では。
君は随分、神秘が少ないんだねぇ、とそいつは、極平坦な声で言った。
空模様や飯を告げるのと同じ、素っ気ない口調で、どうにも馬鹿にしているようには聞こえなかった。
眉をひそめたこちらの顔を見咎めたそいつは、思ったことを口にしただけだ、と小首を傾げて言う。
神秘がなくともそれがどうしたと言ってやれば、そうだねぇ、と返された。
敵なぞ斬ればいいだけなのに、神秘だなんだと化体ものを持ち出すな、と更に続けて言えば、えらく眉を下げた。
─────生きる為、そういう化体なものに頼るしか能のないボクは、君にとって不気味かな?
呑気な口調で、そんなことを聞いてきた。
馬鹿にしているのか、細っこい餓鬼を誰が怖がるか、と言ってやれば、そいつは怒りもしないでけたけたと笑った。
実際、今このとき自分を『使っている』はずのこの人間は、まったく以て餓鬼にしか見えなかった。
よく笑い、よく喋り、泣かないけれど、子どもに甘い。
口にこそ出さなかったが、人を殺すのは嫌で傷つけるのも嫌、殺されるのもやっぱり嫌、というそんな人間だ。
家訓だか何だか知らないが、どうせそれがなくとも、幸せな人間が多いほうがいいなぁ、と正気でそう思うような人間であるのは知れた。
昔に会った、一人のどこぞの裏切者と、笑う顔だけが妙に似ていたからだ。
あの男もまた、皆が楽しく暮らせればいいと、そう思っていた奴だった。
あの手の笑い方をする人間は、そういう阿保の類だ。
尤も、多少なりとも阿呆のほうが己にとって都合がいいという思いもしていた。
頭が良い人間は、嫌いだ。
さんざ人を斬るためにこちらを使いたがるくせに、いざ斬ってみせれば犬だ外道だ邪道の剣だと、罵って来る。
そうしろと言ったのは、命じたのは、人斬りを使うと決めたのは、貴様らであるくせに。
手を血に染めなかったから、刃を振り下ろさなかったから、己が人斬りよりは上等な人間だとでも思うのだろうが。
馬鹿な奴ばらだ。所詮、同じ穴の狢だというのに、そんなことも忘れていやがる。
人斬りが人を斬って、何が悪いのか。
そこで行けば、
阿保の類ではあるが、少なくともまともな判断は下している。
死にたくないから、死なないように精一杯物を考える。
道具である人斬りが死ねば、自分も死ぬと思っているからだろう。
傷を負えば青褪めながらもすぐに治しに来たし、逃げるときはさっさと逃がしてくれた。誇りで助かる生命は少ないからねぇ、とぽつりと言っていた。
気に食わないとするなら、その誰かに似たへらへらした笑い方だが、まさか表情一つが気に食わないから斬る、というのはいくらなんでも短気である。頭が良くない己でも、それくらいは弁えた。
第一、仮に契約を切っても、これよりましな人間が今の雇い主になるとは思われなかった。探すのとて、面倒だった。
敵がいようが、どうせ己が斬ればいいのだ。
神秘の術とやらがひとつも使えなかろうが、斬り合いで己に勝てた奴など生前から居なかった。
未来だというこの街においても、それが変わるとは思わなかった。
己は強いのだから、話はそれで済む。
─────済むのかい?
─────本当に、君はそう思う?
カミサマ級は本当にやること成すこと理不尽だよ、と念押しするようにそいつは言った。
その手は、千年もののカミの使いだという、犬の毛並みを撫でていた。
小さな白黒の犬がどれだけ強いのか、人斬りの己にはさっぱりわからなかったが、その犬共に頼らずに人斬りを召喚したというならば、己よりは弱いのだろうと思った。
─────ある意味では、そうだね。
─────まあ、仕方ない話か。
─────君、ボクのひいひい婆様の若かりし頃に、生きて死んだ人だから。
そのときそいつが、一体何を仕方ないと飲み込んだのか、終ぞ己は聞かなかった。
興味もなかったからだ。
神秘をどれだけ溜め込んだ敵だろうが、己が斬れば死ぬと、そう思った故に。
あのときもしも、聞いていたら、何かが変わったのだろうか。
千切れて焼けた髪、焼け爛れた手のひら、目を閉じて血の気が失せて、笑いもしなくなったそいつの顔を見て、初めて、そう思った。
#####
最初に感じたのは、痛みだった。
右手に、かなりの痛みが集まっている。
全身も鈍痛を訴えているが、特に強い痛みがそこだった。
目を閉じたまま、周囲の気配を探る。
体のどこかが縛められているわけでもなく、殺気も、妙な魔力も感じない。
これなら大丈夫か、と目を開いて、体を起こした。
