月とウサギ   作:沙香月 雪音

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とうとう最終話…
ちゃんと終わらせたい反面どこか寂しいような…
そんな【最終話】です
お楽しみくださいませ!


つきとうさぎ

【最終話】

「ん…起きなきゃ…」

 

もう朝だ。月に行くための翼は出来ている。ちゃんと帰ってくる手段もある。後は月が出るまで待とう。今夜は満月だ。

 

----------------------

 

「おーい、ウサギくーん」

「いないよー」

「いるじゃん」

「いるよ」

 

ウサギがいる作業場に彼女が入ってくる。彼女の表情は嬉しそうな、それでいて不安そうなものだった。

 

「ねぇ、ウサギ君。怖くはない?」

「ん?そうだなぁ…怖くない…わけでもないかな。でもちゃんと行って…帰って来なきゃね」

「うん、そうだね。じゃあ私もちゃんと待ってるから」

「うん、ちゃんと迎えに行くよ」

「今度こそは」

「今日こそは」

『生きて月に行って生きて帰ってこよう』

 

2人はしっかりと約束する。ラビットやハーゼの時とは違いしっかりと、言葉で。

 

「よし、じゃあちょっと早いけど私はそろそろ行こうかな。じゃあ、ちゃんと迎えに来てね、ウサギ君」

「うん、ちゃんと迎えに行くよ。だから待っててね」

 

2人は笑いながら分かれていく。

 

「どうやって時間を潰そうか…」

 

彼女と別れたウサギは何もすることが無くなってしまった。

 

「うーん…よし、翼で丘まで行ってちょっとのんびりしよう」

 

そうと決めたウサギは翼に載せてる重りを荷物と入れ替え丘へと向かった。

 

「♪〜♪〜」

 

これまでは「月に届くため」と必死だったが今はもうそれは目の前まで来ている。だからウサギは珍しく鼻歌交じりに飛んで行った。

 

「〜♪…着いた〜。割といい時間かな」

 

もう月は東の空に出ている。欠けてのいない綺麗な満月だ。

 

「さっき飛んだけど最後のチェックだな…よし、よし……よし」

 

最後の確認は済んだようだ。なら後は飛ぶだけだ。

ウサギはもうすっかり慣れた動作で翼に身体を固定する。目を瞑ってゆっくり深呼吸をする。

板に脚を添え押し込む。緩めて再度押し込む。強く月に向かって飛んでいく。

 

「ちゃんと帰ってこなきゃ…」

 

ウサギは自分の生まれた村を見て呟いた。そして踏み込む力を強め、雲を突き抜け月に近づく。

 

「あと少し…」

 

一層踏み込む力を強める。それでもその『あと少し』が遠い。

 

「待っててくれてるんだから…届け!」

(もう…仕方ないなぁうーちゃんは…。ほら、あと少し、頑張って)

 

彼女の声が聞こえたと思った途端月が大きく、近くなる。

 

「ようやく…届いた…」

 

ウサギはとうとう月に着いた。

 

----------------------

 

大きな羽音と共にウサギ達は村に帰って来た。

 

「ねぇ()()()()()?」

「何?()()

「なんで私の体重知ってたのさ…」

「ん?もしかして持っていった荷物と体重一緒だったの…?」

「…う、うん」

「危なかったぁ…身長とかから適当に計算して大体「わーわー!」kgくらいだと思ったけどあと少しでも軽く見積もってたら2人して危なかったね」

 

ウサギはそう言ってあはははと笑った。

 

「笑い事じゃないよ…もう…」

「そうだね…でもまぁまずは…おかえり」

「うん…ただいま」

「それにしても長い間待たせちゃったみたいで…ホントにゴメンね」

「ホントだよ…体感時間なら200年は待ったんだよ?」

「僕ももっと早くに迎えに行きたかったよ…確か最初は雷で落ちたんだよなぁ…」

「そうだったね…あの時はホントに月が恨めしかったよ」

 

ウサギはそう言い思い出す。ずっと昔に落ちた記憶を。そして彼女、ルナも思い出す。ウサギが落ちた原因となった月を呪い自分自身が月に囚われてしまった事を。そして永い年月を繰り返したことも。

 

「でもちゃんとうーちゃんが月に迎えに来てくれたから許してあげよう!」

「ありがたきお言葉ー」

 

2人はおちゃらけて笑い合う。今まで出来なかったこともしてやろう。そう思いながら。

 

「よし、まずは父さんと母さんの墓参りだね。ちゃんと報告して、それからラビットおじさんとハーゼさんにも会いに行こう」

「うーちゃんのお父さんとお母さんのお墓?」

「父さんと母さんは僕とルナの事は知ってたからね…『想像もつかないし大変としか分からないけど無理だけはしないでね』って言われたっけ…」

「そっか…突拍子も無いことなのに受け止めてくれたんだ…」

「うん、きっと起こった事は理解出来てないだろうけどちゃんと受け入れてくれた事は嬉しかったよ」

「じゃあちゃんと報告しないとね。あ、そういえばラビットさんとハーゼさんにはどうやって説明するの?」

「い、今言わなきゃダメ?」

「だーめ♪」

「ちゃんと月で指輪渡したじゃん…」

「ちゃんとうーちゃんが何て紹介するか聞きたいな〜」

「うぅ…こ、婚約者…」

「そっかそっかぁ♪じゃあそろそろ行こっか、旦那さま♪」

 

ウサギは照れながら、ルナは楽しそうに、でも2人とも嬉しそうに歩いていった。




ウサギ〜ルナ〜挨拶するよ
ウサギ「ちょっと待ってー」
ルナ「というか私の名前ようやく出たんだけど!ここに来るのも初めてだし!」
ルナの名前は意図的に出してないからねぇ…仕方ない
ウサギ「ゴメン、おまたせ」
ウサギ遅いよ。ちゃんと並んで並んで…

それでは皆さま、月とウサギお楽しみいただけましたでしょうか。
拙いところなど多々あったかもしれませんが読んでくださった方に少しでも楽しんでいただると嬉しいです
それでは、皆さま
ウサギ、ルナ、雪音『ありがとうございました!』


挿絵をツイッターでねこのすさんから頂きました

【挿絵表示】

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