これからも皆でシンデレラたちを盛り上げて行きましょう!
ちなみに今回の奈緒と加蓮のSSRは我が事務所でお迎えすることができました。
今後も増えるかもしれませんが、地の文でのアイドル達の呼称が紅葉くんが呼ぶ名前になっています。
もし誰が誰かわかりにくい場合は振り仮名をつけることも考えています。
名前に関して不快に思う方がいるかとは思いますが、悪意は全くないです。皆とても好きなアイドル達なので。
そして話が全く進まない件・・・まとめる力が欲しい今日このごろです。
紅葉くんと笑顔の少女たち。時々プロデューサー
放課後、昨日と同じようにカリスマを346プロへ送った。
帰りの心配もしたが、いざとなればプロダクション関係者が家まで送ってくれるそうだ。
「それに、不審者に少し心当たりもあるし大丈夫。ありがと★」
満面の笑みを浮かべ俺に礼を言ったカリスマは、とても輝いて見えた。
同時に少し羨ましくもある。感情を素直に表すことがうまくできない俺には、到底真似できない笑顔だから。
道に迷った昨日とは違い、帰りは迷いなく馴染みの商店街へ向かおうと思ったのだが、ふと"ハナコ"のことが頭をよぎる。
彼女は結局どのような答えを出したのだろうか。
別に遠回りなわけでもなかったのであの公園に立ち寄ってみる。遊具で遊んでいる子供、日向でのんびりしているお年寄り。
その中で、大きな桜の木の下でひときわ目立つスーツ姿の背の高い男性と犬、そして二人の少女の姿が目にとまった。
「あれは・・・ハナコ」
呟いた俺の声が聞こえるはずもないはずだが、もう一人の少女から視線を外したハナコが俺を見つけこちらに早歩きで近づいてきた。
急に歩き出したハナコに驚いた様子の少女と男性だったが、少し間を置いて同じように俺の方へと向かってくる。
「こんにちは紅葉。昨日ぶり」
「ああ。答えは出たのか?」
「それは・・・まだ」
「そうか」
「うん」
そして会話が終わる。最近カリスマや奈緒と学校で話すことが多いから忘れがちだが、俺はあまり人と会話するのが得意な方ではない。が、どうやらそれはハナコも同じようだ。
数秒の沈黙のあとにそれを見かねたのか、少女が助け舟を出してくれた。
「あ、あの凛ちゃん。この人は・・・」
「あっ、ごめん卯月。話の途中で急に移動しちゃって」
「いえいえ、いいんです。ちょっと驚いちゃいましたけど」
「この人は高垣紅葉。昨日少し相談に乗ってもらってたんだ。紅葉、この子は島村卯月で・・・えっとアイドルってことになるのかな?」
「そ、そんな私なんて!受かったばかりのまだ卵です!」
「高垣紅葉だ。よろしく"卵さん"」
「うぅ・・・そうはっきり他の方から言われるとショックですが。島村卯月です。よろしくお願いします!」
「!」
驚いた。昨日のハナコもそうだったが、アイドルの素質があるとこうも一般人と笑顔が違うものなのか。
「あの、どうかしましたか?」
「いや、いい笑顔だと思っただけだ」
「え?あ、あの・・・ありがとうございます!私、笑顔だけは自信があるんです!」
「紅葉ってさ、この人の親戚か何かなの?昨日もそうだったけど同じようなこと言ってる」
「ん?」
ハナコがスーツの男性のことを見て俺に質問してきた。男性は少し困った様子で、首を手で触りながら俺とハナコを見ている。
そういえばこの人は誰なんだろう。卵さんの親にしては全く似ていないし、もしそうだとしたら彼女と俺も親戚ということになってしまう。
東京に親戚がいるなんて聞いたことがないから、ハナコの予想はハズレだ。
「残念ながら東京に親戚はいないんだ」
「あ、うん。ちょっとした冗談だからそんな真面目に答えられると困るよ」
「・・・少しよろしいでしょうか?」
なんだ冗談か。ハナコが表情をあまり変えないで言ったから本気なのかと思ったぞ。
そしてそれ以上に表情を変えず、人によっては睨まれているのではと勘違いされそうな男性が、俺に話しかけてきた。
「はい。そういえばあなたは・・・」
「申し遅れました。私は、こういう者です」
そう言った男性は手馴れた様子で懐から名刺を取り出し、両手で丁寧に俺の前に差し出してきた。
軽く会釈をして受け取った名刺には、346プロ、シンデレラプロジェクトのプロデューサーと書かれていた。
「シンデレラプロジェクト・・・ということは、あなたが姉さんやカリスマが言ってたプロデューサーさんですか」
「お姉さん、というのは、やはり高垣楓さんのことでしょうか?」
「はい」
この人ならアイドルになった時の姉さんをよく知ってるはず。俺の知りたかった答えが案外早くに見つかるかもしれない。
