僕と彼女の縮まない距離   作:四郎と

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新作です。そこまで長い作品にはならないと思うので最後までお付き合いのほど、よろしくお願いします。
(しかし、なんでSaint Snowの小説作品はこれほど少ないんだろうか?ハーメルンは勿論、検索かけても殆ど出て来ない。なんでかなぁー、聖良お姉様めんこいと思うんだけどなぁ…皆さんはどう思いますか?……)


僕と彼女

序.

 

耳が壊れる様な甲高く大きなエンジン音を轟かせ翼の下にエンジンを四つ付けた機体が滑走路を蹴り軽やかに舞い上がる。

 

その一方で他の機体よりも主脚のタイヤ数が多い機体がまるで目隠しで降りて来ている様に緊張した感じで滑走路におっかなびっくり脚を付ける。

 

彼はこの景色が好きだった。地元にある港も好きだった。船が停泊しているからだ。函館港の桟橋に固定されている昔の青函連絡船を改修した記念館に何度も遊びに行った。そして学校の側の道道を通る自動車を見るのも好きだった。

 

そして私は珍しい飛行機や船、自動車が通る度に子供の様にキラキラ瞳を輝かせる彼が好きだった

 

一.

 

「あーーー、今日も疲れたなぁ………あんな意味わからん公式なんか覚えてる方がどうかしてるって〜。聖良もそう思うっしょ?」

 

紫色のネクタイを締め黒と見間違う様な濃紺のブレザーの上から更に紫色のダッフルコートを身に纏った男子学生が手を首の後ろに回して愚痴を垂れる

 

「それは多分、貴方だから先生も厳しい事を言ったのだと思いますよ。だって貴方は……」

 

「いやぁね、分かってるよ。そりゃ。日中暇さえあれば旅客機や戦闘機、爆撃機とかの飛行機とかの空力もしっかり計算して"飛ぶ飛行機"を描いてりゃそう言われるのも痛いほど分かるけど、ぼかァ飛行機の計算しか出来ないんだってば……」

 

「しかし、数学の公式などはごく稀に一部分だけを別の計算に利用出来たりしますよ?」

 

「そりゃあ確かに何個かは有るだろうけどそれは微妙に違うと思うよ?」

 

すると彼女は顎に手を当てて少し考える。かわいい

 

「君が今、なまら頑張っているスクールアイドルで例えると……ダンスのモーションはある程度は固定化されているよね?ごく稀に凄いの考えてぶち込んで来る人もいるけど…でも一番、大事なのは"何処で最も適切な動きを出来るか"だと思うのさ……つまり……駄目だ。答えが纏まらない」

 

すると聖良はクスッと笑いながら僕の手を取る

 

「やっぱり、貴方はスクールアイドルの事を何も分かって居ませんね。今、理亞が居たらまた、"スクールアイドルは遊びじゃない"って叩かれてましたよ?」

 

「別にいいよ。理亞が叩いても痛くないから構わないや」

 

「あら?貴方ってマゾヒストだったんですか。残念ですね」

 

「そんな…そんな理由無いだろう!!…結局、お互いがお互いの好きなことをよく分かってなかったね。」

 

「ふふ、本当ですね♪幼い頃から何時も一緒にいるのに…面白いですね」

 

そして二人仲良く笑い出す。そんな事より、僕と話している女子学生は鹿角 聖良同じ高校に通っている、三年生。今、彼女は自分の妹である理亞とスクールアイドルをやっている。グループ名は確か"Saint Snow"意味はイマイチ分からないけども雪国 北海道には似合っていると思う。そんな彼女たちは今度、行われる ラブライブ?に参加すると熱心に努力をしている。

僕も時々、デザインセンスを買われて衣装のデザインを担当したりするけども彼女の妹である理亞からは何故か僕の作品は気に入らないようで"こんな格好でステージには上がれない!!"って何時も噛みつかれている。なんだかなぁ……。

 

今、精力的にスクールアイドルとして活動をしている彼女であるがその美貌と来たら目を剥くほどだ。

濃い紫色のサイドテールに赤色の瞳、程よい大きさの胸にスラッと伸びた四肢…"可愛い"では無く"華麗"と言う言葉がこの場合は最も適している見た目、そして性格も同様で強い精神と自身を高みへと持って行く事にかける貪欲さ、そして研ぎ澄まされたプライド。そして類まれなる母性も持ち合わせている。運動能力なんかは言うまでもない。

一見、怖く厳しそうであまりいい印象は受けないかも知れないがとても大事な僕の親友だ。

 

そんなスーパーハイスペックな彼女が何故、僕みたいなヒコーキオタクと仲良くしてくれているのかと言うと彼女と僕は家が隣り同士で幼小中高も一緒、そして産まれた病院も同じで誕生日も同じ日だ。因みに失踪した両親曰く寝ているベッドも隣り同士だったとか…。

 

だから彼女にとっても僕にとっても"お互いが隣りにいるのは当たり前"と言っても過言では無い。昔から同級生からは

やれ"付き合わないのか?"とか"何時も一緒だから夫婦みたいだ"etc.....と言われて来ているが僕らの関係が進展した事は十七年間ただの一度もない。ずっとこんな感じ。

 

正直に言うと付き合いとかそう言う感情は無きにしも非ずだが未だに聖良は僕に対して敬語だから…無理なのかなぁ…

 

「そう言えば…今夜は19時からスクールアイドルの特集番組が6チャンで入るとか……」

 

「ハッ!!私とした事が……忘れてました!!急ぎましょう!!」

 

冬の銀白の道を二つの声が駆け抜けて行く。空には星々が輝いていた




さて、彼はこの縮まらなければ離れもしない中途半端な距離を改善することが出来るのでしょうか?
次回は…"僕と9人の物語"が仕上がってからですね。ちょっと長くなるかもしれませんが、少々、お待ちを……
(評価と感想よろしくお願いします!)

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