第0話の前日と思ってもらえば幸いです。
「GWに1度帰宅しますので、その時に話を詳しく聞きます」
電話の相手はCiRCLEのスタッフの愛美さんからで、GBPのお誘いだった。今は海外の大学に通っている私なのだが、GWに帰る機会ができたので、帰ることにしたのだが、丁度りみが出場したライブイベントのGBP(ガールズバンドパーティ)の開催をGWにすることが決まり、私がいたバンドのGlitter*Greenの参加のお誘いの電話だった。
私はどうしようか悩んでいた。とりあえずは帰省した時に考えようと思った。
帰宅して直ぐにリィがバイトを今でもしているという楽器店へ向かうことにした。
「リィいる?」
「おるよ、久々だね、どうした?」
「ちょっとね、ギターの弦買いに来たんだけど、いつものある?」
「あるよ、ちょっと待っててね」
そうしてリィは店内を回り始めた。その時に店内を回っている一人の女性に目を向けた。右手は彼女がはいているジーパンのポケットに手を突っ込んでいたので分からなかったが、メモ用紙を持っている左手からしてギターをやっている人であることは直ぐに分かった。
「あの、もしかしてギターをなさっている方ですか?」
「はあ、なんでBスタジオの機材全部死んでるのかしら...おかげで買いに行かないといけなくなったじゃないのよ...やっぱドがつくほど初心者の新人に任せるんじゃなかったわ」
そうため息を吐きながら私はリストアップしたメモ用紙片手に同じ機材を探していた。その時に後ろから声をかけられた。
「あの、もしかしてギターをなさっている方ですか?」
確かに私はギターを昔けっこうしていたし、今はアコギのみでしかギターは弾いていない
「ええ、昔はバンドも組んでいたけど、今はただのCiRCLEのスタッフですよ」
彼女は牛込ゆり、Popin’ Partyのベースの牛込りみの姉で、Glitter*Greenのギター&ボーカルをしていた人で、海外の大学に留学していたのだが、このGWに帰省しているらしく、誘いをしている人物である。
「CiRCLEの?何か買出しですか?」
「ええ、新人の子がやらかしてスタジオの機材をダメにしたみたいで、それと同じ物を買いに来たわけです」
本当に面倒くさいよ、ただでさえ愛車で買出しに来ているためにそんなに物が入らないのにこんなことさせて、戻ったらきっちり説教と基礎を一から叩き込ませてやる...と思いながらゆりさんと話をしていた。
「ゆり~、これだろ?」
「そうそう、ありがとうリィ」
「張替えてく~?」
「ただのストック、それよりも七菜もひなこもいると思ったんだけど」
私達は高校を卒業して私が海外へ行ったためにバラバラになり、グリグリの活動は解散しており、七菜とひなことは久々に集まることにはなるのだが、今はいなかった。
「そうだね、いつもなら来ているはずなんだけど」
そう話していたら後輩バンドのCHiSPAと一緒に現れた。
「ゆり先輩お久しぶりです」
「久しぶり、どう?バンド楽しい?」
「ええ、新体制での活動はこれで2年目ですが、とても楽しいです」
私達は他愛も無いバンド話や学校生活など話していた。
「よいしょっと、これで搬入終了。めんどくさいわ~...そういえば、私のアコギの弦ストック無かったような」
そう思って私はまた楽器店に入り、アコギの弦を手にしてレジへ向かった。その時偶然見たグリグリとCHiSPAのメンバーが話している姿を目にした。
「そういえば、GBPに更に参加バンド増やしてもいいんじゃないかな?君さあ暇があれば見つけてきてくれない?」
「え、いきなりですか...ぼちぼち探してみますよ」
そういうまりなさんとオーナーとの次のイベントについての話をしていたのを思い出した。去年のGBPの参加者はこのイベントがきっかけで交流が増え、人間的にもバンド的にも成長した。もしこの2バンドが参加したならまた大きく成長するのかもしれないと思い、私は声をかけに向かった。