本来なら姉さんに直接聞くべきだが、俺はプロデューサーさんに質問することにした。
「姉さんはどうしてアイドルになったんでしょうか?」
「と、言いますと?」
「新しいことに挑戦したいからだと俺には言ってました。けど、最近それだけじゃない気がして」
「・・・」
再び沈黙が流れる。いくら姉弟だからと言って、仕事関係の情報を本人の許可なく教えるのは無理なのだろうか。
横目にハナコを見ると、俺たちの会話が気になるのか聞き耳を立てて様子を伺っている。卵さんの方は状況がよく理解できていない様子だ。
そういえば、彼女には姉さんのことは言ってなかったな。
「申し訳ありませんが、その問いにお答えすることはできません」
「そうですか。こちらこそ無理なことを聞いてしまってすみませんでした」
「いえ、そうではないのです。私の知っていることは、恐らくあなたと同じ程度だと思います。ただ・・・」
「ただ?」
「高垣さんの、あなたのお姉さんの初舞台は、お客様が十数名の小さなものでした。ですが、歌い終わった時の表情は、とても晴れやかで、素晴らしい笑顔でした」
「・・・」
「あなたのお姉さんの選択は、間違っていなかったと。あの時あの場所に自分が居合わせることができて幸運だったと、今でも思っています」
「そうですか」
「すみません。あなたの知りたい答えに、なっていないですね」
プロデューサーさんはゆっくりと一言ずつ丁寧に告げてくれた。確かに知りたい答えではなかったが、自分の姉の進む道が間違っていないと言われたのは素直に嬉しかった。
「ありがとうございました。確かにまだ納得のいかない部分はありますが、俺が姉さんを応援することに変わりはありません」
なぜなら・・・
「なぜなら、俺は姉さんの笑顔が大好きだから。アイドルになった姉さんは今までよりもずっと輝いて見えるから」
「!?」
「紅葉・・・ま、まあ、悪くないかな」
「わぁ!素敵ですね!」
俺の答えに3人がそれぞれ大きく反応したんだが、そんなに変なことを言っただろうか?
いや、答えよりも俺の顔を見て反応した気がする。自分が話している時の顔はよくわからないから少し気になった。
「ねえ」
「はい。なんでしょうか、渋谷さん」
「アイドルって、皆を今の紅葉みたいな笑顔にすることができるのかな」
笑顔?俺は笑顔になった覚えはないんだが・・・
「あなたなら、必ず」
「凛ちゃん。一緒にアイドルになって頑張りましょう!」
「卯月・・・」
これ以上ここにいて邪魔するのも悪いから、挨拶をして立ち去ろう。
そう思って一歩踏み出したところで、ハナコが真剣な表情で俺の方を見た。
「昨日と似た質問になっちゃうけど、紅葉は私がアイドルになったほうがいいと思う?」
「それはお前が自分で決めることだ。他人の俺がどうこう言っても意味がないし、自分で決めたことじゃないと結局続かないぞ」
「ふふっ、相変わらず厳しいね。でも、紅葉ならそう言うと思った」
「ただな」
「え?」
初対面の俺が言っても変な奴と思われるだけだと、昨日言わなかったことが一つある。
「あの時の笑顔は、他の人とは違った何かがあった・・・と思う。もしアイドルになってテレビの向こうで、舞台で見れるのなら、俺はまた見てみたい」
「紅葉・・・うん、ありがとう」
お礼を言われることは何もしていないが、ここは素直に受け取っておくべきだろうな。
少し目を閉じ、何かを考えていたであろうハナコは、プロデューサーさんと卵さんと向かい合い、真剣な表情で次の言葉を口にした。
「もう一晩だけ気持ちの整理がしたい。そして明日の放課後、あのカフェでちゃんと返事を言うよ。」
「はい、お待ちしています」
「待ってるね!凛ちゃん!」
恐らくハナコの中で答えは出ているのだろう。シンデレラプロジェクトがどういう物なのかはわからないが、カリスマ妹もいることだしデビューもすぐのような気がする。
「じゃあ俺はここで」
これ以上の長居は無用だ。あとは3人の問題だし、あまり帰りが遅いと商店街の店が閉まってしまう上に先に姉さんの方が家に着いてしまう。
「高垣さん、何かありましたら、その名刺に書いてある番号に連絡下さい。力になれることが、あるかもしれません」
「ありがとうございます。ではプロデューサーさん、卵さん、ハナコ。さようなら」
「お疲れ様でした」
「わ、私。ちゃんとしたアイドルになれるよう頑張ります!」
「ワン!」
「・・・だから、どうしてアンタはハナコにだけ挨拶するわけ?」
「?・・・あ、一つ言い忘れていました。知っているかもしれませんがプロデューサーさんに報告が」
「何でしょうか?」
