第1話 奏
「戻ってきたね、どう?リフレッシュできた?」
休憩から戻ってきた私に声をかけたのは、いつも通りまりなさんであった。いつも通りだからもう慣れた...
「ちょっとBスタジオのアンプとかのメンテナンスしてきますね」
「分かったわ、もし時間が余ったらポピパ達のライブ見たら?」
「そうですね、時間があれば寄ってみます。」
そういって私はギターを持ってBスタジオへ向かった
「愛美さんってギターしてたのよね、詳しく聞きたいわね」
「よし」
メンテナンスの工具を持ってアンプの調整とエフェクターの微調整をしてみたけど、かなりやってなかったのがみて分かった
「ったく、彩香さんこういうのをしっかりとしてほしいですよ...」
愚痴をこぼしながら黙々と作業をし、5分くらいである程度の調整が終わり、自分が持ってきた懐かしの黄色のエレキギターを引っ張り出してアンプに繋げた
「...よし、テストだけなら」
何故かギターを弾いているとすっきりとする。恐らくはこれまでの自分を晒し出せることができるからだと思う。
10分後
気持ちよくギターを弾いていた時にいきなりBスタジオのドアが開いた
「あ~愛美さんがギター弾いてる~」
Afterglowのメンバーがいきなり入ってきて私はあまりにも恥ずかしくなって赤面してしまった。
「凄い、凄いよ愛美さん、愛美さんってギターしてたんですね」
つぐみちゃんとひまりちゃんは感動していた
「恥ずかしい...弾いているところを見られるなんて...」
「いや~、凄かったですよ愛美さん、なあ蘭、セッションしてもらったら?」
「確かに鳥肌が立ったけど...」
蘭さんと巴さんが驚いて魅入っているのはすぐに分かったけど、私はただテストだからと思って昔やっていた曲を弾いていたことが一番恥ずかしい
「私はテストしてただけだから気にしないでね...」
「へ?あ、ああ分かったよ」
そういって私はいそいそと片付けてその場を一目散に去った
「...変な添盛さん」
「あの感じだと昔、バンドしてたんじゃないかな?」
「そういえば愛美さんの過去って私達は知らないよね?」
「そうだね~、あの感じだとあまり話してくれなさそうだったよ~?」
「...今度まりなさん辺りに聞いてみよ?」
その日のAfterglowの練習はいつも通りだけど、一つの疑問に5人は困惑していた。
「あ、お疲れ、結構楽しそうに弾いてたよね愛美さん」
「ま、まあ久々に弾きたかったからね」
まりなさんにも聴かれてしまっている。これはいつかは話さなければならないことなのかもしれない...今あの4人は何してるのだろう...一人は知っているんだけど
「ねえ愛美さん、愛美さんっていつまでギターしていたの?」
やはり分かる人にはわかるのかもしれない、まりなさんも元ギターリストだから嫌でも分かるのかもしれない。実際、私はもう8年は本気でギターをしていない。
「はあ、もう8年くらい本気でしてませんよ、今はやっても弾き語りしかしてませんし」
「そう、私も久々に弾こうかしら」
「いいかもしれませんよ、さすがにブランクありますし、まずは弾き語りで指ならししましょう」
「そうね、ふふ、愛美さんとセッション、昔のこと思い出すなあ」
そういえばまりなさんも昔バンドしてたのをまりなさん自身から聞いたことがある。確かバンド名はなんだっけかなぁ?プロを目指してプロに近い実力を持っていたバンドだったはずなんだが...
何しろ8年前の話だし、私とまりなさんって少しだけ歳が近いんだ
「昔のことを思い出すなあ」
あの人たちって今何してるのかしらね、愛美さんってそういえば前は違うライブハウスで働いていたんだっけ?どこでしていたのかしらね、あまり昔のことを愛美さんは話してくれないから今度お酒でも飲んで詳しく聞いてみましょうかね♪
実際、私達よりかなり上の実力を持ったガールズバンドあったはず...でも結構多かったし、どれが愛美さんがギターをしていたバンドか分からないわね、たぶん忘れているのかもしれないわね
ライブ会場
「ティアドロップス!!」
会場はかなりの熱気を放っていた。GBPのこともあってか参加していた5バンド全ての人気がかなり高く、フライヤーやグッズは発売して10分以内で完売してしまったほどである。
その中でこのPoppin’ PartyはGBPだけではなく、ロックスターフェスにも参加したことによってファンがかなり増えてきているようだ。
私はGBPを成功させるために去年はポピパ達と色々と動いていた、今年はどうしようか未だに構想中で、オーナーからも期待されていたりする。
「最初に比べて香澄ちゃんのギター...良くなっていってるわね、でも少し早とちりしがちかしら、リズムが多少ずれてるわね」
聴いていて楽しくなれるのだが、今日に限ってはどうも哀愁感が自分の中に出ているのが事実。どうしてか知らないけどまた皆と一緒に弾きたいと思ってしまっている自分に少し嫌気が差してしまっている。
気分が滅入ってしまっているので、私はもう帰ってゆっくりとしたい...
愛美の家
家に帰ってベッドにすぐにダイブして自分のスマホにある連絡先を見ていた。
「本当に今エワズ、ウルズ、イース、べオークは何してるのだろう...」
そう言いながら私のお腹に寄り添ってきたペットの猫を撫でていた。
かつてともにバンドを組んでいたメンバーのことを考えながら私はそのまま寝落ちをしてしまい、次の日の朝にスマホのバッテリーがなくなって発狂した。
「もう何してるんだろう私...」
次回はPoppin'Partyのメンバーが愛美のことについて考えます。
まりなさんがギターを弾いていたことは思い出のストーリーの「FAN!FAN!CiRCLINGFIVESTER!」を見てください