ひとつ、
ふたつ、
みっつ、
「耳にタコ、ですわ」
ぶっきらぼうな物言いでネネちゃんが分厚い教科書を閉じて腕を組む。口調こそ強めだけど上機嫌なのはぴょこぴょこと揺れている縦長のツインテールを見て取れた。
「ネネちゃんは良くログインするの?」
「するに決まっていますわ。アウターギアが来年あたりに一般普及する以上ガンプラバトルの主体はそちらへ移行するでしょう。北条院たるもの時代の流れを読み取りながら最先端を往かなければ」
「流石だねぇ〜ネネちゃん」
やっぱりネネちゃんは凄いなぁ〜と思いながらおもむろにアウターギアを起動する。
視線制御でメニューバーから設定を開くとアオカのアウターギアに記録されている
「アオカさんはよく行っておりますの?」
「い、いやぁ〜。実は全然……」
「あらそう。意外ですわね」
「あ、あはは〜ガンプラバトルあまり好きじゃなかったし……」
今でこそリュウさん達のお陰で好きと言い切れるけど、ついこの間までは機体の動かし方も危うかったわけで、それで食わず嫌いをしている節があったと、アオカは顔を僅かに曇らせる。
「次の授業、私とナナさんでチームを組みましょう」
「へ?」
「あら、嫌かしら」
「嫌なわけないよ! けど、……わたしなんて全然、ネネちゃんの足を引っ張るし、弱いし」
「……根本的な間違いをしているようだけれど」
ずい、とネネちゃんの顔が隣から近付く。
ただでさえ何か高級そうな香水の香りがするのに、こんなにも近いとなんだかドキドキする。
「何故自分の事を弱いと思うのかしら」
「墜ちるときは大体わたしが最初だし……狙われるとすぐ墜ちちゃうし、撃墜数もほぼないもん……」
言ってて悲しくなってきた。事実なのだから仕方が無い。仕方が無いが、自分で口にするとやっぱり悲しい。
「アオカさんが墜ちるのは努力で補ってもらうとして、撃墜数に関しては最近は違うわよ。貴女は自分の力不足を自覚しているから敵を私の方へ行くよう誘導しているでしょう」
「うう、ごめんなさい」
「それで正解よ。処理出来る問題は処理出来る相手に投げる。お陰で私は敵を探す手間も省けるし、相対的に貴女の危険度が上がって私のマークが敵から外れる。お世辞抜きで最近動きやすくてよ?」
「うう、ごめんなさい」
「何故謝るのかしら!!?」
わたしがもっと強かったら敵をネネちゃんの方に誘うまでも無く自分の力で倒してるのになぁ、と肩を揺らされながら涙が流れる。
「と、まぁ貴女と組んでいると動きやすいのよ。この年齢で自分の実力を自覚しているのは大きなアドバンテージなのだから。頼むわよ次の授業」
「が、頑張るね」
次の授業は社会科見学という名目の
億劫だなぁと思いつつも、ネネちゃんと天才ナナちゃんが居るなら大丈夫かという気持ちがわたしの胸を暖かくした。