月とウサギ   作:沙香月 雪音

11 / 11
ツイッターでちょっと来てたリクエストと企画を使わせていただいての番外編でございます。
いやー、良い企画に参加させていただきましてホント久しぶりに筆が進んだ…。
ウサギ「月ウサギ書く気無かったって噂あったんだけど…。」
まぁ本編終わったしネタもなかったからねぇ。
ルナ「その代わり絵を描くって噂も…。」
頑張るわ…。
さて、話はこれくらいにして…どうぞ!


瞳石症候群【ワガママ】

「また雨だー。」

「雨だー…。」

 

村に雨季がやってきた。ユキもヨウもここ最近の雨のせいで外で遊べず退屈そうにしている。

 

「今年もよく降るねー。」

「だねー。」

「暇だねー。」

「6日目だもんねー。」

「かくれんぼし尽くしたしねー。」

「しまいには鬼の死角突いて移動したりトラップもあったね。」

「子供が一人で留守番する映画見せたのがいけなかったかなぁ。」

「ドア開けた途端に羽毛はびっくりしたねー。」

「糊とか付いてなくて助かったよ。」

 

羽毛布団は見るも無惨な姿になっていたがそれはいいようだ。

 

「それにしても…。」

「暇だね~。」

「絵本も全部読んじゃったし…。」

「つまんなーい。」

 

4人揃って退屈がピークらしい。

 

「二人には小説とかはまだ早いだろうし…。」

「だねー…あ、ちょっとした昔話ならあるよ?」

「昔話?」

「お姫様とか出てくる?」

「あー…ユキが考えてるようなお城のお姫様はいないかなぁ。」

「じゃあ不思議な道具は?」

「不思議な道具は出ないけど不思議なことはあるよ。」

「…あ、うーちゃんもしかしてその『昔話』って…」

「うん、ルナのほうが途中まではよく知ってると思うよ?」

「だよねぇ…。」

「お母さんも知ってるの?」

「知ってるというか覚えてるというか…。」

「?」

「二人にはまだちょっと早いかもしれないけどね。」

「これは昔のある二人の兎の恋と病気のお話だよ。」

「恋と」

「病気?」

「そう、二人の兎の恋と病気のちょっと悲しいお話。」

 

そう言ってウサギとルナ(二人)はどこか懐かしそうな顔で笑いながら話はじめた。

 

 

 

 

 

………

……………

…………………

 

 

 

「月までまだ遠いなぁ…。」

「遠いねぇ。」

 

幼馴染のウサギ君の隣で一緒に月を眺める。最初月に行きたいと聞いた時は驚いた。翼を造るなんて言ったときはおかしいと思った。でもウサギ君はすると言ったし、やらない事を言わないってことも昔から知ってる。

 

「ねぇ、ウサギ君。」

「なに?」

「どこまで出来たの?」

「まだ胴体の骨組みだけかな~、」

「なかなかかかるね~。」

「設計から資材の調達から全部自力だからね。大変だけど今すっごい楽しいんだ!」

 

本当に楽しそうに笑うなぁ…。そういえば…

 

「ねぇ、ウサギ君。なんで月に行こうと思ったの?」

「どうしたの?急に。」

「なんでウサギ君が月に行こうと思ったのか聞いたことなかったなぁと思って。」

「あー…そうだっけ?まぁなんて事はないんだけどね?」

「うん。」

「月に行ったらお婿さんにしてあげるって村一番の美人さんが昨日言ってた。」

「造り始めたの一年前だよね?あと美人さん相手なら誰でもいいの?もっとこう、幼馴染とかいるよね?ね?」

「ちょ、ちょっと怖いよ…。誰でもいい訳じゃないし冗談だから…。」

 

世の中言っていい冗談といけない冗談があるでしょ。

 

「まぁホントになんて事無いんだけどね…。ココから見える月が綺麗で行ってみたいって思っただけなんだ。」

「そうなんだ…。理由に面白みがないというかありきたりというか。」

「やっぱりそう思う?」

 

ちょっと困ったように笑ってるけど。

 

「そうとしか思えないなぁ。」

 

仕方ないよね。

 

「ならどんな理由だったらよかったのさ。」

「うーん…実は誰かの病気を治すために月の石がいるとか?」

「大変だ。それなら早く月に行かなきゃね。」

 

二人して笑い合う。月の石が必要な病気なんてないの知ってるし。つきのいしなんて進化に使えばいいのだ。

 

