仕事終わりにスタジオでブランクを取り戻すために今日も練習をしていた。それはLoonをこれから活動するにあたってとても大切なことなので、これだけは妥協できなかった。今日に限ってはソエルは新しくサポートギターとして活動するための顔合わせに行っているために不在なのでCiRCLEにはいなかった。それでも練習するしかないので、スタジオでドラムを叩いていた。
「久々にソロやってみるか」
そう言ってウチは無我夢中でドラムを叩いていた。長いブランクの影響か、素早いドラムの動きが出来ずに「また今日もか」と嘆いていた。それでもLoonとしてという気持ちだけでただひたすらに叩くしかなかった。
ちょうど外には宇田川 巴とその妹のあこが潤香のいるスタジオに耳を傾けていた。
「何してるの二人とも...」
「ああ、今Cスタジオに潤香さんがいるんだ。ドラムの練習をしているし、どんな感じにやってるのかなって聴いていたんだ」
ボーカル全員の合わせということもあって蘭がDスタジオへ向かおうとしていた時に二人がドアに耳を傾けて聴いていたのをみていたらしい。
「別に入ってきても構わないんだけどね」
「あはは、すいません盗み聞きする感じになって」
「いいよ、それに同じドラマーなら見たり話し合ったりしても身につくところあるし」
「そっか、なら遠慮なく聴かせてもらいます」
「潤香さんの演奏、すっごくカッコいいからあこも同じように演奏できればいいなぁ」
「あはは、練習すればウチと同じようなことはできると思うよ」
そうしてウチはKanoの演奏に入った。リズムキープが大切な曲ということもあって、絶対にミスることが許されないのでできるまでただひたすらにドラムを叩くしかなかった。叩いていくうちにのどが渇いていくが、なんとかある程度できるまでひたすら叩いた。叩く叩く、さらに叩く...妥協せずにただひたすら練習をしていた。
「なんというか、潤香さんってストイックだよな」
「分かるなぁ、なんか友希那さんや紗夜さんみたいなとこあるもん」
「ふう、3分休んでソロの練習かな」
ウチが休んでいる間、巴とあことドラムの話をしていた。ウチがドラムをし始めたことはあの日に話していたけど、それ以外でドラムとどう接してきたのか話せるだけ話した。親が元ドラマーということもあってドラムのセンスがいいことと、練習方法や四刀流に見えるハイスピードなスティック捌きになるまでの経緯など全て話せるだけ話した。
「へえ、潤香さんのドラムってそんな感じで身に着けたんですね、参考になるのかなって思いますけど、けど、それを基に練習できればアタシたちもスキルアップできる気がします」
「大袈裟ですよ、でも、その気持ちは大切ですよ...ウチもLoonの他のメンバーに離されないためにも闇雲に頑張ってるわけですから」
そうこうしていくうちに3分が経過していたので練習に戻り、ソロのドラム練習に入った。ただただソエルのために、Loonのためにもウチはここで止まるわけにはいかなかった。それだけの執念が実ったのか、動きがこれまでよりも良くなっていった。その動きとドラム捌き、ドラムの音色が相当よくなり二人を魅らせていく、それはまるで一つの炎のように激しく...。
「これが潤香さんの演奏...あこ、この演奏に引きこまれちゃうよ」
「ああ、この演奏は本物だな」
「あはは、つい夢中になってたよ」
バーニングクイーン、潤香はそう言われるほどの激しいドラム捌きをしていた。ただLoonとして居たいだけではなく、ソエル...愛美のためにも潤香は叩き続けなくてはならないと思っていた。それこそが潤香がドラムを叩く一つの執念になっていて、それこそが潤香のドラマーとしてのプライドとなっていた。その炎のような激しい演奏が潤香にとってはただ大切なものとなっていたのだから...。
「潤香、今日も来てるのか?」
そう言って現れたのは愛美だった。サポートギターの顔合わせが終わり、一回の全体練習が終わってCiRCLEに顔を出してきたらしい。
「ああ、ちょうど巴とあこが見学に来てるけどね」
「そっか、なら久々にThe P〇llowsの曲やるか?」
「いいね、激しめのでも構わないぜ?」
「言ったな?じゃああの曲にするか?」
「よっしゃ!!全力でやるぜ!!」
そう言って潤香と愛美は3曲激しい曲を演奏し、そこにいた宇田川姉妹をさらに魅入らせてしまっていた。お互い翌日には体全身が痛くなっていたのはまた別のお話。
次回...ドリンクには?
宇田川姉妹といえばドラムですよね。そしてLoonのドラムは潤香ということで潤香と宇田川姉妹の話でした。まあ簡単に言うと潤香のドラムの腕はパスパレの麻弥の2倍上手いキャラとでも思ってくれたら幸いです。次回はドリンク作りということで羽沢珈琲店が舞台です。そしてLoonからはあの人が登場です。