ガンダムビルドアウターズ   作:ク ル ル

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6章33話『EXエンドアーツ』

「ナナっ! あと何秒持つ!?」

 

「ジャスト6秒です! これ以上過ぎてしまうと()()()()()!!」

 

 奥歯を噛み締めて操縦桿を前へ押し倒し、正面モニタを白桃色の閃光が迸る中リュウが抱いていたのは北条院ネネへの畏怖と賞賛だった。

 今しがたビルドエピオンが放ったフラムベルジュは本来同一方向への刺突連続攻撃だった筈が、この土壇場で操作を手動(マニュアル)へ切り替えて回避先を潰すというアレンジを加えた柔軟性にリュウは慄く。

 戦闘への惰性も、初めに見えた油断さえ露とも感じさせない反応と直感。剥き出しの野生じみた判断は対面して改めて実感出来た。1人では勝てないと。

 そして、リュウでさえ到達出来ていないその境地に初等部でありながら立っている事実に称賛の笑みを浮かばずにはいられない。

 

「リュウさん、もう!」

 

「ドライヴが焼き切れても構わねぇ!! 出力を全部回せ!!」

 

「了解……!」

 

 Hi-sガンダムの全身に搭載されたGNコンデンサがこの局面で唸りを上げて、手にしたザンブラスターへとスパークの光を伴って供給される。

 明らかな過負荷に警告の画面が複数モニタへと投影されるがそれらを全て無視して、リュウは右手を力に抗いながら徐々に引いた。

 

『ライザーソード……』

 

 操縦桿を全力で前へ押しながら入力。

 撃発(トリガ)

 

『ブラスタァァ──ッッ!!』

 

 ライザーソードを展開しながら刀身の中央が開いて射撃形態へと切り替わる。

 元はアルケーガンダムが装備しているGNバスターソードに備わる射撃モード、Hi-sガンダムに至っては先のグラキエス戦で見せたワイドカッターの応用。

 

 桜花色の粒子を切り裂く蒼色の一閃は拮抗を見せていたビルドエピオンのライザーソードをやがて押し退け、遂に刀身を形成する基部へと突き刺さろうとする間際。

 北条院ネネはまだ基部を破棄すればこの鍔迫り合いは回避出来るにも関わらず、その姿勢は一貫して全粒子を掛けた力比べであった。

 

 リュウは後悔した。

 こんなにも楽しいのであれば、勝負を挑まれたあの日に受けるべきだった。

 部室へ誘って、一度だけじゃない、何度でもこんな勝負をすれば良かった。

 だから、この勝負が終わったらまた誘おう。何回も何回も、こんなにも楽しい時間を沢山過ごそう。

 その時にきっと何度も負けるから、だから、今だけは。

 

「俺達の……!」

「私達の……!」

 

 勝とう。

 

『勝ちだぁぁああ──―ッッ!!』

 

 蒼色の刀身が遂にビルドエピオン左腕のビームソード基部を貫く。

 ライザーソードの連続展開に加え、フラムベルジュでの粒子消費の影響か機体の動きが目に見えて遅い。

 勝負を掛けるのは今だと、リュウは操縦桿へ入力を叩き込み目の前の少女の背中へと叫ぶ。

 

「行くぞ、ナナ!」

 

「はい。──GNファング、1基から7基射出。戦域、結晶宙域。座標入力。いけますっ!」

 

 Hi-sガンダムから放たれた7基のファングがビルドエピオンの周囲をまばらに取り囲み、砲身に灯る光は射撃用ではなく本来であれば移動する為の物。

 

『GNファング全機同調。及び本体との同期完了。量子ゲート、展開っ!!』

 

 ダブルオークアンタが劇中の終盤、ELSの母星へ旅立つ為に開いた量子ゲート。それらをビルドエピオンを中心に展開し、7基のファングそれぞれが別々に輪を形成する。

 幾重にも重なった円状のゲート、やがてHi-sガンダムの目の前にも同じ量子ゲートが開かれた。

 

「フラムベルジュを見せてくれたお礼だ、受け取れよッッ!! 北条院ネネッッ!!」

 

 手にしたGNザンブラスターに備わる粒子を全て解放、間違いなく刀身が臨界し崩壊する粒子量に晒されて、蒼い粒子へと包まれた刀身を。

 力の限りゲートへと投擲した。

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