僕と9人の物語   作:四郎と

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前回のラブライブ!!

音ノ木坂学院に新しく入って来た子はなんと前に帽子を拾った海軍の兵隊さんだったの!!!
μ'sに入ってくれそうな感じなんだけども男の子はどうするんだろう?ねぇねぇ、どうするの?……ねぇ、どうするの?
ねぇ……聞いてるの?


狂気と理由

取り敢えず、μ'sのメンバー構成は理解出来た。各学年三人ずつの計九人。

悪い人はいなさそうだがまだ100%信用するのは些か早すぎると思う。人間、何処で変貌するか分からないから……取り敢えず、一ヶ月は様子見してそれから判断しよう。

それでも遅くは無いはずだ。

 

「真紀君?ちょっと良い?」

 

ガラリとドアを開け三年の……東條希だっけ?が入って来る。そして僕の真向かいに座る

 

「ねぇ…君がスクールアイドル部に入りたいって言ってる子やね?」

 

「はい、確かにそうですよ。」

 

「なんでそう思ったん?」

 

「私は確かにダンスや歌はグダグダです。しかし、私には"ステージには立たなくても別の方法で支える方法"があります。」

 

「それは一体、どんな風に?」

 

「貴女方のライブ会場の確保やそれの警備や厄介ごとなど多岐にわたる仕事で活躍出来るかと思います」

 

「なるほど……それは確かにいい考えやね」

 

「はい、もし入部した暁には出来ることなら何でも行う所存でございます」

 

「おぉ〜その心意気は素晴らしいやん」

 

彼女は普通に僕の入部理由を聞いてるのか?それならさっきも散々、言ったはずだしわざわざ、もう一度聞く必要も無かろう。

 

それとも、この様な当たり障りの無い質問をして僕の心を推し量っているのだろうか?分からない

前もって情報は集めた筈だが……

 

「ちょっと私にも話しを聞かせてくれないかしら?」

 

またドアがガラッと開き金髪ポニテの高身長…高身長?大体、僕と同じくらいの少女が入って来る。

 

名前は…確か絢瀬絵里。学年は三年、音ノ木坂学院の生徒会長μ'sの中ではダンスの技量はトップクラス。

理由は幼い頃に行っていたバレエの経験があるから……性格は真面目その物しかしその反面、煽りには滅法弱いだろうなぁ…軽く突つけば直ぐに食いつくだろう…。

しかし、実際には違うかも知れないから気を引き締めて行こう

 

「はい、話しとは何でしょうか?」

 

「単刀直入に聞くわ。貴方は"私達の事を信用してる"の?」

 

その瞬間、部室の空気が凍る。東條希が"えりち!!なんて事を聞くんや!!"と言った顔で絢瀬絵里の方を向く

 

絢瀬絵里、本人は何か噛んだ様な微妙な顔をする。ははァさては僕がどんな答えを出すか推し量っているな?まァ、僕の

答えは決まっているのだけども

 

「信用……ですか。それは非常に面白い質問ですね。

例えば…例えば貴女が会って数時間何某しか経っていない人達の事を信用出来ますか?」

 

「私は出来ないわね。それよりも私の質問に答えてちょうだい」

 

かなりグイグイ来る。そんなに僕の事が信用出来ないのだろうか?

 

「分かりました。まだ、信用出来るかどうかはまだ分かりません。でも貴女方は"嘘はつかない"と言うことが分かりました。

まだ、情報が足りないので何とも言えませんが"全く信用出来ない"と言うわけでは無いので信用出来ると思います」

 

「それじゃあ何で貴方は部屋の中で人と話しているのに帽子を被っているの?」

 

「それは……それはですね。ちょっと私情がありまして……」

 

「私情?どんな?」

 

「私、幼い頃から他人よりも比べ物に成らない苦労を重ねた為に頭の毛と言わず全身の毛が抜け落ちてしまったのですよ。ほら、この通り」

 

と言って彼は帽子を取る。すると彼の頭は彼の言った通り髪一本生えていない綺麗なスキンヘッドであった

 

「「…………………………」」

 

二人がポカーンと口を開ける

 

「だから、流石にお年頃の女子高生に会うのに禿頭で行くのは衝撃が強いと思いこの様な対応を取ってしまった-と言うわけなのです」

 

「な、なるほど……でもカツラとかでも良かったんじゃ無いの?」

 

「私はカツラは大が付くほど嫌いなんです。だからカツラを被らなかったのです。

貴女方に無礼な態度を取ってしまった事を謹んで謝罪致します。」

 

と彼はガタッと椅子から立ち上がり深々と頭を下げる

 

「えっえぇ……理由が分かったから別に構わないわ……これから気を付けてね」

 

