それでは、第一話 出会い
序.
満開の桜並木の中、道に落ちた花弁を
踏みしめながら歩く一人の少年。
桜並木は次第に終わり丘から街を見下ろ
せる展望台にたどり着く
「散る桜残る桜も散る桜……」
憂いか悲しみかそんな表情を残して立ち
去ろうとするとザッとつむじ風が吹き
花弁を巻き上げる
「あっ!!」
次いでと言わんばかりに彼の帽子も一緒に巻き上げて行ってしまった
………………………………………………
一.
「見て見て、海未ちゃん!!!桜がこんなに咲いてるよ!!!!!綺麗だね!!」
「穂乃果!!そんなに走ると危ないですよ」
"穂乃果"と呼ばれた茶髪…いやオレンジ色の髪の少女は元気一杯、全速力で桜並木を駆け抜けて行く。その後ろから走りながら長い蒼色の髪を靡かせながら追いかける。
「アレ?そう言えばことりちゃんは?」
穂乃果が不意に立ち止まり周りを見回す
「そう言えば……ことりならさっき、あっちの方へ行きましたが……」
"あっち"の方に視線をやるとその方向
から
「穂乃果ちゃーん!!海未ちゃーん!!ちょっと来てー!!」
"あっち"方から脳トロボイスが飛んでくる。
「何かあるみたいだね、行ってみようよ」
「はい、分かりました。危ない事だと大変なので早く行きましょう」
と階段をタッタッタッと降りて行くと下の方で形容し難い髪の色をした少女が地面を指さす。よく見ると何やら白い物が落ちている
「ねぇ海未ちゃん。ことりちゃんの足元にある白いのってなんだろう?」
「ん…よく分かりませんねぇ…帽子か…ポーチでしょうか?」
「やっぱり早く行こう!!」
「あっちょっと…!!」
一段飛ばしで階段を駆け下りる。
「全く…怪我をしたらどうするのですか?」
心配さと呆れを混ぜた声を漏らす。しかし当の本人はそんな事歯牙にもかけずにことりの元へ行ってしまった
「ねぇねぇ、ことりちゃん。この帽子は一体誰のかな?」
「うーん、周りには誰も居ないから猫ちゃんが勝手に持って来ちゃったのか風で飛ばされたのかな?それにしても……」
すると後ろから海未が遅れて到着する。
「穂乃果……貴女って人は……なんでこうも勝手に一人で行くんですか…」
「ごめん、海未ちゃん。でも何か気になって早く確かめたかったの…ごめんね?」
「はァ……分かりました。何時も貴女はこうですもんね…。
ところでこの帽子ってもしかして……」
三人の足元に落ちている帽子。三人、揃ってまじまじと見つめるその帽子の正体は………
「これって…もしかして兵隊さんが被っている帽子なんじゃ…」
「た、確かにそんな様に見えますね…」
「う、うん…これは兵隊さんの…しかも水兵さんの帽子だね…」
「うーん、何処かに名前とか書いてないかなぁ…?」
と穂乃果がひょいと帽子を拾い上げる。
「いけません、穂乃果!!もし、海軍の中で一二を誇るほど偉い人の物だったらどうするのですか?」
「大丈夫だって海未ちゃん。私たちは落とし物を拾ったんだから寧ろ褒められると思うよ?」
「確かにそうかも知れませんが…」
「大丈夫だよ、海未ちゃん♪もしも凄い偉い人のだったら今頃、大騒ぎしてるはずだから。ね♪」
「ことり…貴女まで……。分かりました。
…ちょっと私に貸してくれませんか?若しかしたら名前が書いてあるかもしれんから」
「ん、分かった!!」
海未は穂乃果から手渡された帽子を前や後ろ上から下と色々な角度で見る
「あっ、それっぽいのがありましたよ」
「えっ?本当!?見せて見せて!!」
「本当?どんな名前なのかなぁ?」
「ええっと今から読みますね。何々…」
三人で小さい帽子の裏側に書いてある、名札を見る
「ええっと…すずみや……まき……鈴宮 真妃。と言う人の物らしいですね」
「へぇ〜真姫ちゃんと同じ名前なんだね。やっぱり女の人なのかなぁ?」
海未の手からひょいと帽子を取り自分の頭に載せる
「あっ、穂乃果!!誰であろうとも勝手に人の帽子を被るのはいけませんよ!!!」
