ガンダムビルドアウターズ   作:ク ル ル

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5章16話『やっと気付けた』

「聞きたいのは、()()()()()()()()()

 

 卓に並んだ和洋料理の数々が半ば片付けられた頃合い、今までそれとない会話を打ち切ってリュウは()()を卓の中央へ置いた。

 表記された2035の数字、仏頂面だがピースをしている母親(これでも本人は笑顔と言っている)と、母親とは対照的な表情で両手を挙げピースをして喜んでいる父親、その2人に囲まれてガンプラの箱を掲げている少年の写真。

 玄関に置いてあったものだ。昨日帰ってきた際にこの写真を見たとき、リュウは確かに頭痛を覚えた。しかしそれは幼いリュウの持つガンプラを見た際に発生する条件反射のようなもので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 単にリュウが忘れているだけという線が濃厚だったが、今日店長から聞かされた話には興味深い内容があった。

 リュウは、10年前ガンプラを中山模型店で始めていない。てっきり自分は10年前中山模型店でガンプラを購入して始めたとばかり思っていたが、どうやらそれより以前にガンプラを手にしていたようだ。

 そして、この写真が示す10年前と夏祭りの風景。

 この写真が恐らく自身の原点だ。

 

「当時の事、どうして俺がこのガンプラ、──アイズガンダムを持ってるのか、教えてくれないか」

 

 そう言うと両親が思案げに宙を見詰め、始めに口火を切ったのは母親だ。

 

「確か夏祭りでしょ。良く覚えてるわよそれ、射的でリュウが落としたのよ」

 

「そうそうそうそう!! 僕は隣のアヤメちゃんを狙えって言ったんだけど、ママから下駄で足の甲を踏まれたのを覚えてる!!」

 

 思い出せない。

 それでも何となくは想像が付いた、何故自分がアイズガンダムを選んだのか。

 だったら、()()()()()()()()()()

 

「俺がアイズガンダムを選んだ理由って、かっこよかったとか、そういう理由?」

 

「そんなもんじゃなかったよ。目を輝かせて30分間射的屋の前にリュウくん居たんだから。そのせいで途中はぐれちゃったんだよ」

 

「リュウを探してる途中でアナウンスが入ってね、それで射的屋の前に行ったら珍しくガンプラを見ていたから驚いたわ。同年代の他の子はガンプラに夢中なのにリュウは普段興味が無かったんだもの。それなのに、じ~っと見て」

 

 語る両親の話しを聞いても少年はピンと来なかった。

()()()()()()()()()()()()()()()()。そうなると答えは2つ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 隣の席の少女に視線を配ると、横目で察した少女がいつものように鈴が鳴るような澄んだ声で、リュウにしか聞こえない大きさで一言呟いた。

 

「────()()()()()

 

 その声に少年は確信する、答えは()()()

 食べ終わった皿を纏めて両親に目配せをする。微かに掴んだ糸ほどの希望を以て、リュウは次の作戦への以降を決意した。

 

「ありがとう、父さん、母さん。…………昨日の事は、まだ自分でもどうなるか分からない。混乱させるようなこと言って、ごめんなさい」

 

 頭を下げるリュウ。

 その頭に両親の笑みが投げ掛けられた。

 

「ね? だから言ったでしょう、この子は何か掴んでくるって」

 

「ハハハ、ママには敵わないなぁ。それこそ今日仕事を早く切り上げてきた甲斐があったよ」

 

 言っている意味が分からずに顔をあげると、柔らかな2つの笑顔がそこにはあった。

 まるで、元から何も心配していないとばかりに。

 

「でもリュウ、これだけは言っておくわよ。────後悔のない選択をしなさい」

 

「僕からも言わせて貰うよ。────追いかけるなら全力で、だ」

 

 その言葉にリュウは目を見開いて驚く。

 両親には記憶の事は話していない。リュウが学園とガンプラを辞めるのは向こうでの挫折が原因だと、そう考えている筈だ。

 何かを辞める人間にしてはありきたりな理由で、渋々納得するか叱るか最悪勘当も考えてあったがこの2人は初めからそんなことを考えていないとばかりに胸を張っている。

 まるで、初めからリュウが何かを見付けて追いかける事を知っていたかのような。

 

「ナナちゃん、リュウの事頼んだわよ」

 

「──、はいっ。命に代えても」

 

 話を振られたナナも母の視線に視線で返し、母が精一杯の笑顔で少年と少女を促す。

 

「やることあるんでしょ。皿は母さん運んどくから、ちゃっちゃとやってきなさい」

 

 この2人の間に生まれて良かったと、リュウは想った。

 理由のない熱い気持ちが胸の中で溢れて、「ごちそうさま」と言って席を立つ。

 ──両親にとって、何かをやる、やらない事はさして重要ではないのだと思い知った。何か目的を見付けたのなら全力で事に臨めと、母の新人時代とそのストーカーを行っていた父からの言葉にリュウはただ感謝をした。

 キョウカ・タチバナとタツヤ・タチバナという親の在り方に育てられた自分を誇りに思い、リュウは傍らの少女へと告げる。

 

「ナナ行くぞ、次の作戦《プラン》だ」

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