「うちの高校で噂になっていたのですが、この辺りに不審者が出るそうなんです。まだ明るいし人通りも多いので大丈夫だとは思いますが、二人をきちんと送っていったほうがいいと思います」
「・・・はい」
「あ、あははは・・・」
「紅葉って、実は冗談好きなんじゃないの」
紅葉くんと北条加蓮
なぜか困ったような顔をした3人と別れて公園の入口から出ると、見知った姿があった。
誰かと待ち合わせという雰囲気ではない。ちらちらと公園の方を見たあとに俺のことを見つけると、手を振ったのでそれに軽く答える。
「やっほー先輩。こんなところで奇遇だね」
「奇遇なのか?」
「うん、それは本当。でも驚いた。先輩、あの子と知り合いだったんだ」
あの子というと卵さんかハナコのどちらかだろう。ということは、コロネも知り合いだったというわけだ。
東京は人が多いのに知り合い同士が会うことはかなり多いな。
「声をかけないでよかったのか?」
「うん。たぶん向こうはアタシのこと知らないと思うし。ほら、アタシってば中学の時入院期間長かったから」
「そうか、それは悪かった」
「別に謝らなくていいよ。で、何話してたの?アタシに言えないこと?」
コロネは俺たちが話していた内容が気になっているようだ。特に秘密な様子はなかったし、アイドルの話をしても問題はないだろう。それほど詳しいわけじゃないしな。
「男性が346プロのプロデューサー。片方はアイドルの卵で、もう片方は最近スカウトされたらしい」
「ええっ!?」
「あの様子だと、どっちも346プロの新プロジェクトに参加することになりそうだ」
「すごい・・・どうしてアタシの周りに急にアイドルばかり」
「それはお互い様だな」
確かに俺の周りはアイドルが多い。俺に普通に話しかけてくるのは、アイドル以外ではコロネと奈緒くらいだ。
「アイドルかぁ。やっぱ憧れるよね」
「そうだな」
「へぇ意外。もしかして先輩もアイドルになりたかったり?」
「いやそうじゃない。皆俺にはないものをたくさん持ってるから、憧れるし羨ましいと思うことがある。同時にそんな彼女たちを応援したいとも」
「・・・ふーん。ま、とはいえアタシには遠い職業かな。ダンス練習とか下積み時代とか色々大変そうだし、そういうのガラじゃないし~」
「・・・」
憧れると言いながら興味なさそうな態度を取るコロネの表情はどこか淋しそうだ。
彼女は普通の人よりも色白で、体力がなさそうに見える。昨日初めて会った時も体調が悪くて休んでいたんだったな。
入院が多かったせいもあり、普通以上の生活を諦めているのだろうか。
「まずはちゃんと飯を食べろ。すぐには無理だろうけど、必ず俺が何とかしてやる」
「なっ!?・・・べ、別にアタシアイドルになりたいわけじゃ」
「ん?アイドルになりたいのか?」
「ち、違うから!別に渋谷さんのこといいなぁ、なんて思ってないから!」
「俺はそんなこと聞いてないんだが」
「うっ!」
色白な分余計に赤くなると目立つコロネの顔。これ以上俺が何か言うと沸騰してしまいそうなので、落ち着くのを待った。
「・・・もう嫌なんだ。あの入院生活に戻るのは。アタシだって強くなりたいよ」
コロネはずっと病気だけじゃなく孤独とも戦っていたのだろう。俺にはどんな辛い時でも姉さんが必ずそばにいてくれた。
だからコロネの気持ちはわからない。わからないが、病弱であるにも関わらず常に明るく振舞おうとしているコロネに、本当に明るく強い学生になって欲しいとは思う。
「とにかく、昨日も言ったように俺が弁当を作るから、それをしっかり食べるんだ。それと、ジャンクフードなんかは控えろよ」
「えー!ポテトも!?」
「ポテト?普通のじゃがいもなら問題ないが、フライドポテトだったらダメだぞ」
「そんなぁ・・・アタシ生きていけないかも」
がっくりとうなだれるコロネ。ここまでになるほどのポテト好きには初めて会ったが、もしかすると病院食が長かった分の反動なのかもな。
「夏を目標に体力作りもしっかりとな。面倒でもやるしかない。今の状態を変えたいなら」
「・・・わかった!わかりましたっ!もう、これじゃあアイドルになったのと変わらないじゃない」
「そういえばそうだな。姉さんも酒は別としてそれ以外に健康と体力作りには気を使ってるし」
「やっぱりー!いいわよ。こうなったら意地でも克服して、街でスカウトされるんだから!見てなさいよ!」
「その意気だぞコロネ」
「あ、また言った。じゃあ1回追加ね」
「ん?何のことだ?」
「先輩がアタシをコロネって言う度に、奈緒先輩をいじる回数が1回増えます!」
「????」
一方その頃奈緒の家
「くしゅん!なんだなんだ?ものすごい嫌な予感がするぞ!?」
つづく!