空間に自意識が
液体とも粒子とも言えない物に自身が変換され
そして、直ぐに異変を感付いた。
「ここは、
一面に漂う小隕石の数々、見渡せども広がる
ごく
『……“最果て”』
「らしいな。レーダーに敵影は無し……、ナナは何か感じるか?」
少女の否定を示す無言に、リュウは
バトルフィールドがデブリ帯というのは前もってリホから知らされていた事だ。仮に敵がファイターとするならば、既に転移をして
ふと、デブリから
「もう、隠れて何かをするのはごめんだ……」
後日謝罪をしたいというのがリュウの本音だった。
プロの試験を受けるための勝率は1度でもラインを満たせば
操縦桿を握る腕に一層力が籠る。
『……っ!? 10時の方向、高速で接近する物体を確認。同調する時間がありません、リュウさん!』
「いきなりかっ! ……ぐぅッッ!」
少女の声が終わると同時、
レーダーで物を確認するよりも前に正面モニタが赤く点滅し回避を
勢いを殺さずに
レーダーを再び確認し追撃が無い事を確証してからアイセンサを未だ立ち込める噴煙へ。
……それは、黄金の。
────暗影の宇宙《そら》でも輝く、黄金の長槍だった。
きらびやかな装飾からの黄金ではなく、塗装による特殊合金の再現だ。刃には歪な返しが見受けられ、機能美の果ての
ビ──……ン、と。突き刺さった両刃の長槍は震え、レーダーに写らない敵の存在に全身が
「────ナナっ!」
声に反応は無い。
意識の片隅、じんと熱を帯びた箇所に存在する少女は無言で、数瞬後すぐさま反応が反ってくる。
なんだ……? 呼び掛けに答えないなんて事、今まで。
『すみませんっ、大丈夫です』
「……? ────行くぞッ!」
『『────リンクッ、アウターズ!!』』
重なる声と共に視界が弾け身体の主導権がリュウから少女へと明け渡される。
Linkの際リュウが行う事は視界情報を少女に届ける事で、──正面モニタ、デブリから
光が、一際強く
「────ッッ!!?」
高速で飛来する物体はHiーガンダムの横を通り過ぎる軌道だったが、突如機体の上体を
疑問のままモニタを見やればHiーガンダムに
「な、にが……!?」
目視でもレーダーフリップでも認識が及ばない速度域。姿の
まさか、今のは。
「今のが、MSの速度、……なのか?」
不意に
深々と突き刺さっていた長槍をなんの抵抗も無く抜き取り、
逆立つ装甲と、極端に細い背骨を思わせる腰の造形。機体の周囲を
────レギュレーション600。ガンダムエリゴス。
ぐりん! と頭部がHiーガンダムを向いて、思わず
胸が
「頼んだぞ────、ナナっ!」
突貫するHiーガンダム、対してエリゴスは迎撃体勢と呼べる物を取っていない。スラスターに火が灯っている様子もなく、クライチングスタートのような姿勢で頭だけこちらを向いている状態。
先手を取ったと、そう実感した。
「えっ────?」
警告音も、センサにも反応は無く。
意識は目の前の敵機に集中されていた、──その筈だった。
困惑と共に正面モニタ右上レーダーを見ればエリゴスはHiーガンダム遥か
────右腕損失。右バインダー全壊。
今の、一瞬で────?
この、いっそ笑えてしまえる状況をリュウは体験をしたことがあった。
覚えているということはこれは苦い記憶か、以前ヴィルフリートと戦闘をした際、張り詰めた神経で目を見開いていたにも関わらず認識が出来なかった刀による
「……いや、だ」
違うとすれば。
「いやだ、いやだっ」
Linkを行っている状態で、撃墜されればリュウが死ぬということ。
今まで絶勝を誇っていた為か、実感が薄れていた事実にカチカチと歯が震える。
押し寄せる負の感情の中、少女の声が1つ、響いた。
『リュウさん、負けたくないですか……?』
「あ、当たり前だッッ!! だって、負けたら、負けたら帰れなくなる────何のために今まで俺は頑張ったんだッッ!!?」
臆面も無く叫ぶ声に、意識の少女が
『ですよね。────その為にリュウさんは色んな物を犠牲に頑張ったんですから』
声は小さく、自分に言い聞かせるように。
言葉の意図も分からないままリュウは、
『だから、私も気が変わりました。────抵抗を、させて頂きます』