 

 

それから一か月後、ウサギ君が胴体を完成させた。動力、胴体ときて次は翼らしい。

 

「やっほー、ウサギ君。」

「やっほー。」

 

ホントに楽しそうに笑うなぁ…。………今一瞬だけ視界が変だったけど…疲れてるのかな。

 

「どうかしたの?」

「ん?ううん、なんでもないよ。」

 

ただの気のせいかもしれないのにこんなにワクワクしてるウサギ君の邪魔は出来ないよね…。

 

「なんでもないならいいけど…無理はしないでね?」

「うん、大丈夫。なにか手伝えることある?」

「そうだなぁ…あ、ノコギリ貸すからそこの木を印のところで切ってくれる?」

「分かったよ。」

 

ノコギリは…あ、あった。けど…

 

「ウサギ君…このノコギリ重すぎない…?」

 

重すぎて持ち上がらないんだけど⁉︎

 

「ちょっと女の子には重いかもね…。ごめんね、気付かなくて。」

「う、ううん。いいよ、大丈夫。」

 

ちょっとってなんだっけ…。あ、でもウサギ君は片手で持ってるし…私の筋力の問題なのかなぁ?

 

「ふぅ、切れた切れた。」

「お疲れ様〜。お茶飲む?」

「うん、ありがとう。その前にノコギリ置いてくるね。」

「…え?ちょっと待って⁉︎そんな置く時に『ドスン』とか音のするノコギリとか初めて見たんだけど⁉︎」

「でも軽くしようとするとすぐに刃が欠けちゃうんだよね〜。」

「そ、そっかー。なら仕方ないねー。」

 

私の筋力が足りないとかじゃなくてウサギ君の筋力が可笑しいんだね…。

 

「美味しいお茶も飲んだしもう少し頑張るかな。」

「私はそろそろ帰ろうかな。ウサギ君も無理はしないでよ?」

「わかってるよー。」

「ばいばーい。」

「また明日〜。」

 

うーん…ウサギ君の使ってる工具とかが重すぎて使えないし他に何か手伝えないかなぁ。明日はおやつ持って行ってみようかな。

 

 

次の日おやつを持って行ったら喜んでくれた。偶に視界がぼやける気がする。ちょっと疲れたのかな。

その次の日からはお弁当も持って行ったら美味しそうに食べてくれた。

 

「今日は煮込みハンバーグにしてみたよ〜。」

「おぉ〜、美味しそうだね。」

「今日は自信作なんだよね♪」

「ほんとだ、美味しい!」

 

あぁ、そっか。ウサギ君はどこまでも素直なんだなぁ。感情を真っ直ぐ向けてくるから……うん、なんでもないナンデモナイ。ソンナワケナイナイ。

 

「顔赤いけど大丈夫…?」

「へ?あ、あぁ、うん、大丈夫大丈夫!大丈夫だからなんでもないよー!うん!」

「そんなに目をキラキラさせて言うことかなぁ…。まぁ大丈夫ならいっか。」

「あははー…。」

 

うん、変なこと考えちゃったけどもう大丈夫なはず。…目をキラキラってそんなに楽しそうに見えたのかな…?

 

「でも今日は一回帰ろうかな。おやつは置いてくから食べてね!」

「やっぱりどこか悪いの?一人で大丈夫?」

「ちょっと用事思い出しちゃっただけだから一人で大丈夫だよ。ありがと。じゃ、また明日ね〜。」

「うん、また明日〜。」

 

確か家に本があったはず…。

 

「どこらへんだっけ…。」

 

医学書…医学書…。あった。

 

「視界のぼやけと…くしゃみで胸が痛くなるのは…。」

 

あれ?どっちかしか見つからない…。2つが同時に起こってるのかな?

