ガンダムビルドアウターズ   作:ク ル ル

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3章エピローグ2

 焼け落ちて(くず)れる建物に(ひび)割れた大地。

 バトルフィールド“サイド7”は見る影も無く蹂躙(じゅうりん)され破壊(はかい)され、煌々(こうこう)と一面に火が燃え広がる。コロニーを穿(うが)つ大穴が数ヶ所程散見(さんけん)され、コロニー内の大気が突風(とっぷう)(しょう)じながら大穴へと吐き出されていく様を倒れた機体から“デニム”はどこか他人気に眺めていた。

 

 ザクタイタスはその身を横倒しになったビルへと(うず)め、肘から先がない腕を(きし)ませながら()()()()へと伸ばす。

 風に乗って流れる火の粉と(すす)に腕を仄黒(ほのぐと)く染めながらも、対して視線の先に(たたず)む機体には一切の(けが)れが見当たらない。まるで、この地獄を思わせる凄惨(せいさん)な光景の(あるじ)だと言わんばかりに暴風(ぼうふう)はその機体を避け、火炎(かえん)喝采(かっさい)する隷下(れいか)(ごと)く機体周辺を(うず)巻いていた。

 四肢(しし)には炎と見紛(みまご)うカラーリングのユニットが(そな)わり、機体の各部に燦然(さんぜん)と走るラインは(かがや)く星を思わせる光芒(こうぼう)明々(めいめい)(ともな)う。上四方に長く伸びたクラビカルアンテナが印象的な頭部から(のぞ)くラインセンサーは(なお)(するど)く、その堂々(どうどう)とした威風(いふう)たるや覇王(はおう)の風格を感じずにはいられない。

 右手には長剣が構えられ、刀身には魔法文字(ルーン)を思わせる紋章(もんしょう)が連なり(うち)からの光を(もっ)(つづ)られてある。

 真紅(しんく)白亜(はくあ)(いろど)られた機体へノイズが走るカメラを合わせると(しばら)くして機体名が表示された。

 

「“シュトラール”……、聞いたことねぇガンダムだな」

 

 男の(つぶや)きと同時、無慈悲(むじひ)威圧(いあつ)する眼光(がんこう)がザクタイタスへと向けられ、左腕ユニットが展開。恒星(こうせい)(ひらめ)きを放つ光球が(てのひら)(しょう)じ、機体にまとわりついていた暴風(ぼうふう)火炎(かえん)が、その全てがシュトラールから離れるよう半円状の力場(りきば)が形成される。“パルマフィオキーナ”でも“ゴッドフィンガー”でも無く全く未知の武装。

 (かざ)された左腕ユニットがザクタイタスへと向けられ、膨張(ぼうちょう)収縮(しゅうしゅく)を繰り返す光球が一筋(ひとすじ)(きら)めいた。

 

 ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

「あの人達逃がして良かったのぉ? 何か悪さしてるみたいだったけど」

 

 (あわ)黄金(こがね)の髪を月明かりに照らしながら、(あわ)てて()(まど)う3人を尻目(しりめ)に少女がこちらへ(つぶや)く。珍しく本気で疑問に思っているような口振りに(かま)う事も無く、男から奪った“アウターギア”を少女へ投げ渡した。

 手に弾かれて数度の空転を(ともな)い少女の手へと収まり、じっとりと(するど)い視線が浴びせられる。その(だいだい)色の瞳に今更思うところもなく────“アデル”は水路を見やり足を踏み出した。

 

「え、アデルもしかして休まないでこのまま行くの? ……あ、あたし疲れたな~休みたいな~」

 

「さっきの騒ぎを聞き付けて警備が直ぐにやって来る。見付かりたいんならそこで寝てろ」

 

「ひえぇぇえ、こんな年端(としは)もいかない女の子にキツくない? その当たりはさっ! ……もぉ~わーかーりーまーしーたー! 歩きますよ歩きますよ~だ」

 

年端(としは)もいかない女の子……?────ハッ」

 

