「陣五郎ッ! お前という男は! お前という男は!」ペシペシペシ!
「おっ……お許しくださいませ朧さま! お許しくだされぃ!!」
時は忍法争い序盤の頃の、伊賀鍔隠れの里、お幻屋敷。
先ほど弦之介と共に“つぃすたぁげぃむ“をしていた所を陣五郎に覗き見された事により、朧の怒りが天地に木霊していた。
「お止めくださいませ朧さま! 陣五郎どのがっ!」
「お前という男はお前っ……! お前ぇぇええええええッッ!!」ペシペシペシ!
その破幻の瞳により天井裏から引きずり降ろされ、ほうきでペシペシと叩かれている陣五郎。
「いいぃぃっ! 痛ぅ御座いますれば! 痛ぅ御座いますれば!」
「朧さま! どうかお静まり下さいませ!
何故にそのように陣五郎どのの膝のあたりばかりを!」
怒り狂っているのなら頭や背中などを叩きそうな物なのだが、何故か朧は陣五郎の右膝のあたりをほうきで叩き続ける。
「いいえ、これは罰です朱絹! 止めてはなりませぬ!」ペシペシ!
「ひぃぃぃぃ~っ!!」
「お止めくださいませ朧さま! 陣五郎どのの半月板が損傷してしまいます!」
顔を真っ赤にし、執拗に半月板損傷を狙う朧。そこを必死で説得する朱絹の構図。
「よいのです朱絹! 陣五郎の半月板なんか損傷してしまえばいいのです!」ペシペシ!
「なにをおっしゃるのですか朧さま! 同じ伊賀の者に向かい
『半月板損傷しろ』などと! そんな事をおっしゃる物ではございませぬ!」
「ひぃぎぃぃぃ~~っ!!!!」
ただひたすらに半月板損傷を狙い、ほうきを振り下ろし続ける朧。持ち手の部分ではなく掃く部分で叩いているのはせめてもの慈悲なのか。
「割れておしまいなさい半月板など! 半月板を損傷してしまえばよいのです!」ペシペシ!
「お止めくださいませ朧さま! 貴方さまは半月板を損傷した者の気持ちを
一度でも考えた事がおありなのですか!?」
「……ありまするっ!」
「あるのですかっ?!」
「えぇ! つね日頃から考えておりますとも! 『あぁ、半月板損傷したら嫌だな』とか!
『半月板損傷したら、どうしようかな?』とか!!」ペシペシ!
「ほぉげぇぇ~~っ!!」
怒りに我を忘れ、もう訳の分からない事を口にする朧。
その時朧たちの元へ、騒ぎを聞きつけた甲賀弦之介がやってきた。
「……朧どの、何をしておいでか?」
「……ッ! げ、弦之介さま!!」
「そのへんになされよ、朧どの。陣五郎どのの半月板が、損傷してしまい申す」
「も……申し訳ございませぬ……!」
叱るでもなく、咎めるでもなく、心から朧の気持ちに寄り添い、優しく諫める弦之介。
「我ら甲賀卍谷、伊賀鍔隠れ。恐るべき忍法秘術を身につけし我ら忍じゃが……、
その半月板は、何物にも代えがたい大切な宝に御座る」
「……弦之介さま……お恥ずかしゅう」
優しく頭をナデナデしてもらい、朧はほうきを抱きしめながらモジモジ。いじらしくモジモジ。その足元には膝をおさえた陣五郎がゴロゴロとのたうち回っているが、別に気にはならないようである。
「よぅ事情はわからぬが、なんぞ思う事があるならば遊戯にて白黒を着けて
みてはいかがじゃろう? ほれ、ここにちょうど“つぃすたぁげぃむ“を
持ってきており申す」
弦之介の懐には、先ほど遊んでいたツイスターゲームが抱えられていた。
「朧どのはうら若きおなごゆえ、ここはわしが名代(みょうだい)として、
陣五郎どのと仕合いましょうぞ。
陣五郎どの、ひとつこのわしと、共に遊戯をしてくれぬか?」
「……弦之介さまと、遊戯……!?
やります! やり申す! この陣五郎っ、よろこんで弦之介さまとお遊び致す!!」
……………
…………………………
そして夜も更けてきた頃合いだというに、楽しそうにツイスターで遊ぶ陣五郎と弦之介。
その内容が何であれ、奇しくも敬愛する弦之介と共に遊ぶ機会を得、心から幸せに満たさる陣五郎。
弦之介は優しくルールを教え、手取り足取り陣五郎にツイスターを指導してやる。
その姿を羨ましそうに見守り、「やっぱりあの時、半月板を損傷させておけば……」とグヌヌな心境になる、伊賀鍔隠れのオ・ボーロさまであった。
死に候らえんな、これにて完全終了に御座いまする。
しかしながら……、今までさんざん苦労して書いて来た作品の最後が“これ“というのも……なかなか乙に御座いまするな。
おまけなら……、何を書いてもいいんだ……。
今はただ、そんな気持ちで胸が一杯です。
拙い文章の作品では御座いましたが、最後までお読みくださいまして心から感謝を♪
この場をお借りしまして、お礼を申し上げます! ありがとうございますればっ!