「い、づぁッ……!」
直後、凝り固まっていた全身がばきりと音を立てた。
昔、腰をやっちまったときの祖母のような音が自分の体から出たことに驚きながら、ともかくも起き上がれた。
痛みで目に涙の滲むのを感じながら、伸びをする。
そこは見覚えのある安ホテルで、そこのベッドに寝かされていたらしい。隣のベッドでは、白黒とひと塊になって桜が眠っていた。
ゆっくりと、上下する小さな体を見て、ほう、と息を吐く。
自分の足元には、中身が散って口の開いた肩掛け鞄が置かれていた。
そこまではいい。だけれど、足りない。
頭がぼんやりしていたが、足りない何かを探して、繍は辺りを見た。
案外近く。繍が寝ていたベッドにその人影は凭れて座っていた。その顔を見た瞬間、直前の記憶が一気に蘇った。
「大丈夫かい!?」「起きゆうがか!?」
ほとんど同時に叫んだ。
叫んだせいで、また体の何処かで軋む音がした。げほげほと、咳まで飛び出す。喉がいがらっぽかった。
「生きとるが?」
「喋ってるし、足がある、から……生きてるよ。君こそ怪我は?」
差し出されたペットボトルに入った水を飲み、咳の合間に言葉を繋ぐと、人斬り以蔵は大きく息を吐いた。
その半身は、血塗れだった。
「岡田さん、君!怪我、したまんまじゃないか!」
「おまんがぶっ倒れよるからじゃ!」
「そうだね!ごめん!」
治し役がいなければ、サーヴァントは治るものも満足に治らないのである。
何を馬鹿なことを言ってしまったんだ、と繍は頭を抱え、手のひらに新しい包帯が巻かれているのに気がついた。
「おまんの手ぇ、焼けちょったき、袋ん中の薬と包帯を使うたが」
「焼けた?……あ、ああー、思い出した。あの槍か」
以蔵の肩を貫いていたアーチャーの武器を引っこ抜いたときに、凄い衝撃が手から肩へと走った気がする。
よく覚えていないけれど、超級神秘に準備もせずに素手で触れれば、ただで済むわけがなかった。生命があって儲けものである。
「そん袋ん中身はよう知らんが、おまんが肩の傷に使うとった軟膏は残っちょった。あとそん包帯も出てきよったき」
「……うん。ありがとう」
びっくりするほど丁寧に包帯が巻かれた手を、握力を確かめるために閉じて、開く。
確かにあの軟膏なら、切り傷にも火傷にも効く。ひとまずの手当てとしては、とても有難かった。
鞄の盗難防止用の保護術式は……恐らく以蔵が繍の魔力で現界しているから、すり抜けることができたのだろう。元々、繍の式神は、保護術式の迎撃範囲外に設定しているから。
「問題ないよ……。じゃあ、君の怪我を治すよ」
「魔力は足りるがか?」
「寝て戻ったから足りるよ」
本当言うと回復率は本調子の良いとこ五割なのだが、いいから肩を出せ、と言うと、のろのろした動きで以蔵は着物の肩肌を脱いだ。
鍛え上げられた太い肩に、焼け焦げた穴が開いていた。傷口が焼けたせいで、出血は止まっているが、抉れた穴から、白い骨と赤い肉が覗いている。
鳴りそうになった喉を抑える。目を逸らしては、治せるものも治せない。
「呪い……怨念の類は……無いね。これなら普通の方法で治る」
染みるかもよ、と声をかけると、肩に力が籠もった。
傷に手を添え、魔力を集めた。
「この言之葉を、天之清水と
光が集まり、肩の傷に集まる。
ものの数十秒で新しい皮膚が作られ、傷は消えた。
「次だ。右手出して」
「……」
右手には、ぐるぐると黒い布が巻かれていた。手当した、というには雑なやり方である。
「これは?」
「おまんの手ぇに包帯巻こう思うたが、そんままやとわしの血がつきよるき、取り敢えずじゃ」
「……そっか。ありがとうね」
「わしらよりおまんは脆いんじゃ。死なれると困るきの」
突き放すような言い方に、あは、と乾いた笑いが漏れた。
そう。そうだった。
つい先ほど、死にかけた。実に呆気なく、簡単に。
黄金のアーチャーの気まぐれが無ければ、今頃は骸になって転がっていただろう。
身寄りもなく、流れの呪術師の死にざまなんて真っ当なものとはならないだろうな、とは思っていた。
顧みられることもない冷たい死体になって、どこかの裏路地かゴミ溜めに転がることになったところで、悲しむ者などいない。
それが、救いと言えばそうだ。
そう、思っていたのだけれど。
以蔵の手を握った己の手は、小刻みに震えていた。
「おい……おい。どうしたが?なんぞまた魔力が足りんがか?傷が痛むんか?」
「違うよ……。ごめん、痛いのは君なのに、ボクが震えたら駄目だね」