 

「流石に冷めちゃった…。」

 

帰ってきてから淹れたコーヒーは冷めてる。あんまり美味しくないけど飲んじゃおう。うん、不味い。…何か光ったように見えたけどなんだろ。

 

「もしかして…。」

 

洗面所で鏡を見る。今光ったように見えたって事は多分…

 

「やっぱり…目が周りから宝石みたいになってる…。御伽噺の物だと思ってたのに…。」

 

『瞳石症候群』昔好きだった絵本に出てきた病気の名前。

絵本の中では主な症状は文字通り瞳が徐々に宝石に変わっていって発症から20日程で目の宝石だけを残して灰になる病気で発症例が少ないんだっけ…。

話は確か…お姫様に身分違いの恋をした男の子が発症して、眼が少しずつ宝石になった。時々見せる宝石の眼を見たお姫様はその男の子の宝石の眼を欲しがったけど実はお姫様も気付かないうちに男の子に恋をしていて…男の子が目の宝石を遺して灰になった時、宝石が色褪せて見えたことから自分の恋に気付いて3日後にお姫様も灰になってしまう…これって悲恋なのかな?二人の目はそれぞれ一つずつ王冠とティアラに付けられたのはある意味結ばれてると思うけど。

絵本の通りだと他に骨が脆くなるんだっけ?もしそうなら今のうちにウサギ君に何か伝えないといけないかなぁ。……さっきからウサギ君が基準になってる気がするけど気のせいだよね。うん、黙って居なくなったら月に行く予定が狂っちゃうといけないしね!

もういいや!(狂うのかな…)お弁当の準備だけして早く寝ちゃお!…もうあまり会えないんだなぁ。

 

 

 

起きたはいいけどヤな夢見たなぁ。とりあえず朝ごはんとお弁当作るかな。

 

 

「〜♪〜〜♪〜♪♪」

「鼻歌まで歌ってごきげんだねぇ。」

「まぁね〜。だいぶ出来てきたし。にしても今日はちょっと遅かったね。」

「ちょっといろいろあってね。準備に手間取っちゃった。」

「そうなんだ。」

「その代わり今日のお弁当は唐揚げとシャケチャーハンだよ。」

「今日クリスマスじゃないよ?」

「クリスマスは関係なくない?」

「そうだった。」

「それにウサギ君どっちも好きだったでしょ?」

「まあね。」

「ちょっとしばらく会えなくなるからねぇ。存分に味わいたまえ!」

「ははー!…ってちょっと待って?今会えなくなるって言った?」

「言った。」

「急にどうしたのさ。」

「ちょっとした病気らしくてね〜。明後日からしばらく入院だって。」

「へー…え?急すぎない?昨日まではあんなに元気だったのに…。」

「それが急に悪くなったりするんじゃなくて患者本人も気づかないうちに進行してくんだってさ。」

「そんな病気もあるんだね…。どれくらいで治るの?」

「うーん…人と進行具合によるらしくてまだ分からないんだよね。もしかしたら大きな病院に移るかもしれないらしいし。」

「そうなんだ…。なら今度お見舞い行くよ。何か欲しいものある?」

「お見舞いはいいよ。ウサギ君が月に行くことの方が楽しみだし。あ、でも渡したいものはあるからそうだなぁ…10日後に私の家に来てよ。」

「10日後?いいけど下手したらまだ入院してるんじゃないの?」

「荷物が届く予定なんだよね。ウサギ君へのちょっとしたプレゼント。」

「ん、分かったよ。取りに行くね。」

「うん、ありがとう。じゃあ今日はもう帰るね。明日は来れるか分からないけどウサギ君は頑張ってね。」

「無理に来なくて大丈夫だからね。治ったら一緒に月に行くのもいいかもね。」

「…うん、なら私はちゃんと治して、ウサギ君は翼を完成させて一回月に行かなきゃね。」

「もちろん!だから焦らなくていいからちゃんと治すこと。待ってるからね。」

 

優しいなぁ…ウサギ君は…。ごめんね。

 

「うん、頑張るよ。じゃあ、またね(・・・)。」

「うん、またね (・・・)。」

 

もう会えないのになぁ…。嘘つきでごめんね…。

 

 

最初に視界が変になってから20日だとすると…

私が宝石になるまで残り7日。昨日10日って伝えておいてよかったと思う。まず動けるうちに服をある程度捨てないと入院が怪しまれちゃうからなぁ。そういや骨が脆くなるってどれくらい脆くなるんだろ…。

 

残り6日。布団に潰される夢見たけどシャレにならないかも。手紙書いといたほうがいいかな。7日後に大きな病院に行ってるから置き手紙みたいにしとけばいいよね。なんて書こうか…。

 

残り5日。布団重いしくしゃみしたらあばらに響く。わたしゃぁもう歳じゃ……うん、違うね。手紙書けるかな。

 

残り4日。痛い。起きるのもちょっと苦しいな…。

 

