5つのルーン~想い繋ぎながら~   作:Crina

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綾が愛美に話しかけてきた所からです。


2-2-2話 お願い

「もしかしてバンド組もうとしてる?」

 いきなり話しかけられたので振り返って綾のほうへ向き、「確かに探しているけど、メンバーが見つからない」と頭を抱えていることを話した。そしたらいきなり廊下に出ようといわれ、渋々出ることにした。

 

「んで、どうしたの?いきなり廊下で話がしたいって」

 私は疑問に思いながら綾の話を聞くことにした。それは綾が和澄と出会ったこととかの話をしてきた。最初は何故そんな話をするのかと思ったが、この言葉で納得がついた。

「和澄の笑顔を取り戻したい、アイツは笑うという感情を失ってはいないはずだから...」

私は高校に入る前に一度和澄と会ったこともあってか少しは分かるところはあった。だからこそ和澄がボーカルができること、綾がベースができることを思い出し、バンドをしようと誘ったわけだ。

 

 それから数日後にはカバーでやらずにオリジナルでやろうと話し合い、潤香も納得していたが、作詞と作曲は大変だったので、音感を持っている私が作曲を担当し、自分が思っていることを歌詞に表したいと言って作曲を和澄がすることとなった。

まあすぐには出るわけもなくて相当苦戦を強いられたが、姉さんが甘いものをくれたので、私はそれを食べながら考えることが出来た。そのおかげで出来た曲と和澄が作った歌詞を合わせてみるためにStandへ向かった。

 

「やっぱりキーボードほしいな、リズムが調律できてない感じがする」

「分かる、なんかトゲトゲとした感じがするから息が合わない感じがする」

4人でセッションをしている中、どうも合わない感じに私達は悩んでいた。というのもキーボードをやっている友人を皆は持っておらず、どうしようか考えていた。その日は決まらずに翌日も同じように悩んでいたのだが、それを気にかけた麻久美が後ろから声をかけた。

「何悩んでんの?私に聞かせてよ」

急に現れて悩みを聞かせてと言われたが、クラスメートで、わりと気にはかけていた彼女は私達が抱えている問題を聞いてくれた。歌詞と作曲ができているが合わせてみるとトゲトゲとした感じをしていたこと、キーボードが出来る人を探していることなど色々と聞いてくれた。そして彼女は閉じていた目を半分開けてこう言った。

「私は昔、ピアノをしていたから役に立てないかな?」

 

 そのことを聞いて早速Standでセッションすることになった。始めにキーボードに慣れるために指慣らしをみた後にスコア確認をしたのだが、わずか数秒見ただけで1フレーズ完璧に演奏してきた。それには私もそうだが潤香も綾もましてや和澄すらも驚いた。すぐに暗記できる能力とこれまでの経験が麻久美の才能を開花させた。

「どうかしら?」

「ごめん、想像以上の演奏だった。是非とも入ってほしい」

「問題ない、いやプロ以上の演奏だった。少しセッションと思っていたけど早速この曲の通しをやっていこう」

 

 初めてだった。長いブランクがあるとはいえ自分が奏でた音で周りを感動させ、自分を形成するあの感覚がとても気持ちよかった。何のためにやり始めたのか分からなかったピアノに嫌気を差して辞めていたのにその経験が今の私を見出してくれた。それが嬉しくて、初めて出来た神奈川での大切な友人を...それを大事にするために私はキーボードを奏でていこうと思った。

「これでメンバーが揃ったけどバンド名とかはまだ決まってないよね」

「う~ん、いいのが決まってないしね」

「まずウチらがこうして活動し始めだから仕方ないところあるだろうし、親睦を深めるためにも自己紹介と渾名決めしようよ」

潤香が他愛もないことを話したが、それはそれで必要なのかもしれないと思い、それぞれ自己紹介と中学までどんなことをしていたかを話したが、和澄の過去を聞いて綾以外の私達3人は唖然とした。悲しい過去を隠し持っていたから笑顔を取り戻したいという綾の気持ちが分かった。

 

「和澄の笑顔が消えたあの事件からたいぶ過ぎてるけど、それでも一緒に帰るときでも笑う姿を見ていないからさ」

「綾....私のためにこんなことをしようと言ってくれたのは嬉しいよ...でも笑顔って一体どうしたら戻るのか私は分からないの」

 これまでの和澄のこと、笑顔が戻るきっかけ...分からなかった。笑顔を取り戻すこと、それは簡単じゃないからこそ考えるためにも活動しながら考えていこうと考えてた。その時潤香が「すぐには戻らない、だったら活動してからにしようよほら渾名渾名」と先に思っていることを言われ、暗い雰囲気を変えてくれた。

 そうして付いた渾名はそれぞれの名前を取ってソエル、ウルズ、イース、エワズ、べオークと付き、それがルーンの名前であることを和澄が気付き、バンド名を【Loon】にしようと言った。これが後に有名なバンドになるとは気付かずに...

 

「よし、決まったらこの曲【Stand Up】を合わせていこう」

そう麻久美ことべオークが言って遂に合わせる事になった。そして出来上がった曲を引っさげて数日後にあるオーディションに出て見事文化祭の有志ライブに参加することとなった。




決まった渾名、バンド名、そして最初の目的...次回は文化祭編です。
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