「グリグリの皆さんにCHiSPAの皆さんですよね、ゆりさんさっきはどうも」
急な呼びかけにびっくりしたが、愛美さんが私達に声をかけてきた。
「あ、愛美さんお疲れ様です。どうしたんですか?」
「ちょっとしたことを思い出してさ、ここにグリグリとCHiSPAが揃っているからちょうど良くて」
ちょうどよいというワードに引っ掛かりを持ったが、次の一言で私達は声をかけてきた以上に驚かされざるをえなかった。
「第二回GBPがもう次期開催されるんだけど、君たち2バンドも参加してみない?」
いきなりライブイベントのお誘いをされて正直びっくりした。沙綾が参加したライブイベントに参加できるのかと驚きを隠せなかった。
「私達が参加していいのですか?」
「ええ、できれば参加してほしいと思っているの、去年参加した5バンドは大きく成長したわ、だから参加して君たち2バンドも成長できればいいかなと思って声をかけたの」
成長ね、新体制になった大きなライブイベントとかしたこと無かったが、こうして声をかけてくれたことに対してとても嬉しかった。けど、本当に私達でよかったの?と思ってしまった。
去年のメンバーも合わせれば私達が先輩となるが、成長となると私達も参加したほうがよいのかもしれない、でも解散した私達はどうなのだろう...そう思ってしまった。
「すいません、お誘いありがとうございます。少し考えさせてもらえませんか?」
「ええ、構いませんよ。早い返答を待っています」
そうして愛美さんは店の前に置いてあった車に乗ってCiRCLEへ向かった。
「いいの?せっかくの誘いなのに」
「分かっているけど、どうしようと思ってさ。私は参加してもいいけど、ほら、私達解散したじゃない?だからどうしたらいいのかなって」
そう、私は意味を考えていた。成長するのはいいこと、音楽性や交流によって見えてくるものは少なからずあるんだけど、それがそのGBPでみいだせれるのか分からなかった。それに、解散したグリグリが出てもいいのかなとも...
そう悩みながら私は家に帰ってりみに相談することにした。
「りみ、ひとつ話したいことがあるんだけどいいかな?」
「何?おねーちゃん?」
「実はさ...」
夕方に愛美さんに会ったこと、会ってGBPの誘いを受けたこと、その誘いで少し悩んでいたことを話した。
「いいんじゃないの?私もあのイベントに参加できてよかったもん。おねーちゃんも参加したらどうかな?」
「りみ...そうだね、こうしてりみが楽しそうにベースとバンドをしているんだもんな、私も参加するよ」
成長のためにしなければならないこと、これは私達の今後もそうだが、りみ達後輩達の成長に貢献出来るのであれば、私は出てもいいとりみと話して感じた。
「もしもし沙綾」
「ナツ?どうした?」
「実はさ...」
添盛さんに話しかけられ、GBPへの誘いを受けたことを沙綾に連絡をして相談に乗ってもらおうとした。
「なるほどね、いいんじゃないの?私はナツ達とこういうイベントに立ちたいと思っているよ。あの時一緒にライブできなかったからさ」
「沙綾...そうだねありがとう」
そうして私達もGBPに参加することを決めた。これが私達を大きく成長させ、沙綾達のようになれたらいいなって思いながら...
「OK、それまでに練習は無料で貸し出すし、限定ドリンクとか色んなイベントを盛り上げる案があったら教えてね」
これでいいんだ、このような大きなライブイベントを参加することに意味があるんだ。成長するには一人一人が変わらなくてはならない。このイベントがそのきっかけになるならそれはそれで大きな意味になると私は思う。
そう思いながら私は家で飼っている猫の頭を撫でた。
1章END
次回2章 Loon結成秘話とそれぞれの楽器の生い立ち編
これで1章は終わりです。次回からの2章は4つに区切って書いて行きます。