残り3日。起きれない。天井の掃除しとけばよかったなぁ。

 

残り2日。痛いというか苦しい。宝石机に置こうと思ったけど余裕ないや。

 

残り1日。明日かぁ。ウサギ君はちゃんと月に行く準備できてるかな…。いつも月に夢中で…私はそんなウサギ君が好きで…そんなウサギ君を邪魔したくないから言えなかったけど…最期に少しワガママ書くくらいはいいよね。

 

もうすぐ私消えちゃうんだなぁ。

遠くに行くって書いたけどもし本当に治ったらウサギ君は迎えに来てくれるのかなぁ。

どうせ遠くなら月に居たいなぁ…。そしたらウサギ君は必ず来てくれるし…。

あぁ…ずるいなぁ月は。もしも私が居られるなら…月でウサギ君を…

 

 

 

…………………

……………

………

 

「それから、その宝石を首飾りにしたウサギは翼を完成させて月に向かって飛びました。でも、途中で雷に撃たれてしまいウサギも死んでしまいました。プレゼントのオニキスを握り締めながら。」

 

ウサギはそう締め括って話を終わらせる。

 

「うぅ…お父さんが雷で落ちた〜。」

「え?いや、そうだけど違うからね⁉︎ウサギってクラスに三人いるじゃん!その子らみんなお父さんって呼ぶの⁉︎」

「呼ばないけど…お父さんが三人になるにはきっと楽しい。」

「ユキも何考えてるの⁉︎」

「ほら、一人に一うーちゃん!みたいなさぁ。」

「ならルナだって一人に一ルナちゃん!してみてよ。」

「なんか久しぶりにちゃん付けで呼ばれた気がするなぁ♪」

「あっ…えっと、言葉の綾というか、語呂合わせというか…。」

「お父さん照れてる…。」

「珍しいね〜。」

「う、も、もうおしまい!夜ご飯の準備して来る!」

「あ、お父さん逃げた!」

「逃げたー。」

「じゃあお母さんも準備のお手伝いしてこようかなぁ。ユキとヨウはお片付け!いい?」

「「うん!」」

 

大人二人は台所で料理、子ども二人は部屋の片付けとちゃんと動き始めた。

 

「ねぇ、ルナ?」

「ん?なに?」

「宝石になったのになんで月を恨めたの?」

「へ?あー、それはね?宝石の中でしばらく意識が残ってたみたいでね〜。瞳石症候群の症状の1つなのかは知らないけど。」

「じゃ、じゃあもしかして…。」

「なに?」

「聞いてた?」

「何を?」

「聞いてないならいいよ!うん!…ヨウ、ユキ!そろそろご飯できるよー!」

「「はーい!」」

 

ウサギが子どもたちに呼びかけて様子を見に行く。1人になったルナは…

 

「ちゃんと見てたし聞いてたもんね〜。でもせっかくのワガママだしうーちゃんにもこの事は秘密だよ。」

 

照れ臭そうに笑って呟いた。

 

「ルナ、ご飯冷めちゃうよー。」

「うん、今行くね。」

 

あの時(最期)のワガママのおかげで今の幸せがあるならたまにはワガママもいいのかな。そんな事をルナは思った。

 

「ん、うーちゃんの唐揚げ美味しい!今度お弁当にしてピクニック行こうよ!」

「でもルナの方が美味しいじゃんか〜。シャケチャーハンも…。」

「でも私はうーちゃんの唐揚げが好きなの。だから作ってよ〜。」

「仕方ないなぁ。」

「流石うーちゃん。」

「ピクニックー!」

「ピクニックー。」

 

まずはこんなちょっとした事でもいいよね。

 




恋愛とかシリアスとか描けねぇ…。
ウサギ「雪音価値観歪んでるもんね…。」
ルナ「シリアスとかすると蕁麻疹出るんだっけ?」
価値観なんて主観で変わるから歪んでる云々では無い!…といいなぁ。シリアスは心が持たない。ネタ入れたくなるのよ。
ルナ「なるほど…。そういえば手紙の内容とか無かったんだけどなんで?」
手紙の内容とその反応は活動報告の方に載せようと思ってるよ。この中に入れるとなんかしっくり来なかった。
ウサギ「ちょっと待って!反応は載せないで!ねぇ!恥ずかしいからホントに!」
い☆や
さて、だらだら書いてもアレだし締めるかな。
それでは皆様、お読みいただきありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。