なんでなんだろうなぁ、と呟きながら、魔力を束ねる。
こちらにも、呪いの類はなかった。
ディルムッド・オディナの黄槍のように、傷口を治させない呪詛でもかけられていれば、手の打ちようがなかったところだ。
血で傷口に貼り付いた布をゆっくりと剥がし、掌に開いた穴に魔力を集める。これも、さほどかからずに傷は消えた。
肉が盛り上がり、皮が張る間、以蔵は何も言わなかった。傷一つ無くなった掌を、開いたり閉じたりして調子を確かめている。
「刀は握れるかい?」
「当たり前じゃ。おまんはどうなんじゃ?」
とんとん、と以蔵は自分の首を叩いていた。
そういえば、髑髏のアサシンに斬られていたのだった。
喉に手をやると、傷自体は既に血が止まっていたものの、シャツの襟が固くなっていた。恐らく、流れた血で汚れてしまったのだろう。
ついでに気がついた。
どうも首周りが寒いと思っていたのだが、当然だった。
背中の中ほどまであったはずの髪が、肩上程度にまで短くなっている。魔力を込めて爆ぜさせ、目くらましにしたことを、すっかり忘れていた。
端は焦げて黒くなり、嫌な臭いを放っていた。長さもばらばらのぼさぼさで、かなりとんでもない有様になっているのは、間違いなかった。
「髪、ひどいもんになったのう」
「仕方ないよ。それで助かったんだから安い安い」
「手ぇと首はどうなんじゃ?」
「令呪に変調はなさそうだ。首と手は単なる怪我だから、放っておいたら治るよ」
「ほんまか?」
「ボクは、普通じゃない化体な人間なんだぜ。怪我の治りだって人より早い……。そんな心配しなくっても、大丈夫だよ」
ね、と両手をひらひら振って見せた。
とりあえず笑ってみたのだが、以蔵は俯いてしまう。
俯いたまま、彼は口を開いた。
「……おまんが吹っ飛んだとき、驚いたが。そんまま、髑髏のアサシンに捕まりよったときは首が落ちるかと思うた」
人斬り以蔵の最期は、斬首の後の晒し首だったことを思い出した。
彼には、ひとかどの武士のように腹を斬る許しは与えられなかった。人非ざる人として、首を刎ねられ刑死したのだ。
ぽつ、ぽつ、と静かで薄暗い部屋に言葉が続く。
「わしに、神秘はわからん。頭もよう無い」
「うん」
「おまんのように傷をすぐ治したり、なんもないところから火ぃを呼ぶこともできん」
「……うん」
「わしは、人斬りじゃ。それしかできん……。わしには、人を斬るしか、できんのじゃ」
どうしてだろうか。
自分より体の大きい彼が、小さく見えた。
そんなことあるわけもなく、こうして座って向かい合っていても、肩幅も身の丈も繍より大きいというのに。
焼けた髪を手で耳に引っ掛け、繍は半ば呟くように言った。
「あのアーチャーは、強かったね」
「……」
「正直に言おう。あそこで、死ぬんだと思った。ボクも、君もね……。それは、すごく怖かったよ」
「……そうじゃの、死ぬのは嫌じゃ」
聖杯によって齎された束の間の稀人は、死にたくないと、肩を震わせてそう言った。
瞬きの間だけ迷ってから、手を伸ばして、繍はその両頬に手を添える。
振り払われるかと思ったが、以蔵は何も言わなかったし、何もしなかった。
「ボクの手も、君の頬もちゃんとあたたかい。感じてないわけじゃ、ないだろう?」
「……おん」
「確かにボクも君も、負けた。元はと言えばボクの失態が原因だけど、それでもどうしようもないくらいに負けたよ。あいつのお情けで生かしてもらって、命からがら逃げた」
令呪も切って、髪も燃やして、怪我を負った。桜を連れて逃げられたことが、奇跡だ。
なんでまだ、こうして息をしていられるのだろうと、己で己に尋ねてしまうほどだ。
「でもさ、ボクらは誰も、死んでない。ボクはまだ術を使える。君は刀を振るえる。手足も目玉も、首だってさ、ちゃんとくっついてるんだよ」
だから、つまり。
「君が生きててくれて、良かった。助けてくれて、ありがとう」
両頬を挟んで、顔を持ち上げる。
夕焼け色の瞳は、まろくてとても綺麗だった。
く、と喉から弾けるような笑いが漏れた。
「なにをひっどい顔してるんだ。死にたくないなら、生きなきゃ駄目だよ」
繍はそのまま、ごく単純で、酷薄な道理を口にした。
「君は、どうしたい?負けたまま、もう一度死ぬかい?それが最も、容易き道ではあるだろうね」
一度死んでいる彼が、再びの生をどう捉えているかはわからない。
サーヴァントとして呼び出されるのは、あくまでも座にいる英霊の魂の写し身。
