「うん!おなじクラスなの!」
「よ、よかったわねぇ紅くん。お友達が一緒に学校行きましょうって」
「よくしらないしいいよ。それよりもおねえちゃん、ちこくするからはやくいこう」
紅くんは同級生に興味なさげに足早に学校へと向かっていく。そしてその後の私の役目は決まっている。
「こ、紅くんちょっと待・・・」
「うえ~~~ん!」
「あ、ああ!ご、ごめんなさい泰葉ちゃん。あの子悪気は無いのよ?えっと、その・・・」
・・・周りの大人たちと小学生の視線が痛い。胃も痛くなってきた。そして追い打ちをかけるように、夜遅くまで勉強していた1時間目の小テストの内容が飛んでいってしまった。
紅くん、同級生の女の子だけじゃなく私まで泣かせるなんてさすがね。
12月12日 晴れ
高校受験を控えている私の日課は当然紅くんの世話・・・ではなく受験勉強だ。
けど、元々あまり体が丈夫ではなかったのと連日の勉強と胃痛で体調を崩し熱を出してしまった。
父も母も運悪く今日は遅くまで家に帰ってこない。紅くんもそろそろお腹を空かせて泣いているかもしれない。
あまり得意じゃないけど、紅くんのためにもご飯を作らないと。
疲労した体を無理やり起こし、布団から出ようとした時に部屋のドアがガチャリと開いた。
「おねえちゃん、だいじょうぶ?」
「紅くん。ごめんね、今ご飯作るから・・・あら?」
紅くんが両手で何かを持っていた。それはお盆の上にお椀が乗っていて、ほんのり湯気が出ている。
「おねえちゃんびょうきなんでしょ?ボクがおかゆつくったからたべて」
え、この子今何て?
作った?7歳の子が?て、天才!?・・・じゃなかった。
「だめじゃない子供が一人で火を使っちゃ!火事になったら大変なことになるのよ!?」
こういう時はしっかり叱らないとダメだ。嬉しい気持ちはおさえて、姉としての対応をとらないと。
「つかってないよ。あぶないし。これはテレビでやってたレンジでできるおかゆ」
「え!?そんなことレンジで出来・・・あ、ああそうね。もちろん知ってたわよ。一応確認をね」
私のほうが危なかったわ。主に姉としての威厳が。
「じぶんのぶんもつくったから、ぼくのことはしんぱいしないで。はやくよくなってね」
「紅くん・・・ありがとう。急に大きな声出してごめんね。しっかり食べて元気になるから」
そのまま私のところまでおかゆを持って来ようとしていた紅くんだけど、ちょっと足がおぼつかなくて不安だったから私が紅くんに近づいてから受け取った。
私がしっかり受け取ったのを確認したあと、紅くんは部屋を出る前に無表情でこう告げて去っていった。
「おねえちゃん。わからないことはわからないって、ちゃんといわないとダメだってせんせいがいってたよ。おねえちゃんがりょうりもせんたくもなにもできないの、ぼくはちゃんとわかってるから」
「ぐはっ!?」
私が間違っていましたごめんなさい。姉の威厳なんて最初から存在しなかったのね。
「ううっ・・・紅くん、おいしいけど少ししょっぱいよ~」
初めて弟に作ってもらった料理は、涙の味がした。
私の愛する紅くんは、すでに無邪気で辛辣な弟として一歩踏み出していたのだった。
つづく
ニコ動の方で投稿してるRPGでもデレマスメンバーが登場してますが、やっぱり皆個性があって話を考えるのが楽しいです。
色々なアイドルの話を書きたい気持ちはありますが、まずはこの作品とニコ動を完成させたい今日この頃です。