「はい、ありがとうございます。ちょっと前までは生えていたのですが、急に抜けてしまって……あっ、ところで私の入部の件は?」

 

「あっ…ちょっと待っててねッ直ぐに決めて来るから///」

 

と絢瀬絵里はガタッと椅子から立ち上がり転がる様に部室を出て行った

 

「……忙しそうな人ですね…」

 

「確かにそうやね。でも、いい人なんよ。初対面の人からは"厳しそう"とか"怖そう"とか言われるけどもそうじゃ無いことをウチは良く知ってるんよ」

 

「…良い人ですね」

 

「そうやろ?えりちはああ見えて……」

 

「絵里さんもそうですが貴女もです」

 

「えっ?」

 

と聞き返され返そうとした瞬間、絢瀬絵里がガチャッとドアを開け後ろに他の部員もぞろぞろと入って来る。

 

「話が決まったわ。鈴宮 真紀。貴方を正式にスクールアイドル部への入部を認めます」

 

と部長である矢澤にこがちょっと苦々しく喋る

 

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

 

彼はガタリッと勢い良く立ち上がり机に頭を打つける程の速さでお辞儀をする

 

「それじゃあ、鈴宮君には改めて…いや初めてなのかな?う〜ん、まぁ、良いや。自己紹介をして貰います!!」

 

リーダーである高坂穂乃果が元気よく

言う。所で、リーダー格の人物が二名も居るけど有事の際にはどちらの命令が優先されるのであろうか?

 

「分かりました。それでは………

私の名前は鈴宮 真紀 と言います。所属は大日本帝国海軍 第一艦隊兼聯合艦隊司令長官 を務めております。階級は大将です。

此処ではダンスや歌はしませんが会場の確保や貴女方の身辺警護に歌や踊り、衣装作成に関しての意見提供等を行う所存でございます。

最初は拙い所ばかりお見せする事になると思いますが粉骨砕身の念で行いますので何卒、宜しくお願い致します。」

 

言い終わると直ぐに小さい部室に拍手の音が響いた

 

「あの……この前、お会いした時は階級は"中将"ではありませんでしたか?」

 

「はい、確かにそうですね。それはこの前お会いした後すぐに階級が進級したんです。そしてその時に此処に配属される様に命じられました」

 

「なるほど……と言うことは此処に来たのは"自らの意思"では無く"上官の命令だから"…ですか?」

 

「いや、それは違いますね。ここに来たのは私の意思です」

 

「貴方の意思?」

 

「はい、私の事を心底、可愛がってくれている"親代り"の上官にこの旨を伝えた所

"最近、中央は何かと物騒であるし君が義理堅くどんな小さな恩でもしっかり返したいと言う気持ちは十分に分かる。

そうだ、物は相談だが君、音ノ木坂学院に行ってみないかね?その学校の理事長と私は知り合いでね君の心意気次第では転入出来る様に計らって上げよう"と言われました。その為、これは"私の意思"でもあり"上官の命令"でもあるのです」

 

「なるほど……所で"中央が物騒"とは?」

 

と言った瞬間に今まで温和だった顔つきが一変に鋭い顔つきに変貌する

 

「私も口が滑りましたが世の中には知らない方が良いと言うこともあるのですよ。特にシビアな話しは……」

 

とかなり低い声に変わる

 

「は、はい……分かりました」

 

「あっ、ごめんなさい。声と目付きが悪くなりましたね。すいません、悪い癖なんです……」

 

と元の温和な顔つきに戻って謝る

 

「いえ……別に大丈夫です」

 

一体、どっちが彼の本当の顔なんだろう?温和な方なのか厳しい方なのか…

 

「所で皆さん、本日の活動はどうするのですか?もう、こんな時間ですが。」

 

と左手に嵌められた腕時計を見ながら聞く

 

「えっ?」

 

全員が腕時計やスマートフォン、掛け時計を見る。

 

「あっ…鈴宮君の事を話していたらもうこんな時間に……今日はどうしましょう……」

 

「そうね。もうこんな時間だし……帰りましょうか」

 

全員がため息に似たようなのを付く。一部の人は"やった♪"と言った顔になっていたが……

 

「所でその"家"の話しなんですが……実は私、宿無しなんですよ」

 

「「「「「えっ!?」」」」」」

 

「はい、宿無しですよ」

 

と彼はしれっと言うがそれが一体、どう言う意味か理解しているの?