本人の魂がここにいるわけではなく、死ねば体は残らず魔力へと還って消滅し、何も残ることはないだろう。
岡田以蔵という人間が、無惨に死した事実は何一つ変わることはない。
ここにいるのは彼であって、彼に非ず。サーヴァントとはそういう、曖昧なものなのだ。
それでも、この時の流れの中に降り立ち息をしている彼は、死人の影法師と言うには、なんというか、余りにも人間だったのだ。
「岡田以蔵。君の願いは、即ちボクの願いだと断じよう。その上でだ。今一度問おう。君はボクの、サーヴァントか?」
マスターとサーヴァントの繋がりを続けるのか、と問うた。
光を取り戻す瞳を見て、頬から手を離した。
「わしは、死にとうない」
「うん、ボクもだよ」
「人斬りは所詮、人斬りじゃ」
「うん、知ってる」
繍とて所詮、人に非ざる旧い呪術師。
その心根はとうに今世の人の理とはかけ離れてしまい、今更他の者にはなれない。
「そいでも、わしはおまんのサーヴァントじゃ。
それが、どうしようもない強がりなのはわかっていた。けれど、繍は頷いた。
「その言葉、受け取ろう。君はボクのサーヴァントであり、ボクは君のマスターだ……。間違えたボクだけど、その刀をまだ振るってくれるかい?」
「了解ちゃ」
そこでようやく、以蔵はあのにやりとした、片頬を吊り上げる笑みを浮かべた。
「あーあ、ようやっといつもの岡田さんの顔に戻った感じがするよ。泣きそうな顔なんて、調子狂うったらなかったよ」
「な、何を言うとるがか!わしは変わらんし、泣いちょらん!」
「そう?ボク、倒れる寸前に、結構焦った君の声、聞いたと思うんだけど」
「いよいよ耳がいかれよったがか?」
「あー、はいはい。わかったわかった、わかりましたよ。君は泣いてない。睨まないでくれって、もう」
元気になった途端にこれである。立ち直りが早いのか何なのか。
ともあれ一先ず、壁の時計を見上げて、繍は目を丸くした。
「うっそだろ!もうこんな時間!?」
現在時刻、午前十一時。
約束の正午まで、あと一時間である。
「よう寝よったんはおまんじゃ。まぁ、急げば間に合うじゃろ」
「そうなんだけど、その前にこの髪!これ何とかしないと!あの人身なりに厳しいんだよ!それにこっちがやられたことを悟られたくない!」
とはいえ、自分で爆発させた髪である。焼け焦げて、毛先などぼろぼろだし、臭いが酷い。
切るのは当然としても、かなり短くするしかなかった。
「鋏!」
「やかましいちゃ」
「ひどい!」
鞄をごそごそと漁ったときである。
それまで桜の傍らにいた白が、小さい姿でふうわりと近寄って来た。そのまま、くるりと式神は繍の頭の周りを廻る。
淡い光が生まれた。
純白の光が繍に取りつく。それが収まった後には、元の通り、背中の中程までの髪があった。
唯一違うのは、色。
黒かった部分が消え失せ、灰色と白の二色に染まっていた。
ぶふ、と満足そうに鼻を鳴らした白は、そのまま繍の膝の上に座った。敏いカミの獣の目には、面白がるような色があった。
「……ああ、なるほど。君らは、長い純白の髪の娘が好みなんだったね」
醜い髪になったから、治したのだろう。
怪我を治さず、己の好みに沿わせようと髪だけ弄る辺り、振る舞いがとてもカミの使いらしかった。
ともかくも、本来の繍の髪色である黒は、これでついに失われた。
生まれ持った色の、最後の欠片が消えたのは寂しいが、もう元には戻せまい。なら、諦めるしかなかった。
以蔵など、口をあんぐり開けている。髪が伸びるわ色抜けしているわと、さぞおかしなものに見えているのだろう。
「なんじゃあ、そん色は?」
「カミ好みに変えたってところかな。多分体に障りがあるわけじゃなし、この際良しとする。桜は……」
黒狗のお腹を枕にしている桜には、目覚める気配がなかった。そもそも、あれだけ横で騒ぎまくったのに目覚めないのはおかしい。
黒が何かして、安らかな眠りに引き込んでいるのだと思うけれど、そうなるとこちらからは起こすのが難しかった。
「黒、その子を守っていてね」
「ばふ」
低く鳴いた黒を場に残し、ホテルの部屋から出る。以蔵は霊体になり、白は小さくなって繍の懐に潜り込んだ。
さて、あの恩師は一体何を手に入れたのかと思いながら、一路約束の場所へと足を速めることにした。
敗北してから迎えた新たな一日は、そうやって始まったのである。
メンタルケアと空元気の話。
当初の予定が立ち消えになったので書けました。