泡のような儚い恋   作:ぬっくん丸

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4章 人魚との生活の始まり

────朝の日差しが窓から入ってきた。

 

目が覚めたら白い壁に囲まれた部屋だった。

 

ふと自分の寝ているところに意識を向けた。

 

不思議な感触の、だが不快ではない寝心地のいいところで目が覚めた。

 

人魚の少女は坂本のベッドに寝かされていた。

 

ほぼ完全に傷の癒えた体を起こし周囲を見渡す。

 

見たことの無い木の台や透明な板などが目に入ったが、特に危険そうなものはないと判断し安堵した。

 

(ここは昨日の助けてくれたサカモトが言っていたあぱーと?というところなのかな……。)

 

昨日……

 

────────────

 

『海には…………戻りたくない…………です。』

 

『じゃあ俺のアパートに行こう。』

 

『あ、あぱーと?』

 

────────────

 

生活感があるところを見ると人間の住処のようだ。

 

(人間の住むところはあぱーとって言うのかな。)

 

そんなことよりもにお礼を言いたい。

 

人魚の少女はベッドから降りようとヒレの代わりに出現人の足を出そうとするが……

 

ドタドタッ!!

 

バランスを崩しベッドから落ちてしまい顔面を強打してしまった。

 

「うぅ……痛ったぁ……。」

 

鼻血は出てないようなので、痛みを我慢し這いながら坂本を探し始めた。

 

 

しばらく徘徊して人魚の少女は坂本を発見した。

 

坂本は自分の寝ていたところよりでは無いがそこそこ柔らかいところで眠っていた。

 

そこを人魚の少女は膝立ちをし、坂本の顔を覗き込んだ。

 

(この人に助けて貰ったんだよね。)

 

と、坂本の顔を間近で見つめながら耽っていると坂本が目を覚ました。

 

────────────

 

起きたら水着の上にシャツを着て膝立ちをしている女の子が自分の顔を覗き込んでいた。

 

(何これどういう状況!?何で起きたら目の前に!?顔近ッ!)

 

坂本は混乱している。

 

(あっ、この子近くで見るとめっちゃ可愛い……じゃねぇ!まつ毛長ぇ……ってこれも違う!)

 

坂本は混乱している。

 

(この子なんで動かねぇの!?そういやこの子名前名前ないんだっけ!後で名前とか考えなきゃ!)

 

坂本は混乱している。

 

坂本が表情を崩さず、心の中でアタフタしていると、

 

「……おはよう。」

 

人魚の少女が先に口を開いた。

 

「おは、おはよう。……と、とりあえず離れてくれるとありがたい。」

 

────────────

 

「君の名前を考えた。」

 

坂本は人魚の少女と一緒に朝食を食べながら説明を続けた。

 

「名前?」

 

「そう、俺には坂本って名前がある様に人間は一人一人に名前があって個人を呼び合う時に使うんだけど君に名前がないから考えたんだ。」

 

「名前……うん、わかったよ。」

 

(よーし、了承してくれて助かった。名前がないとこの先面倒なだけだからなぁ。)

 

「今から君の名前は渚(なぎさ)で!」

 

由来は海で彼女を見つけたから。ただそれだけ。

 

「気に入ってくれた?」

 

一応彼女にもこの名前がいいか訊ねてみる。

 

「渚……渚かぁ……ふふっ……ありがとう。」

 

初めて笑顔を見せてくれた。

 

どうやら気に入ってくれたようだ。

 

「改めてよろしく渚。」

 

「こちらこそ、そして助けてくれてありがとう、サカモト。」

 

テーブル越しに握手をしようと手を差し出したら誤って水の入ったコップを倒してしまい、彼女に水がかかってしまった。

 

「あっ、ごめん!今すぐ拭くね!」

 

「だ、大丈夫だよ。」

 

と、坂本があることに気づいた。

 

後々試そうとしていた「足に水をかけるとヒレになる説」が偶然に行われた。

 

しかし、渚の足がヒレになることは無く綺麗な肢体に水がかかっただけだった。

 

(しかし弱ったな……足の出た原因がわからず戻し方の当てが外れてしまった。)

 

渚にはしばらく足で生活してもらうが、渚はもちろん歩けない。

 

今後歩き方も教える必要がある様だ。

 

「サカモト……?私の足がどうしたの?」

 

「ん?あぁ、ごめん今拭くもの持ってくるね。」

 

坂本はタオルを取りに戻ってくるまで今後のことを考えた。

 

(渚には歩く練習の他に、人間の生活について教えることが山ほどありそうだな。)

 

渚には人間として生活してもらうが出来るだけサポートしようと坂本は心に決めた。

 

 

タオルを取ってから渚のところへ戻り濡れた足を拭くが……

 

「サ、サカモト……くすぐったい……。」

 

渚はくすぐったかった足をくねくねしだした。

 

「うおっ!そんなつもりは……!」

 

(ちょっ、そんな艶かしく足を動かさないで!)

 

何が打開策は……

 

(そうだ、人間の生活に慣れてもらうために自分で拭いてもらおう!)

 

「……自分で拭いてみる?」

 

「……やってみる。」

 

タオルを渡し、「こうかな?」と言いながら渚は自分の足を拭き始めた。

 

(あぁ、先が思いやられる……。)

 

 

────こうして坂本と渚の生活が始まった。

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