 皮肉(ひにく)と鼻を鳴らし本紫(ほんむらさき)の髪が揺れる。視線の先、項垂(うなだ)れた本人も自覚があるあたり性質(タチ)が悪い。

 出会ってもう10年以上変わっていない見た目のコイツのどこが()()()()()()()()()()なのか、(あざけ)を込めた視線を一瞥(いちべつ)し、冷気が(こも)停滞(ていたい)している水路を再び歩き始めた。

 

「────行くぞ、エル」

 

「────はいはい、アデルってばも~すこし愛想(あいそ)良くした方が喜ばれると思うけどなぁ~」

 

 反響(はんきょう)する少女の声がやたらと耳障(みみざわ)りに水路へ響く。

 しかし指摘(してき)するのも面倒だと、アデルはコートを深々と羽織(はお)り直す。ふと胸元の認識票(ドッグタグ)が手に触れ、(はる)か遠くの記憶が遠方で(ほとばし)(いかづち)のように(よみがえ)った。

 そういえばエルオーネ────エルと出会ったのも満ちた月の日だったと、胸元で踊る認識票(ドッグタグ)を握り(ひとみ)を閉じて一瞬更(いっしゅんふ)ける。忘れてはいない、その為に日本に来たのだから。

 水路を()く足取りに迷いはなく、確かな目的を持った足付きでアデルは暗闇(くらやみ)を歩み進んでいった。

 

「ってアデル~!? ちょっと早くないかな!? バテる以前にあたしが置いていかれるんだけどっ!」




 書・き・上・げ・たぁーーーーーーーーーーーっっ!!
 遂に3章書き上げました!ありがとうございます自分!ありがとうございます読んでくれた皆さま方 !
 ここからは自分語りなので苦手な方はそのままブラウザバックお願いしますね!

 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「1ヶ月で1章書き上げます」とは半年前の自分の言葉で、何を言っていたんだお前はと後悔(こうかい)しております。ガンダムビルドアウターズは1章の時は作品を書きたい情熱(じょうねつ)でぱぱーっと書いて、2章はその慣性(かんせい)を利用して、この3章もぱぱーっと書く予定だったのですが、小説を数ヶ月書いている内に「こう描写(びょうしゃ)してみたい」や「こう書けば良く伝わるかな?」と身の(たけ)に合わない欲が出てしまいまして、それで合計3ヶ月強という長い長い間たらたらと3章を書いていた訳です、お待たせしてしまい(まこと)に申し訳ありません。執筆(しっぴつ)速度が遅いのは一重(ひとえ)に自分の技量(ぎりょう)が低いせいであり、言い訳はありません。
 一番大きいのはルビを振り始めた事でしょうか。戦闘描写(びょうしゃ)が多い分難しい文字がどうしても多くなってしまい、自分もかっこいい漢字が好きなもんですから「この漢字、俺が読めても読者の方が読めなきゃ意味なくね?」と気付いた訳であります、今更(いまさら)かと。
 勿論(もちろん)、難しい漢字を使いすぎて文章から浮いてしまうという事態(じたい)も恐いですが、まずは難しい漢字を使ってみて、そこから削れば良いわけですから3章ではバンバン難しい漢字を多用(たよう)しました。頭が痛い。

 それと嬉しいことが。
 最近Twitter上でガンダムビルドアウターズの感想を見掛けたりすることが多く、それがとても嬉しい!本当に嬉しいんですよ感想貰えることが。
 ただでさえネット小説なんて読む人が少ないのに、その中でもマイナーもマイナー“ガンプラ小説”を読んでくれて、その上感想まで書いてくれる。本当に有り難い話です。
 他にも色んな方が「参加したい!」と言ってくれたり、有名なモデラーさんも参加してくださったり、もーー感無量(かんむりょう)です。


 現在ガンダムビルドアウターズは3章ですが(体感6章まで書いたくらい疲れた)、まだまだ続きます!外伝も構想(こうそう)中です!作品内に登場したガンプラ達の画像付き紹介ページも構想中です!

 てなわけで長々と後書きなんてもの見てくれてありがとうございました。ビルドアウターズは物語結末と5章までは構想が浮かんでるのですが6章からは浮かんでません。どこかそのタイミングで休憩か外伝書いたりしますのでよろしくお願いしますー!ではではありがとうございました!

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