ぽつりぽつりと
排水が静かに水路を流れ、息を殺した筈の呼吸さえここでは
「うん多分
「我慢しろ」
「はいはい我慢します、しますぅ~。…………いつもの事だけどさ、アデルはそんな軽装だけど寒くないの?」
「……多少は冷えるな」
「やっぱ寒いんだね!? はいっ、ぎゅ~~~」
アデルの
その様子を数歩離れた場所から見守るヴィルフリートが軍服と、Tシャツを脱いで2人に渡す。黒のアンダーウェアに張り付いた筋肉は寒さなどお構い無しと言うように誇示され、受け取った少女の顔が引き
「え、あの。おじさん寒くないの? いや寒くないんだろうけどさ、聞かなきゃいけないじゃんこれ」
「鍛えているから問題無いさ」
「問題ないか~そっか~。……スンスン、あ! 凄い良い匂い! これならあたしも喜んで着る~っ!!」
破顔させた少女がシャツを
対してコートを見詰め押し黙るアデルにヴィルフリートの表情が和らぎ、語る声音は優しい。
「アデル君も着ると良い。防寒性もあるコートだ、身体が冷えたままでは治るべき傷も治らないぞ」
「ヴィルフリート、お前は……」
「ヴィルで良いさ」
「
問い掛ける声に
「
その返事に。
獣の如く
受け取った
「然るべき機関。────
顔に優しく投げつけられたコートが落ちてアデルの無表情な顔が、──否。
「…………」
「そんな顔をしないでくれるかな。焦って違う答えを持っていたのは君だろう?」
「そ~うなの! アデルは考えてるようで思考は単純で、その癖他の答えを持とうとしないの…………わぷっ!?」
突然コートが被さって視界を塞がれた少女がその場でもがく。
不機嫌そうに口を閉ざすアデルを追い越してヴィルフリートが笑みを走らせたまま先を行く最中。
彼らが視界から外れ、その笑みも徐々に元の冷酷さえ感じる表情へと変わり、思い出されたのは中央ビルでの出来事だ。
(2045年の意思か。これは、不味い事になったな)
(そして妙に引っかかる
ざわめく胸中の、嫌な予感。
自分が学園都市へ
「ヴィルっち難しい顔してる! お腹でも空いたの?」
「これはまた可愛い
「ご飯あるの!!? ヴィルっち流石~! ほらほらアデルも騙されたからって不貞腐れてないで一緒に食べよ! ちなみに何があるの!?」
「ドイツの
「エル、俺の分はお前にやる」
「ほんとにっ!!? アデルありがとう~大好きっ!」
大きな
この数分後に、深夜の地下水道で少女の悲鳴が響いたことを知るものはこの場の人間以外誰も居なかった。