「あこ、テンポが速かったわ、もう少し抑えて」
「はい」
私達は今、次のライブに向けての全体練習をしているところです。
ガチャ
急にスタジオの扉が開き、添盛さんが入ってきた
「すいませんRoseliaの皆さん、後ろにある使われていない機材のメンテをしますが、お気になさらずにそのまま続けてください」
添盛さんがいきなり入ってきたが、機材メンテのために来たのなら私は気にはならない
「分かったわ、ついでに次の予約はいつ取れるかしら?」
「そうですね、メンテに来る前に確認はしましたが、木曜日の夕方は空いています」
「そう、ならその日に入れてもらえないですか?」
「分かりました」
「さて、練習に戻りましょう、次は『-HEROIC ADVENT-』いきましょう」
流石Roseliaだなとは思える演奏だ。曲一つ一つ、力が込められている。それに、去年に比べて更に成長したと思う。そんな中私は機材のメンテをしているわけなんだが、Aスタジオのはしっかりと整っているから安心した。
「どこも悪くなっていないね、一通り終わったけど、テストしてみないとね」
そう言って私は自前のギターをアンプにつなぎ、軽くはじいて音を確かめた。
「次はまたこの曲をやりたいと思うの」
皆に『LOUDER』を次のライブでしようと提案した。
「いいとは思います。この曲をカバーしたことによって私達の技術は更に伸びましたので」
「そうですね・・・私も・・・いいと思いますよ」
「あこ、前やった以上にしたいので少しアレンジするのがいいと思います!」
「アレンジか~、良いかもしれないね。ねえ友希那、アレンジならどうする?」
「そうね、アレンジなら私達らしく、でも父の原曲を失わないような感じで行きたいわ」
お父さん、またこの曲をやらせてもらうわ...これが私達を大きく成長させるのであれば...
そうして『LOUDER』を一通り演奏し、アレンジをどうするか考え始めた
「LOUDERか、懐かしい曲だな。そういえばあのバンドの湊って、友希那さんのお父さんだったのね」
私はそう思いながら全ての機材の調整を終えた。
「少し混ざらせてね」
そう言い、サビを原曲と同じように弾い始めた
「!?」Roseliaの皆がその時驚愕した。
「え?今のって父と同じリズム...紗夜が弾いたわけじゃない、もしかして添盛さん?」
「嘘、愛美さんってギターを弾けるの?」
「弾けますよ、それに懐かしいですねLOUDER、Roseliaの手で生まれ変わったこの曲はきっと友希那さんのお父さんも喜ぶと思いますよ」
何故、添盛さんはお父さんのことを知っている?聴いたことがあるの?私はそのことに困惑している。
「添盛さん、少し気になったのですが、昔に私のお父さんの演奏を聴いたことがあるのですか?」
「ええ、10年前にライブで...今ではここCiRCLEのスタッフですが、昔は違うライブハウスのスタッフをしていましたし、その時に聴きました」
「あこ、愛美さんの昔のことを知りたいです」
「聞いても面白いことはないですよ、それに...」
「それに?」
その時の添盛さんは悲しそうな顔をしていた。
「いつかはGBPに参加したメンバーとまりなさん、さらにはここのオーナーにもこれまでの私を...いえ、私たちのことを教えないといけませんからその時に」
そう言って添盛さんはギターを片付けてスタジオを後にした。
「...」
「...」
私達は添盛さんの演奏を聴いてただ魅入られるしかなかった。私には無い音、添盛さんからは更なる向上のためのアドバイスをしてもらったり私の話を聞いてもらったりしていたけど、添盛さんは大きな出来事を経験したからこそあそこまでの演奏をできるのだと私は思った。
すごい演奏だった...私はあの音を聴いて初めて友希那さん達の演奏を聴いた時と同じ物を感じた...
「あの演奏以上を目指して、練習を続けましょう」
そうして私達はまた練習し始めた...
「本当にいつか、これについては私達が集まらなければ話せれないこと...久々に皆に連絡をしようかしら。その前にあいつが先走らないようにしないと...」
そうして私は潤香に連絡を取った
『もっし~おひさ~元気にしてる~?』
「おかげさまで、ほんで羽沢珈琲店でのんびりとしているのか?」
『え~なんで分かるの~?』
「分かるも何もウルズ、幼馴染で家がま隣だろうが」
というか電話越しに聞こえるBGMはそこしか思いつかないし
『あ~そうだった~。でも一人暮らしし始めたソエルは引っ越したでしょ~?』
「そうだが、その近くに引っ越してきたおバカさんはどこのどいつですか~?」
潤香にはこういう煽りをするのが効いたりするんだよなぁ
『うっ....痛いとこ突くよねソエルは毎回w』
羽沢珈琲店なら絶対いるはず...
「ほんで話し変わるが、今そこにAfterglowの皆がいるだろ?」
『うんいるよ~、それがどうかしたのか~?』
だと思ったよ、ウルズのことだからすぐ話すから口止めしないと...
「あまり私達のことを話さないでくれ、それに私のことにも繋がるのだが、どこかしらのタイミングで皆に伝えるから話すな」
『へいへ~い、ほんじゃあまたな~、今度会おうよ~』
「ええ、今度は皆とね...」
そうして電話を切った
こうでもしないとウルズはすぐにしゃべるからな、とりあえずは他にも連絡しよう
「あ、お疲れ」
いつものまりなさんだった。
「しっかりとメンテが整っていたのでぱぱっと終わらせました。ちょっと電話してきますね」
「分かったわ」
まずはべオークからっと
「もしもしお久しぶりだね、ソエル」
『久しぶり、元気そうだねべオーク』
「ええ、ソエルも元気?」
『相変わらずよ』
久々の連絡だった。
「そう、いきなり連絡してきてどうしたわけ?」
『久々に会おうかなと思ってね』
「久々に?どこで?いつ?」
『2ヶ月以内で全員が休みのとき』
2ヶ月か、特に予定がない日はないことはないしな...ん?全員となるとアイツもか...
「てことはエワズ達もって事でしょ?」
『そうよ、キーボードもできれば持ってきてほしいな』
「え?何かするの?」
『ちょっとね、これから他にも電話するところよ』
キーボード?またバンドでもするのか?
「まあ持ってくるわ、さっきまでイースといたけどね」
『まじか~、もう少し早かったら楽だったのにな~』
「まあ頑張れ、キーボードとか解散してから弾いてないよ」
『たぶん、ウルズもだと思うよ』
「そうかもね」
『まあまた連絡するよ』
「分かったよ、元バンドリーダー」
だんだん愛美について分かり始めた。そしてまだ出てきていない存在、愛美がいたバンドのボーカル...エワズ
次回はイースこと井住田 綾が主体のお話