連絡が来てその翌日に話ができたか聞いてみたが、会えなかったと答えが返ってきた。お互いがすれ違ってしまい、それが原因で今のLoonの現状が起きているのだから仕方がないのだろう。けど、翌日、その翌日にもソエルに会おうとしている和澄を見て何か吹っ切れた感じがしたからそれはそれでよかったと思えた。
「イース、いや綾、私ね、あの日からずっと悩んでいたことは知っているでしょ?」
「ええ、初めからずっとね。でも急に吹っ切れた感じだけど、何かあったの?」
「自分のことが分からなくなっていたの、あの日言われたあの言葉が忘れられずにずっとこのバンドがなくならない守りの歌詞ばかり書いていた。けど、ソエルが...愛美がそんな私に一喝してくれたの、それが悔しくてあの時逃げ出してしまったけど、冷静に考えれる時間があって考えて、それで私のことをまた考えてみたら切り口が見えてきたの...だから愛美は私たちのリーダーだとそう思えたの、だからこそ逃げないためにも今こうしてソエルに会おうとしているの」
バイトがない曇天の中の帰宅中に和澄とこうして何があったのか話をする機会があったので、聞いてみた。その答えがこれまで悩んでいたからこそこうして前を向いて歩んで行っている和澄を見て私は本当にこのままでいいのだろうかと悩み始めていた。
クラスが同じということもあってか、愛美の姿を見ても愛美も吹っ切れた感じがしたし、ウルズ...潤香はいつも明るいから本質はどうなのかは知らないけど、でも、私自身どうしているんだろうという気分にはなっていた。
「これでもあの日からは覚悟を抱いて生きてきたんだ。だからこそ今、乗り切らなければならないことがあるんだ」
そう心に誓いながら自分を奮い立てた。だからこそ、私の渾名...いや、バンドのメンバー名であるイース(IS)の意味である氷...つまりは停止、乗り切るための我慢が必要であること、私はこれ以上を望まないで今を超える、そしてそこから見える景色で他の4人が前にいるのであればそれに追いつくために努力すればいいとそう思えた。
ソエル...意味は太陽、つまりは自己満々、自分が納得するまで技術を磨き、そして魅入る演奏をする愛美にぴったりだ。
エワズ...意味は変化、これまでの過去を乗り切り新しい自分を見つけて行く和澄らしいルーンだ。
ウルズ...意味は野生の牛、力強いドラムの演奏姿を思い出すと潤香に合っているルーンだなと思えた。
ベオーク...意味は成長、おせっかいな性格の麻久美によく合っているルーンで、その性格で今の私たちを支えてくれている。
こう考えると渾名のルーンがそれぞれによく合っていて本当にすごいことなんだなと改めて実感してる。
「今は堪えよう。それがきっかけでこれからの私たちがあるのかもしれない...なら私はいつものようにベースで下の基礎を構築していくしかないね」
家に帰り、練習用に使っているギブゾンではなくて、ライブ中に使っているスペクターの青いベースを担ぎ、これまでの曲を弾いて自分自身が苦手にしているピック弾きからの指スラップへの対応をひたすら練習を重ねていた。
「まずは自分の課題を超えてからそのあとを考えよう...乗り切れたなら次の課題を超えて少しでも上達していかないと」
私が今できる最大のことをしなければならない、だからこそ今思えていることはただ一つ
【私はLoonのベース、イースこと井住田 綾、演奏の土台が脆くてはなにも意味がないだからこそ私は私の課題を超えていく!!】
その想いをただぶつけるだけだった。
堪えて目の前の景色を見て歩むことを決めたイース、次回はベオークとLoonの集合の話になります。
次回、私たちはLoon