総合体育館の1階中央で今まさに始まろうとしているガンプラバトル。会場に集った人間の口々が北上院ネネのガンプラについて考察や議論を行っているなか、2階ではまた違った様相の熱狂が渦巻いていた。
「自分らガンプラバトルは好きかぁ──っっ!?」
『おぉ──っっ!!』
「聞こえんわボケ共がァ!! そんな声でこの場を盛り上げられると思うてるとしばくぞホンマ!! もっかい行くで!! ……自分らガンプラバトルは好きかぁ──!?」
『うおおぉぉぉおおおお──―ッッ!!』
「盛り上がってきたァ──ッッ!!! さぁー会場もあったまったところで実況は高等部3年生ガンプラバトル実況部副部長、リョウタ・マルヤマが受け持つで!! あの北上院とのガンプラバトルに参加出来ない自分らのフラストレーションを一身に背負って実況するからな!! 分かってると思うけど賭け事はホンマにすんなよ!? 執行部がすっ飛んできてバトル自体がおじゃんになるからな!!」
ぐわんぐわんと響くマイクを片手にリョウタ・マルヤマが前髪をヘアバンドで纏めながら叫び散らす。
殆ど絶叫のような声は街中で発したら逮捕される事間違いないが、ここ萌煌学園に至ってはこれくらいの声量が無いと熱量の有り余る生徒達を御する事が出来ない。
後輩から差し出されたペットボトルを煽ってマルヤマが額から汗を拭う。そんな様子を隣に座っている男は疑問の表情を浮かべながら眺めていた。
「何でオレがここに座っているんだ」
「隣に座るのは北条院ネネの対戦相手、リュウ・タチバナの友人!! エイジ・シヲリぃ──ッッ!! バトルしか興味ない萌煌学園の生徒達の中では珍しくガンダム作品への愛に溢れてるコイツと一緒に……ぜェ、ぜェ、実況解説していくでェ──ッッ!! ちなみに一部の人間からはしをりんって呼ばれてるでェーッッ!!」
「早くも息切れ。とはいえオレがこんな場所に座って良いのか? あまり上手い事言えないが……」
『うおおぉぉぉおおお──―ッッ!! しをりん──―ッッ!!』
「ノリが良過ぎるだろ」
と言いつつ眼鏡を取ってアウターギアを起動する。視線でカーソルを操作し、会場内でアウターギア越しで観戦しようとしている生徒達の視界映像を多角的に投影、体育館内の中央に巨大な
「アウターギアにこんな仕様あったんか!? 説明書には書いてなかったような……」
「記載されている事を組み合わせるとこういう真似も出来る。今度教えるさ」
会場の全員が投影された映像へ釘付けになり声が徐々に収まっていく。
期待を帯びたその潜めた声達はやがて主役の2人が放つ剣幕に呑まれて消え、静寂が体育館を支配する直後。
マルヤマが犬歯を覗かせる笑みで再びマイクを高らかに上げた。
「準備は出来たようやなァ!? んじゃ勝手ながら仕切らせてもらうで!! ──ガンプラバトル、レディー??」
『『ゴォ──―ッッ!』』