 

「あ、貴方本当に帰る所が無いの!?」

 

「はい、この通り」

 

とペラリと命令書を懐から出し私達の顔の前で広げる

 

「何々……"鈴宮 真紀 右の者……"そこじゃ無くて"尚、これより作戦中の寝床は自分で確保する事……"ほ、本当です……」

 

「ち、近くのビジネスホテルとかに泊まれば良いんじゃないの!?」

 

「それも考えたのですがホテルだと直ぐに足がつきますし何より、盗聴や暗殺される恐れがあるので成る可く利用したくないですね」

 

「なるほど……それじゃあ……」

 

「君、帰るとこ無いん?」

 

横から優しい関西弁が聞こえる

 

「えぇ…この通り」

 

「なるほど……それならウチに来る?」

 

「えっ?」

 

「の、希!!彼は男性よ!!年頃の男子を年頃の女子の家に入れるなんて……」

 

「ウチは一人暮らしやし別に構わへんよそれに変な事はせんしな…ふふふ♡」

 

「そうですか…それは嬉しいですね♪

希さんがよろしいならばお言葉に甘えさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

「うん♪ええよ♪」

 

「それでは…お言葉に甘えさせて頂きます。これからよろし……」

 

「いけません!!真紀!!!希!!!」

 

横から急に耳を劈くほど大きな罵声が飛ぶ。その場にいる全員の体が一瞬、ビクッと強ばらせ声の主の方へ勢い良く首を振る

 

「海未ちゃん……」

 

そこには鋭い目付きでこちらを睨み肩で息をしている、園田 海未がいた。そして彼女がゆっくりと顔を上げて僕と目が合った。その瞳は怒りに燃えていた

 

「う、海未さん…?なんで怒っているのですか……?」

 

「当たり前です!!!!!!殿方が独り身の女性の家に転がり込むのはいけない事だと思いませんか?」

 

「は、はい…それはごもっともです。」

 

「と、言う訳で貴方は私の家に来てください。いいですか?」

 

「えっ?」

 

しれっと微笑みながらとんでもない事を言い出した。僕は勿論、他の人達も同時に聞き返す

 

「う、海未ちゃん?流石にそれはマズいと思うよ?」

 

「そうだよ!!海未ちゃん!!!一人だけ抜け駆けなんてズルいよ!!」

 

ことりと穂乃果の猛烈な抗議に対して周りの皆も"そうだそうだ"と頷く。しかし当の本人は……

 

「?皆さん何を言っているのですか?」

 

と全く悪びれる様子も無く寧ろ開き直るくらいの態度を取っている

 

「……泊めさせてさえ頂ければ何処でも良いのですが……理由を教えて頂ければ私的には嬉しいのですが……」

 

これは飛んでもない所に脚を突っ込んでしまった。と思いながら恐る恐る聞くと彼女は

 

「理由?そんな事はどうだっていいではありませんか?……貴方はもう忘れてしまったのですか…?」

 

彼女はしれっとさも当たり前の様に言う。しかし、そのすぐ後に何か言った様だがよく聞こえなかった

 

「………ねぇねぇ海未ちゃんってこんなに積極的にアプローチする娘じゃ無かったよね?」

 

「……今までの海未ちゃんを思うに男の子とは喋れるとは思うけどこんなに果敢に攻めないよね」

 

脇でボソボソ、穂乃果と ことりがお互いに耳打ちをし合う。

 

「穂乃果、ことり。何か言いましたか?」

 

とドスの効いた低い声でジロっと穂乃果たちの方を睨む

 

「ん、んんんん何でもないよ!!!」

 

「う、うん何も言ってないよ!海未ちゃん…♪」

 

「……それなら良いですよ♪」

 

と先ほど迄のドスの効いた低い声と睨み顔がまるで嘘のように何時もの声のトーンと笑顔に戻った。

 

「それで……貴方も構いませんよね?」

 

と笑顔で僕の方に振り向くがその顔は少しおかしかった。目が笑ってない。

そう………ハイライトが掛かってないと言えばいいのか冷たく光ると言うべきか。どっちにせよ、彼女の言いたいことははっきりと分かった。

 

"必ず私の家に来なさい。さもなくば強硬手段も辞しません"

 

今ここで下手に逆らって事を荒立ても面倒だ。ここは素直に従っとこう

 

「分かりました。希さんには申し訳ありませんが海未さんの家にお世話にならせて貰います。

炊事洗濯その他の日常業務は何なりとお申し付け下さい。粉骨砕身の念で挑みますので何卒……」

 

と真紀ちゃんは"海未"の方を向いて深々と最敬礼をした。

何で?

