話が終わり、私達はこうして話していた喫茶店でお茶をしていた。
「本当によかったのか?私達のことを話してあの娘達、結構困惑していたけど」
べオークの言うことは確かだ、話を聞いた5バンド全員とまりなさんは泣いていたり、唖然していたりと困惑していたのは分かった。
「まあするだろうと思ったよ、けど変に私のことを調べられるのがとてもむずかしくてさ、だったら全てを曝け出した方がよいだろうと思っただけさ」
「なるほどなぁ、湊や大和に知られることになってしまったけど、私はよかったと思う」
そうだよな、エワズは羽丘の先生だもんな。エワズは高校の時も計算は早いし、こいつには数学で一回も勝てなかった。そのおかげか色々と頼りにしていたりとエワズとはかなり気が合っていた。
「しっかし、久々に出会って短時間であそこまで演奏できたのなら再活動は良かったんじゃなのか?」
「そうね、長い間キーボードを触ってなかったけど、体は覚えていた。やっぱり解散してまた一緒にこうして演奏できることがとても嬉しかったよ」
べオーク...ウチらLoonは一度解散している。というのも、大元はというとイースがウチらと練習やライブの日があうことが無くなり、ウチらはそのまま解散することになってしまったわけなんだけど、ソエルは変わらずに音楽に人生を注ぎ、ウチらの活動を元にライブハウスのスタッフで後輩バンドの背中を押している。それを聞いてウチはとても眩しく思えた。
「エワズ、アコギはどうしたんだ?」
そういえば私達の有名な曲をしていないが、あれ?と思ったからエワズに聞いてみた。
「あはは、実は私のアコギの弦全部切れちゃってさ、張り直そうにも仕事があったり買いにいける時間がなくてそのまま放置してたんだよ」
「それならソエルにでも相談すればよかったんじゃないのか?」そう思いながら私はいつも使っている赤いベースのギブゾンEB-0 61年型を引っ張り出して軽く弾いていた。
「...久々にイースのギブゾンの演奏を見たよ、大体は蒼いベースを弾いていたし8年以上演奏を見ていなかったからとても懐かしいよ」
私はいつも仕事が終わって家に帰ったらベースを欠かさず弾いている。そのおかげで直ぐにこれまでの曲に直ぐに対応が出来た。
「なんならさ、私達Loonの始まりとこれまでの軌跡を巡っていかない?」とべオークが提案した。私は4人との話をしていく中でそう感じた。私達はわずか3年しか活動していないのに名をかなり知られている。そうなったきっかけを私は皆とまたその場所に行きたいと思い巡って行きたいとそう思ったわけだ。
「いいんじゃない?私は賛成だよ」
全員がOKだったのでその翌日に私達はべオークの愛車にしているレヴォーグで回ることにした。
そうして私達は高校、フェス会場、都築さんとこれまであった出来事を巡り、イースの家で練習をすることにして今に至るというわけである。
「オープニングアクトって本気?」
オープニングアクトというのは、始まる前にライブ会場を盛り上げるいわば盛り上げ役を担っているのだが、それを私達Loonが担当するらしい
「ええ、私達の演奏を聴いて会場を盛り上げて、私達の思いを継いだ後輩達に繋げる。それが今の私達ができることだと思うから...」
ソエル...お前の考えることがとても全うだとは思う。だけど、私達の出来る時間とタイミングが少ないと思う、GBPまでは予定としてもう少ししかないのにできるのだろうか?...うだうだ考えていてもきりがないし、後輩バンドである生徒達の為なら私もやるしかないだろうと腹を括った。
「なあソエル、夜は時間空いてっだろ?」
「ええ、私は夜以降なら仕事終わりで大丈夫だよ」
「ならCiRCLEだっけ?そこのスタジオ借りれねーか?」
仕事終わりはいつも19時ぐらいで、ライブ次第では20時以降も私はいることあるから大丈夫だけど、問題は...
「大丈夫だけどね、オーナーと相談しない限りはさすがに私の判断では貸すことできないんだ」
「そうだよな、ごめんな、出来るならウチのブランクを何とかしてほしかったんだ」
そう言っているウルズはとても真剣な眼差しをしていて、FWF参加のときのような気迫を感じた
「...分かったよウルズ。聞いてみるし、やるならお前の4刀流に見える素早いスティック捌きを頼むぜ?」
「へへ、分かったよえっちゃん」
「おいその渾名やめろようっちゃん!!」
その日の練習はエワズのボーカルとしての威厳を完全に取り戻させた。これから残りの日数で私達は後輩バンドの指導とGBPのためにする準備の段取りを決めた。これが私達の想うこと、それを伝えたい...それが私から香澄ちゃんにあの日の質問の答えになるように...想いを繋げるために...
1章は次の話で終わりになります。次回はグリグリ、CHiSPA編となります。