愛美の話を聞いた翌日のCiRCLEにRoseliaのメンバーは集まってスタジオでの全体練習が行われていた。高い演奏レベルがあるとされるRoseliaでも昨日のLoonの演奏に魅入り、自分達よりも上の演奏技術を持っていると思うしかなかった。
「りんりん、昨日の愛美さん達の演奏をどう思う?」
「そうだね、あんまり・・・他のバンドの人達の演奏を聴く機会がないから・・・上手くはいえないけど・・・Roseliaより上だとは思うよ」
練習の休憩中に昨日のことに付いて話す燐子とあこ、考え続ける友希那と紗夜を見てリサは「愛美さんのことについてだったら皆で話そうよ」と言ってくれたので、それぞれが昨日の演奏で思ったことを話し合った。
「あの演奏を聴いて私達より上だと思いました。私達が経験しなかった出来事をあの人達は経験したからこそあそこまでの演奏ができたのだと思いますね」
「そうね、演奏技術だけではダメ、メンバーそれぞれとの絆が一つの音楽を作り出す。昔の私では考えれなかったわ」
紗夜と友希那の言っていることは確かで、愛美さんの演奏は私達よりも上手いと感じた。いつも下手だとは思わないで演奏すればいいよとか、練習なら付き合ってあげるよとか優しく相談に乗ってくれるあの人の演奏している姿がかっこよく思えたのには大きな出来事があったからこその姿なんだってアタシは愛美さんの話を聞いてそう思った。だって愛美さんが入院している時や普通に出会って話をしている時に昔のことを何も話してくれなかったから...
「そういえばリサ姉、リサ姉って愛美さんの入院の見舞いに行っていたと言ってたけど、その話を詳しく教えてくれない?」
「え?ああ、大したことじゃないよ。たまたま事故現場にいて血だらけだったから大丈夫かなって思って電話した本人だったわけだから見舞いに行っただけなんだよ」
そう、最初はそうだった。事故で動けなくなった愛美さんが心配で見舞いに行って話をするうちに仲良くなって相談に乗ってくれたり相談してくれたりして、本当にありがたかった。話すうちに愛美さんが神奈川のライブハウスでスタッフをしていたことと閉店するから次の仕事場を探していると相談してくれたこと、それで今の愛美さんがいるこの場所のCiRCLEを紹介して、アタシがベースの練習をしている時に面倒を見てくれたことが今だとありがたく思えた。
そうして話していく中でだんだんとLoonの演奏からどう感じたかという話から愛美さんとの関係について話が変わっていった。
「そういえば私、去年のGBPがある前に添盛さんにいろいろと話を聞いてもらったことがありました」
あれは私がギターの練習をしている時にたまたま添盛さんがスタジオに入ってきて機材の確認とメンテナンスを行いに来た時でした。調整しているのにも関わらずにミスに気付いたことと、集中していてチューニングがずれていたことに気付いたのにはびっくりでした。その時にみた両手を見て添盛さんがギターをしていたことは分かったので聞いてみたことがあるんです。その時に添盛さんは「今は弾き語りくらいしかギターを弾いてませんが、昔はバンドを組んでエレキギターを弾いていましたよ」と言ってましたね。あの時は技術だけが全てで、日菜と比べたくないと思いながら弾いてました。でも添盛さんが私の過去について聞いてくれたり技術の向上にはもう一つの絶対欠けてはならないことを教えてもらいました。だからこそあの人、添盛さんには感謝しかありません。それにそのようなことがあったからこそ私はあの人に心を許して話せるのかもしれませんね...
「私は昨日の演奏を聴いてこうして皆さんと話して決心が付きました。私は...いえ、私達はあの人たちを越える。私達はLoonの皆さんが託した物を拾い、それを乗り越えるように行こうと思います」
「私もよ紗夜。だからこそ私達は突き進む、そのためにもまずはそろそろ始まるGBPの準備をしてから今年のFWFに出る。今の私達なら出来なかった目標を越えることができる。その目標を越えたら次の目標を立てて越えていく、そうして私達が最高のバンドだということを見せつける!」
「そうだね、それじゃあがんばろっか~」
私もそうだった、カフェで予約待ちの時に偶然休憩している添盛さんと出会って話をしたことがあった。少し話したのにすぐに打ち明けれるあの心の広さというのか、相談をよく聞いてくれたことの裏には過去にバンドをしていて、高いレベルだったことがきっかけだったのだと思った。それにお父さんが言った伝説の高校生ガールズバンドという呼ばれ方、あの演奏とカリスマ性を昨日の演奏で実感した。あの話を聞いて私は添盛さん達を越えたいと思った。
「さ、練習の続きを始めましょう」
「そうだね」
都築さんにあってからその後にイースの家に私達は集まった。というのも、イースの家は普通とは違って何故かスタジオのような場所があるのだけど、いつもイースは時間があればそこでベースを弾いてることがあるらしい
「エワズ、アコギ持ってきた?」
「もってきているよ、久々だからコードミスるけど構わない?」
「勘を戻すためにこうして練習をしに来たんでしょ」
「そうだった、ごめんな」
エワズはいつもはボーカルオンリーだけど、ある曲だけはアコースティックギターを持って私とツインギターで行う曲がある。あの再活動記念ライブではしなかったけど、次やるならこの曲は絶対にするからこそ私達は練習をするそれだけ...
「にしても『Loon』なんて8年以上してないけどスコアとかあるのか?」
「大丈夫、私が残していて、コピーしてきたから」
「よく残してるよなソエル」
Loonのスコアは私達の思い出だから捨てられないし、またやれるならいると思って残していた。それがこうして役に立ったから良かった。それにこのLoonは私達5人のバンド名でもある故に伝えたいことをぶつけたような曲だからこそ思い出なんだ
「よし、ドラムのセットOKだ、ウチはいつでもいけるからやろうぜ?」
「そうだな、やろう」
RoseliaはLoonを越え、Loonの思いを繋ごうと決意した。次回はハロハピ回、異彩なバンドはどう思ったのか...