ガンダムビルドアウターズ   作:ク ル ル

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6章30話『ビルドエピオン』

『ごッ、互角やと〜〜〜ッ!? 萌煌学園が誇る北条院が一人娘、初等部でありながら特進クラスに近いとされている神童相手に! 無名にも等しいいち生徒が競り合っている〜〜っっ!!? これはどういう事だぁ〜〜!? これどんな状況や解説のしをりん!!』

 

『先手を打ったネネさんのソードビットを防いだのが何よりも大きいな。あのソードビットの速度、攻撃力は対面にとっては驚異的だがビットによる多角的攻撃が無ければビルドエピオンはビームガンによる射撃しか遠距離攻撃の手段が無くなる。……だが近距離の間合いはエピオンの間合い、あえてそこに飛び込むリュウの行動が読めないな』

 

 周囲の喧騒に負けず実況席では解説が行われている。動画配信用のカメラとドローンが回され、ライブ配信の画面では次々と視聴者が増えている状況だ。

 

『どうやらリュウは大変な自信を持っている様子だぁ〜〜!! 現在は膠着状態だがこれからどういった攻防を見せるんか、お前らも目ん玉かっぽじって見とけよ〜〜!!』

 

 マルヤマの実況にも熱が入りマイクを握る拳にも力が篭る。

 それを横にエイジは友人が初めて見せる戦略の数々を見て、また違う意味で拳を握っていた。

 

 ……………………………………

「良い? タチバナさん。無線誘導兵装端末が飛んできたら回避は最小限に、一気に距離を詰めなさい」

 

「あの、詰めてこれなんですけど」

 

 真っ赤な警告画面で埋め尽くされた正面モニタにはH i−sガンダムを見下ろすゾンネゲルデの姿があった。

 トウドウ・サキがこうしてリュウに物事を教えるときは必ず戦闘継続が不可能な状態で行われ、成す術のないまま上から言われるのは豪腹だが受け入れるしか無い。

 

「知っての通り無線誘導兵装端末には手動での操作と自動操作があるのだけれど大半は自動。そして自動操作のファンネル系は射線上に自機が存在する場合射撃をキャンセルするプログラムがしてあるのが殆どよ。手動の場合はもっと好都合でファンネル系の操作の最中に敵機からの近接攻撃に対応する必要があるから極めてリスキーなのよ。1番の失策は逃げ回る事、これで分かったわよね?」

 

 深紫の粒子を噴かしたディ=バインド・ファングが収納されて、そのどれもが無傷の様相に愕然とする。

 師匠(せんせい)の言った通り逃げもせず、一直線にゾンネゲルデへ向かったつもりだった。そして突進の傍ら背後を追従するファング達を撃墜させようとH i−sガンダム後部に備わるファングで射撃を行うも手動操作によって回避され、正面のゾンネゲルデと後方からのファングのプレッシャーに臆してこの有様となっている。

 

「ちゃんと自覚してほしいのだけれど、タチバナさん、貴方本当に不器用なんだから身の丈にあった戦い方をしなさい。何かをやりながら他の何かをするなんて貴方には1万年早いのよ」

 

「ぬぐぐ……、返す言葉がねぇ……」

 

「ほら、また初めからよ。全く忙しいわね、技量の無い生徒を育てつつ特進クラスの授業も考えながら1ヶ月分の授業内容を考えながらなんて……」

 

「ファンネル系の対処はまだ分かんねえけどアンタが嫌味ったらしい事は改めて痛いほど分かったよっ!!」

 

 ……………………………………

 超出力のヒートロッドとGNザンブラスターによる刃の拮抗はお互い弾かれて距離を取るという結果に終わった。

 刀身を絡め取られて灼き斬られなかったザンブラスターの出力に驚愕するべきか、ザンブラスターにおける虎の子ライザーソードの密着でも破壊に至れなかったヒートロッドを讃えるべきか。

 少なくとも北条院ネネの感想は前者であり、内心の対面に対する評価を改めるに値する攻防であったと胸中で呟く。

 距離は中距離(ミドルレンジ)、あのザンブラスターがどういった機能を有するかまだ不透明であり、先程のように先手を挫いて調子付かせる事は避けたいと少女は眉を微かに寄せた。

 正面モニタ右下、画面上では先程まで入力を受け付けない状態を示す赤色の表示がソードビットを覆っていたが今はもう正常を示す青色であり、操縦桿に回収の入力を行うといつも通り高速の軌道で背部に収納された。

 

(時間経過で解除……? それとも任意のタイミングで緊縛を解けるのかしら)

 

 推測を重ねるが答えは出ない。試そうにもソードビットが破壊されるという最悪の事態を考えると気が引ける。

 この間にも正面モニタ中央に捉えた敵機は微動だにせずこちらを見据えたままだ。

 誘っているのか、挑発の意図なのか。

 

「どちらにせよ、(わたくし)の神経を逆撫でるには充分な効果でしてよ」

 

 ソードビット、射出。全方位からの斬滅軌道。

 加えて本体の変形機構の展開。……ビットを封じたのがあの剣によるものならば、それを振らせる隙を与えないだけの事。

 北条院ネネの瞳に最早油断の色は見えない。視界に映る敵機を殲滅するための刃として、そして北上院という名を背負う宿命に誓って。

 

 ──双頭の竜が、駆けた。

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