2話
「久しぶりだね、蘭ちゃん」
夏己が蘭に向かって言うと蘭含めその場にいた10人が驚いた。
『ええー!!』
「わ、なんだよ突然。」
巴が蘭を抱きしめてかばうように夏己を見る。
「もしかして蘭に復讐とかか⁉」
いや、それはないだろ。とみんなして共感した。
「いやいや‼そんなことするわけないじゃないか‼
ただ、蘭ちゃんとは親父同士が知り合いでさ、8年前に集まりがあってその時少し話したんだよ!」
巴とひまりが蘭をみるとどうやら困惑しているようでそのまま固まっていた。
「ら、蘭、大丈夫か?」
「おーい!らーん!!!」
ひまりが揺さぶると我に返ったように意識が戻ってきた。そして夏己を見ながらあごに手を当てる。
「…たしかお父さんと一緒に知らない人の家に行ったのは覚えてるけど…アンタのことは知らない。」
そこまで蘭が言うと夏己が固まった。
「ぶふっ」
夕が突然噴き出して笑い始めた。
「夏己・・・ドンマイ・・・ぶふっ」
肩をたたきながら笑いをこらえている。蘭がふと夏己を見ると寂しそうな顔して下にうつむいていた。
「えっと…ら、蘭は人見知りでさ、たぶん夏己…さんと同じで学校の人も覚えていないくらいだからさ、そこまで落ち込む必要はないとおもう・・・よ?」
巴がフォローするがなかなか顔を上げない夏己
「夏己!しっかりしろよ!そんなことでいちいち落ち込むなよー!」
バンバンと背中をたたいて涼弥が夏己を慰める。
「別に…落ち込んでないし」
下を向きながら夏己が答える。
(絶対落ち込んでる)
またもやその場にいた全員がそう思った。特にアフグロのメンバーが思ったことは
『蘭と似てるなぁ』
落ち込みは違うがこのひねくれた返し方がまさに蘭にそっくりなのだ。
「えっと夏己…さんごめんなさい。」
蘭が丁寧に謝るとバッと顔を上げて
「大丈夫!これからも会うんだし少しずつ打ち解ければいいとおもうし!ズビッ」
お分かりかと思うが少し涙目の夏己は空元気で答えた。
「ま、まあそうだよな!これからこのスタジオでライブもするわけだし合同ライブの時にも一緒にするだろうしな!」
場を和ませるために会話を新しい方向へ向けた。
「え?合同ライブ?なにそれ面白そう!!」
夕がグイっと巴に近づく。
「あたしたちがつかってるこのサークルで季節ごとに5つのバンドで合同ライブするんだよ!あと4チームは今日は来ないけどな。夕さんたちができるかはまりなさんに聞かないとわからないけど」
SummerSkyの5人はものすごい勢いでまりなさんをも見る。
「ん?できるよ?ライブもしてもらうんだから合同ライブに参加してもらわないと困るしねぇ」
『是非!お願いします!』
机を乗り上げ返事する。夏己なんてもう1メートルも空いてない距離でまりなさんに近づいている。
「ちょ!夏己!近いよ!!」
空が夏己をまりなさんから離す。
「ま、それもかねてね、スタジオのセッティングにいろいろと男手も必要だから手伝ってもらうけどね!あっだからってスタジオ代は安くしないからね!」
さすがまりなさん、ちゃっかりタダで手伝ってもらおうとしてる。
『もちろんです!ありがとうございます!』
「まあ正直言うと今働いている子たちが大学が忙しくなるみたいで一週間後にやめちゃうからね、ちょどよく君たちが転がり込んできたからたすかったよ~
じゃあ今日はもう遅いし解散しましょ!みんなくらいから気を付けてね!あと蘭ちゃん!」
まりなさんが蘭を呼ぶと
「夏己君は蘭ちゃんのお父さんにあいさつしないといけないみたいだkら一緒に家まで連れて行って‼」
「お、お父さんにですか…?」
「うん、さっきも言ったけど親父が仲いいから戻ってきたことを報告しにいかないといけないだ。たぶん俺の親父も一緒だと思う。」
「ま、それならいいよ。あたしは家に帰るだけだし。」
「ジャーねー!蘭ちゃん!夏己さん!」
ひまりとつぐみが手を振って走っていった。
「俺たちのことは呼び捨てでいいよー!!!」
「わかったー!またねー夏己ー!!」
2人が見えなくなると蘭がどんどん歩いて行った。
「ちょ…蘭ちゃん!!待ってよ!」
夏己もあわてて追いかけるが蘭は無視。数分歩くと突然蘭が振り返り
「あたし、あんたのことほんとに覚えてないの、だから気安く呼ばないで」
「・・・わかった。」
一息の沈黙が流れた後夏己は答えた。
「じゃあ俺はすこし後ろから歩くことにするよ美竹さん、君に迷惑はかけたくないしな」
夏己は蘭と10メートルほど離れて歩き始めた。
蘭が家を見つけると何やら黒い車が止まっていた。
「なにあれ…」
「お、なになに?」
蘭とすぐ後ろで夏己の声がすると
「うわあああ!!」
と蘭が叫んであとずさりした。
「…もしかして三竹さん俺の存在忘れてた?」
「そ、そんなことないし…」
「どうした蘭⁉」
「あ、お父さん…」
蘭の家から蘭の父が走ってきた。