海未ちゃんばっかりずるいよ……

 

「ふふ♪そんなに硬くならなくても大丈夫ですよ♪母も、もう存知していて貴方に対してはかなり好印象を抱いている様なので全くのアウェーという訳では無いので安心して大丈夫ですよ♪」

 

「本当ですか…!それは良かったです」

 

「さて、話しも付きましたしもう時間も押していますから帰りましょう!」

 

「そ、そうね、帰りますか……」

 

「う、うん…か、帰ろう…!!」

 

何やら皆んなの反応が挙動不審気味だがそれはやむを得ない事だろう。何せ年頃の男子を同じく年頃の女子の家に寝泊まりさせるのだから……冗談じゃない。

 

「海未さんはどんな家に住んでいるんですか?」

 

「私ですか?私の家は弓道の道場などもあるのでそれなりに広い家ですよ」

 

「なるほど。それならガレージや駐車場などはありますか?」

 

「門下生の送迎用に使う駐車場は有りますが個人の駐車場にはアルティマが停まってますから……ガレージもアルティマ用で…」

 

「分かりました。ところで……アルティマとはあの日産 アルティマですか?」

 

「自動車会社の事は疎いのですが…多分日産で合っているかと思います」

 

「実はアルティマは北米で日産が販売しているセダンで日本では発売していないのですよ」

 

「えっ…?それでは購入するにはどうすれば良いのですか?」

 

「それは至って簡単。逆輸入をしているのですよ」

 

「逆輸入…ですか?」

 

「そうです。一般的な輸入車は海外メーカー……例えばベンツやBMW等の自動車を日本に輸出させて販売する。そして逆輸入は海外にある日本の会社が製造している自動車を日本に輸出して販売するのを逆輸入と言います。」

 

「なるほど……これは知りませんでしたね…!!どうりでお父様が"今回、買った自動車は国産車よりも値が張るなぁ…"とボヤいてましたね」

 

「やっぱり輸入車だから少しなり輸入費は掛かりますからね。それは仕方ありません。ところで……」

 

「……どうかしましたか?……真紀」

 

「確かμ'sは九人ですよね?」

 

「はい、そうですよ」

 

「あっ……やっぱり乗ってきた自動車じゃ乗り切らないか…」

 

「…そうなのですか?所で貴方は何に乗ってきたのですか?」

 

「僕が乗ってきたのは日産 GTR 35nismo ですがアレは"一応"4シーターなのですが…」

 

すると突然、後ろから肩をチョンチョンとつつかれる。

何事かと思って後ろを振り返るとそこには"顔だけ"ニッコリ笑った ことりがいた。

 

「真紀さんはまだ十八歳じゃ無いのになんで自動車を運転出来るんですか?」

 

「僕は見ての通り軍人ですので軍的にも免許が無いと何かと面倒で確かに歳は足りないけども取らせたのですよ」

 

「なるほど……やっぱり、軍人さんって大変なんですねぇ…」

 

「正門前に自動車を回すので良かったらこれに乗って帰りませんか?十分ほどで到着する様なので」

 

「本当!?わーい!!これで早く帰れるね!!」

 

元気全開の三人組が勢い良く廊下を走って先に行ってしまった

 

「コラ、廊下を走ったら危ないわよ!!」

 

と絵里が三人組を追いかける。

一時的な狂騒は直ぐに収まり静かになる。しかし、その時、僕の右斜め後ろから何か聞こえた。

最初は空耳かと思ったがこれは空耳では無かった。

チッチッチッチッと断続的に舌打ちが聞こえてきたのだ。

ゆっくり視線を舌打ちの音源の方へずらして行くとそこには幽鬼の様に立ち尽くし色がない瞳で僕の事だけをジットリ見つめる。そして親指の爪を剥がれんばかりに勢い良く激しく噛んでいる

 

「………海未さん?」

 

恐る恐る声をかける。が、彼女は何の反応もせず、ただひたすらに爪を噛む。

仕方ない。女子に触りたくは無かったけどもやむを得ない。

 

「海未さん?大丈夫ですか?どうしたんですか?」

 

と肩を掴んで激しく揺らす

 

「…アッ……いえ………その…………どうかしましたか?」

 

彼女は直ぐに意識が戻った様だが恐ろしい事に彼女には"爪を噛んでいた記憶が無い"そしてさっき言っていた事も引っかかる。もしかして……彼女は僕の事を知ってる…………?でも、何処で?僕の思い出にはこんな可愛い女の子なんて知らな………いや、一つだけ心当たりがある。それは………

 

「真紀さん…どうかしましたか?」

 

また僕に話し掛けてくる"僕の知り合い?"を横目にしながら一つの恐ろしい予感を胸に秘め背中に冷たい汗を流しながら和気藹々と会話に戻った

 




海未を除く他のメンバーを家に送り届けた彼女の家の居候になった真紀。そして部屋で海未から衝撃的な事実を耳にする事になる。
次回 「傑作」

……………………………………………………………………
うへぇ………今回は普段の倍近い文字数となってしまいました。流石に六千は多いかなぁ……

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