泡のような儚い恋   作:ぬっくん丸

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初めまして、ぬっくん丸と言います。投稿などはあまりやっていなかったので暖かい目で見てもらえると幸いです。


1章 浜辺の出会い

『君がうちの会社では無理だと思うよ?なんか君には……』

 

『お前には面接無理だろ。なんせお前には……』

 

『もう別れない?貴方には……』

 

 

『『『魅力がない』』』

 

 

──もう疲れた。

 

会社の面接をことごとく落とされ、友達には馬鹿にされる、彼女にもフラれた。

 

肉体的にも精神的にも疲れた。

 

俺には魅力がないのか、魅力とはなんなのかと自問自答しようとするがそれどころではない。

 

疲れているのだ。

 

早く眠ろう。

 

 

「消えてしまいたい……」

 

 

その言葉を吐くようにこぼし、坂本隆は眠りに着いた。

 

────────────

 

「また朝がやって来た……」

 

俺は朝が嫌いだ。

 

会社を探し、面接を受け、落とされる日々の朝が好きになれるはずがない。

 

だが、今日の朝はいつもと変わっていた。

母さんからの電話が来た。

 

 

「───ばあちゃんが、死んだ?」

 

 

母さんからの一言で寝ぼけていた頭が覚醒した。

 

時江ばあちゃん。

 

母方の祖母であり、海岸近くの一軒家で一人暮らししていたはずだ。

 

「新聞の配達の人が玄関で倒れているおばあちゃんを見つけたらしく救急車を呼んだけど手遅れだったみたいなの、心臓発作らしいね。」

 

「そうか、もう歳が歳だったもんね」

 

確か90後半だったはず。

 

でも、もう少し早く見つかっていたら助かったかもしれないなどの考えが過ぎった。

 

「それで隆、今日おばあちゃん家に行ける?」

 

「ばあちゃん家に?」

 

「おばあちゃん一人暮らしだったから家の片付けとかね、私も行けたらいいだけど親族での話がね……」

 

……なるほど。まぁ今日も会社を探すだけだったし気分転換にもなるだろう。

 

「わかった。今から行くけど鍵とかは?」

 

「おばあちゃん鍵は嫌いだからって家に鍵がないのよね」

 

なんだそりゃ、不用心すぎるだろ。

 

「……わかった、掃除とかやっておけばいいんだね?」

 

「お願いね、あと何かあったら電話してね」

 

────────────

 

予定変更でばあちゃんの家に到着。

 

車で3時間、僻地なのはわかっていたが、ここの周辺にはほとんど何もなかった。

 

あるのはここから見える綺麗な海岸くらいだった。

 

「ばあちゃん、買い物とかどうやってたんだ?」

 

ばあちゃんは車の運転は出来たがそれでも近くの店まで数十分はかかる。

 

老体にはそこそこ厳しいはずだ。

 

まぁ、そんな疑問は置いといて早速家に入ることにしよう、片付けもやらないといけないし。

 

 

……ほんとに鍵が無いよ。

 

────────────

 

「お、終わらねぇ……」

 

ばあちゃんの家の中は物が大量にあり、片付けもクソもなかった。

 

2時間くらい格闘したが全体の1~2割も終わってないだろう。

 

……うん、休憩がてらここら辺の散策を……。

 

あぁでも、この周辺には何もないんだったな。

 

さて、どうしたものか……。

 

「あ、家の前の海岸でも散歩してくるかな。」

 

今はまだ6月だがそれでもそこそこ暑い。

 

一応サンダルを持ってきてあるから海に足をつけるぐらいして来ようか、と考えながら海岸へ向かう準備を始めた。

 

────────────

 

浜辺に到着し、そこから見える光景に言葉を失った。

 

ゴミひとつ落ちてない綺麗な浜辺だ。それに海も綺麗だ。

 

高校の修学旅行で行った沖縄の海を思い出させるような綺麗さだった。

 

数分間、我を忘れこの美しい光景に見惚れていた。

 

「おっと、そろそろ浜辺の散策でもするかな。」

 

本来の目的を思い出し、辺りを見回してみる。

 

まぁ、特に面白そうなものは落ちてないけど。

 

強いて言えば岩が所々にあるくらい。

 

それでもこの綺麗な景色を見ながら歩くだけというのも乙なものだ。

 

────────────

 

大岩の近くを通りかかった時だ。

 

波の音に混じり何かの音が聞こえた。

 

「この岩陰の方からか?」

 

岩の向こうから聞こえてきたので岩を辿り、音のなる方へ向かった。

 

近づくにつれその音が女性の呻き声のようなことに気がついた。

 

「誰か倒れているのか!」

 

今朝のばあちゃんの話もあり、手遅れになる前に早く助けなければと急ぎ足になった。

 

予想は的中し、傷だらけ女性が倒れていた。

青い水着を身に纏っているが下半身はおかしな形のパレオのようだ。

 

「お、おい大丈夫か!返事をしてくれ!」

 

近くに駆け寄り意識があるかどうか伺った。

 

「おいしっかりし……」

 

女性の全身を見渡した。

 

遠目では気が付かなかったが、彼女には人の足というものがなかった。

 

あるのはおかしな形のパレオではなく魚の尾びれだった。

 

「に、人魚?」

 

その姿は童話などに出てくる人魚の様な姿だった。

 

「助けて……」

 

今にも消え入りそうな声が耳に入った。

 

その言葉で我に返った。

 

考えるのはあとだ、まず彼女を助けよう。

 

「……一旦ばあちゃん家に運ぶか」

 

今は何も考えず彼女を抱き上げ、治療のためにばあちゃんの家に運ぶことにした。

 

 

───これが彼女との出会いであった。




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