ガンダムビルドアウターズ   作:ク ル ル

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幕間

電脳世界(アウター)が滅びるなんて言われてもなぁ」

「またその話ですの? (わたくし)達が考えても仕方ないのではなくて?」

「……まぁそうなんだが」

 

 特徴的な縦巻きのツインテールを翻し、北条院ネネ──ネネは部室に浮かび上がる立体映像(ホロウィンドウ)を注視しながら淡々と答える。

 企業バラムへの訪問を3日後に控えたリュウとナナ、ネネは放課後にガンプラバトルを行う事が日常となりつつあった。

 

「で、いまの試合。(わたくし)が誘いに乗らなければ勝てたと」

「あのな? 正面からお前にぶつかったら俺は勝ち目なんてないんですよ神童さん。なぁナナ」

「勝てるように最後までサポートします」

 ──勝てるとは言わないのがナナの残酷で優しいところ!! 

(わたくし)とした事が……冷静さを欠いていましたわ」

 

 ネネは片手で頭を抱える。

 決着までの流れとしては、片腕を欠損したHi-sガンダムが衛星基地内部へと逃げ込み、追ってきたビルドエピオンの猛攻を凌ぎなら量子ゲートでワープ。衛星基地諸共アルヴァアロンキャノンで破壊するとか言う無茶苦茶な勝ち方だ。

 

「高レギュレーションのGNドライヴ搭載機が使用する量子ゲート。確かに戦略が無数に広がりはしますが、自由度と消費量が釣り合っているのかしら? ……負けた(わたくし)が言うのも烏滸がましいけれど、博打な気がどうにも捨てきれませんことよ」

「逆に言えば格上にも勝てる方法がこれしか無いんだ。とにかく奇襲を凝らす。対策の分かっていない相手を一方的にハメ殺すしか……特に北条院ネネというガンプラファイターはな」

「全く。褒められた気はしませんわね」

 

 縦巻きのツインテールを揺らしてリュウの隣へやってくる。

 秋の訪れを感じるような秋の夕刻の室温とは逆に、先程まで連戦を行った少女の体温は心地よいほどに暖かい。

 

「……ぷん」

 

「え、ナナさんどうして頬を膨らましているんですか」

 

「私の方が暖かい、です」

 

 ぴと、と。腕を絡ませ物理的に銀髪の少女──ナナが接触してくる。直に触れてる分確かに温もりを感じる。

 あったかいなー、とナナの頭を撫でようとしたその時、見慣れた蒼の瞳が微かににやりと細まった。

 視線の先には、ネネ。

 

「あーなるほどなるほど。ナナさん。貴女のこと食えない人だとは思っていましたが……、すこし積極性が足りないのではなくて? ガンプラバトルも、()()()()()()も」

 

 ぴとぴとぴと!! 

 ナナがぴっとりと身体が触れるのに対して、ネネは大胆に身体を押し付けるよう腕を絡ませてきた。

 絵面的に非常によろしくない。冷や汗が尋常では無い。

 

「そこまで! そこまで2人とも!! 他の人に見られたら俺が世間的に終わるから!!」

 

 幼女2人に絡み付かれるこの状態は昨今の男女間の性事情が敏感になっている世間にもしバレたら俺の存在は馬鹿でかいバッシングと共に掻き消えることとなる。プロなんて絶対になれない。世間が許してくれない。

 

「わたしのリュウさんです……!」

 

「残念ながら北条院の教えに『譲る』というものはありませんことよ!」

 

「ぎゃー!! 身体が左右に千切れる!!」

 

 わちゃわちゃと揉み合いとなり強引に2人を引き離そうとすると、バランスを崩してその場に倒れ込んでしまった。

 

「いてて……、大丈夫か2人とも──うぉッッ!!?」

 

 リュウの胸元に倒れ込んでいるナナと、腰もとに跨っているネネ。絶対に世に放ってはならない最悪の構図だ。

 ──日本ガンプラ教育機関の最高峰で行われていたアヤシイ上下関係!? 

 ──プロガンプラファイターを目指す性犯罪者!! 

 ──ガンプラバトルを教えるという体で下級生を連れ込んだ上級生。日本ガンプラバトル史に残る最悪の性加害事件!! 

 数々のスキャンダル記事が脳裏に浮かび上がりすぐさま上体を起こそうとするも、妙に強い力がナナから掛かりままならない。

 

「これはこれで」

「好都合、かしら」

「なんの話してんだよ! 早くどけって!! こんなところ誰かに見られでもしたら本当に──」

 

「──ネネちゃん! ナナちゃん! 差し入れにきたよ〜! リュウさんっ! 先日のネネちゃんとの試合ほんっとうに感動しました!! ………………………………………………え?」

 

 ウィーンと。無機質な自動ドアの音と共に、ウサギの耳のストラップの付いた特徴的なウエストポーチが視界に映った。

 リュウへ憧れを抱いている少女──アオカ•オオゾラが目をまんまるに見開いてみるみるうちに赤面していく。

 

「アオカちゃん。これにはサイコガンダムよりも大きな事情があって」

 

「か、か、か」

 

「か?」

 

 真っ赤に染まった固まった表情のままアオカは口だけが独立して動いているようにパクパクと3人を見詰めたまま、

 

「解釈一致の状況キタァー!! わたしのことはお気になさらずー!!」

 

 訳のわからない事を叫びながら凄い勢いでUターンしていった。

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