「ムゥ〜海未ちゃんのケチー」
「まぁまぁ、海未ちゃん」
「ことり!!貴女も穂乃果の味方をするのですか?」
そんな調子でワイワイやっていたら階段の上の方から足音がする。
桃色の花弁に紛れて次第に姿が見え始める。
黒い革靴に清潔感のある白いズボン。
白い手袋に白い腕、腹部には金色の七つボタンが眩しく光る。肩には黒と金色の何か…階級章…?が付く。そして顔も…やはり遠くて見えないが男性のようで髪型は軍人らしく短く刈り込んである。
何やら私たちの方を見て少し唇が動いた。そして、とタッタッタッと駆け足でこっちに向かって来る。
やっと顔が見えた。顔はジャニーズや有名な男優の様な凄いイケメン…と言う訳ではなく極々、一般的な日本人男性。だけどもキリッとした眉と瞳。そして真一文字に結ばれた唇からは精悍さと真面目さが感じられる。
「あっ………」
とその水兵さんの動きが一瞬止まる。
「あっ………」
横からも同じ様な声が聞こえる。
「いきなり申し訳ございません。私、大日本帝国海軍 中将 鈴宮 真妃 と申します。
この近辺で私の軍帽を見かけませんでしたでしょうか?もし何かご存知であれば教えて頂けたら嬉しいのですが」
とその"帽子"と全く同じ名前の将校はビシッとお辞儀をする。
「あっ…もしかしてその帽子ってこれの
事ですか?」
海未ちゃんが背中に隠していた帽子を取り出す
「はい!!そうそう、それです!!!あ〜見つかって良かった!!!!!」
とこの顔からは似つかわしい喜び方をし始めた
「あ、あなたは海軍の兵隊さんなの?」
「はい、私は大日本帝国海軍の将校です有事の際には貴女方国民を最前線で守る
のが役目です」
「どうしてあなたはここにいたの?」
「どうして…ですか。それは新しい任地に向かう前なので少し見ておこうかと思いまして」
「なるほど……そう言う事ですか」
と三人が"なるほど"と頷く
「それではこのご恩は何かしらの形で必ず返させて頂きます。今回は誠にありがとうございました」
とその少年将校はザッと敬礼をして更に帽子を脱ぎ深々と最敬礼をする
「い、いやそんな事はしてないから別に良いよ。」
と穂乃果がちょっと困った様に言う。横で二人も"うんうん"と首を縦に振る
「そうですか…まァ良いです。それでは失礼します。また、ご縁がありましたらお合い出来るでしょう。それでは」
とキッと踵を返してタッタッタッと駆けていく
「あっ……!!」
と横で声が聞こえ手が伸びる
「…取り敢えず、帽子の持ち主が見つかって良かったね!!」
海未が頷きながら
「ええ、確かにそうですね」
ことりもにっこり微笑んで
「うん♪ほんとだね穂乃果ちゃん♪」
三人でワイワイ話し合ってると横で
「……格好良かったなぁ……あの人」
とうっとりした声がする
「えっ?」
と聞き返すとその娘は
「う、ううん何でも無いよ」
と誤魔化す
「ほら、そんな事より早く行こうよ!!
学校が始まっちゃうよ!!」
「そ、そうですね、穂乃果。ほら、ことりも急ぎますよ!!」
と穂乃果と海未は慌てて走り出す
「穂乃果ちゃんも海未ちゃんも待ってーーっ!!」
とことりが二人に続いて桜並木を駆け抜けて行く。
これから誰も想像してもいなかった、9人ともう1人の物語が始まる
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「……彼女たちの所属校は?…なるほど
ねぇ……学年は?…なるほど、同い年か
道理で。所属している部は?ホゥ…!!面白いなぁ……理由は?…母校が廃校になるからそれを阻止する為…?なるほど、とても健気じゃ無いか…そのお手伝い我々にも出来るだろうか?…何?無理な話で無い?それたら"お手伝い"に行こう。面白くなりそうだね」
久々の小説でしたがいいかがだったでしょうか?慣れていないので中々、上手に行かないなぁ……まだまだ、精進しなくては